強化された大日本帝国召喚   作:89式小銃

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第39話 戦闘停止

 

 

夜が明けた翌日の早朝

 

 

エストシラントからほど近い北東60kmに広がる平原では、各地から皇都近辺へと撤退してきた部隊によって臨時に編成された6000人規模の混成部隊が砲弾や爆弾によって形成されたクレータに籠もり、侵攻してくる日本陸軍歩兵第八師団及び戦車第四師団と戦闘を行っていた。

 

「弾が無くなったっ!!誰か弾を持って来いっ!!」

 

「衛生兵!!衛生兵は居ないのか!!」

 

「クソっ!!敵の数が多過ぎるっ!!」

 

マスケット銃と剣しか装備していない皇国兵部隊がティーガーⅠ、Ⅱを含む日本軍部隊相手に勝てるどころか善戦すらできず、6000人は居た部隊は今や半分以下までに減少し、迫りくる数百輌の戦車と万を超す兵の軍団に士気が崩壊し逃げ出す者まで出ていた。

 

「死にたくない…死にたくない…」

 

「おい!逃げるなっ!!!」

 

「もうダメだ……どうせ全員ここで死ぬんだ…」

 

「あぁ…神よ…我らを救い給え…」

 

もはや全滅は避けられなかった。だんだん迫りくる日本軍に皆、死を覚悟する。

 

 

 

 

 

 

 

「………ん?」

 

すると嵐のように激しかった攻撃が一瞬の内に止んだ。

 

「攻撃が…止んだ?」

 

「弾切れになったのか?」

 

「鉄地竜の動きも止まったぞ…?」

 

突然の事態に兵達は構えていたマスケット銃を降ろし、呆然と立ち尽くしていた。

 

 

「伝令ッ!!!伝令ッ!!!」

 

すると後方から白旗を掲げた伝令兵が大声を上げて前線を走り回る。

 

「本部より伝達っ!!!皇都エストシラントは日本軍の手によって陥落!!ルディアス皇帝陛下は全軍に戦闘行為停止を命じられた!!全部隊は戦闘を直ちに停止し、抵抗すること無く日本軍へと投降されたし!!!繰り返す!!!」

 

「投降…だと…?」

 

「俺達は負けたのか…?」

 

皇都エストシラントの陥落、そして皇帝陛下の戦闘停止命令に兵達の間に動揺が広がる。

 

「そんなはず無いだろ!!俺達はエストシラント防衛のためにここで戦闘していたんだ!!それに近衛兵部隊1万が防衛しているエストシラントが落ちる訳ない!!」

 

すると1輌のティーガーⅡ重戦車が前に10mほど前進し、砲塔上のハッチから人影が現れる。

 

「パーパルディア皇国兵に告ぐ!!!皇都エストシラントは我が軍の同胞によって占領された!!!直ちに投降せよ!!!投降すれば捕虜法に則って身の安全は保障しよう!!!」

 

拡声機を使い降伏を呼び掛ける。

 

 

「どうする?降伏するか?」

 

兵達は降伏するか戦うかで議論していた。

 

「俺は降伏するぞ。こんなところで命を捨ててたまるか。」

 

「俺もだ。上が始めた馬鹿らしい戦争が終わったんだ。自分達が戦う理由なんかもう無い。」

 

大半の兵達が投降を選んでいたが、一部の者は"最後の一兵まで戦う"と断固拒否しており、投降派の兵達と揉み合いが起こっていた。

 

「お前らそれでも皇国軍人か!!」

 

「蛮族に屈するなど臆病者め!!ルディアス皇帝陛下や皇国のために俺達は最後まで戦うぞ!!」

 

狂信的な愛国者らを投降派の兵達は冷たい視線で見ていた。

 

「勝手にしろよ。皇帝陛下の為だ皇国の為など俺達の知ったこっちゃねぇ。」

 

そう吐き捨てると兵達はクレータから出て白旗を掲げ、日本軍の方へと歩いていく。

 

「っ!!この非国民どもがぁ!!」

 

