強化された大日本帝国召喚   作:89式小銃

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第38話 虐殺者の逃亡

 

 

皇都エストシラント郊外

 

 

レミール「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

舗装されたレンガの道を必死に走る一人の女の姿があった。レミールである。

 

レミール「(どうしてだっ…!どうして私がこんな目にぃ…!!)」

 

大日本帝国によって自身の計画を狂わされたレミールは憎たらしい表情を浮かべる。

 

 

 

 

 

遡ること数分前ー

 

 

ドンドンドンッ

 

深夜に自室の扉が激しくノックされる。

 

レミール「ひっ…!な、なんだ!?」

 

寝付けなかったレミールは突然のノックに変な声が出てしまった事に気づかず、返事する。

 

すると扉が開き、専属メイドが慌てた表情で部屋へと踏み入る。

 

メイド「レミール様、大変で御座います!!クーデターです!皇都でクーデターが起こっております!!」

 

一瞬の静寂が部屋を包み込む。

 

レミール「な、なんだとぉ!?」

 

レミールの驚きの声によって静寂が突き破られる。

 

メイド「すでに第一、第二外務局や皇宮が制圧され、皇族家及び官僚が多数拘束されているとの情報が入っております!ここもじきに敵兵が殺到するでしょう!一刻も早く脱出を!」

 

レミール「へ、陛下は、皇帝陛下は無事なのかっ!?」

 

ルディアスの安否をメイドに尋ねる。

 

メイド「…分かりません。ですが皇帝陛下は必ず無事です!レミール様は早く脱出の準備を!」

 

 

ブロロロ

 

すると聞き慣れない音が聞こえ、レミールが窓から音の正体を確かめる。舗装された道路の奥から見慣れない物体が近づいて来ていた。

レミール拘束のため、皇国軍兵数人が乗ったトラックであった。

 

レミール「車!?まさか、もう来たのかっ!?」

 

皇国では存在しない車を確認し、それを自分を捕まえに来たのだと咄嗟に判断する。

 

レミール「ど、どうすればっ…!」

 

メイド「レミール様これを!」

 

するとメイドから小さいカバンとナイフを手渡される。

 

メイド「カバンの中には2日分の食料と10000パソが入っております!」

 

レミール「お、お前はどうするんだ?」

 

メイド「私はレミール様の専属メイドです。主に最後まで仕えるのが私の職務です。さぁ早く脱出を!」

 

レミール「あ、ああ…」

 

メイドの言われるままに部屋にあった隠し通路に入り、暗く狭い通路を通っていく。

 

 

 

パァン! パァン!

 

しばらくして、銃声が2つ鳴る。

 

レミール「っ……」

 

不安と恐怖で夜中は邸宅にあのメイド一人しか配置しなかった。

 

先程まで生きていた仲の良い人物が殺され、レミールの瞼が微かに濡れる。

レミールは、立ち止まること無く通路を小走りで通っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レミール「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

敬愛するルディアスの皇妃となりいずれ世界の女帝になる野望を抱えていたレミールだったが、大日本帝国によってその野望を完全に打ち砕かれ神聖な皇国本土が今も破壊されている。

 

レミール「(遠くへ…もっと遠くへ逃げなければ…)」

 

属領から調達した何百人もの奴隷を娯楽目的で処刑し、フェンで日本人200人を見せしめで処刑した。捕まれば死刑は免れない。

捕まれば待っている確実な死に恐怖し、その原動力が足を激しく動かす。

 

レミール「っ…あれは…」

 

すると数十m先にゆっくりと移動している馬車を見つける。

 

レミール「(あれを奪えば…)」

 

皇国臣民が乗っているであろうが、自身の命が懸かっている状況に他人の事を考える暇が無かった。

 

レミール「(皇族家の人間として一通りの戦闘術を教わっているし簡単に殺せるだろう。)」

 

懐に隠してあったナイフを右手で持って後ろに隠し、馬車へと近づいて行く。

そして数秒でレミールと馬車の距離が縮まった。

 

シルガイア「おや?こんな時間にどうしたんだ嬢さん?」

 

馬車に乗っていたのは港の掃除夫シルガイアだった。

エストシラント砲撃で戦死したバルスとは皇国海軍教育課程で同期であり、彼とトップを争う成績だったが最終選抜にて僅かな点で敗れたシルガイアは海軍から追い出され、日々の生活費を稼ぐため港の掃除夫に勤め、皇国海軍総司令官のバルスと掃除夫シルガイアは対局的な立場になっていた。

 

レミール「(…港の掃除夫か。)」

 

