誤字、脱字、文章的におかしい箇所等があればご報告よろしくお願い致します。
それではどうぞ
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今日で漂流から36日目となった。
先程、部下の一人が息を引き取った。彼には産ま
れたばかりの子供が居ると聞いている。子供に二
度と会わせられないのが非常に残念だ…遺体は家
族写真と一緒に海葬した。私が油断していなけれ
ば、彼を含めあの世に行った部下全員が生き残っ
たはずだ…
今の状況はかなり絶望的だ。沈む際に艦から持っ
てきた食料は1周間前に底をつき、水も残り少な
い。しばらくは部下が持っていた二丁の小銃で鳥
や魚を狩って食べたりしたが、小銃は二丁とも錆
びて使えなくなってしまい弾はもう無い。この状
況が続けば我々は3日も保たないだろう。
腰のホルスターには少々錆が出ているが、まだ使
えそうな拳銃がある。前年の誕生日に妻がお守り
としてプレゼントしてくれた特注の、この世に一
つしかない銃だ。弾もたくさんある。もし2日経
って救助が来ないのなら、我々38名はこれを自分
達のこめかみに使おうと思う。最期は帝国軍人ら
しい死に方で迎えたい。
この事に部下達は同意してくれた。
もしかするとこれが最期の記録になるかもしれ
ない。妻よ、こんな不甲斐ない夫で申し訳ない。
たとえ命が消えたとしても永遠に愛している。
アルフェッカ・モーランド
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中央暦1640年5月6日
かつて太平洋だった洋上に複数の漂流物が浮かんでいた。漂流物の上には痩せこけた男38名の姿。その集団の正体は、グラ・バルカス帝国海軍第2潜水艦隊所属のシータス級潜水艦『ミラ』の乗組員達であった。
『ミラ』は、第三文明圏が位置する大東洋(コードネーム∶T8区域)の偵察を第2潜水艦隊司令部より命じられ、2月上旬に帝国軍が占領するレイフォルの軍港から出発した。だが、様々な要因が積み重なったことにより艦は沈没し艦長以下78人の乗組員が漂流することとなった。
「艦長……救助は…救助はまだなんですか…」
アルフェッカ「…もう少しの辛抱だ。きっと味方が救助に駆けつけてくれる。」
『ミラ』艦長のアルフェッカ・モーランド中佐は、生き残った部下達に救助は必ず来ると励ます。
しかし彼は分かっていた。現状、味方が救助に来てくれる可能性は限りなく低いと…
今漂流している大東洋に最も近いニューランド島の秘匿基地でも遭難海域から5000km以上の距離が離れており、加えて駐留しているのは潜水艦が少数のみである。航空機も潜水艦が搭載する小型水上偵察機が数機と、救助活動にうってつけの大型飛行艇が無い状態だった。
この間にも乗組員達の衰弱は進んでいる。飢えや怪我、自殺によって、脱出時に78人も居た生き残りは、今や自身を含めて38人と半分以下にまで減っていた。
アルフェッカ「クソッ…これまでの出来事は全て、あいつの呪いとでも言うのか…」
そう独り言を呟き、漂流する羽目になったかもしれないある出来事を思い出す。
遭難する20日前の深夜、パーパルディア皇国近海を航行していた時、前方900mの海上をゆっくり進む海魔を発見した。その海魔は背中から
問題が起こったのはその出来事から1日後だった。
乗組員の一人が突然発狂して、艦内に収納してあった銃で仲間3人を撃ち殺し最期は彼自身も銃で自らの命を絶った。一連の不可解な出来事に乗員達は海魔の呪いでは?と噂したが、死亡した乗組員は気が短く精神が不安定な性格だったため、アルフェッカは事故ということにしその場を片付けた。
しかし、その後も奇妙な事が続発した。
ガコンッ、パチンッといった奇妙な音が艦内で頻繁に鳴り響いたり
魚雷発射管室で全身血まみれの男を乗組員が目撃したり
トイレで乗組員が首をナイフで切った状態で死んでいたり
艦内で海水漏れが頻繁したり
挙句の果てにはバッテリーが原因不明の故障を起こして潜航が不可能になり、修理が終わるまで浮上航行する羽目になった。そして、漂流する一番の原因となった出来事が起こる。
突然現れた海魔クラーケンが『ミラ』を襲撃したのだ。
乗員達は甲板上にある砲や機銃で戦おうとしたが、最も強力な14cm単装砲はすぐに破壊され、続いて2基の25mm三連装機銃も滅茶苦茶にされてしまった。砲熕兵器をやられた潜水艦はそこら辺に居る
対抗手段を喪失した乗組員達は為す術なくクラーケンの餌食になっていった。無抵抗のまま次々と喰われていく乗組員の悲鳴や断末魔が今も耳の奥に残っている。
