東京本土から飛行機で四時間、そしてそこからフェリーで三時間、着いたのは東京、三角島。私、
「えー…めっちゃのどかな田舎じゃん……」
ちょっと待て、これ生徒いるのか?
離島も離島である
島は本土よりも遥か南に位置しているせいか、この3月下旬でも夏のように暑い。しかし、海からの潮風で蒸し暑いと感じる事はなくなっている。これは少しながら有り難い。船着き場から多くの船がこの島の港を行き来しているのが見える。ここはもしかしたら、漁業が盛んなのかもしれない。
取り敢えず役所に向かうことにした。確か、三角村っていう行政区分だった気がする。
徒歩で役所に向かう。やはり、漁業が盛んなせいか、道中には、寿司屋や、釣具屋、舟屋などが見られる。港町の寿司屋とか、とても美味しそうだな。今度機会があったら寄ってみようと思った。
そんなこんなで約数十分で役所に着いた。
……役所に着いた?これ?電気ついてる?
ちょっと不安だけど入ってみる。金属でできた取っ手を引くと冷たい空気が流れ込んでくる。涼しい。まだ3月なのにエアコン入れてんのか。……ここ日本だよな?
カウンターにて色々手続きをした
やっぱ書類とか書くのめんどいな
手続きが終わると、少し日が傾き始めていた。次は、入居する部屋が島の中心部にあるらしいからまた徒歩で向かう。
島の中心部は少し標高が高くなっているようで道の傾斜が険しくなっている。
暫く歩いていると、神社が見えてきた。割と長そうな石段の上に大きな本堂がある。この山道の終点がこの神社っぽいから、何処かで通り過ぎたのかな?
あ、これ道に迷ったかもしれない
どうしようかと悩んでいたとき
「どうかしましたか?」と声をかけられた。
見た目は高校生に近く、茶色の髪の左に星形と、右にダイヤの形のアクセサリーをしている少女である
「ああ、すいません。実はこの辺にある金剛館という建物を探しているんですが……」
「あれ?もしかして新しくできる学校の先生ですか?」
「え、ええそうですけど」
なんで知ってるんだろう
「実は私、そこに入学するんですよー」
なるほどそういうことか
「それで、金剛館でしたよね?そこは私達生徒の寮と同じなんで一緒に行きましょう」
「分かりました」
え、生徒寮と一緒なの?
それは知らなかった
「ちなみにお名前は?」
「ときのそらです」
談笑しながら金剛館まで向かった
「あ、ここですよ」
そう彼女が指差したのは少し古めの旅館のような建物だった。金剛館ってもしかして旅館だったのかな?
ガラガラッと引き戸を開ける
「ただいまー」
「おかえりー…ってそら、その男の人誰?」
髪に大きな水色のリボンをしている、ちょうどときのさんと同じくらいの年齢の人が出迎えてくれた。
「ん?ああ、分校の先生だって」
「本校から来ました。棗と申します」
「友人Aと申します。この金剛館の管理をしている者です。早速で申し訳無いのですが、402号室の部屋を使ってください。これ、鍵です」
金属の鍵が渡される。鍵にはプラスチックの板で402と書いてある物が付いている
「分かりました」
402号室は4階の部屋だと思うから階段を登っていく。一段一段踏むたびにギシッギシッと音がする。階段は螺旋上になっていてしかも一段の高さが高いため、アラサーの自分には多少堪える。
ようやく4階にたどり着いた。廊下の床がひんやりとしていて、足が少し寒くなる。
「402号室は……ここか」
扉に402と書かれている。
ガチャッ
ギイ
扉も少し軋むんだな
部屋の中は至って普通の旅館の部屋と変わらなかった。玄関にはスリッパがきれいに並んで置いてあり(多分風呂用)、その先のちょっとした廊下を突き抜けると畳の部屋が現れる。テレビや冷蔵庫もきれいな状態で置いてあって、今でも旅館として開けるのではないかと思うほどだった。
取り敢えず荷物を下ろして、パソコンを開く。
wi-fiは……ここのが使えそうだ
まずは、無事についたことを報告しないとな
「無事に金剛館に着きました」っと
それであとはどうしようか悩む
特にやる事も無いんだよな
コンコン
ノックされた
「はーい」
何事かよく分からないから少しだけ急ぎ足で行く
ガチャッ
「ときのさん、どうしたんですか?」
「夕食の準備ができたので呼びに来ました」
そんな事わざわざしなくても自分から赴くのに、と思ったが、そもそも連絡の手段が無かったことに気づく
「教えてくれてありがとう」
「1階の食堂に行ってください。私は少し部屋に用事があるのでそっちに行っていますね」
「了解です」
1階の食堂か、多分そこで他の生徒と顔合わせするんだよな。最初が肝心だし、しっかりと挨拶するか
そう思い、ふと窓を見ると日がほぼ落ちかけているのが見えた。海面に日の光が反射して道のようになっている。今まで大した実感が沸かなかったが本当に知らない町に来ているんだなと思った。
1階に降りると、周りはとても静かで本当に人がいるのか分からなかった。
1階の奥に進むと食堂の看板があるドアに着いた。ドアの上部はすりガラスでできていて中の様子がよくわからないが、どう見ても暗い。
「ここで合ってるよな……?」
どうしようもないので取り敢えず入ることにした。
「失礼します」
小声でそう呟きながら入る
電気はどこだ?
そう思っていた時
パッ
パアンパアン
「せーの!」
「「「「「ようこそ!棗先生!」」」」」
明るくなって部屋の全体が明らかになる。
壁には風船や紙テープなどで飾り付けがされており、奥の大きな掲示板には「歓迎!棗先生!」という張り紙がある。
「サプライズですか。とても嬉しいです!」
「なんか反応うすいなー」
「いやいや、とても驚いてますよ」
「ホントにー?」
「本当ですよ」
何故か疑われ続けた