ツインターボに脳を焼かれたウマ娘は、大逃げで世界一を目指す 作:223系新快速
2024/2/21追記:読売マイラーズC除外の理由を、賞金不足から跛行に修正しました。
第12話 中途半端な走り
パン「また負けた…。」
神戸新聞杯の後、リステッドのオクトーバーSやGII中山記念などを走ったものの、2着が最高。今度こそと思って挑んだら、
パン「跛行!?」
南坂「ええ、次の読売マイラーズCは除外です。」
パン「そんな...。」
南坂「しばらく、休養に入った方が良いですね。ここのところずっと、出走続きでしたし。」
◇
パン「はあ~。」
ネイチャ「まあまあ、気にせず走り続ける事が大事でしょ。」
ターボ「…。」
パン「どうすれば結果を出せるんだろう…。」
ターボ「見ていて楽しくない。」
パン「ターボ先輩、それってどういう…。」
ターボ「どうしてターボに憧れたのさ。」
パン「え?」
ターボ「そんなに1着に拘った走り方をするなら、ターボじゃなくてテイオーに憧れたら良かった!他にも強いウマ娘はいっぱいいる!」
パン「そ、それは…。」
ターボ「逃げに憧れないパンの事なんてもう知らない!」
バタン
パン「そ、そんな、ターボ先輩、待ってください!」
バタン
南坂「うーん、これは、少々荒療治が必要ですね。」
イクノ「そうですか。では、あの2人を呼び戻す必要がありますね。」
南坂「ええ。」
◇
テイオー「あれ、ターボ師匠、どうしたの?」
ターボ「ターボ、もうパンサラッサの面倒見るの辞める。」
テイオー「どうして?師匠は『諦めない』が身上じゃないの?」
ターボ「見ていてつまんない。勝ちに拘るなら、テイオーを見習えばいい。」
キタサン「えー!?そんな理由で面倒見るの辞めるんですか!?」
ゴルシ「いや、アタシはありだと思うぜ。実際、あいつの走りを見ていても、なんの面白みもなかったし。」
沖野「おいおい、チーム移籍は双方が合意しないと駄目だぞ。あの南坂トレーナーを説得するのは一筋縄ではいかないんだ。」
スペ「そんなに凄いんですか?」
沖野「スぺも知っているだろ、テイオーの引退ライブでのジャック。あの手際の良さは恐ろしくなるほどだ。その手の工作を専門とする、軍の特殊部隊出身だと言われても驚かんよ。」
ターボ「取り敢えず、今はパンサラッサに会いたくない。ここにかくまって。」
テイオー「分かった。でも、パンサラッサが情熱を取り戻したら、またちゃんと面倒見るんだよ。」
ターボ「…、うん。」
◇
パン「あのー、ターボ先輩来ませんでした?」
テイオー「ターボ師匠?そういやさっき君の事を声に出しながら走っていったよ。どうかした?」
パン「実は…。」
私はさっきの事を話します。
テイオー「それはパンサラッサに問題があるね。」
パン「え?」
テイオー「ターボ師匠は、自分の走りが出来ずに心が折れ、引退しようとしていたボクを立ち直らせた。その走りに魅入られたのに、自分から捨てるなんて、絶対に間違っている。」
パン「で、でも…。」
テイオー「ねえ、なんでボクがターボに師匠、とつけるか分かる?」
パン「え?」
テイオー「それが分かったとき、君は一皮むけた存在になるよ。じゃあ、ボクはトレーニングがあるからこれで。」
パン「行っちゃった…。」
◇
あの後学園中を探しましたが、いませんでした。スピカを始め、心当たりのある場所は全部見たのに…。
パン「はあ…、どうすればいいんだろう…。」
♪~
パン「これは…、ヴァイオリンの音色?」
見ると、見知らぬウマ娘がヴァイオリンを弾いています。
パン「綺麗な音色…。」
アース「ふうん、ターボの言う通り、つまらない奴だね。」
パン「誰ですか?」
アース「僕はサウンズオブアース。チームカノープスというファーストクラススターの一員さ。」
パン「本当ですか?チーム紹介の時にはいませんでしたよ。」
アース「チームメイトのロイスアンドロイスと共に、エクスペディションをしていたものでね。ところで、君の為に一つ演奏を聞かせてあげようじゃないか。」
パン「え、いいんですか。是非お願いします。」
♪~ ♪♪~
パン「上手ですね。」
