悪役令嬢転生かと思ったらゾンビパニックかい!   作:レッドアリーマー

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双滅!

 ドラゴンゾンビ。フツーにドラゴンとしての印象が強いので忘れていましたけれど、そういえばゾンビの一種でしたわねアナタ。

 ゲームシナリオの中でもドラゴンゾンビは出てくる。前述のとおり全属性耐性が厄介だけど、アンデッドであるので光属性が効く。よってリベルタがバカスカ魔法撃って他を盾にしていた覚えしかありませんわ~。

 

 にしても巨大なドラゴンゾンビですこと。普通のドラゴンの二回りは大きいですわね。これ特殊個体じゃありません?

 

 風と火と地属性の魔法がドラゴンゾンビの肌を撫で、そこを剥がす……も、瞬時に修復されますのね。

 これゾンビのセオリーを一度忘れてドラゴンゾンビという単一種族に数えた方が良さそうですわ~。

 

「っしゃァ、テンション上がってきたァ! 炎王天墜!!」

 

 超高温がドラゴンゾンビの胴体を貫く。……多少ふらついて、その後持ち直しましたのね。

 ブラッド・フラットの攻撃ボイスとエフェクトはいくつか種類がありますけれど、基本的に全部同じダメージですの。そのどれもが属性耐性に貫通ダメージを持つものばかりで、範囲や付与状態異常が幾つか違うだけだったはず。確か二十五パーセントでしたっけ? イジスで防いでイジスで殴っていれば終わりだったのであんまり覚えていませんのね。

 全属性耐性に対しても二十五パーセントが通じるのならそのまま殴り続けていただければ終わり……なのでしょうけれど、気のせいでなければリジェネのエフェクトが出ているような。

 ゾンビは魔法を使ってきませんのでこのエフェクト判断普段はあんまり使わないのですが、こういう時便利なのでもっと色んなエフェクトを覚えたいところ。

 

 アティアで包んだ脚。それは装甲にはなりませんけれど、泥のような表皮に足が取り込まれることは防いでくれますの。それと極小グラヴィティパルスを併用し、ドラゴンゾンビの身体を駆けあがりますわ。

 

「おお!? すげぇなァ骨女ァ!」

「褒める時はショベルの妖精さんの方をお使いくださいまし──まぁ呼びやすい方でいいですけれど」

 

 ぶんと回される首を踏み外さぬよう立ち回り、頭頂を踏んづけて跳びあがって膨らんだ眼球を思いっきり殴打する。

 潰れた感覚はあった……けれど、あんまり意味ないっぽいですわね。

 ぽーんと投げ出される身体。無防備になる身体はグラヴィティハンドで空中制御をしますのよ。引き寄せ以外もできたら強いのですけれど、それは光属性の分野ですわ~。

 

「打撃、及び面での攻撃はほとんど意味ありませんわね。ドラゴンゾンビの回復力に負けますわ。斬撃や突撃の効果を持つ魔法、技をお使いくださいまし。ああ、あと、フナリエ老? あなたがいま睨んでいる通り、内部破壊は有効だと思いますわ~。ブラッド様の剣にウィンドスパイクなどのエンチャント、お願いしますわ~」

「ほっほっほ、よく周りを見ている娘子じゃの。……ノギオン、お前さんの爪にも同じものを施そう。ゆけるかの?」

「ありがたく使わせていただきましょう」

 

 エンチャント……という魔法は厳密には存在しませんの。そういう体系がないというべきでしょうか。

 ただ魔法の中には纏うタイプの魔法というのがありまして、その対象を変更するという結構な荒業ですわ。私のブラックネットもその一種ですわね。

 ……というか、私の場合はまだ手元の大気に纏わせて投げつける、ということしかできませんのよ。この即興でブラッド・フラットとノギオンの二人へエンチャントできるあの老人が激ヤバなだけですわ~。

 

「ハッハァ! 鳳凰の一刺!」

「爆縮気功!」

 

 本来身体に纏って周囲の敵を串刺しにする、という効果を持つウィンドスパイク。それを纏った炎剣と拳がドラゴンゾンビへ突き刺さり……内側からめった刺しにしました、が。

 

「む!」

「っと──」

 

 咆哮。うっせーですわ。

 

