強化された大日本帝国召喚   作:89式小銃

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第32話 絶望

 

翌日

 

パーパルディア皇国 皇都エストシラント 海軍総司令部

 

バルス「……艦隊からの報告はまだか?」

 

寝癖ができた髪の毛を魔法で直しながらボソッと呟く。

前日に艦隊からの定期報告が来たのを最後に艦隊からの連絡が来ない。

 

マータル「はい、未だ。」

 

バルス「そうか…」

 

嫌な予感がする。そしてその予感がすぐ的中する。

 

 

 

バタンッ!!

 

扉が勢いよく開き、魔信伝達員が慌てた表情で敬礼する。

 

マータル「何用だ!!」

 

伝達員「ほ、報告しますっ!!先程、竜母ヴェロニアより通信があり艦隊が日本海軍の戦艦1隻と接敵し戦闘状態に突入とのことです!!」

 

バルス「戦艦が1隻か…随分となめられた戦力だな。…して結果はどうなったのだ?もちろん我が軍が勝利したのだろう?」

 

伝達員「…それが……我が海軍が…大敗致しました!

 

バルス「……な…なんだとぉぉぉぉぉぉ!?

 

700隻以上もの皇国艦隊が蛮族のたかが1隻の戦艦に大敗したことに衝撃を受け、彼の声が部屋中に響き渡る。

 

バルス「あ…ありえん…700隻以上も居たんだぞ?それがたかが…たかが1隻の戦艦に破れただと…?」

 

伝達員「……はい…」

 

バルス「う…嘘だ…嘘に決まっている…」

 

自信満々で大日本帝國侵攻のため出撃させた皇国歴史上最大規模の艦隊が全滅したことを受け入れられずにいた。

 

マータル「損害は…?」

 

おそるおそる艦隊が被った被害を伝達員に尋ねる。

 

伝達員「…ワイバーンオーバーロードを含む470騎が全騎撃墜され、戦列艦506隻、揚陸艦216隻が撃沈され、文字通り全滅です…」

 

たった1隻で一国の総海上戦力が失われたに等しい被害に唖然とする。

 

マータル「…生き残った船は居ないのか…?」

 

伝達員「辛うじて竜母ヴェロニアを含む竜母30隻及び護衛の戦列艦8隻が生き残りましたが…竜騎士隊が全滅した全竜母は戦闘能力を完全に損失し戦列艦はたった8隻…もはや全戦闘能力を損失したに等しいです…」

 

マータル「なんてことだ…」

 

机に顔をひれ伏し、頭を抱える。そして更に追い打ちをかけるように慌てた表情の他の伝達員が入室して来て報告する。

 

伝達員「た、大変です!!わ、湾外に敵の戦艦が現れました!!」

 

バルス「なにぃ!?」

 

伝達員の報告を受けて、マータル達は慌てて屋上へ通じる階段を登り屋上に出る。

 

マータル「な…!!」

 

そこでマータルは驚愕する。皇都の沖に多数の艦影が見える。

もうもうと黒煙を吐き出していた島よりも巨大な鋼鉄の船体に巨大な3つ連なった砲を3基も搭載している艦が4隻…その他にも大小10隻の艦が航行していた。そして全艦、艦尾に赤い丸からいくつもの赤線が伸びている軍旗を掲げていた。

 

マータル「に、日本軍…!!まさかここ皇都までやって来るとは…!!」

 

バルス「至急、皇宮に連絡せよ!!急いでルディアス様や皇族関係者を避難させるのだ!!」

 

伝達員「は、はいっ!!」

 

バルス「皇都防衛隊を緊急招集!準備できた沿岸魔導砲から敵艦隊を攻撃せよ!!」

 

陸将「はっ!!」

 

伝達員及び陸将が急ぎ足で下へと降りていく。

 

マータル「なんとしてでも皇都を守らねば…!!」

 

 

 

 

 

 

 

連合艦隊分遣隊 旗艦大和

 

山本「あれが皇都エストシラントか。意外と良い町ではないか。」

 

竹中「そうですね。前世界のローマみたいな町並みです。」

 

山本「戦争が終わって一段落着いたら観光でもしてみたいな。」

 

イタリアのような町並みのエストシラントに好印象を抱く。

 

山本「…主砲射撃用意。弾種、三式弾。目標、敵首都港湾施設。」

 

だが現在は戦争中。すぐに雑念を取り払い命令を指令する。

 

竹中「はっ!主砲射撃用意!!目標、敵首都港湾施設!!」

 

砲術長「了解!主砲射撃用意!!」

 

山本「撃ち方始め!」

 

竹中「主砲撃ちぃ方始めぇ!!」

 

ドゴォォォォォン!!!!

 

ドゴォォォォォン!!!!

 

ドゴォォォォォン!!!!

 

大和の主砲発射を皮切りに続いていた同型艦武蔵、信濃、紀伊に加え、金剛、榛名他軽巡1隻、駆逐艦7隻も砲撃を開始する。

 

 

 

 

 

 

 

皇都エストシラント郊外 レミール邸

 

 

殺…し…やる…

 

 

殺して…やる…

 

 

殺してやる…!

 

 

殺してやる!!!!! 

 

 

レミール「やめろぉぉぉ!!!」

 

大声を出しながらベットから起き上がる。息が上がり、体中から汗を流しており、ベットがびっしょりと濡れていた。

 

レミール「……クソッ…」

 

彼女は、悪夢を見ていた。占領していたフェン王国の町で自身の命令で殺害した日本人達が恐ろしい形相で自身を睨み、殺そうとしていた。

 

レミール「蛮族どもが…夢の中でも私を困らせるのか…」

 

気分転換しようとベットから立ち上がり、バルコニーに出る。

 

レミール「……な、なんだあれは?火事か?」

 

エストシラントにいくつもの黒煙が上がっていた。

 

ドォォォン!!

