強化された大日本帝国召喚   作:89式小銃

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第36話 クーデター①

 

 

中央暦1640年3月27日 深夜

 

カイオス邸

 

 

 

カイオス「午前1時15分…あと5分か…」

 

自室の壁に掛けてあった時計の時間を確認する。

滅亡の危機に瀕している皇国と臣民を救うためのクーデター作戦は午前1時20分に開始する予定であり、開始まであと5分を切っていた。

 

ベットの隣にある机の引き出しから小さい木製の箱を取り出し、施錠してあるロックを外して蓋を開ける。

中には特務機関諜報員が貸与したブローニングM1910自動拳銃と弾倉5つが入っていた。

 

カイオス「たしか弾倉とやらを、握る所に挿入するんだったな…」

 

特務機関諜報員に銃の扱い方を教えて貰った内容を思い出しながら操作していく。

 

カイオス「(未来の皇国歴史書には国を裏切り、敵に寝返った売国奴だと私の名が記載されるだろう。)」

 

部屋に金属音が響く。

 

カイオス「(だが、全ては皇国と皇国臣民を滅亡から救うためだ。もはや名誉や栄誉など必要ない。この残虐な戦争を終わらせて腐敗で満ち溢れた皇国を変えてみせる!!)」

 

腐敗した皇国を変えるため決心し、銃の薬室に弾を込め安全装着をかける。そして机に置いてあった弾倉4つをポケットの中に入れ、短剣と銃をベルトとズボンの間に差し込み部屋を出る。

 

 

 

メイド「カイオス様。」

 

廊下で待機していたメイドがカイオスに話しかける。

 

カイオス「君か。」

 

メイド「クーデターを遂に行うのですね…」

 

カイオス「ああ。皇国と2400万人の皇国臣民を救うためだ。」

 

メイド「…カイオス様これを。」

 

するとメイドがカイオスに何かを手渡す。

 

カイオス「これは…お守りか?」

 

それは青色の袋で、何かの模様が繕われていた。

 

メイド「私の故郷で作られた武勲守りです。」

 

カイオス「おぉ、これはありがたい。これで作戦が順調に行きそうだ。」

 

女性からこういった物を貰ったことが無かったカイオスは嬉しくなる。

 

メイド「…私と両親は属領の出身です。」

 

突然、メイドが衝撃的事実をカイオスに告白する。

 

メイド「文明圏外に位置する島国クーズ王国出身です。20年前の侵攻で皇国兵によって連れて来られました。」

 

世話になったメイドが属領出身だった事を知らなかったカイオスは驚く。

 

カイオス「…そうか。」

 

だが、カイオスは何も言わなかった。

 

メイド「えっ…?」

 

予想外の反応にメイドが困惑する。

 

メイド「何も言わないのですか…?今まで事実を黙って、カイオス様を騙していたのですよ…?」

 

カイオス「属領出身など私には関係ない。優秀な人材は誰でも受け入れる。それが例え亜人、文明圏外・属領の人間であってもな。」

 

メイド「………」

 

メイドは過去の自分を酷く憎んだ。

今までカイオスを何度も何度も殺そうとした、憎しみで一杯だった過去の自分を殴りたくなった。

 

カイオス「さぁ、君も早く皇都から離れるんだ。もし作戦が失敗すれば私はもちろん君たち関係者も処刑される。」

 

メイド「で、ですが…」

 

カイオス「ここに逃げなさい。大日本帝國の軍人が助けてくれるだろう。」

 

カイオスがメイドに一枚の紙を渡す。紙には、もしも作戦が失敗した際の逃亡先が書かれていた。

 

カイオス「私は失敗する仕事を実行に移したりしない。安心しろ。」

 

そう言い残すとカイオスは足早に去っていく。

 

メイド「………カイオス様ご無事で…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午前1時19分

 

作戦開始まであと1分

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

操縦手「目標地点に到着しました。」

 

皇都エストシラント上空3000mを1機の爆撃機が飛行していた。海軍航空隊の4発大型爆撃機[連山]である。

 

機長「攻撃目標は見えるか?」

 

機体を傾け、操縦席から風防越しに攻撃目標である皇都防衛隊基地を探す。

 

操縦手「……見当たりません。」

 

エストシラントの町は灯火管制をしており、雲で月が隠れていたため月明かりも無かった。

 

