・喫茶リコリコと限定メニュー
「…実は私、来たことないんだよね」
「実は私も…まぁ私はあれだし」
夜凪景と春川魔姫はとある場所に向かっていた。
その場所とは喫茶リコリコである、普段なら行くことがないが二人はアニメでは出てない限定メニューが食べてみたいということもあり向かうことになったのだ。
客は中途半端な時間なこともあって少ないようで春川を先頭にリコリコの扉を開けた。
カランコロンカラン
お客さんの波が減ってだいぶ余裕が出てきたころ。扉が開き、千束はそちらに笑顔を向けた。
「いらっしゃいま…」
千束は入ってきた二人の少女を見た瞬間に体を硬直させた。
最初に入ってきた春川に関しては特に問題ない、美少女であり普通のお客さんだ。
問題はもう一人だ、黒髪ロングに無表情な美少女。とある学園の制服を着たその少女は時折リコリスが任務で遭遇する【名優】。その人物そのものであった。
「-ッ!」
近くで見ていたたきなは夜凪を視認した瞬間に自らの懐に手を突っ込み、千束の「たきなっ!」の声にたきなは正気に戻った。
「え…あっと、二名です」
「あ、はーい。テーブルとカウンターと座敷がありますけど…」
「夜凪はどれにする?」
「うーん、カウンターでいいんじゃない?」
「じゃあカウンターで」
「はーい」
千束は二人をカウンターに案内し。たきなを連れて裏へと引っ込む。
「ちょっとたきな!」
「すみません…【名優】かと思ってしまいまして…」
たきなはしょんぼりとした顔を見せる、千束は銃を抜こうとしたことには怒ったがそれには怒らない。
千束も同じく夜凪の姿に驚いたからだ。クルミはのそのそと現れながら二人に話しかける。
「○○学園高等部、夜凪景。授業態度は普通で運動神経は高く運動部に勧誘されることもしばしば、本人はコミュニケーションも不得意のようだが交友関係も隣にいる春川魔姫を含めて結構広いな。二人とも容姿がいいからか学園内外構わず人気があるようだ。あぁ、ちなみに女優を目指しているらしいぞ」
クルミは調べた経歴をタブレットに表示しながら見せた。
「やけに手際がいいねー」
「【名優】はよく夜凪景の姿を取っているからな。調べるのは当然だろう」
「で? 彼女は?」
クルミは片目を閉じて肩をすくめるポーズをしながらため息を吐く。
「恐らく『本物』の夜凪景だろうな。隣にいるのも同じ学園のクラスメイトだ、まぁ特に警戒する必要はない。普通に客として対応すればいいだろう」
「そっか…変に意識しちゃだめだよね」
二人はホールへと戻る、するとちょうど夜凪が手をあげて「すみませーん」と声を上げた。
千束ははーいと二人の所に向かい、注文を取る。
「…私は限定メニューとブレンドコーヒー」
「えーっと私は限定メニューとブレンドコーヒーと団子三兄弟とどら焼きバーガー」
「…夜凪、そんなに食べるの?」
「お金あるし」
夜凪はブイっと無表情のままダブルピースをした。スレミンの報酬で稼いでいるからか夜凪も春川もお金には困っていない。だが春川はそんなに食べない方であり限定メニューの大きなパフェでも多いな…。って思ってるぐらいだ。
二人はリコリコメンバーの視線に気づいている。二人ともコテハン持ちであるし気配には敏感である。
今回はただ限定パフェを食べに来ただけで特にリコリコと争う気はない。
ミカも流石にスレミンだったとしても暴れたりしないだろうと注文を聞いた。
「うままー」
「おいし…」
限定パフェを突っつきながら二人はそう呟く、夜凪に至ってはどら焼きバーガーはすでに消えており三兄弟も二人ほど撃破されているしパフェももう半分ほど消えている。
ちなみに春川はやっと4分の1と言ったところだろうか。
「二人ともありがとー、その制服ってもしかして○○学園?」
するとコーヒーを持った千束が近くのカウンターに座ってきた。恐らく休憩中だろうか目の前のミカも何も言わずに「迷惑じゃないか?」的な視線を送っている。すかさず春川が「お気になさらず」的なジェスチャーを送った。
「んむっ…そうだよ、○○学園の二年生。あ、私夜凪景」
「春川魔姫」
「私は錦木千束だよ~よろしくね」
そういいながら三人は途中でたきなを巻き込みながら女子高生らしい会話をする。
