悪役令嬢転生かと思ったらゾンビパニックかい!   作:レッドアリーマー

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恨滅!

 口が開かれる。

 

「このバンシーは、第百代魔王の姉だ。私の持つ『魔王の精神』の一つ前の持ち主でもある」

「今何代目ですの?」

「百十二代目よ。本当に何も知らないのね」

 

 へえ。十二周期……ってこともないですわね。どういう周期なのやら。

 

「第百代魔王の種族はマスターリッチ。自身こそアンデッドではないものの、数多のアンデッドを操ることで人間との戦いをしていた魔王になる。彼は幼き時分に己が力を暴走させ、生まれ育った村にいた魔族の全て……親類や友人だけでなく、すべての魔族をアンデッドに変えてしまった」

「……流石にそんな古い話は知らないわね」

「察するに、その時現れたのが『長老球(エルダーコア)』というアーティファクトだったりしますの?」

「そうだ。その時までアンデッドは魔物の一種に数えられてきたが、第百代魔王の努力と『長老球(エルダーコア)』の制御能力により、アンデッドは魔物から魔族へ格上げされ、一部種族にはその知性が認められるようになった。対応するアーティファクトは後から創られたがな」

 

 ……大区分アンデッドなインキュバスやサッキュバス。彼ら彼女らは人語を扱いますけれど、括りとしては魔物だった、と。それが『長老球(エルダーコア)』の出現によって変わったと。

 まぁ納得ですわね。王城地下にいたサッキュバスも今私の中にいるアティアも、人語は解せどもやっていることは魔物のそれですし。

 

「百代魔王の力の暴走。その理由は、自らの姉が致命傷を負ったことにあった。彼は嘆き、苦しみ、そして彼女の時間を止めるに至る。自らの姉の種族をバンシーに変え、その命を繋ぎ……そのまま制御の利かなくなった力が村民の全ての種族を変えた。……この辺りの詳しい記憶は支離滅裂で、よくわからない。暴走する力を止めるために『長老球(エルダーコア)』を作り出したのか、突然現れた『長老球(エルダーコア)』によって力の暴走が収まったのか。どちらであったのかは定かではないが、第百代魔王の最も強い力によって死ねなくされたのがそこにいる彼の姉で、彼が死後の自分……つまり『魔王の精神』を受け継ぐ私に託したのが、姉のアンデッド化の解呪だった」

「過去の債務を背負わされたわけですわね。ご愁傷様ですわ」

「記憶はシーンとして引き継げても、感情まではわからない。……私も初めは"知るかそんなこと"と思ったものだ。だが、死者の最後の頼みを無下にするのも憚られてな。収穫の月の四日……全ての魔族の力が弱くなるあの日に、私は彼女のアンデッド化解呪を試みた次第である」

 

 あらあら、素地は通っているのに嘘の味がしますわ~。

 

「言葉は正確になさいな、魔王。この方に懇願されたからやったのではなくて?」

「なに……?」

「あなたは考えたはずですのよ。どうして百代魔王は自らで彼女のアンデッド化を解呪しなかったのだろう、と。あるいは試して失敗した記憶も引き継いだのかもしれませんわね。だから、この方のアンデッド化を『長老球(エルダーコア)』で操作することにはリスクが付き纏うとわかっていた。あなたは慎重派ですけれど、同時にリスクリターンも考えられる性格ですわ。その性格はリスクの方に傾いていて、初めは使おうとは考えていなかったでしょう。どの道意識がないのなら悲劇も悲劇足り得ないと放置しようとしていた。違いますの?」

 

 意識のない相手であれば、苦しんでいないのであれば、憐れみは単なる自己満足。死者に対する哀悼で死者が得をすることなどないと、彼は知っているはず。

 でも……その弱る日? に、何かしらが緩んだのでしょうね。

 この方が意識を取り戻してしまった。あるいは正気に戻ってしまった。

 

「助けて。そしてその後に百代魔王の名前を呼んだ……とかそんなところじゃありません?」

「……娘。貴様、本当に……何者だ。それは推測の域を超えていよう」

「充分に推測の域ですわ~」

 

 当たっていたらしい。ふん、こんなの恋人や肉親が怪物化した時の常套句ですもの。わかりますわよ。

 

