今回は、パーパルディア皇国爆撃部隊の出撃風景とレミールとムー大使との会談内容を主に描いておりますので実際の空襲風景は、次回にお待ち下さい。
それではどうぞ
1月17日
アルタラス王国王都ル・ブリアス郊外「ル・ブリアス飛行場基地」
パーパルディア皇国空襲予定日になったル・ブリアス飛行場基地の滑走路では爆弾を満載したB29戦略爆撃機240機が出撃準備を整えていた。
それを二人の日本人でも無く、アルタラス王国人でも無い飛行服姿の二人の男が驚きの表情で見つめていた。
マイラス「大日本帝國がこれ程の巨大爆撃機を有しているとは…」
ラッサン「これ程の機体…我が国どころか神聖ミリシアル帝国でも撃墜が困難かもしれないな…」
B29を見つめていたのはムーから観戦武官として派遣された技術士官のマイラスと戦術士官のラッサンだった。
マイラス「B29…と言ったな?我が国もこんな爆撃機が欲しいな。」
ラッサン「そうだな…だが大日本帝國は、最新鋭兵器の輸出を禁止しているから難しいだろう…」
マイラス「ああ、だが大日本帝國は、最新鋭の兵器の輸出を禁じているのであって
ラッサン「!なるほどな。確かにそれなら僅かに可能性があるかもしれないな。」
マイラス「ああ、だから今度大日本帝國に上層部経由で頼んでみようと思う。」
ラッサン「そうだな。」
二人が話していると一人のB29搭乗員が近づいて来る。
搭乗員「マイラス大尉、ラッサン中尉。そろそろ出撃の時間ですので機に搭乗して下さい。」
マイラス「ああ、分かった。」
ラッサン「了解。」
二人は、搭乗員と共に中隊長機のB29へと向かうのであった。
第六爆撃航空団指揮機
今回、出撃するB29戦略爆撃機240機を指揮する1機の指揮官機型B29には第六爆撃航空団司令の野村が搭乗していた。
機長「野村少将、ムー国観戦武官搭乗完了致しました。」
機長席の後ろにある予備席に座っていた野村に機長が報告する。
野村「うむ、そろそろ出撃時間だな。」
そう言いながら腕時計を確認する。
野村「各機に伝達、出撃準備。」
機長「了解。」
機長は、無線手に各機に出撃準備を連絡するよう指令する。
10分後、野村が搭乗している指揮官機が動き出し、滑走路上に出る。野村が席を一瞬外し、側面の機銃口から後ろを見る。後ろには指揮官機が所属している第一爆撃群の中隊が付いてきていた。
野村「やはり、アメリカのB29はデカいな。アメリカの工業力を実感させられる。まぁ、今そのアメリカ様は存在しないわけだが。」
独り言を言っていると操縦席に着いている機長が野村に向けて話す。
機長「野村少将、まもなく離陸時間なので席にお願いします。」
野村「ああ、分かった。」
返事を返し、副機長の後ろにある指揮官席に座る。
野村は、指揮官席に座る前に取ったヘッドホンを頭に装着し、隣に付いていた無線機で各爆撃群の隊長機チャンネルに無線の周波数を変更し、喋り始める。
野村「指揮機より各爆撃群隊長機へ、野村だ。今回は、我々第六爆撃航空団…いや、帝国陸軍全爆撃航空団で初の実戦だ。初めての実戦で緊張している者や初めて着任した新人も居ることだろう。」
各機では搭乗員が無線機から発せられている音声をヘッドホンで集中して聞いていた。
野村「我々が爆撃するのはフェン王国で陛下の御息女、京子内親王殿下を含む無実の日本人250名を虐殺した蛮国の民が蔓延る都市だ。これは復讐戦だ。眼下に民間人らが住んでいるといって躊躇するな。奴らは無実の民を虐殺した蛮国の蛮族なのだからな。奴らに我々、大日本帝國を怒らせたらどうなるか無差別爆撃で教えてやれ。」
野村が一呼吸置く。
野村「全機出撃!!!」
野村が出撃の合図を出し、野村が搭乗している指揮機が滑走を始める。
ゴォォォォォォォ
B29の重い機体が持ち上がり、タイヤを格納し飛行を開始する。
こうしてル・ブリアス飛行場基地から爆弾を満載した240機のB29が出撃し、海上上空で半分に別れ、野村が搭乗する指揮機型B29が居るアルーニ爆撃隊120機は、爆撃目標であるパーパルディア皇国屈指の軍事で栄えている都市アルーニへと向かうのであった。
パーパルディア皇国 皇都エストシラント 第一外務局