最近のドラマとか番組とか、あの喫茶店の料理も美味しいとかクロスオーバーに千束が行った話をして盛り上がったりとか。主に夜凪と千束が話し春川とたきなが相槌を打つぐらいであったがその様子を見てミカもフッと口元を緩めた。
千束の休憩も終わり二人も食べ終わりお客さんも二人のみになった頃。
二人は席を立ち会計をして店を出ようとした。
「じゃあね~千束~また来るよ~」
「うんまた来てね~!」
「…仲良くなるの早いね。夜凪」
そんなことを言って店を出ようとドアを開けたら店内を見ていたからか夜凪は誰かにぶつかってしまった。
「わっ、あっ、ごめんなさい」
「いやこっちもわり…『名優』!?」
ドアを開けた先にいたのは春川フキであった、後ろにはサクラがいる。
フキは慌てて銃を取り出そうとしたが様子がおかしいのか動きを止めた。すると夜凪がそれを聞いたのか目をキラキラさせながら春川魔姫の方を向く。
「め…名優!? ねぇねぇ春川聞いた!? ふふふっ…やっぱり私の女優としての才能は隠しきれずに溢れているのね…」
「まだシチューのCMぐらいしかやってないでしょ、調子に乗るな」
「いたっ」
調子に乗った上機嫌な夜凪に魔姫は額に向かってデコピンをした。そこそこの威力だったのか夜凪は額を押さえて涙目になる。すると魔姫はフキ達の方を見る。
「…んで? 夜凪の知り合い?」
「いや…悪い、知り合いに似てたからびっくりしたんだ……(本物の方の夜凪景みたいだな)」
「いやぁ~本当に似てたんでびっくりしたっす(みたいっすね)」
そう返事をすると魔姫はふーんと言いながら二人を見る。鋭い視線に二人は少したじろいだ。
「私は春川魔姫、これは夜凪景ね」
「これってひどいよ、春川ー」
「あ、あぁ…あたしは春川フキだ」
「苗字一緒なんっすね。自分は乙女サクラっす」
そんな感じでスレミンの二人は夜凪が【名優】ではないというような印象を与えリコリスの二人と別れた。
「楽しかったねー夜凪」
「…そうだね」
二人は今日の感想をスレに貼りながら会話をして帰宅をしようとしていたが…一つのレスが掲示板に貼られる。
「…でもお仕事みたいだね」
「…うん」
春川は仮面を取り出し装着して夜凪はくるんと回転しながら自分の服を黒セーラー服に、ついでに春川の服を赤色のセーラー服へと変更した。
二人は大きく跳び、屋根の上に飛び乗った。
「じゃ、行こうか」
これは蛇足だがこの後二人はフキとサクラの二人と最速の再会をすることとなった。
・○○学園に転校生がくる話
ここは○○学園高等部、中高一貫の学園であり。生徒数も多く転校生もかなり多いことで有名であり、学費もかなり安い上に美男美女が多いことで有名らしくラノベの学校みたいとそっち方面でも有名な学園である。そんな高等部にまた一人転校生がやってきた。
その部屋は職員室の一部、談話室のような場所であり隠れた話をするにももってこいの場所だ。そこには一人の教師と一人の男子生徒がそこにいた。
「ほう…つまり前世を思い出したのもつい最近なのか」
教師の名は西村宗一、かなりガタイがよく趣味はトライアスロンである肉体派教師でありあだ名は【鉄人】。指導は厳しいが生徒の話はちゃんと聞き何か事情があるなら配慮することが出来るため学園内では結構人気のある教師である。
「えっと…はい、この学園に転校が決まった日に思い出したのでまだ一週間ぐらいしか経ってなくて…」
「それは驚いただろうな…この町には転生者が多いからな、この学園は特に」
「知ってるキャラも多くて本当に驚きましたよ…」
対する男子生徒の特徴は一言でまとめてしまうと『特になし』となる。
細かく見れば意外としっかりとした体つきをしていたり髪は緑がかったツンツンヘアーで頂点には特徴的なアホ毛があることが分かるがそれでもこの学園の個性的なメンバーと比べてしまうと『地味』という感じに見えてしまうだろう。
「所でここのパンフレットを見た時に思ったんですけど『特化クラス』って何です?」
「あぁ特化クラスとは転生者にも癖が強すぎる面々がいてな、授業を免除する代わりに研究をしたり発明をしたり別の仕事をする連中がいるクラスのことだな」
ちなみに今まで出た面々だと石神千空(Dr.STONE)、七海千秋(スーパーダンガンロンパ2)、白鐘直斗(ペルソナ4)が含まれる。夜凪景も正式に女優となれば特化クラスにクラス替えになるかもしれない。
