◎おまけ:きよぽんの日常【短編】
「ふぅ・・・」
勤務を終えて帰宅したオレは、玄関の鍵を開けた。ん?照明が点いてるが、今朝消し忘れたのかな?
オレたち若手の教職員は、専用の独身寮で生活している。男女の区別はなく、部屋割りはランダムだ。もちろんそれ自体は、別に何の問題もないのだが・・・
オレの部屋は、なぜか左右を堀北と椎名に挟まれ、真正面には一之瀬、という環境下にあった。単なる偶然と言われたらそれまでなのだが、やはりこの美術部と部屋割りには問題がある・・・
疲れた頭でそんな事を考えていたオレは、無防備に室内へと歩み入った。まずはテレビでも見るか・・・
「お帰りなさい。ご飯にする?お風呂にする?そ、それとも、わ、私かしら?」
あまりにも自然体な出迎えに、思わず反応が遅れた。これがもしホワイトルームからの刺客だったら、オレは一撃で犯られ・・・ゲホゲホ!殺られていただろう・・・
「あ?あぁ、ただいま・・・じゃあ、みっつめで頼む・・・いや待て待て待て!!なんでお前が此処に居る?!」
「なんでって、
エプロン姿の堀北は、こてんと小首を傾げた。新妻感満点で、抗い難い魅力があるのは確かだが、ある意味ホワイトルームの刺客よりも危険だ。
「どうやって入った?」
「管理人さんに、通い妻だと言ったら作ってくれたの・・・あっ?!やめて♥️そんなに激しくされたら壊れてしまうわ」
自慢げに合鍵を見せる堀北から、瞬時にそれを奪い取る。あと、誤解を招く物言いはやめろ。いまのは単に、合鍵に付いたキーホルダーが壊れそうになっただけだからな?
暴れる堀北を追い返し、一息ついていると、チャイムが鳴った。
「綾小路君、ちょっといいかな?」
常識人の一之瀬だ。こんな遅くにいったい、どうしたんだろう?
オレは鍵を開けた。
「こんばんは。え?白衣姿で何しに来たのか?ですって?そんなの、お医者さんごっこ・・・ケホケホ!健康診断に決まってるじゃない。私は保健室の先生なんだから!さあ、服を脱いで♥️綾小路君・・・」
もがく一之瀬を叩き出し、一息つく間もなく、またもチャイムが鳴った。
「綾小路君、私です」
癒し枠の椎名だ。今度は大丈夫だろう。そう考えて、オレは鍵を開けた。
「こんばんは。お洗濯にお困りかと思いまして・・・汚れ物はこのカゴに出しておいて下さい。たっぷり楽しませて頂いたあと、きちんと洗ってお返ししますから♥️」
泣きわめく椎名を叩き出すと、またもやチャイムが鳴った。
「綾小路君、早く開けて!緊急事態なの・・・」
焦ったような堀北の声。はぁ・・・嫌な予感がするが、仕方あるまい。オレは鍵を開けた。
「どうし・・・たうわっ?!」
そこに居たのは、両手に水筒を装着した堀北。しかもバスタオル一枚で、全身泡だらけである。
「お風呂で水筒を洗っていたら、
なるべく何も見ないようにして、激しく抵抗する彼女を廊下に押し出す。やけにわざとらしく身を捩っていたから、たぶん、衝撃のポロリを狙っていたんだろう・・・
やっと静かになった部屋の中で、ため息をつく。最近ずっと、隣人たちがこの調子なのである。こうなったらもう、学校の外にマンションでも借りるしかないか・・・
すると、またチャイムが鳴った。いい加減にしてくれ・・・
「綾小路、俺だ。ちょっといいか?」
龍園か・・・ちょうどいい。ヤツに相談してみよう。
オレは鍵を開けた。
「よ、よう・・・単刀直入に聞くが、お前、BLってどう思う?♥️」
「たうわっ?!」
次回第7話:特別試験