レミールは、第一外務局の小会議室で第二文明圏列強国ムーの大使を待っていた。
レミール「まさかムーが自国民に対し皇国から退去指示を出していたとは…」
レミールは、軽く驚いていた。
ムー政府が大日本帝國とパーパルディア皇国が戦闘状態に突入したことを理由に、皇国内に居た全ムー国民に対し退去指示を出し、皇国各地の港にはムー客船で国外に退去するムー国民が列をなしていた。今までは皇国と文明圏外国家が戦争状態になっても皇国内のムー国民が退去せず、またムー政府も退去指示を出さなかった。だが、今回ムー政府は、皇国内のムー国民に対し退去指示を出し、ムー国民も国外退去を急いでいる。こんな事態は、初めてだった。
また、大日本帝國と交戦したアルタラス王国侵攻軍からは大日本帝國がムーに似た飛行機械を使用していたとの目撃情報があり、皇国上層部は、ムーが大日本帝國に飛行機械などの最新鋭兵器を輸出し、ムーが間接的に大日本帝國を支援していると結論づけていた。
会議室には、皇族レミールの他に第一外務局局長のエルトを筆頭とした幹部の面々が顔を揃えていた。
コンコン
すると小会議室の扉がノックされる。
職員「レミール様、ムー国大使の方が来られました。」
扉の外から案内係の職員の声が聞こえる。
レミール「ああ。ムー国大使、どうぞお入り下さい。」
大日本帝國外国団との会談の時とは180度違う態度でムー大使に入るよう促す。
重厚な扉が開き、ムー国大使ムーゲとムー国大使館職員3名が部屋に入室する。
レミール「どうぞお座り下さい。」
ムーゲ達に座るよう促し、ムーゲ達は、席に座る。
エルト「それでは会談を開始します。」
エルトの言葉により会談が開始される。
まず最初にレミールが発言する。
レミール「我が皇国が大日本帝國と戦争状態に突入していることは貴国も知ってのとおりだと思う。今回のムー国の一連の対応について説明を願いたい。」
レミールの問いにムーゲが答える。
ムーゲ「はい、このたび貴国と大日本帝國が戦争状態に突入したことは我が国も認知しております。今回の戦争は、激戦になる可能性があります。我が国は、自国民の安全を確保するため、貴国からの退去指示を出すに至りました。この指示は、大使館の一時引き上げも含みます。この措置は、貴国の首都エストシラントにも被害が及ぶとの判断からなされています。」
エルト「な…!」
エルトが驚愕する。
ムーは、今回の戦争の戦火が皇国の首都エストシラントにも及ぶと判断しているのだ。
だがそんなことお構いなしにレミールが話し出す。
レミール「いや、そんな事はいいのです。調べはついています。本当のことを話して貰えぬか?」
ムーゲ「?はて?何のことでしょうか?」
レミールの言葉に理解できず、ムーゲが戸惑う。
レミール「我々が大日本帝國との戦闘の際、飛行機械を兵士達が目撃しているのです。本当のことを話して下さい。」
ムーゲ「……いったい何が仰っしゃりたいのか理解出来ないのですが…」
レミール「これでも解らぬのか?ムーもとんだ狸を送り込んで来たものだ。私は、飛行機械を大日本帝國が使用していたと兵士達が目撃したと発言した。飛行機械を作れるのは貴国ムー国しか居ない。貴方方は、今まで決して他国に輸出しなかった兵器を大日本帝國に輸出した。そして今回の皇国各地の都市からの自国民の引き上げ。これが何を意味しているのか馬鹿でも分かるだろう。」
レミールが一呼吸置く。
レミール「何故蛮族の大日本帝國に兵器を輸出した!!そして何故我々の聖戦の邪魔をするのだ!!!」
レミールの怒声が部屋中に響き、今にも襲いかかって来そうなレミールの表情にムーゲが体を震わせると同時にパーパルディア皇国のあまりにも斜め上の推論に戸惑う。
ムーゲ「貴方方は、何か勘違いをしている。我が国は、大日本帝國に兵器を輸出など一切しておりません。彼の国が我が国よりも機械文明が進んでいるのです。」
レミール「文明圏外の蛮国が第二文明圏の列強よりも機械文明が進んでいる?そんな話が信じられるか!!」
ムーゲ「……彼の国が転移国家だという情報を掴んでおられないのですか?」
レミール「転移国家だと?」