 それにより、ブラッド・フラット、ノギオンが吹き飛ばされ……さらにはエルレビとクグクダクグカの準備していた魔法もキャンセルされましたのね。

 魔法無効化や詠唱キャンセルなんかの攻撃をしてきた覚え、ないのですけれど。私のグラヴィティハンドも消されてしまったので自由落下ですわ~。

 

 あ、良い所に飛ぶ魔王が。

 

「……私は支点か何かか?」

「空中の設置物として優秀ですの」

 

 その魔王にグラヴィティハンドを付けて、ぶらんとぶら下がる。

 

 ……まーだまだ全然元気じゃありませんこと、あれ。アンデッドに元気も何もですけれど。

 

「で、戦闘開始から一撃も入れていない魔王様は、何か有効打が見極められましたの?」

「あの魔法耐性にはほとんど魔法が撃ち損だ。魔力効率が悪い。……娘、貴様はあの表面の泥、奴が元々持っていたものに見えるか?」

「半々ですわ。ここが竜の里な時点で、死したドラゴンが土となり泥となり堆積していてもおかしくはないでしょう。ドラゴンというのが元より全属性耐性プラス得意属性に強い耐性を持つ生き物であるので、その泥を纏っているだけでも十二分なアーマーになりますわ」

「つまるところ、剥がしてしまいさえすれば耐性の方は回復しない可能性が高いということだ」

「どうでしょうか。もう一度泥の中に潜って回復、くらいはしてきそうですわ。知能はなくても、ブレインゾンビくらいの合理性があってもおかしくはないのでは?」

「それは、悪夢に似ているな」

「私悪夢というものを見たことがないので似ているかどうかわかりませんわね」

 

 咆哮範囲外から魔法を練り上げているエルレビとクグクダクグカを見る。

 なるほど、四属性で同時に攻めるつもりですのね。ブラッド・フラットとフナリエ老、ノギオンが足止め役、と。

 

 今日が初めての連係とは思えないくらい役割がしっかりしていますのね。潜在的なものはあった、ということでしょうか。

 まぁそうですわよね~。どのゲームでも魔王軍とか四天王とかって、一人一人来るからいいものの、主人公パーティ並みに連係取ってきたら敵うはずがありませんものね。

 

「これ、本当に悪夢ですの? 吉夢の間違いでは?」

「少なくとも正夢ではあるのだろうな。──良い夢だ」

「それはなによ──きゃっ!?」

 

 私を放り投げ、高速降下する魔王。あらあら、あんなに楽しそうにして。

 歴代最弱、優しいが故に弱い魔王様はどこへ行ったのかしら。

 

 凄まじい速度で降下した魔王はそのままの勢いで魔剣ソウルアティアを振り抜き、ドラゴンゾンビの尾を斬り飛ばす。ヒュウ、流石ゲーム最強魔剣。それくらいしてくれないと困りますわ。

 

 さて、泥を纏わぬ尾の断面。表皮の色は……玉虫色。風・地属性のドラゴン? あら、何か記憶に引っかかりが。

 

 ドラゴンゾンビの体側面にショベルを突き刺して、その身の泥をガリガリと削りながら落ちる。減速減速、ですわ~。

 ちらっと見るはショベルの通ったあとの泥。……盛り上がってきたりはしませんのね? 削りが浅いから……ああ、だから、重傷以外は傷判定せず、リジェネも作用しないと?

 

 そのままいると踏み潰されるのでささっと退避。

 

生き字引(フナリエ老)、風属性と地属性に特化したドラゴンに心当たりは?」

「唐突じゃのー。儂、これでも高齢での、そろそろボケが進行してきておってのー」

「魔王の冗談と同じくらい面白いですわー。きゃっきゃ」

「蒼耀の坊の冗談は笑えばいいのかそうでないのか判断し難いからのぅ、それと同じは嫌じゃ。……風・地に特化したドラゴンといえば、霊峰アクトミラに住まう風泥竜エスメトロじゃな。二属性特化ドラゴンはそれなりの数を知っておるが、その二つを持つのは奴だけじゃ」