「そうしてあなたは決意をして『長老球(エルダーコア)』を使用した。しかし彼女にかかったアンデッド化の呪いは強すぎて『長老球(エルダーコア)』は自壊した……と。ま、こっちはこんなストーリーでしょう。ありきたりで味がしませんわ」

「……」

「問題は『不死根(デッドレス)』の方ですわ。こちらはどのようにして出現し、また、なぜあなたはこれを『長老球(エルダーコア)』の代替であると考えたのか」

 

 壊し方はわかった。要は性能限界で停止したということだから。

 けれど、別のタグになっているのに同じIDというのはどういう仕組みなのか。

 

「似ていたのだ」

「……というと?」

「支離滅裂な記憶でも記憶は記憶。第百代魔王の前に現れた『長老球(エルダーコア)』と同じ現れ方で、『不死根(デッドレス)』は私の前に現れた。そしてそれは自らの力で転移し、あそこへ居座った」

 

 ……えぇ?

 アーティファクトが自分の意思で現れて、自分の意思で転移して……えぇ?

 スーパー人為的ですわ~。人為しか感じませんわ~~。

 作為と人為のオンパレードですわ~。

 

 ワンチャン、百代魔王の前に現れた『長老球(エルダーコア)』もそうじゃありませんの? さっき順番が分からないとか言ってましたけど、『長老球(エルダーコア)』が現れたから暴走して、百代魔王自らの力で暴走を収束させた、アンデッドの制御も取り戻した、みたいなことありません?

 うへぇ、怪しさ満点ですわ~。なんか【愚悪賢者】ことゴルズィオ・ヴィリジオニティカのせいな気もしてきましたわ~。

 

「私が自らの意思で『長老球(エルダーコア)』を使い、壊し、『不死根(デッドレス)』を生み出した。……申し開きをするつもりはない。もし私が死ぬことで『不死根(デッドレス)』が破壊されるというのなら喜んで」

「ああ、責任追及とかどうでもいいことする気はありませんのよ。第百代魔王が死して尚『長老球(エルダーコア)』が残ったことから関連性皆無なのは目に見えていますし、あなたが死さば掃除屋が減って大変ですの。私が常あなたに要求している責任を果たしなさいというのは、そういう救世に関することですのよ。勘違いしないでくださいまし」

「……魔王様。質問があります」

「なんだ。全て答えよう」

「今の話だけであるのならば、私達にここをひた隠しにする意味がわかりません。過失を隠したかったから……という理由で私達に不誠実な行いをする方だとは思っていませんから」

 

 そういえば、確かに。

 なんでこの程度のこと黙っていましたの?

 

「……彼女の存在を露呈させたくなかった、というのが一点ある。百代魔王の記憶においては、本当に死なぬのかを確かめるといって彼女を攻撃する魔族が多数現れた。彼の感情は引き継いでいないが、同じことが起きる可能性があるというだけで私はそれを拒む。……そして、それと同時に、()()()()()不死根(デッドレス)』も壊せるはずだと試むものがいるだろうことは容易に想像がつく。それが二点目の理由だ」

「ああ……『不死根(デッドレス)』がアンデッドを暴走させているのなら、彼女にそれを作用させることで自壊を引き起こせるかもしれない、と」

「……つまるところ魔王様は、私達の一切を信用していなかった、ということですか?」

「そうだ。私は魔族というものの在り方を信用していない。それは事実だ」

 

 うーむ。なんというか、そりゃまぁそりゃそうですわ、としか。

 力こそ至上の魔族社会で、散々信用や信頼に対して裏切りを働いてきたのが魔族史というもの。自らが魔王となれど、「酷い事をしそうだから」と隠しておくのは順当といいますか。

 

「まァ、そりゃ正解だけどよォ。ちゃんと守れてたかっつったら怪しいよなァ」

 

 お。暗がりから現れたるはブラッド。

 魔王のもとにズサァと投げ捨てられるは……ボロボロになったクラウス。

 

