午後12時15分 広島県
使節団を乗せて呉軍港を出発した戦艦大和は倉橋島西方の洋上を12ノットの速力で航行していた。
大和 士官専用食堂
アルパナ「いやはや、これほどまでに立派な戦艦を今まで見たこともない!非常に感心した!」
あっという間の見学時間を堪能しきったアルパナは、様々な称賛の言葉を使って大和を絶賛する。
有元「ありがとう御座います。我が国の威信をかけて建造された艦ですので、そう言ってもらえると海軍の人間として嬉しい限りです。」
ベルーノ「ほんとうに貴国の技術力には驚くばかりです。我が国の技術力の全てを結集しても、このような巨大な戦艦は建造できないでしょう。いったいどうやって建造したのですか?」
有元「それはですね、ブロック工法と言う方法を使って建造したのですよ。」
ベルーノ「ブロック工法?」
有元「はい。船体をいくつかのブロックに分けて同時に製造し、最後にブロック全てをつなぎ合わせて完成させる工法です。これにより通常の工法よりも早い期間で完成させることができ、この大和はブロック工法により2年8ヶ月という短い期間で完成、進水しました。」
アルパナ「おぉ!それは凄いですな!!我々の建造する魔導戦艦はどんなに早くとも3年2ヶ月が限界だと言うのに、そんなに早く建造できるとは!!」
興奮気味なアルパナにベルーノが有元と話を交わしている間、フィアームとライドルカの二人はコソコソと話していた。
フィアーム「あの二人、日本に来てからずっとはしゃいでいますね。まるで子供のようですよ。」
ライドルカ「あの二人は情報省と国防省の人間だからな。俺も情報省の人間だから二人の気持ちも分かる。」
フィアーム「そうですか。それにしても、あの訓練は凄かったですね…射撃時の轟音が未だに耳の中に残っていますよ…」
ライドルカ「あぁ…あれは外に人が居れば死ぬレベルだったな…」
◇◇◇
1時間半前 第1戦闘艦橋
竹中「使節団の皆様、これより主砲射撃訓練を行います。非常に大きな音が鳴りますので苦手な方はご注意下さい。」
これから行われる46cm主砲の射撃訓練の注意喚起を行う。艦橋内のため外より
アルパナ「41cm砲の射撃、楽しみですな。」
フィアーム「えぇ、我が帝国の海軍でも滅多に見ることのできない主砲の射撃を見学させて頂けるとは我々は運が良いですね。」
面々は子供のように心を踊らせながら、刻一刻と迫る訓練開始時刻を待つ。
チッ チッ チッ カチッ
そして竹中が左手首に装着する腕時計の針が訓練開始時刻の10時50分を差す。
竹中「これより主砲射撃訓練を開始する!!」
艦長の声で周りの士官、下士官達は気持ちを戦闘状態へと切り替え、艦橋内の雰囲気が一瞬で様変わりする。
竹中「左砲戦、左50度!目標、曳航標的!弾種代用弾!」
指示を送り、それを受け取った士官と下士官が各所の部下に指示を伝える。
しばらくすると艦前方の46cm主砲塔がゆっくりと動き出し、砲身を上げて標的に照準を合わせる。
有元「皆様、北西の海面をご覧下さい。海防艦の後ろに浮いている洋上標的が見えますか?今からあの標的を射撃します。」
アルパナ「(ほぉ…あれを狙うのか。戦艦にとっては非常に近距離だが、我々が見やすいように調整してくれているのだろうな。)」
戦艦にとっては近距離である10km先の洋上を航行する海防艦により曳航される大型標的をジーッと見つめる。長さ10m、高さ4mと一軒家並の大きい大型標的だが、10kmの距離から見ると豆粒ほどの大きさにしか見えない。
「主砲射撃用意よし!!指示を願います!」
竹中「よし、撃ちぃぃ方始めぇぇ!!」
ドゴォォォォォォォォン!!!!
第一、第二砲塔の46cm砲6門すべてが一斉斉射を行い、とてつもない炎を砲身から吐き出して辺りに轟音を響かせる。
ライドルカ「うおっ…!!」
フィアーム「きゃっ…!!」
艦内に居ても分かる耳を劈く轟音と肌に感じる僅かな衝撃波に声を出して驚く。
初速820m/sで発射された46cm代用弾6発は緩やかな弾道を描きながら曳航標的へと迫る。
「弾着3秒前!!3、2、1…今!!」
ドシュゥゥゥゥン!!!!
ドシュゥゥゥゥン!!!!