マスケット銃を構え、投降しようとする同胞に発砲しようとする。

 

パァァァン

 

だが日本軍の狙撃手によって脳天を的確に撃ち抜かれ、引き金を引く前に彼らはこの世から訳も解らず去ることとなった。

 

 

こうして皇国兵400人余が日本軍へと投降。各地でも多少の抵抗がありながらも順調に武装解除が行われていた。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――

 

一方、聖都パールネウスの防衛線では皇国軍パールネウス防衛隊1万人に対し73ヶ国連合軍8000人とリーム王国軍1万1000人を加えた1万9000人の軍勢が激しい戦闘を行っていた。

 

当初、1日で制圧できると豪語していたリーム王国軍だったがパーパルディア皇国軍の予想外の反撃によって約7000の兵とワイバーン142騎を損失。初期攻撃は失敗し、パールネウス戦線は膠着状態となっていた。

 

カルマ「えぇい!!まだ陥とせないのかっ!?」

 

現在の状況に侵攻軍総司令官のカルマは苛立っていた。

 

「そ、それが…敵の攻撃が激しく…」

 

ドンッ!!!

 

拳を机に激しく打ち付ける。

 

カルマ「私が求めているのは勝利の報告だけだ!!言い訳などいらん!!」

 

怒声がテントの中を響き渡る。

 

カルマ「(飛竜隊の上空支援があれば楽に攻略できたというのにっ!ワイバーンオーバーロードめぇ!)」

 

当初の計画では地上の総攻撃と同時に竜騎士隊による上空援護を行う予定だったが、竜騎士隊の上空から突如として皇国軍のワイバーンオバーロード15騎が現れ奇襲を敢行。両軍が入り混じった混戦となり、結果として皇国軍はワイバーンオバーロード15騎を失い全滅するが、リーム王国軍は142騎を落とされ8騎が重症と言う結果によりリーム竜騎士隊は壊滅したのである。

 

「か、カルマ様!!ほ、本部より通信です!!」

 

すると魔信の受信機を持った通信員が本部から通信が来ていることを報告する。

 

カルマ「チッ!寄こせ!!」

 

通信員から通信機を乱暴に奪い取る。

 

カルマ「パールネウス攻略司令官カルマです。……なっ!?パールネウスは目前ですよ!?あと少しで攻略できるというのにですか!?……し、しかし………了解致しました…」

 

覇気の無い声で通信を終える。その顔は悔しさに満ちていた。

 

カルマ「…全部隊に攻撃中止を伝達しろ。73ヶ国連合軍にもだ。」

 

「「「なっ!?」」」

 

その場に居た将軍らは予想外の言葉に驚愕する。

 

「何故攻撃を中止するのですかカルマ殿!!」

 

「パールネウスは目前ですよ!?初戦こそ多くの被害を出しましたが敵軍も半数の戦力を失い補給も満足に行えず疲弊しています!!この千載一遇のチャンスを逃すのですかっ!?」

 

「命令に納得できません!!攻撃を続行しましょう!!」

 

攻撃中止命令に将軍達は猛反発する。

 

カルマ「気持ちは分かる。だが昨夜、一部の皇国軍によるクーデターでエストシラントが陥落した。そして新しく誕生した皇国政府が日本帝国に講和を申し入れ、日本帝国政府はこれを承諾した。日本帝国が各地に戦闘停戦を呼び掛けている今、それを無視して攻撃を続けては日本との関係構築が今後不可能になってしまうかもしれない。悔しいがこれ以上の進撃は不可能だ。」

 

「くっ…」

 

「あと3日さえあれば…」

 

将軍らは歯を食いしばり、悔しい表情を浮かべる。

 

 

本部からの命令でリーム王国パーパルディア侵攻軍全部隊は進撃を停止。73ヶ国連合軍も攻撃を停止し、両軍は前線をアルーニまで後退させることを決定した。

後日、代わりに進出した日本陸軍第11師団によってパールネウス防衛軍の武装解除が行われ、パールネウスの戦いはここに終結した。

 

 

 

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