「勝ちましたのね」

「おうよ。どうも酸欠が切り札で、それ以外の手は用意してこなかったみてぇでなァ、楽勝だったわ」

「成程。で、今のはどういう意味ですの?」

「ん? あぁだから、クラウスなんざ力の信奉者筆頭だろうがァ、こいつに牢番をやらせてた時点で、果たしてこいつがその嬢ちゃんに何をしてたかってーなァ」

 

 確かに。

 実際何をしていましたの、と聞こうとしたけれど、気絶していますねこれ。

 

 ……なら。

 

「ブラックネット・ピンポイント」

「娘、何を」

「気絶している……夢中にある状態で、自らの敵意が誰かに向くこと。それってどういう状況だと思いますの?」

「どう、って……夢に嫌いな奴が出てきた、とか?」

「ええ、まさに、ですわ。夢中に嫌いな相手が出てくる。心の声が発声になる夢中では隠し事などできませんの。そしてそれは、寝言として世界に落ちますのよ」

 

 ほら。

 

「……お前がいなければ。お前が居なければ……あの方に余計な疑いがかかることはなかった。お前が……お前があの方を汚すなど、あってはならない……」

 

 ぶつぶつと呟き始めた山羊頭。

 

「弱小で矮小なる種族のくせに……あの方の品位を損ねたのはお前だ……お前さえいなければ、あと百年は……続いただろうに……」

 

 声は嫌悪と疎ましさを以て。

 

「ああ、醜悪な……気色が悪い……ああ、ああ」

「クラウス……まさか」

「ああ、()()()()()()()()……! 怖気が立つ……!」

「え?」

 

 ブラッドを見る。首をかしげるブラッド。

 エルレビを見る。首を振るエルレビ。

 

「なぜだ……なぜお前などが、()()()()()……魔王とは強く気高く、誰をも寄せ付けない力の化身……それを、自らの立場もわきまえずに離れていった種族に頭を下げ、どれほど罵倒されても窘めさえせず……争いは何も生まないなどという妄言を吐く……!」

「あ、あら~」

「こりゃァ……」

「……」

「私は……心から嫌悪する……地下のアンデッドの世話だと……? ふざけるな……ああ……いや、いいだろう……死なぬアンデッドがいるのならば、お前を座から蹴落とすのに丁度いい素材だ……」

 

 ああ、やっぱりそれはそれでやっていましたのね。

 狙っていない方の証言が大きすぎてトんでますけれど。

 

「見ていてください、魔王様……死なぬ躯で、もう一度あなたを……!」

 

 ゆらり、と。

 ブラッドの背後で、大きな影が立ち上がる。

 

 グラヴィティハンド……は、魔族であるブラッドを通り抜ける。他の作用系魔法も同じ。

 ショベルを投げる? そこまで完璧な投擲技術はない。いや、流石に考えている暇は──。

 

「安心しなァ、気付いてるよ」

 

 屈み、裏拳を影へと入れるブラッド。馬鹿、相手の攻撃手段が噛みつきな時点で素手なんか使うな、ですわ。

 

「あ? 硬ってェなァ」

「……当然だ。ソレは、そこにいるアンデッドと……先代魔王様の血肉を結集させて作り上げた怪物。歴代最凶と謳われた紅耀の魔王……!」

「あら、あなた起きていましたの。途中から自分が何喋ってるのか気付いて自暴自棄になっちゃった感じですの?」

「黙れ人間。人間風情と話すことなどなにもない」

「あ、いや、それは私の勘違いで……」

「目を覚ませ、エルレビ。ブラッドもだ。魔族には頭部だけが骨で、亡霊を身に纏って戦うアンデッドなど存在しない。こいつはそこな最弱魔王が引き入れた敵。アンデッドの混乱に乗じて魔王軍を瓦解せんとするがために現れた人間だ」

 

 ──"のうのうと"、"よくもまぁ"。

 

 溜息を吐くエルレビとブラッド──には、悪いですけれど。

 

「ええ、その通りでしてよ。私は人間ですわ」

「え」

「……やっぱりかァ」

「ブラッド、わかっていましたの?」

「オーガの俺とマトモに打ち合えるってのはァおかしいがなァ、なんとなくそんな気はしていたさァ。ま、俺が人間を嫌う理由は弱っちぃのに狡いからだァ、強い上に狡いんだったら嫌う理由がねぇよ」

 

