今回で終わるといいな
「せんちゅりーすーぷ?」
「灰汁が一切存在せず出汁のみで作られたもので透明なのに濃厚な味が特徴です」
「透明なのに濃厚な味…?」
ミカは早速スープをすくい口に運んだ。
「(もぐっ)…!?」
思わず咀嚼した。まるでステーキでも口に運んだかのような感覚。舌の上で転がし、のどへ流し込むと思わずほう…と息を吐いた。
「(なんという…芳醇な…)」
思わず頬が緩み、自然と笑みになってしまった。周りも見ると笑顔になっておりそのことにさらに笑顔になる。
「(食べるだけで人を笑顔にする料理か…これが総料理長の料理…凄まじい)」
見た目は水と変わらないというのにそのスープを飲み終わるまで皆は笑顔だった。
続いて現れたのは千束やたきなと同世代ほどに見える少年とも言ってもいい年代の子だった。
黒いTシャツに前掛け、頭に手ぬぐいのようなものを巻いており。Tシャツには「ゆきひら」と書かれている。
「えーっと、幸平創真っす。日本料理を担当しているっす」
「ずいぶん若いな…」
「17っす、飛び級っすけどちゃんと免許は持ってます」
そういいながら創真は料理のふたを開けた。
現れた小麦色の衣、そばには山菜がありマヨネーズのようなソースがある。
天ぷらのようだがやけに色が濃い衣が気になった。
「これは…? 魚か?」
「イワナのおかき揚げっす、イワナを柿の種を衣にして天ぷらにしたものでからしマヨネーズと一緒にどうぞ」
「おぉ~これも凄そう」
「さっきのセンチュリースープも後味が残ってない…」
「料理は次の料理の味を変えないために後味やその辺は残らないように特殊な調理をしてるっす」
そう思えば先ほども凄い衝撃を与えたセンチュリースープ、あれを食べた後しばらく何を食べても下に感じるだろうなと思っていたがまるで味がすべて消え去ったかのように新鮮な気持ちで食すことが出来る。そういえば最初のサラダもそうだ。センチュリースープを飲む時にはトマトの風味もオリーブオイルの油っぽさも残っていなかった…どんな調理をすればこんなことが出来るんだ…。
まぁ考えても仕方ないので早速箸を取り天ぷらを掴む。
思ったより軽い、マヨネーズを付け齧る。
「(ざくっ)…! …ほぉ、凄い食感だな」
「ザクザクしてて凄くおいしい」
「うわぁ~これ日本酒欲しくなる~」
ザクザクとした触感にほくほくのイワナ、しっかりとイワナの旨味も凝縮されており柿の種自体の味のおかげで衣からもしっかりと美味しさを感じられる。
確かにお酒が欲しくなる美味しさだ、日本食の素朴だが味わい深さをしっかりと感じられる。
「こういうのもいいな…」
揚げているのに胃にもたれずあっさり食べれた。
その後も様々な料理が出た。
秋山醤という中華を担当している男が作った肉料理の北京ダック。
またも総料理長の小松が作ったメインディッシュのGODと呼ばれる謎の料理、これは凄まじかった。上手く表現は出来ず美味しいという感想しか出てこなかった。
そして最後に出てきたのは副料理長のサンジ、メニューはデザートだ。
出てきたのはシフォンケーキのようで黒っぽいホイップクリームが添えられている。
「シムシムホイップのシフォンケーキです」
「シムシムホイップ?」
「詳しくは企業秘密なので教えられませんが私が作成したオリジナルのホイップクリームです」
何だろうなと思っているとクルミがクリームをすくい口に含んだ。その瞬間椅子に倒れこみ空を仰ぐように顔を上げた。突然の行動におもわず席を立つ。
「く、クルミっ!? どうしたんだ…!?」
「し…死ぬほど美味い…」
その顔はまるで薬物でもキメたかのように恍惚としていた。
「まるで催眠か何かにかかったかのような口に広がる幸福感…」
「もちろん、危険薬物の類は一切使っておりませんのでご安心ください」
「ごま風味の…いやもううんま~」
「これは自信を失ってしまうな…」
甘味処を営んでいるものがこれを食べてしまうとこれから作る料理の自信がなくなってしまうな…とシフォンケーキを頬張る。しっとりとした柔らかさのあるシフォンケーキと軽くも濃厚な味を伝えるホイップ。
うむ…美味い。
そしてデザートも食べ終わる、あれだけ食べたのに腹6分目ぐらい。ちょっと物足りない感じだ、もう少し何か腹に入れたいが…。
と思っていると創真くんが何かを持ってきた。もう料理は終わったはずだが…。
「これが〆の料理、『日本茶漬け』っす」
出された料理はお茶漬け、しかし具が豪勢だ。鯛に鮭に海苔に…色々乗っている、目の前に置かれると出汁がかけられた。落ち着く匂いが部屋に充満する。
「うわぁぁ…なんかおなかすいてくる…」
「結構食べたのに…」
「なにこれすっご…」
「・・・」
そうだ、先ほど腹6分目と言ったが今はまるで丸一日何も食べていないかのような空腹感。今すぐにでも食べたい。唾が口内に溜まっていく、なんだこの感覚は…!