機長「目印として基地から狼煙が上がるはずだ。よく探せ。」

 

操縦手「了解。」

 

 

 

2分後

 

 

しばらくすると雲から月が現れ、月光が眼下を照らし視界が良好になる。

 

機銃手「こちら下部機銃、10時の方角に目標を確認。」

 

そして部下から目標発見の報告が入る。報告された方角をよく見ると皇都防衛隊基地があった。

基地からは目印である狼煙が上がっていた。

 

機長「良くやった。攻撃進路に入るぞ。」

 

操縦手「了解。」

 

操縦桿を操作し、搭乗している大型攻撃機[連山]を基地の真上を通る進路に合わせ、スロットルを戻す。

 

機長「爆撃手、絶対に外すなよ。」

 

爆撃手「分かってますよ。」

 

連山の爆弾槽には絶大な威力を誇るフリッツX改2発が搭載されており、どちらも弾頭が地上攻撃に有効な榴弾に変更されていた。

 

機長「しかし、敵基地を誘導爆弾で夜間攻撃しろとは司令部は無茶な事を言ってくれるな。」

 

今回の、敵基地にフリッツX改を使用してのピンポイント夜間攻撃は日本陸海軍全航空隊で初めてだった。

 

操縦手「誘導爆弾を長年運用してるドイツ空軍とイタリア空軍でも前列が無いですからね。」

 

機長「夜間攻撃の訓練自体は何回か行って成功させているが心配だな…」

 

何度も訓練を行っていてもやはり不安になる。

 

爆撃手「機長、自分の腕を信じて下さい。訓練通り、必ず2発とも命中させます。」

 

機長「ああ、信じてるぞ。」

 

 

 

 

爆撃手「投下まで5…4…3…2…1…投下!」

 

ガコンッ

 

爆弾槽からフリッツX改1発が投下され、敵基地に向けて尾翼のライトを点滅させながら降下していく。

 

爆撃手「当たってくれよ…」

 

照準器を覗きながらジョイスティックを操作し、当たる事を願って誘導する。

 

爆撃手「そのまま…そのまま…」

 

連山が基地の真上に来た瞬間、基地のど真ん中で巨大な爆発が起こる。見事命中したのである。

 

爆撃手「よっしゃぁ!!命中!!」

 

操縦手「嘘だろ…命中させやがった…」

 

目印があったものの視界の悪い夜間、しかも手動誘導で敵基地をピンポイントで破壊した神業に等しい事を爆撃手はやってのけた。

 

機長「良くやった爆撃手。再度攻撃を行うぞ。」

 

爆撃手「了解!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、皇都エストシラント正門前では警備兵が大騒ぎしていた。

 

ドオォォォォン!!!!

 

「また、爆発したぞ!?!?」

 

2発目のフリッツX改が皇都防衛隊基地に命中し、見たこと無い爆炎が発生する。

 

「あの方角は……皇都防衛隊基地じゃねえか!?」

 

「何っ!?遂に日本軍が皇都に来やがったのか!?」

 

日本軍が皇都に侵攻してきたのだと思い、兵達は狼狽える。

 

キュラキュラキュラキュラ…

 

すると何処からか聞き覚えのない音が聞こえ始める。音は段々と兵達の元に近づいてくる。

 

 

「な、なんだあれは!?」

 

彼らの目線の先には、履帯音を発しながらこちらへと進んで来る戦車の姿があった。

 

「て、敵の鉄地竜だっ!!」

 

皇国兵達の間で呼ばれている戦車の呼称を叫ぶ。

 

ドォン!!

 

「た、退避ぃぃぃぃ!!!」

 

ドォォォン!!!

 

主砲から発射された砲弾は、集団の中心に命中し炸裂。警備兵らは爆風や砲弾の破片によって戦死し、軽くなった体を吹き飛ばされる。

 

 

 

 

 

中央暦1640年3月27日午前1時20分

 

カイオスを司令官とし、皇国軍第6軍第12歩兵旅団及び皇国近衛部隊の一部で構成された部隊6000人はエストシラント各地で武装蜂起。

日本製武器を装備し、皇城、皇宮、第1・2・3外務局等の重要施設制圧と皇帝ルディアスやレミール等の皇族家の人間、軍上層部の人間の身柄を拘束するため部隊は前進する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皇国の一番長い夜が始まる。

 

 

 

to be Continue

 

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