 それも想定していたことですわね。

 同じく、エルレビが受け入れられないこともまた。

 

 Grr……と唸り声を上げて、怪物が姿勢を立て直す。

 巨大ですわねー。通路の頭ほとんどついているじゃありませんの。

 

「魔王様よォ、アンタが魔王になったのは、先代魔王を倒したからだよなァ」

「ああ。正確には殺したから、だ」

「んじゃコイツ程度余裕だよなァ?」

「そんなことはない。前代にも辛勝だった。万全を期すために、あなたの力を借りたい。構わないがブラッド・フラット」

「いいねェ、やっぱアンタァ話が早くて助からァ!」

 

 始まる激戦を背景に、動揺しているエルレビと、うつ伏せのまま甘言を弄しているクラウスを見る。

 

「クグカの死は仕方のないことだったと納得した。そう言ったな、エルレビ。だが、本当にそうか? ドラゴンなどという私達の生活には一切の関係がない種族との交友を復活させるために彼女は駆り出され、そこの人間の地位を確固たるものにするためだけに殺された。彼女は被害者だ。その死が仕方がないなどと、最適解だったなどと……そんなことを言うお前ではないだろう」

「……私は」

「仲間想いのお前があの弱小魔王を認めた理由は、他の魔族を見捨てなかったからだと言っていたな。だがどうだ、クグカのことは仕方ないの一言で済ませた。その判断をした人間に対し何の沙汰も出さなかった。──お前は本当にあの魔王を見ることができているのか? 魔王という肩書を妄信しているだけじゃないのか?」

「そろそろ勧誘タイム終わりですのよ。あと三十秒くらいにしてくださいまし。それを過ぎたらミスリル製のショベルが首に落ちますわ~」

「エルレビ。お前自身がどうしたいか、だ。私の目を見て、言え」

「おい娘、無駄な殺生は」

「無駄ではありませんのよ。益ですわ益。くだらない扇動家を身内扱いするのはどうかと思いますわ~」

 

 見せつけるように。

 クラウスのうなじから少し離れたあたりに待機させたショベルをくるくる回す。

 刻一刻と過ぎる時間は。

 

「私、は──」

「ほら、この程度なんだ。この場にあって、平和を謳うあの魔王は私の命を捨てた。人間に嫌われたくないからだ。人間に取り入るためだ。……目を覚ませ、エルレビ。あなたは誇り高きウィッチのはずだ」

「……。……そうね、あなたの言う通り」

「エルレ──」

「アイスバーン。──やっちゃって、骨女」

 

 凍り付くはクラウス。その眼球までもに霜を走らせ、血走ることさえ間に合わないまま──ザク、と。

 

「……バッカみたい。無知は罪ね、クラウス。知らなかったのね。私たちウィッチが……今の魔王様が就任したことを受けて、その軍門に降った最初の種族だ、って。私たちウィッチは力の信奉者ではあるけれど、同時に魔法学という智の信奉者でもある。そうね、信用されていなかったのは……少しだけ悔しい。でも、信用されないだろうな、と思いながら道化を振る舞ってきたのは私自身なわけだし、今更でしょう」

 

 それに、と。彼女は続ける。

 

「アンタが信仰してた先代魔王こそ、仲間を見捨てる奴の権化じゃない。死んだのは弱かったから。できないのは弱いから。従えないのは弱いから。全てを弱さのせいにして、それまで培われて来た全ての繋がりを失った最狂の魔王。……クグカの死は仕方のないことなのよ。あの場にいなかったアンタじゃどうしようもないくらい、仕方のないことだった」

 

 まぁドラゴンゾンビのブレスを私のせいにされましても……って話ですわよね。

 

「……骨女。ちょっと退いて。ソイツの死体、焼くわ。骨も残らないくらいに。……後々アンデッド化しても面倒でしょ」

「それは願ったりかなったりですけれど、まーた酸欠必至ですわよそれ」

「ああそりゃァ大丈夫だァ! さっき入り口まで戻ったんだがァ、なァ! クソジジイとノギオンのやつが、"換気は必要だから"とかなんとか言って全開にしてくれてたわァ!」

「成程、彼らは、あるいはもっと早くに理解していたのかもしれませんわね。クラウス様の暴走を」

「……じゃ、遠慮なく」

 

 すぅ、と深呼吸を置くエルレビ。そして。

 

「崩れ落ちる山肌。離れていく賛歌。目を瞑り祈りを上げる落日」

「ちょ」

 

 た、退避! 退避ですの! 火属性の終局魔法が来ますのよ! ほら馬鹿二人と怪物ももっと奥行って! あ、百代魔王のお姉さまは……申し訳ありませんけれど我慢して!