「おあがりよ」
創真くんのその声とともに一斉に箸を手に取りかき込むようにお茶漬けを頬張る。
様々な具材が一気に口に押し寄せ、歯で噛むごとに旨味が広がる。
美味い。
あっさりとした味だが恐ろしいのはこの食欲を煽るこの香りと味、食べているのにお腹が空いてくるという恐ろしい料理だ。だがお茶漬けが少なくなってくると同時に満たされていく。
最後の一口を食べ、茶碗を置き息を深く吐く。
満腹だ、満足。周りも同じように椅子に背を預け息を吐いていた。
「あーでもなんだろう、これ食べたらしばらく食事困りそうだなとか思ってたけど」
「そういうの…ないですね」
「苦しくもないちょうどいい満腹感」
「やばい今日酒いらないかも…」
しばらくその多幸感に浸っておりそろそろ店を出ようかと席を立つ。
レストラン『クロスオーバー』、値段を見る限りもう来ることはなさそうだがこれは確かに『死ぬ前に一度は行きたいレストラン』と呼ばれるわけだ。
店を出ながら千束達と話す。
「凄い店だったなぁ」
「うん、なんというか凄いという感想しか出なかった」
「どことなく体の調子が良いです」
「おー確かに体が軽い」
最初の前菜を食べた頃からそうだが体の調子がとてもいい、これも料理の力なんだろうか
「ともかく明日もがんばろー、おー」
「お、おー」
「ふっ」
明日も頑張ろうという活力、これも料理の力だろうか。
めっちゃ時間かかった…。次回から5話以降をお送りします…。
ちなみにさらっと出てきているGODですがトリコ本編に出てきたGODではなく小松が作る最高の料理のことをGODと呼んでいます。小松ならまぁ出来るでしょ
・サンジ・ヴィンスモーク/麦わらコック 作品名:ONE PIECE
ネームドスレミンの副料理長
実はフランス人、家族仲は良好
・トニオ・トラサルディ 作品名:ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない
料理人、スタンドは使えないが体にいい料理は作れる。
スレでは普通に喋れるがリアルでは片言でしか喋れない。
・小松 作品名:トリコ
公式チート料理人、トリコ世界の料理も出せたりしないが普通にすごい料理できる。
本人は普通に料理が好きなだけ、趣味は料理
・幸平創真 作品名:食戟のソーマ
ゲテモノ料理は勿体ないから作らない。ホッとするあっさりとした料理が好き
どのコースでも〆の料理を担当している、別に服が吹っ飛んだりはしない。
・秋山醤 作品名:鉄鍋のジャン!
本編に出なかった中華担当、口調再現が難しいのと絶対変なことするかもと地の文のみとなった。
普通に料理人だし普通に奥さんとかいるかもしれない。スレだと敬語
・ミレニアムタワー
聖域指定されている建物、理由は真島絶対電波塔よりこっち優先するだろうということから。
ここで争いをすることは死を意味する。ミレニアムタワーでは武器商人や色々なスレミンがおり、日夜色々な仕事をしている。実は武器庫もここに。