「ああ……エスメトロ。アクトミラ……遠いので流石に無いと思いたいのですけれど」

「……まさか、奴がそうじゃと?」

「先程魔王が斬り飛ばした尾から判断するに、風・地特化っぽいのですわよね~。で、ドラゴンが総出で逃げださねばならない相手で、この大きさ。バリバリ歴戦でバリバリ現役なドラゴンがアンデッドとなる未来が見えた、とかでないと説明つかないかな、と思いまして」

 

 シナリオ中盤後編の方に出てくるストーリーボスのドラゴンだ。霊峰アクトミラはここからかなり離れたところにあるので違うと思いたい……けど、特徴が合致し過ぎる。

 なぜ違うと思いたいのかと問われたら簡単ですわ。

 

「……あ奴は……魔窟の番人じゃろ? 遠さは勿論、あの地に縛られておるはずじゃ」

「でも今の魔王領は多分全域がアンデッドフィールドになっていましてぇ」

「……じゃとすると不味いの。()()()

「ですわよねー」

 

 魔窟とはダンジョンのことだ。とはいえこの世界のダンジョンはよくある乱立タイプではなく、神聖な場所とか逆に瘴気まみれの場所とかにしかないもの。特別なアーティファクトを守るために設置された祭壇に似た役割を担う。だから数も少ない。

 で、そういう場所に配置されている番人は、基本倒せない。復活する。倒す方法は一つだけ、ダンジョン最奥に安置されたアーティファクトを台座から奪うこと。それにより番人という役割が機能停止し、殺すことが適う。

 ……何度も述べているけれど、ゾンビパニックとはいえこの世界のアンデッド化は死ではなく種族変遷だ。

 だから……まぁ、番人機能を貫通してアンデッド化もするのだろう。

 

「アクトミラの魔窟、単独攻略を魔王に任せるというのは?」

「アリじゃの。蒼耀の坊! 緊急事態じゃ!」

 

 アリなんだ。割合冗談だったのに。あ、ですのに。でしたのに。

 

「どうした?」

「今すぐアクトミラの魔窟を攻略して奥にあるアーティファクトを奪ってくるんじゃ。そうでもしなければこ奴は止まらん可能性が高い」

「……はぁ。私も皆と肩を並べて戦えると思ったのだが」

「あら、私を魔窟へ運んで、あなたは戻ってくる、でもいいですわよ。攻略難度は私の方が優秀ですからイージィですけれど、流石に歩幅問題がありますから、あなたよりちょっと遅いですわ~」

 

 言葉に……一瞬、逡巡するかのような表情を見せる魔王。

 え、マジで揺れてますの? どんだけみんなと一緒にいたかったんですの?

 

「……いや、いい。すぐに行ってくる。……皆の事は任せるぞ、娘」

「あなたが帰ってくる頃には、皆私に惚れこんでしまって、新たな派閥ができているかもしれませんわ~」

「冗談ではないぞ、それは」

「だから早く帰ってきてくださいまし。アレの番人化が解除されたとて、殺せるようになる、というだけ。ブラッド様に並んでメイン火力はあなたなのですから、その自覚をお持ちくださりやがれですわ」

 

 認めよう。さしもの私とて、魔王には火力負けしますわ。

 ですから、私などという幻焔に惑わされていないで、力強い青い炎を灯すのですわ。

 

「蒼耀というのが、単なる紅耀の対比というだけでないことを証明しなさい」

「……行ってくる。任せた」

「ええ、任されましたの」

 

 飛翔する魔王。そして、いつも私を運んでいる速度とは天地な速度でかっ飛ばして、すぐに見えなくなった。

 

「……さて、最大火力がどっか行ってしまいましたので、現場が大変ですわ~」

「じゃのう。ところで娘子、アクトミラの魔窟が地下何層か知っとるのかや?」

「六十層ですけれど、どーせ壊すのですし突っ切ったって問題ないのでは?」

「そんなことをすればそれこそ竜の里との交渉が難しくなりそうじゃのー」

 

 確かに。

 じゃあ順路通りの最速攻略頑張れですわ。

 

 

 で。

 別に状況は変わっていない。とりあえず再度作戦を伝えると言って招集をかけた。ドラゴンゾンビは……どこへ行くでもなく暴れているだけ。一応ブラックネットを放っておきますわ。

 

