二人は静かな夜の街中を歩き、城へついた。
ひろし「城についたばかりで言うのも難ですが…あの人達を逃がしたら今後の私達が活動しにくくなると思うのですが何か考えがあるのですか?イリヤ。」
イリヤはそう言ったひろしの方へ振り返ってこう呟いた。
イリヤ「今夜は早く眠りましょう、ひろし。」
イリヤはそう呟くと自分の部屋へ入っていった。
ひろし「(そうは言っても相手はこちらの命を奪うことをためらわない。こちら側の行動一つで簡単に流れが変わる事もある。うかつに行動はできないが、しなければ嫌でも相手はやって来る。ならばこちらが先に動かねばならないのはイリヤも理解しているはず。)」
ひろしは一人、考えた。どうすれば良かったのかと。あの場での行動は正しかったのかと。
ひろし「(やはりここは一つ、私が早く動かなければ。)」
ひろしは直ぐに動き出した。
ひろし「(まずは他のマスター達の情報を得なければ。そしてそのサーヴァント達はついでに知れれば今はいい。とにかく情報が少なすぎる。)」
ひろしは早速、宝具である青鬼ウイルスを使い小人の青鬼を生み出した。それからさらに大きな翼をもつコウモリの様な青鬼も同様に生み出した。
ひろし「(まずはこの方達に動いてもらいましょう。私はそれを遠くから見ておくだけでも何か収穫になるはず。)まずコウモリ鬼は空からこの冬木市を見てきて下さい。小人鬼は地上からお願いします。私は貴方達の周りを見ます。何か襲われる様な事があればすぐに知らせて下さい。いいですね?」
青鬼達はうなずく事はなかったが理解したのかすぐに動きだした。
ひろし「(一般人を襲うような真似はしないと思いますが心配ですね。)」
ひろしは一人、偵察を続けた。
一方その頃。三人一緒に公園から逃げた一同はアーチャーと合流して情報交換していた。
アーチャー「なるほど。つまりそのイリヤという名の少女に殺害予告をされてさらにはそのサーヴァントであるバーサーカーにも襲われたと…。」
凛「そうよアーチャー。近くの公園まで何とかバーサーカーを誘導して戦ったけど正直にいうと持久戦になったわ。なんならこちら側が若干押されてたくらいね。」
セイバー「確かに押されてはいたが宝具さえ使えれば完全とはいえないがまだ少し戦えていたはずです。」
凛「その可能性はあるかもだけど…。」
凛は何か含みを帯びた返事をする。
セイバー「可能性はあるがなんですか?凛!」
凛「セイバーはあの場で宝具を使っていても勝つことはできなかったと私は思ってる。」
セイバー「何故ですか!あのバーサーカーは行動が読みにくく戦いにくい相手であったのは認めましょう。ですが私の攻撃を一向に避ける素振りを見せなかった。であれば私の宝具をあの巨体に叩き込めていた。」
セイバーは悔しさをにじませた顔をして話した。
アーチャー「君達の会話を聞いていて一つ、わからない事があったのだが聞いても問題ないか?」
凛「何よ?」
セイバー「何ですか?」
アーチャー「私が聞きたいのはセイバーだ。」
セイバー「私ですか?」
アーチャー「そうだ。まず最初にバーサーカーは攻撃を避ける素振りを見せなかったと言っていたがそれは本当か?」
セイバー「本当です。」
アーチャー「確かに状況によっては攻撃を受けながらも攻撃に徹した方が良い場合もあるがセイバーはバーサーカーに対して最初は一方的な攻撃をしていたと…。いくら相手はバーサーカーだからといってもある程度は避ける素振りは見せるはずだ。そうでなければおかしい。」
セイバー「アーチャーの言っていることは正しい。だが確かにバーサーカーは私の攻撃を避けずに受けていたのだ。近くにいた士郎も見ていたはずだ。」
士郎「俺はセイバーがバーサーカーの体に切りかかっていた所をすぐ横で戦いながら見ていた。嘘じゃない。」
アーチャー「………」
凛「アーチャー、それは間違いではないわ。私はイリヤを追って後から公園に行ったけどその時にはセイバーは腕を失う重傷だったもの。」