アース「そうじゃないさ。」
パン「謙遜ですか?」
アース「いいや違うよ。」
カチッ
パン「ろ、録音!?」
アース「そう、その通りさ。君は私の腕の動きと音楽というアピアランスに騙されて、私が名演奏していると思った。見た目に拘り、本質を見ていない君のようだとね。」
パン「本質が見えていない?」
アース「そう。君は勝つためと言いつつ、結局自分が一番勝てる戦術から逃げている。」
パン「でも、最初から飛ばすとバテるんです。だったら上手くペース配分した方が勝てる確率は高くなります。」
アース「その理屈は、能力が十分にあるウマ娘が言えることだ。今の君にそこまでの能力があるとは思えない。何より、例えその戦術で勝ったとして、君が納得いく走りじゃないだろう?」
パン「そ、それは…。」
アース「部室に戻ろう。そして、不満を全部吐き出そうじゃないか。」
◇
部室には、ターボ先輩を除いたメンバーが勢揃いしていました。ただ、眼鏡を掛けた人が一人増えていますが。
パン「あの、アース先輩に続いてもう一人知らない人がいるんですが。」
ロイス「私はロイスアンドロイスです。今回の話には、私も一言あるので、どうぞよろしくお願いします。」
パン「は、はあ…。」
ネイチャ「それで。パンサラッサが逃げをやめようと思ったきっかけは?」
パン「悔しかったんです。ターボ先輩が途中で力尽きて下位に沈むたびに、逆噴射だとして笑われ、ネタにされるのが。だったら、せめて弟子である私は勝ちに行きたいって。」
部室内に沈黙が流れます。
パン「あ、あの、何かまずいこと言いました?」
イクノ「何もかも間違っていますね。」
パン「そ、そんな…。」
イクノ「確かにターボさんの戦術は、勝率は低いでしょう。ですが、毎回逆噴射をするわけではない。上手く走った場合は、あのオールカマーのように逃げ切れます。」
パン「でもその時は、序盤に上手く溜めて逃げ切ったはずですが。」
イクノ「結果だけを見ればそうでしょう。ですが、その前提条件として、普段ハイペースの大逃げをしている事があります。普段よりはペースを抑えたからこそ逃げ切れた。何より、自分の勝ちパターンを確立出来ていることが大きい。」
ロイス「自分に合わない戦術を取っても、勝率は0%。」
パン「ゼ、ゼロ!?」
ロイス「ええ。全員がズッコケるような、まぐれ以外で勝つことは不可能です。そんな受け身なやり方で、勝負の世界に居続けるのは不可能ですよ。」
イクノ「論より証拠。自分のレースを見直すことですね。」
パン「え、でも、反省はこれまでにも…。」
イクノ「そここで言う反省とは、ターボさんと自分の走りを重ねる事です。」
イクノ先輩が、二画面で比較してくれた。その結果…。
パン「嘘、一度もターボ先輩に追いつけていないか、自分も脱落するかだ…。」
イクノ「そもそも、『逃げが駄目なら先行で』、が通用するほど、先行が簡単なわけではありません。周りとの間合いを図り、ベストのタイミングで仕掛けなければならないなど、逃げとは別の難しさがあります。」
タンホイザ「だから、普段の練習から研鑽し、ライバルを意識して高め合うことが必要なんだよ。」
パン「大逃げという特殊な走法に憧れて、そういうの全然やってこなかった…。普段から全力で研鑽し、レースでは死に物狂いで走る、他のウマ娘に申し訳ない…。」
イクノ「そう思うならば、行動を改めることです。レースで結果を残し、自分を変えたことを実績で示す。私達にはそれしかないのですから。」
パン「出来るかな?」
ロイス「出来ますよ。現時点でオープンクラスならば、全力で研鑽すれば重賞も十分に狙えます。」
パン「は、はい。」
パン「とは言ったものの、どうすれば…。ん、これって、ターボ先輩に憧れる前の…。」
それは、小学生の時に、ムードメーカーであることを表彰されたメダルだった。
パン「パンだって、やれば出来る…!」
投稿が遅れている間にカノープスに新メンバーが加わり、それで閉塞状態を打破するきっかけを得ましたが、言葉遣いが難しいキャラの再現は難しいです(ルドルフ、ゴルシ、オペラオー、ギムレット、ヘリオス、パーマーに続き、アースで7人目)。