レミールが過去に呼んだ報告書の片隅に記載されていた文を思い出す。だがレミールは現実主義者であり、そんなおとぎ話など本気に出来なかった。
レミール「転移国家などと……貴国は、それを信じているのか?」
ムーゲ「信じます。我が国以外の国では神話としか思われておりませんが、我が国も転移国家なのです。そのことが1万2000年前、当時王政だった我が国の公式文章にはっきりと記載されています。我が国独自で大日本帝國を調査した結果、我が国が元いた世界から転移した国家であり、1万2000年前の異世界での友好国だと判明致しました。当時の友好国ヤムートは、歴史を進んで行くにつれヤマト国やヤマタイコク等、様々な名に変わっていき、大日本帝國として現在に至ります。」
ムーゲの部下が持って来た鞄から数枚の写真を取り出す。
ムーゲ「これが大日本帝國が保有している戦闘機の写真です。そしてこちらが我が国が保有している戦闘機の写真です。」
レミールの前に出された写真は、大日本帝國の傑作戦闘機「零式艦上戦闘機」とムー国の最新鋭戦闘機「マリン」が写っていた。
ムーゲ「我が国の最新鋭戦闘機マリンは、複葉機という二枚以上の翼で揚力を得る設計をしておりますが、大日本帝國の零式艦上戦闘機は、翼が一枚だけなのです。この時点で大日本帝國は、飛行機械の製造技術で我が国を上回っております。それに零式艦上戦闘機は時速600kmの速度を誇っていますが大日本帝國では旧式とされており、更には音速に近い速度を発揮可能な戦闘機を多数保有していると情報が入っています。」
レミール「な…」
大日本帝國の旧式飛行機械でもムーの最新鋭戦闘機「マリン」の時速380km、皇国の最強兵器であるワイバーンオーバーロードの時速430kmを遥かに上回る時速600kmを発揮し、更には音速に近い速度を発揮可能な戦闘機を保有していることにレミールを含め、皇国側全員が驚愕する。
それをお構いなしにムーゲは、説明を続ける。
ムーゲ「そして大日本帝國に居るムー大使から本国経由の情報ですが………大日本帝國は、魔帝の究極兵器、コア魔法の開発に成功したようです。」
「「「「!!!???」」」」
レミール達全員が一斉に席を立ち、だらしない表情で口を大きく開けていた。
エルト「む、ムーゲ殿…その話は、本当なのでしょうか…?」
ムーゲ「はい、紛れもない事実です。」
レミール「あ…有り得ん…文明圏外の蛮族が古の魔法帝国のコア魔法の開発にせ…成功するとは…ぜ…絶対に有り得ん!!」
レミールは、必死に拒否していた。
ムーゲ「認めるのも否定するのも貴方方の自由です。ですが一つ解っていることは、軍事技術にしても、民間技術にしても大日本帝國は、我々の先を行っているのです。神聖ミリシアル帝国より上の可能性も考慮しております。そんな国に貴方方は、宣戦布告し更には殲滅戦を宣言してしまいました。殲滅戦を宣言してしまったということは、相手から殲滅戦をされる可能性があります。我が国は、国民を守る義務があり、このままでは貴国の首都エストシラントが灰燼に帰する可能性があると判断し、我が国は、皇国内にいる全国民に皇国からの国外退去指示を出したのです。」
レミールが呆然とした表情で話を聞いていると扉が勢いよく開き、第一外務局の職員が入室して来た。
職員「れ、レミール様!!た、大変です!!軍都アルーニ、工都デュロを含む10大都市が爆撃を受けております!!」
レミール「なっ…!」
エルト「なんということだ…」
職員からの報告を聞き、レミール達は、更に驚愕する。
ムーゲ「大日本帝國の爆撃が始まりましたか…我々も間もなく皇国から引き上げます。戦争の後、皇国がまだ存続していたら私は、また戻って来るでしょう。貴方方とまた会える事を祈っています。」
そう言い残し、ムーゲ達は荷物を纏め、部屋から退出する。
レミール達は、驚愕のあまり声を出せずにいた。
こうしてレミール達とムー大使ムーゲとの対談は、絶望で包まれた空気のまま終了した。
to be continued
次回は、パーパルディア皇国都市の空襲風景です。楽しみに待っていて下さい。
それではグッバイ
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