アーチャーは脳内でここまでの話を整理した。セイバーはバーサーカーを相手にしていたのは確からしいが、それでは隣にいた衛宮士郎は誰と戦っていたのだ?凛はイリヤを追っていたはずだからその場にはいなかったはず……ますます謎が深まった。
アーチャー「そういえばお前は誰と戦っていた?衛宮士郎。」
士郎「何で俺の名前を知ってる?」
アーチャー「そんなことは今はどうでもいい。とにかく答えろ。」
士郎「俺は戦っていたのはバーサーカーとよく似た奴だ。見た目は違う様だけど様子は同じだった。」
アーチャー「そうか。ならばそいつはセイバーが相手をしたバーサーカーと同じ存在だったというのか?」
士郎「そうだ。間違いなくあいつはセイバーが相手したバーサーカーと同じ存在だった。」
それを聞いていた凛はセイバーにこう提案する。
凛「セイバーはバーサーカーがまた襲ってきたら大変だろうし…ここは一つ、私と同盟を組まない?」
セイバー「ずいぶんと急ですね。私としては同盟関係の話は士郎次第ですね。士郎なら受け入れると思いますが私としてはまだ少し不安な要素があります。」
凛「それって何?」
セイバー「それは………貴方が士郎を殺そうとする可能性があるからです。確かに士郎は貴方に救われた。それは間違いなく士郎自信も感謝しているはずです。ですが私としてはそれが恐ろしいのですよ。いずれ殺す事になるかもしれない相手を自分の手で助けてその上で話を進める貴方に対して私は疑問を抱かずにはいられません。一体何故、貴方は士郎を救ったのですか?」
凛「それは目の前で死なれたら気分が悪いからよ。私は衛宮君とは同じ学校に通う生徒だから彼が仲良くしてる子達の悲しむ姿が見たくないだけ。」
セイバー「本当にそれだけですか?」
凛「本当よ。嘘をついてる場合じゃないでしょ。」
セイバーはその言葉を聞いてどこか安心した。凛の表情は実に分かりやすい。きっと嘘ではないのだろうと感じられたからだ。
凛「あんた達、いつまで話してるの?さっさとまとめてくれるかしら。」
アーチャーと士郎は一旦話を止め、まとめた。
アーチャー「つまり私達はずいぶんと悪い状況に立たされているという訳だ。バーサーカーとそのマスターが分かっただけでも十分な収穫だか、問題はバーサーカーだ。宝具などで二人になることができる力を持っているもしくはそもそも二人いるかだ。」
士郎「アーチャーの言う通りだったらそうとう厄介な相手だけど生憎、俺はセイバー達より弱い。だから二人になって襲われでもしたら今の俺じゃ簡単に死ぬ。」
アーチャー「そこでだ、マスター。君にはコイツの師匠になってもらいたいのだが、いいか?でなければコイツは今すぐここで私が殺してセイバーには退いてもらう他ない。」
凛は突然の事に脳が追い付かなかった。確かに衛宮士郎は弱い。守るというよりは今は守られる存在なのは確かだが…。
凛「えっと、つまり私がここで衛宮君の弟子入りを認めればひとまず問題はないってことでしょ?アーチャー。」
アーチャー「ああ、そうだ。こればかりはセイバーにも納得してもらいたい。」
セイバー「私は問題ありません。ですが先程のアーチャーの士郎殺しの発言は見過ごせません。なぜ殺そうとするのですか?」
アーチャー「何故かと聞かれても困るな。私も英霊としてここに呼ばれたものの弱い部類だと自覚しているがコイツはもっと弱い。少なくとも凛にすらあっという間に殺されるレベルだ。そんな奴が立派なサーヴァントを引き連れているのだぞ?始末できるのならした方が良いに決まっている。もっとも同盟関係を結んでいるのなら話は別だ。」
セイバーはとっさに士郎の手をとり自分の後ろへ移動される。そして剣を構えアーチャーに向ける。
アーチャー「どうした?私を殺す気か、セイバー。」
セイバー「ええ。貴方がマスターである士郎を殺すと言うのであれば。容赦はしません。」
突然の事に凛と士郎は動揺を隠せない。だがとっさに二人は口裏を合わせる事にした。
士郎・凛「私達(俺達)はここで同盟を組む!!」