「へぇーそういうのがあるんですね」
「スレミンであるならいずれ特化したものがあればクラスに入れるかもな。とりあえず君は一般クラスの方だがな、授業をさぼるなよ?」
「ははっ、分かってますよ」
「…西村先生、そろそろ行かないと時間過ぎますよ」
ノックと共にピンク髪の女性教諭が談話室の扉を開けて二人に声をかけた。
「うわっ、めぐねえだ」
「佐倉先生と読んでくださいっ」
「すみません佐倉先生、では教室に案内する。行こうか」
「あっ、はい」
談話室から出て二人は教室へと向かう、距離はある程度あるようでその間も二人で会話していた。
移動中も生徒が少ない特化クラスの通路を通っているため問題ない。そのためその男子生徒は知ってるキャラを多く見つけたのかきょろきょろしながら驚いている。周りの生徒も新入りのスレミンを見つけたのか笑顔で歓迎していた。
「そういえばスレにはまだ接続してないんだったか?」
「一応出来はするんですけどまだちょっと眩暈がして…」
「はじめはそんなものだ、しばらくすれば慣れるだろうから無理に入らなくてもいいだろう」
すると目の前をフラフラと歩く女子生徒を見つけた。何か体調でも悪いのかとみてみるとどうやらゲームをしていたようでピコピコと電子音を発しながらのんびりと歩いている。
男子生徒は知ってるキャラなのか思わずと言った感じで声が漏れた。
「な、七海千秋だ…」
「コラ七海、いくら特化クラスとはいえゲームをしながら廊下を歩くなといつも言っているだろう」
「あ、鉄人先生…いい所だったからつい…」
七海はゲーム機をスリープモードにすると背中のリュックサックに仕舞った。
まだ寝ぼけていたのか目を擦りながら西村教諭の方に顔を向ける、ちょうど西村教諭で隠れていた男子生徒に気づいたのか身体を傾けながら声をかけた。
「そういえば今日転生者の転校生が来るんだった。七海千秋です。スーパーダンガンロンパ2が原作でーす。趣味はゲームです。ゲームはオールジャンルでイケま……」
「あ、そういえば俺も自己紹介をしてなかったな…。知っているとは思うけど一応…」
男子生徒は七海に向かって握手のために手を伸ばす。
男子生徒は上手く笑顔が作れてないのかちょっとばっかりひきつった笑顔で自己紹介をした。
「日向創だ、俺の場合原作は『ダンガンロンパ3』って言えばいいのかな。特に才能はないがよろしく頼むぅっ!?」
男子生徒…日向創は握手のために差し出した手を七海は両手で思いっきり握った。
そして眼前に迫る顔、日向は思わず赤面してしまう。
七海は目をキラキラさせながら鼻と鼻がくっつきそうなほど顔を近付けて日向に向かって言った。
「日向くん…永遠を前提に結婚してください」
40:名無しの学生
【速報】特化クラスの生徒、転校初日のスレミン生徒に求婚をかます
41:名無しの学生
腹よじれて死ぬかと思った
42:名無しの一般人
なんか凄いことになってるねぇ
43:名無しの学生
大騒動になったよ
44:メソッドJK
なんかすっごい騒がしいなと思ったらそんなことがあったのか
45:暗殺保育士
転校初日って…うちのクラスに来たあいつか
46:名無しの学生
日向創くんね、ずっと様子変だなって思ったらそういうことだったんだ
47:名無しリコリス
あー生徒だったらそんな面白そうなの見れたのかなぁ。
48:名無しの学生
特徴薄目だけど普通に美形だからそこそこ人気はあったよ
49:名無しの一般人
声もコナン君だしね、おまけに気が利くしコミュ力も高いし
スレミン以外の生徒にも人気出てそう
50:名無しの学生
そうだね…日向くんみたいな思いつめる人には、のんびり屋の子が相性がいいと思うよ?
51:名無しの学生
>>50 ゲーム機見えてんぞ
52:管理人
まぁ…スレミン同士の恋愛には関与しませんので
特に行動に支障がなければ問題ありませんよ
・西村宗一 作品名:バカとテストと召喚獣
身体能力、知能もトップクラス。普通にいい教師
鉄人と呼ばれて親しまれている
・佐倉恵 作品名:がっこうぐらし
戦闘やスレミンとしての行動は向かないが優しい先生として人気
めぐねえと呼ばれて親しまれている
と言うわけで閑話のお話です、こういう話を書くとめっちゃ筆が乗った。