数十メートルにも及ぶ、大和の主砲弾に識別のため充填されている白色塗料が混ざった白色の巨大な水柱が6つ発生する。
火薬を充填していない演習弾であるため徹甲弾や榴弾のような派手な爆発は起こらないが、遠くからでも見える巨大な水柱がその威力を物語る。
ライドルカ「…なんととてつもない高さの水柱なんだ…これが41cm砲の威力なのか…」
38cm砲とは比べ物にならない41cm主砲の威力にライドルカは身震いする。たとえ1発でも被弾すれば装甲強化シークエンスを行っているミスリル級でもひとたまりもないだろう。
「標的に4発命中確認!!2発が至近!!」
竹中「よしよし!次弾装填急げ!!」
第一斉射から命中弾を叩き出した好調な滑り出しに満足げな笑みを浮かべ、装填を急ぐよう指示を飛ばす。
ベルーノ「(一回目の射撃で命中弾を…)有元さん、主砲の命中精度が高いようですがこの艦も魔導レーダーによる射撃が?」
有元「はい可能です。我々の場合では魔法では無く、電波という科学を利用した射撃レーダーを使用しております。この艦には1ヶ月前に配備されたばかりの最新型射撃レーダーが搭載され、距離17.000mまでの命中率は37パーセントと既存の物よりも高精度を誇ります。」
ベルーノ「3、37パーセントですか!?」
彼がそう驚くのも無理もない。
帝国の有する魔導レーダーは小型艦から戦艦まであらゆる艦艇を夜間でも発見することができ、魔導レーダーを使用した射撃では20.000mまでの距離で18%と高い命中率を誇るのに対し、日本海軍の使用するレーダーは前者のおよそ2倍―37%である。
現在は昼間であるため夜間よりも視界があり、レーダーと併用した補助観測が簡単なため高い命中率が期待できるが、それでも37%という数値はかなり驚異的である。
それも『月月火水木金金』の地獄のような過酷な訓練を乗り越えた優秀な人材がある大日本海軍だからこそできる芸当であった。
ライドルカ「(はぁ…また報告書の内容が増えるな…)」
情報省所属で主に軍事力についての情報を扱う彼は帰国した後の予定を想像し、心の中で大きくため息をついた。
その後、問題も無く射撃訓練は無事に終えたのであった。
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12時30分
航海で乗員の唯一の楽しみである食事の時間となった。
有元「ところで皆様、"カレイライス"と言う料理はご存知ですか?」
フィアーム「かれいらいす?聞いたことないですね…」
聞いたことのない名前の料理に、面々は頭に?を浮かべる。
有元「カレイライスは大日本海軍にとって、切っても切れない関係の料理なんですよ。今回はそんなカレイライスを皆様にぜひ味わって頂きたいため、用意させて頂きました。」
料理の乗った御盆を持つ数名の配膳係が現れ、面々の前に戦艦大和特製のカレイライスが乗った御盆が配膳される。
有元「これが海軍伝統の料理カレイライスです。」
アルパナ「ほう…これがカレイライスか。」
御盆には主食となる大和特製のカレイライスと新鮮な野菜のサラダの2つ
ゴロゴロと大きい具の入ったカレイライスには特製ルーを使用し、辛くは無くさっぱりとした舌触りが特徴のここにしかない特製カレーである。
ライドルカ「(なんだか……見た目があれだな…)」
フィアーム「………」
何とは言わないが色が完全にあれに似ているので、使節団の面々は食べることを躊躇ってしまう。
有元「さぁ、どうぞ召し上がって下さい。」
だが、自分達を歓迎するためにせっかく出して頂いた料理を無下にはできない。
ライドルカ「(…え、えぇぃ!!ままよ!!)」
スプーンで片側に盛られている白い物と共に一口分を掬い、そして口へと運ぶ。
パクッ
ライドルカ「………う…」
フィアーム「う?」
ライドルカ「美味い!!なんだこれは!?こんな味は初めてだ!!」
手の止まらないライドルカの様子を見て、面々も恐る恐る一口食べる。
フィアーム「んぐっ…?!」
ベルーノ「こ、これは…!」
アルパナ「おぉー!確かにこれは美味い!!少し辛味のあるあっさりとした味が病みつきになる!そしてこの白い物と凄く合うな!有元少尉、これはどういった料理なんだ?」
初めて食べたカレイライスの味に団員達は舌鼓を打ち、ライドルカと同じく手が止まらなくなる。
有元「喜んで頂けたようで良かったです。カレイライスとはカレーと言う複数の香辛料を混ぜ合わせて作った汁を我が国で主に食されている米飯にかける料理です。」
明治期に創設された大日本帝国海軍は英国海軍を手本としていたため同国海軍の様々な文化が定着し、それは軍用食として英国海軍に定着していたカレーも例外では無かった。
他の料理と比べて栄養価が高く、調理が簡単で集団食に向いており、尚且つ原材料のカレー粉は長期保存が可能だった。当時、白米中心の食事だった日本海軍ではビタミン不足による脚気発症が深刻な問題となっており、そこで栄誉改善のために英国海軍にて食されているカレーが導入され、以後カレーライスは日本海軍の艦乗りに欠かせない料理となったのである。
◇◇◇
ライドルカ「ふぅ〜美味しかったな」
使節団の面々はカレイライスのあまりの美味しさに、僅か5分で完食してしまった。周りの士官達は使節団員達のその食べっぷりに思わず若干引いていた。
フィアーム「日本には美味しい食べ物がいっぱいですね。次ここに来る時は観光で来て、美味しい料理を堪能したいですね。」
有元「日本食の味は世界一ですからね。もしもう一度いらしてくるのであれば、私しか知らない秘密の店がありますので機会があれば御一緒にどうですか?」
フィアーム「良いのですか?では、その時はぜひお願い致します。」
お互いで食事をする約束を交わす。
ベルーノ「ところで菊田さん、次は何処へ行くのでしたでしょうか?」
菊田「次はですね、福岡県にある大刀洗陸軍飛行場へと向かいます。同飛行場は国内で3箇所しかない、大型爆撃機を運用できる飛行場の一つとして知られています。」
フィアーム「飛行場ですか。いったいどんな機体が見られるか楽しみですね。」
前日、天の浮舟を先導したジェット戦闘機の姿が思い浮かび、きっと物凄い性能の軍用機が見られるだろうと予想しながら残りの時間を過ごす彼女であった。
to be Continue
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