「改めて。体表に付着している泥は全属性耐性を持つ泥。耐性は恐らく七十五パーセント減。剥がせばそれで終わりですけれど、もう一度地面に潜られるとその限りではないと思われますの。これそのものには物理攻撃が効く他、強すぎない攻撃であればリジェネを起こさせずに剥がすことが可能ですわ」

「そういう細かい手加減とかブラッドに可能だってホントに思ってんの?」

「魔王がいないと化けの皮剥がれまくりですのねエルレビ様。ええ、無理だと思っていますわ。ですからブラッド様とフナリエ老には変わらずエンチャントと貫通攻撃で内部破壊をお願いいたしますの」

「おお! よくわからんがァ! 魔王様が帰ってくるまでに仕留めて褒めてもらわァ!!」

 

 とりあえずこれがメインアタッカー。

 貫通攻撃でHPを削ることができるのは確かですからね。

 

「傷、及び泥がリジェネ効果により修復されるまでにかかる時間は七秒フラット。泥内部の体は風・地属性に高い耐性を持ちますので、エルレビ様とクグクダクグカ様は主に水・火属性魔法を、修復される前の傷に撃ち込んでくださいまし。魔法の待機はできますわよね?」

「……馬鹿にして。できるわよ、そんなのトーゼンに」

「可能ですが、ブラッドのように属性耐性を貫通できるわけではない。その点はどうしますか、ショベルの妖精」

「火属性でつけられた傷を癒す以上、傷口には火属性魔力が残存魔力として付着しますの。リジェネにもいろいろ種類がありますけれど、あれなるドラゴンゾンビの持つリジェネは一般に言う中和型のリジェネですわ。よって傷口周囲には水属性の中和魔力が出張ってきているはず。その状態の傷口は水属性を受け入れますのよ。また、火属性への耐性が増加するわけではありませんので、ブラッド様の攻撃によって付着しきらなかった火属性魔力を再度付着させ、水属性の通りをよくすることも可能ですわ」

 

 他にも「反応型リジェネ」とか「補充型リジェネ」とか色々ありますけれど、余白が足りな過ぎますわ。

 これがサブアタッカー。というよりメインアタッカーの追加攻撃扱いですわね。

 

「成程。では、基本攻撃が殴打である私は、エルレビ様、クグカ様の守護を仰せつかりましょう」

「ええ、お願いしますの。私のことは考えなくていいですわ。フナリエ老のことも。あれ、人形ですし」

「悲しい事言うのぅ、この人形が壊されたらまーた魔王城から人形を派遣せねばならぬのじゃから、ちゃんと守ってくれい」

 

 ノギオンがタンクというのは少し心配ですけれど、防御ではなく回避メインなら行けると思いますわ。頑張れですわ。

 新しい作戦はこんなところですのね。

 私? 私は遊撃ですわ~。

 

「魔王が戻ってくるまでは基本倒せなくて当たり前と思ってくださいまし。──とはいえそれでは面白みがありませんから、何度起き上がったところで無駄であると、足りないアンデッドの脳に刻みつけてやりましょうじゃありませんの。アンデッドとて屈服させてこその魔王軍──違いまして?」

「っしゃァ、んじゃ行くぜ、ジジイ!」

「ほっほっほ、様子見や手加減などをするんじゃないぞい。全て必殺で行け、ブラッド。儂このチーム感好きじゃからのー、楽しくゆくぞい」

 

 暴風を纏う炎剣。さっきも思っていましたけれど、風に凄まじい耐性を持っているはずの中身をあのウィンドスパイク貫いていましたわよね。……なにか貫通攻撃用の魔法式があるのかしら。気になりますわ。

 両足の爆炎と共に走り出すブラッド。気付いた時には肉迫していて、気付いた時には剣を振り上げていて。さらに跳びあがっていて。

 ……それ貫通攻撃ですの? 普通に斬撃では?