最終的に、爆薬を抱え自分自身を爆弾としてクラーケンに喰われた乗組員の行動によって、殺戮のかぎりを尽くした化け物を仕留めることができ、この勇敢な一人の勇者の犠牲によって大勢の命が助かることができた。
しかし、『ミラ』の状況は芳しくなく甲板上の艦橋構造物は軒並み破壊され、艦内の各所からは浸水が発生していた。
ダメコン班が壊滅していたこともあり、時間が経過していくにつれ浸水はますます酷くなっていき、『ミラ』の沈没は避けられないと判断したアルフェッカは艦の放棄を決定。生き残った78名の部下と共に脱出した。
そして状況は今に至る。
アルフェッカ「(あの海魔を仕留めなかったら結果は違ったのかもしれないな…)」
そう彼は心の隅で思った。
実を言うと、仕留めた海魔の正体は1640年3月13日にデュロ沖で行方不明となった大日本帝国海軍の潜水艦『伊号第1402潜水艦』であることを、アルフェッカ艦長らは知る由もない。
「……!!あ、ああっ…!船だ…!!船がいる!!」
すると一人の乗員が何かに気づき、希望に満ちた眼差しである方角を指差す。その方角には乗員の言う通り、確かに黒煙をもうもうと吐きながら航行する船の姿があった。
アルフェッカ「(黒煙…!ということは機械動力の船か!!)」
機械動力の船舶を運航している国といえば、グラ・バルカス帝国以外に第二文明圏のムーや第三文明圏の東方に位置する自国と同じ転移国家と思われる大日本帝国があった。
アルフェッカ「全員、なんでもいいからあの船に信号を送るんだ!!」
自国でも、ムーでも、大日本帝国でも、もはや誰でもよかった。一刻も早く部下を助けなければという信念がアルフェッカを動かす。
「おーい!!ここだぁぁっ!!」
「俺達はここだ!!助けてくれーっ!!」
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駆逐艦『雪風』∶艦橋
「海上に漂流者多数視認!!方位0-1-7、距離2400メートル!!」
見張り員からの報告に艦橋内の者達はざわめく。
「本土から遥々離れたこの海域に漂流者だと?」
対潜戦闘訓練から帰還途中の駆逐艦『雪風』が航行するこの場所は、日本本土から東に400kmと海原のど真ん中であり、さらに商船や客船が航行する通商路を大きく外れているため人や人工物が見つかることはまず無い。
「我が国の商船が遭難したのかもしれない。一刻も早く救助を行うべきだ。」
「いや、物の怪の類かもしれないぞ。救助は止めておくべきでは?」
救助するか?無視するか?艦橋内の士官や下士官達は様々な意見を交わす。
前橋「…面舵15度、両舷前進第三戦速!これより我が艦は漂流者の救助活動を行う。」
「はっ!面舵15度!!両舷前進第三戦速!!」
そんな中『雪風』艦長の前橋 健一郎中佐は、救助行動に移る旨を発する。
指令を受け取った航海長は舵を握る操舵手に指示を送り、艦が右へ15度転舵し24ノットへと増速する。
「艦長!下手に動くのはいかがなものかと…!」
「あれが艦を誘い込むための海魔の罠かもしれませんし、ここは慎重に動いた方が…!」
艦長の行動に慎重派の砲術長達は反発する。
前橋「貴官らは、救助を求めている弱者を見捨てる薄情者なのか?」
鋭い視線で慎重派の者達を睨みつける。
「し、しかし…」
艦長の言葉に、少々声を詰まらせながらも反対しようとする慎重派の者達だったが、前橋からのさらなる鋭い視線で完全に押し黙る。
だが慎重派の意見も一理あった。
深信儀には反応が無いものの、いつどこから海魔が襲ってくるか分からない。空母・戦艦・巡洋艦などの大型艦艇と比べて駆逐艦は酷く脆い。転移初期に
前橋「総員戦闘配置!!対潜戦闘用意!!」
「総員戦闘配置!!対潜戦闘よーい!!」
万が一の場合に備えて、前橋は対潜戦闘の準備を発令する。砲術課及び機雷課の要員らが慌ただしく動き、各自の配置に着く。
前橋「艦隊司令部に打電、これより我が艦は遭難者の救助を行う。」
「はっ!」
そして雪風の通信室から、横須賀にある第1艦隊司令部へと電文が打電される。
『ワレ雪風。1105、犬吠埼カラ東二402kmノ洋上ニテ遭難者数名ヲ発見セリ。コレヨリ救助作業ヲ行ウ』
大日本帝国とグラ・バルカス帝国の初接触の時は、刻々と近づいていた。
to be Continued
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次回は第54話と日本陸軍航空機設定を同時に投稿する予定ですので、投稿期間が大幅に空く可能性があります。気長にお待ちして頂けますと幸いです。
それではグッバイ
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