セイバーは青鬼を遠ざける事に成功したが、状況は余り変わらなかった。
セイバー「くっ!」
青鬼「………」
セイバーは相手に近付かれないように適度に距離をとりながら剣を振るう。それを青鬼は両手で受け止めて引っ張る。
セイバー「(一体どんな英霊なのだろうか。これほど程までに不気味で行動が読めない相手は初めてだ。)」
青鬼「………」
青鬼は剣を離さんとばかりにどんどん力を込めていく。
セイバー「(まさかまだ力が上がるとわ…。)バーサーカーの名に恥じぬ力だな!だが負ける訳にはいかない!」
青鬼はセイバーの威圧が増してもなお剣を離さない。両手が少しずつではあるが切れていく。
セイバー「貴方は痛みを感じないのですか…。いえ。今この場で言葉は不要!ここで貴方を切る!」
セイバーの剣がより青鬼の両手に傷をつけてゆく。それを感じたのか突き放す様に剣を手離し、後ろに下がる。
セイバー「やはり効いてはいましたか。」
青鬼「………」
青鬼はセイバーから離れるように下がっていく。それを見たセイバーは全力で切りかかる。
セイバー「はぁぁぁぁ!」
青鬼「………」
青鬼はすかさずしゃがんだがセイバーの剣が一歩速く、青鬼の体をとらえて当たる。
余りのスピードに青鬼の体は大きく横に傷がついた。だがセイバーの動きは止まらない。直ぐに頭に狙いを定め、斜めに切りかかる。
青鬼は直ぐに両手を出すが間に合わない。見事に頭を大きく切られたが体制を立て直し、再び後ろに下がる。
青鬼は止まることがないセイバーを目の前に突然動きを止めた。
セイバー「(なんだ?なぜ動かない…。まさか宝具を使う気か?)」
青鬼「………」
青鬼は未だ何もぜずただセイバーを見ている。その目はまさに捕食者の目であった。
その時、セイバーは背後にいた存在に気づかずにいた。
セイバー「!?」
青鬼「………」
???「………」
セイバーが剣を振るう前に相手はセイバーを頭から食い殺そうとしていた。だがセイバーは間一髪、避ける事はできたが左腕を食われてしまった。
セイバー「くっ!頭は避けれたが、腕を食われるとわ。」
青鬼「………」
???「………」
一体何が起こっているのか、セイバーは直ぐに考えた。私が戦っていた相手は確かに目の前のバーサーカーだけ。ならばその横の奴はなんなのだ?もしや新たなサーヴァントが来たのか?それにしても似すぎている。ほぼ同じと考えても良い程、そっくりなのである。
セイバー「一体なんだというのだ…。バーサーカーが二人だと…そんなはずはないはず…。」
青鬼「………」
???「………」
二人もとい二体の青鬼はじっとセイバーを見ている。
そんな時、セイバーの元へ士郎がやって来た。
セイバー「士郎!なぜここに来たのですか!早く私の後ろへ。」
士郎「それじゃセイバーは死んじまうだろ!俺も何とか戦う!」
セイバー「何を言うのですか!今の貴方では直ぐに死んでしまいます。ここは引いて下さい!」
士郎「(セイバーはああ言うけど、俺だって守られてばかりじゃ駄目だ。)投影開始。」
士郎は目を閉じ、呼吸を整える。
士郎は手に双剣を投影し、即座に構える。
セイバーはその様子を見て呆れた様な顔をしながらもどこか安心したような顔もしていた。
セイバー「では士郎。私は左の者を相手します。貴方は右の者を相手して下さい。無理は禁物ですよ、士郎。」
士郎「ああ、分かってる。ここで死ぬ訳にはいかないからな。」
改めて相手に目を向けた。あんな化け物相手にしたことはもちろんないが、そうは言っていられない。これは聖杯戦争だ。死ぬ事が当然の様にある世界だ。
士郎はまず、相手の直ぐ横に移動して首元を切りかかる。セイバーは直ぐ横ではんぺんの様な形をした化け物を相手している。
士郎「くっ!上手く刃が入らない。なんだよ、コイツは!」
セイバー「士郎!そのバーサーカーには刃が入りにくいので頭を狙いましょう!頭ならば少しだけですが傷をつけやすいです!」
セイバーは一度止まっては加速する相手の突進を避けながら士郎に助言する。
すると二人の人間が走って来ていた。
セイバー「士郎!誰かこっちに来ています。どうしますか?」
士郎「恐らく遠坂達だろう!一旦離れるぞ!」
士郎とセイバーは一度集まり、向かってくる人間を見た。
イリヤ「あら、もう終わったの?」
凛「このガキ!さっきから逃げ回ってなんなのよ!」
どうやら二人は家から飛び出してここまで来たようだ。ここの場所は公園。周りに人はいないといったものの、音は良く響く場所である。余り長くは戦える場所ではないだろう。
凛「衛宮君、セイバー!ここから逃げるわよ!すぐ近くにアーチャーも来てるから!」
士郎「分かった!セイバー、いけるか?」
セイバー「はい!いつでも。」
凛「それじゃさっさとここから逃げるわよ!二人共!」
三人は集まってすぐに公園から出て走り去った。青鬼達は追いかけようとしたがひろしがそれを止めた。
ひろし「いいんですか?あの三人を逃がしても。」
イリヤ「いいよ。今夜は十分戦ったし。もう疲れちゃったから帰ろ?ひろし!」
イリヤはそういうと城に向かって歩きだした。
ひろし「(本当にいいのでしょうか…。あの三人はまた確実に戦う事になる相手でしょう。敵マスターとそのサーヴァントにこちらの情報が知られるのはマズイですね。一体どうすれば………。)」
ひろしはふと周りを見渡す。先程とは違って静まりかえっていたこの場所からひろしはイリヤを追うように歩きだした。
次回はもうちょっと長く書く予定です。
お楽しみに。