 っていうか終局魔法覚えすぎですの! それ一個あるだけでどんだけ対策必要になると思ってますの!?

 

「囃し立てる焼処(やけど)。大いなる他人事。曝け出す金熾(かなしき)事割玉(りゆう)──」

 

 あとこんな密室で使ったらあなたも吹き飛びますのよ──!

 

「とか関係なくフレアノズル!!」

 

 クラウスの体だけを包み、削るようにして焼き焦がす炎。

 それは文字通り骨まで焼いて、彼をボロ炭にした。

 

「……馬鹿みたいに慌てて、滑稽ね。アンタが焦る姿を見られただけ僥倖だわ。クラウスの死にも、意味があったってもんでしょ」

「いえあの……ちゃんと終局魔法な魔力が渦巻いていたように思うのですけれど」

「そうやって蓄積魔力から使う魔法を察知してくる奴の対策くらい開発してるのよ。ウィッチですもの、魔法を如何に妨害されないか、っていうのは何よりも優先して考えることよ」

「いえですから、それだけの魔力を放出したのは事実なのでは? もう少し詳しく言うと、あなた今倒れる寸前では?」

「──馬鹿ね。そういうの言わないのが華でしょ。……とっととあっちの馬鹿二人を手伝ってきなさいよ。私は……大丈夫だから」

 

 がくんと項垂れるエルレビ。……まぁ、自爆ですわねそれ。同情とか欠片もできませんわ。

 まぁ……今の一時くらいは、何も考えなくてよくなりたい、という気持ちは伝わってきましたけれど。

 

 特に檻の方へも被害は行っていないようですし、じゃ、おいときますわ。

 

「ブラッド、元凶クソ魔王。その怪物はそんなに強いんですの? 時間かかり過ぎですの~」

「弱い。が!」

「弱いが……」

 

 異口同音に評価を吐いて。

 

「本当に死なねえと来た!」

「斬っても斬っても復活する……クラウス、本当に彼女を……」

 

 成程。

 

「こういう時は大体どっかに供給源があるものですわ~。その怪物と彼女に繋がりは?」

「パスのようなものは……見えぬな。クラウスともだ」

「となれば地中にあるんじゃありませんの? クラウス様は地属性使いだったわけですし」

「仮にそうだとして、如何とする、娘」

「簡単ですわ。供給範囲外に出してしまえばいいのです。不死性、あるいは体力を注ぎ続けるそれの効果範囲外に出てしまえばタフなだけの怪物になりさがりましょう」

「……そういうことであれば、ブラッド。斬首を合わせる。いけるか?」

「おうよ!」

 

 しかし、地中とはいえ、離れたところにギミックがある、ですか。

 最近似たモノと遭遇しましたわよね。……偶然? ……なんなら『不死根(デッドレス)』と彼女の仕組みも……?

 

 スパン、と斬れた怪物の首。

 それが私の前に飛んできて。

 

「──【愚悪賢者】ゴルズィオ・ヴィリジオニティカ。この名に聞き覚え、ありますの?」

「……」

 

 飛んだ首……生きているようですけれど、反応は……ありませんわね。

 ま、いいですわ~。やることは変わらないのですし。

 

 怪物の首を蹴り飛ばす。

 

「とっとと運び出して、どっかで処理してきてくださいな。あ、魔王。あの方には酷いことをしないと約束しますので、この牢を少し調べてもよろしいかしら?」

「ああ、構わん」

「それが終わったら私、勝手にいなくなりますので、特に探さなくてもよくってよ」

「そうかァ、寂しくなるなァ。じゃあなァ、骨女ァ」

「はいですの」

 

 さて。

 この世界に転生してから何気に趣味になりつつあった魔法解析のお時間ですわよ~。

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