シルガイア「こんな深夜に嬢さん一人では危ないよ。盗賊に襲われるかもしれないからね。」

 

シルガイアは馬車から降り、レミールの元へと歩み寄る。

 

レミール「(この男を殺して馬車を奪えば逃げ切れるだろう。)」

 

馬車を奪えば歩きよりかは早く移動することができ、逃げ切れる可能性が上がる。

後ろに隠し持つナイフに力を入れる。

 

隠し持っているナイフにシルガイアは気づかず、レミールへとどんどん近づいて行く。

 

そしてナイフの間合いに入った瞬間

 

レミール「ふんっ!!」

 

左足を強く踏み込み、男の喉を切り裂くべく、最速の動きでナイフを横に薙ぐ。

 

だが、ナイフに気づいたシルガイアの咄嗟の回避によってナイフは肉に触れず、レミールの一撃は空を切る。

 

シルガイア「な、何をするんだ!!」

 

距離を取り、間合いを取る。

 

レミール「チッ!」

 

攻撃が失敗したレミールは、男の喉を切り裂くべくシルガイアに接近する。

 

レミール「死ねッ!!」

 

そして再度、ナイフで攻撃するがまたも空を切る。

 

シルガイア「ふんっ!!」

 

態勢を整えたシルガイアは、一瞬でレミールの左へと回り込み、彼女の脇腹へと拳を叩き込む。

 

レミール「がっ…!」

 

バキッと言う音と共に拳圧によって身体を吹き飛ばされ、舗装されたレンガ道を転がる。

 

シルガイア「何なんだ、この女は…」

 

痛みでもだえ苦しむレミールの腕と足を馬車に積んであったロープで拘束する。

 

 

ブロロロ

 

すると逃げたレミールを捕まえるため邸宅を離れた皇国軍兵らが乗ったトラックが現れ、近づいて来る。

 

そしてトラックは、馬車の隣へと停車し荷台から小銃や機関短銃で武装した皇国兵達が次々と下車する。

 

「掃除夫か。この辺りで金髪の着飾った女を見なかったか?」

 

隊長格の男がレミールを見てないかシルガイアに尋ねる。

 

シルガイア「金髪の着飾った女性……もしかしてそこに倒れている女のことでしょうか?」

 

そう言うと道に倒れているレミールを指差す。

 

シルガイア「いきなり斬り掛かって来たのです。私が格闘技の上級者でなければ死んでいました。」

 

兵達がまじまじと女の姿を見る。

 

「おい、こいつって…」

 

「まさか…」

 

手に持っている手配書と何度も見比べ、兵達の表情が驚愕へと変わっていく。

 

「れ、レミール!!今すぐその女を捕らえよ!!」

 

隊長の指示を受けた兵達がすでに拘束されているレミールを取り押さえる。

 

レミール「は、離せ!!愚民ども!!私は皇族家の人間であるレミールだぞ!!」

 

「だまれ!!」

 

「大人しくしろっ!!」

 

レミール「うぐっ…!」

 

レミールが多少抵抗するが、鍛えられた男二人に敵うはずなく簡単に押さえつけられる。

 

レミールの顔は、乱暴に扱う兵達に対する怒りと捕まってしまった絶望が入り混じった表情をしていた。

 

「良くやったぞ!!名をなんと言う?」

 

シルガイア「シルガイアです。」

 

「うむ、シルガイアよ!この女は国家存亡の危機を作り出し、数多の人を虐殺した大罪人として手配が掛かっていた者だ。」

 

拘束された女の事を説明する。

 

「我々の立場が上がることは間違いないだろう。そして最初に見つけたお前には暫定政府の元首カイオス様から直々に褒美を貰えるだろう!」

 

シルガイア「えっ!?こ、国家元首様から直々にですか!?」

 

「うむ!」

 

一人の襲い掛かって来た女を倒しただけで国家元首から直々に褒美を貰えると言うことにシルガイアは頭が混乱していた。

 

「レミールを輸送するぞ!!」

 

「はっ!!」

 

兵達がレミールを担ぎ、荷台へと乗せる。

 

「シルガイアよ、お前もついて来るのだ!」

 

「は、はい!」

 

戸惑いながらも兵達と共にトラックへと乗り込む。

 

レミールの逃走劇は、ここに終わったのであった。

 

 

後にシルガイアは、皇国海軍教育課程時代の能力を買われて新生パーパルディア政府の海軍大臣となり、家族と順風満帆な人生を送るのであった。なお、後に彼が出版した「人生は運」と言う本は各国でベストセラーとなり、大日本帝国では1000万部も売れた大人気書籍となったのである。

 

 

 

 

 

 

to be Continued

 

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