「お、やってるやってる。」
模擬レース場に行くと既に何レースかは終わっていたらしい。有力トレーナーが何人か消えてしまっている。おそらく目ぼしいウマ娘との契約を済ませたのだろう。
次のレースは・・・
「右回り、1600メートル。桜花賞と同じコースか」
どうやら今からマイルのレースがあるらしい。その前のレースが中距離であったのもまた有力なトレーナーがいなくなっている原因だ。長距離あたりになればまた戻ってくるかと思うが。
「有力どころはニシノフラワー、次点にシンコウラブリィか」
レース出走表を見ながら有力なウマ娘達を見ていく畑山。
「お、この娘は・・・」
「今から模擬レースを始めます!、マイル第一レースに参加の方々は整列をお願いします!」
結果としてはニシノフラワーもシンコウラブリィも好位追走から抜け出して勝利という王道中の王道で勝利を収めた。
「やはりあの二人は抜けているな。G1くらいなら取れなくはない」
特にニシノフラワーに関しては別の戦法でもレースを進められるような柔軟性も感じた。それだけ二人の実力には目を見張るものがあった。しかし。
「そこまで長い距離は走れなさそうだな・・」
スピードは確かに高水準ではあった。だが、あれが2000になっても持つかと言われると答えはNoである。
すでに二人には多くのトレーナーがスカウトを行っていた。大の大人が年端も行かぬ少女たちに群がるさまは何度見てもシュールである。
「さて、俺もスカウトさせてもらいますか」
畑山はそういって一人のウマ娘のもとに向かった。先ほどニシノフラワーの3着に敗れた少女である。戦法は先行だったが同じく先行でレースを進めていたニシノフラワーには直線の脚では明らかに劣っていた。脚を貯められなかったのだろう。
何となくで先行を選びそれが合っていなかった。それが畑山のたどり着いた結論である。
そんな彼女を何故スカウトしようとするのか?
自分でもスカウトできそうというものもあったが、それ以上に。
「この娘にはクラシックを取れる才能がある。それに、中距離に関してはノウハウもある」
その二つが彼女のスカウトへの背中を押した。
「そこの君、少し話いいかな?」
「はい、何でしょうか?」
なぜ自分に用事が? 少女の瞳には疑問の念が宿っていた。
「君のレースを見ていてぜひともうちのチームにスカウトしたくてね。もし君さえよければ契約しないか?」
「私なんかでよければ・・ぜひお願いしたいです・・。」
「契約成立だな、俺の名前は畑山。君の名前は・・「サンエイサンキューです。よろしくお願いします」・・うん、よろしく」
話をぶった切られちゃったよと思う畑山だった。