 

「鳳凰鉄槌!」

 

 あ、いえ──だから。

 

「馬鹿オーガ! 魔法はそんな早く使えないってば!」

「エルレビ、私が道をつけますので」

「ええ、お願い!」

 

 天火が墜ちる。一直線に落ちてくる炎の柱。それはドラゴンゾンビの背に突き刺さり、腹を突き破って着弾する……ことはなかったけれど、かなり深々と刺さったらしい。

 大きく仰け反って倒れるドラゴンゾンビ。いつの間にか剣を振り抜いた姿勢で炎柱の外にいるブラッド。……速い、ですわ~。

 

「アクアトーネード」

 

 炎の柱が通った穴に発生するは水の渦。本来大勢を巻き込むための魔法ですから、掘削能力には優れませんけれど……リジェネを妨害する役目としては充分なのでしょう。

 そこへ。

 

「プロジオン。追加詠唱:貫きて凍てつけ、アクア・フリーズ!」

 

 まず超高圧の水が発射され、水の渦を貫いて傷口を攻撃。その後、その放出が終わる前に別の魔法へと切り替わり、傷口が凍り付きましたのね。

 驚きですわ。追加詠唱ってプレイヤー側のグリッヂじゃなかったんですのね。

 ……ステータスのアジリティが魔法のCTを上回っている場合におきる現象ですのよ。クールタイム内にもう一度魔法を撃つことで、二連攻撃が可能ですの。普通にその分の魔力は持っていかれますけれど、単純に二回行動できるので強かった覚えがありますわ。

 ただ最後の方は強大魔法を使うせいでMPが枯渇して、二回行動とかやってられなくなるのですわよね。あくまで魔法を連打できるだけですし。

 

 ゲームのエルレビがそれを使ってきた覚えはありませんので……なんでもかんでもゲーム通りではないということでしょうか。

 まぁゾンビパニックになった時点で今更ですけど。

 

 さて、内側から凍り付いたドラゴンゾンビは……しかしリジェネしようとしていますわね。

 

「ところでアナタ。治りつつある肉の中にショベルがあったらどうしますの?」

 

 ざく、と。

 傷口にショベルを差す。アティアで覆ったそれは圧壊することがない。

 

「え、いつの間に近付いたの、アイツ」

「……見えませんでしたね。さっきまで隣にいたはずですが」

 

 盛り上がって修復されていく傷口で、ショベルをグリグリやる。

 

「アハ、何悶えてますの? ゾンビに痛覚などないでしょう? それとも──いっちょまえに痛いんですの? それは嬉しいですわ~……相手が痛がるのなら、こういう攻撃はキツくてキツくて堪らないでしょう?」

 

 ざくざくと。ぐちゃぐちゃと。

 腐肉を掻き分けるは農具の頭。

 ギャアギャアと咆哮し、身悶え、身体を何度も地面に打ち付けるドラゴンゾンビ。残念、その程度じゃ振り落とされませんのよ。

 

「ブラッド様! その剣、ぶっ刺した後に炎を発生させる、というのはできまして?」

「ん、やったァことはねぇがァ! できるだろう!」

「じゃ、お願いしますわ」

「おうよ!」

 

 返事をした時には私の横にいて、剣を振り上げていたブラッド。

 っとと、危ない危ない。巻き込まれて焼き焦がされますわ~。

 

「ああ待ったァ! 骨女、名前! この技の名前、ノれるやつくれ!」

 

 えー。

 ……解放しますの? 私の厨二心。

 

「爆炎噴塵とかでどうですの」

「っしゃァ採用! 爆炎! 噴塵!!」

 

 氷と腐肉の綯い交ぜになった傷口。そこに突き刺さるは焔の大剣。

 ドラゴンゾンビの腹が赤熱し──ドカン、と。

 まさに噴火するかのように炎が立ち上がった。

 

「ッ、気を付けなさいオーガ、骨女! まだ終わってない!!」

「ん──ガッ!?」

 

 エルレビがそんなこと言うなんて珍しい、なんて思っていたのもつかの間。

 ドラゴンゾンビの背にいたはずのブラッドが弾き飛ばされるのを視認した。どうやってとか何があったとかは考えない。

 

 迫りくる風圧を耳に覚えつつ、アティアを纏ったショベルに凭れ掛かるようにして背面跳び。

 轟と突き抜けるは……斬り飛ばされたはずの尾。……いや、若干太い、ような。

 

 ゴロゴロと尾の上を転がって体勢を整え、転ばないように駆けだし、駆けあがり、グラヴィティパルスを踏んで跳びあがる。

 ついでにそれによって吹き飛ばされる砂埃。露になったのは──。

 

「──あら二体目。まさか斬り飛ばされた尾から本体が生えましたの?」

 

 流石にこれ不味いですの?

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