 

ドォォォン!!

 

火事だと思っていると巨大な爆炎が上がり、爆発音が聞こえてくる。

 

レミール「爆炎と爆発音!?あれは火事じゃないのか?!」

 

いくつも爆炎が現れ、何度も爆発音が鳴る。皇都が攻撃を受けているのである。

甚大な被害が出ていると思われ、両膝を抱え込み恐怖に怯える。

 

レミール「(皇都を攻撃するほどまで怒り狂って私を血眼になって探している…私はどうなるのだ…)」

 

ダンダンダン!

 

すると部屋のドアがノックされる。

 

メイド「レミール様!レミール様!」

 

自身を呼ぶ声が聞こえる。家で雇っていたメイドの声だった。

 

レミール「今行く!」

 

震える足でドアまで歩き、ドア越しで要件を尋ねる。

 

レミール「何用だ!」

 

メイド「皇都が日本軍の攻撃を受けております!!」

 

レミール「!!」

 

爆炎や爆発音はやはり事故ではなかった。

 

メイド「これを受けて皇宮は第一外務局の全高級職員の招集を命令致しました!郊外にある皇都防衛隊基地を集合場所とし、レミール様も至急来てほしいと連絡が来ております!」

 

レミール「わ、分かった!着替えて今すぐ向かうと伝えておけ!」

 

メイド「かしこまりました!」

 

メイドが部屋の前から離れていく。

 

レミール「うぅ…これからどうしろと言うのだ…」

 

完全に追い詰められた状況に頭を抱え、絶望する。

 

 

 

 

 

 

 

皇都エストシラント 皇城

 

皇帝ルディアスが住まう皇城は、大混乱に陥っていた。

銃を装備した皇国近衛隊が廊下を走り回り、仕えていたメイドや執事達が慌ただしく動き回っていた。

そこに専用執事に連られたルディアスの姿があった。

 

執事「ルディアス様!お早く地下の防空壕へ!」

 

執事が急ぐように言う。

朝早くに執事に起こされたルディアスが不機嫌そうな顔で何が起こったのか執事に尋ねる。

 

ルディアス「朝早くから一体何事なのだ?」

 

執事「日本軍です!日本軍の艦隊が皇都を攻撃しているので御座います!」

 

ルディアス「何だと?」

 

執事の答えに驚く。

 

執事「今現在、辛うじて臣民達が住まう居住区や皇宮付近は無事ですが海軍総司令部が破壊され、その他の軍施設も軒並み破壊されているとのことです!港は完全に破壊されております!」

 

ルディアス「出撃したはずの侵攻艦隊はどうしたのだ?」

 

執事「そ…それが…海軍総司令部の報告によると全滅した模様です…」

 

ルディアス「………」

 

ふと近くにあった窓に近づく。執事が危ないからと必死に制止するがそれを無視し、窓から港の方向を見つめる。

 

ルディアス「な…」

 

そして愕然とする。

そこにはかつて第三文明圏最大を誇った活気溢れる港の姿は無く、建物が完全に破壊され港内に停泊していた商船や漁船が木っ端微塵に破壊され各地に炎の手が上がっており港全体が黒煙に包まれていた。そして沖には港を完膚なきまでに叩き潰した日本軍艦隊の姿があった。

 

ルディアス「日本軍…!」

 

ドォォン!!

 

ドォォン!!

 

草木で擬態していたため、生き残っていた沿岸魔導砲が必死に反撃するが敵艦隊のはるか手前に着弾し、位置がバレてしまい日本艦隊の艦砲射撃にて集中攻撃され、魔導砲ごと施設が破壊されていく。

 

ルディアス「……震えている…?この余が震えているだと…?」

 

気づけば、窓枠を掴んでいた手や足が恐怖のせいか震えており、体中に大量の汗をかいていた。

 

 

しばらくすると敵艦隊は目的を達成したのか攻撃を止め、エストシラントから離れて行く。

 

ルディアス「あぁぁ…」

 

床に尻もちする。

 

執事「ルディアス様?!大丈夫ですか?!」

 

執事が駆け寄る。

 

ルディアス「あ…あぁ…大丈夫だ…」

 

専用執事に大丈夫だと返すが内心は大丈夫ではなかった。

 

ルディアス「(先程の攻撃で港の機能は完全に停止した…海軍戦力も全てを失った今、皇国本土へ敵が上陸するのも時間の問題…もはや皇国に安全な所は無いだろう……大日本帝國を甘く見過ぎていたな…)」

 

やっと大日本帝國が自国がとてもじゃないが勝てない相手だと気づいたがもはや手遅れだった。

 

 

連合艦隊分遣艦隊の戦艦6隻、軽巡1隻、駆逐艦7隻によるエストシラント艦砲射撃にてエストシラント沿岸は甚大な被害を被り、港にあった海軍施設が軒並み破壊され停泊していたパーパルディア商船や漁船500隻以上が沈没、海軍総司令官バルス及び皇国軍作戦参謀マータル以下10名以上の海軍将官が戦死し1000名以上の陸海軍兵も戦死。また、流れ弾が市街地に多数着弾し、2000名以上の死亡者を出す大被害となった。

 

 

 

to be Continue

 

 

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