夢半ば
「〇〇〇〇〇も、〇〇〇〇〇〇○○も、そして〇〇〇〇〇〇〇も、どうしたんでしょうか!?」
人気ウマ娘達が軒並み沈んだそのレース。ゴールしたウマ娘たちのはるか後方。そこに一人倒れているウマ娘がいた。酷使し続けた体が限界を超えたことによる故障なのだろう。おそらく彼女はもう走ることはできない。日常生活すら送れないかもしれない。
その日夢半ばにして一人のウマ娘が散った。
トレーナー業は一般的には過酷な職業だと言われている。多くのウマ娘を擁する大チームなんかでは複数のサブトレーナーたちを抱え込み分担作業を行わなければいけないほどだ。しかし、
「担当ウマ娘探さないとな~」
担当ウマ娘が少ない、もしくはいないトレーナーであれば話は別である。
この男は畑山吾一。以降は畑山と略させてもらう。
この春、担当ウマ娘が卒業したことにより彼は暇を持て余していた。
担当のいないトレーナーは何をするのか?データ集めやお勉強。後は適当な事務作業だ。一番最後に関しては、仕事のない人たちの暇つぶしとしての面も持ち合わせているのだが。
要するに世間一般で言う窓際社員なのだ。
担当を持たないトレーナーの給料は安い。
ここでトレーナたちの給料事情に関して触れよう。
トレーナーの給料は基本給、トレーナー手当、トレーナー報酬によって成り立っている。
トレーナー手当は担当しているウマ娘の数に応じて増加し、トレーナー報酬は担当ウマ娘がレースで入着し賞金を獲得した際に、その一部を貰うというものだ。配分としては少ないが、G1レースでは優に億を超えるレースがざらにある。そこから配分されるのはかな~りおいしいのだ。また人気ウマ娘となればグッズなどが作られその売り上げもトレーナーに還元される。ここがトレーナが稼げるといわれる所以だ。
基本給ははっきり言って安い。トレーナーのランクによって多少上昇しても安いものは安い。今の彼は金の獲得手段である3つのうち2つを失っている状況なのだ。
だが、そんな状況にありながら彼は楽観的であった。
何故か?それは金に関して困ることが特にないからだ。
一応G1トレーナーでもある彼はそれなりに貯金を持っている。
ただこのまま窓際で過ごすつもりは毛頭ない。最低限トレーナーとしての仕事は行うというのがこの男の信念である。
・・律儀なのかめんどくさがり屋なのか分かりにくい男だ。
「ま、適当に一人探せばいいかな?」
そうと決めたら早速行動に移さねば。
自らのトレーナー証を首にかけて彼は部屋を出る。
行先はグラウンド。そろそろ模擬レースが始まるころである。