ツインターボに脳を焼かれたウマ娘は、大逃げで世界一を目指す 作:223系新快速
20世代のヴェルトライゼンデ、ドイツ語で世界旅行者という意味で、良い響きですね。ドイツ語って、なんでこんなにかっこいい単語が多いのかな。
パン「おはようー、今日も元気に頑張るッサ!」
ネイチャ「あのー、どちら様ですか?」
ネイチャ先輩の言葉にズッコケる。
パン「ネイチャ先輩、酷いッサ、チームの後輩の事忘れたッサ?」
ネイチャ「い、いや、パンサラッサなのは分かるよ、けど、その語尾と立ち振る舞いは、どう考えても昨日までのパンサラッサとは別人だし…。」
パン「あーこれ、入学試験の時に、レース以外で他人に迷惑がかかるってコントレイルに指摘されて、入学時に修正したッサ。けど、それで自分の走りが出来なくなる位ならって、戻す事にしたッサ!」
「「「…、えええーっ!?」」」
朝の学園に、絶叫が響き渡る。
◇
クラスメイトのコン、タクト、テソーロ、のんびりやのディープボンドことプボにヴェルトライゼンデ、同じ逃げウマ娘のバビットも驚いている。
タクト「あ、あの、これからもそのキャラで通すつもりですの?」
パン「勿論ッサ!」
プボ「無理してキャラ作ってな~い~?そういうのは疲れるよ~。」
パン「これがパンの素ッサ。」
テソーロ「お前、そんな陽キャムーヴする奴だったの?」
パン「そうッサ!小学生の時は、ムードメーカーの役割を担うこともあったッサ!」
ヴェル「レースには真面目に取り組めるの?」
パン「勿論ッサ、というか、寧ろこれまで以上に真剣ッサ!陽キャムーヴするには、事前に心配事は全部取り除いておく必要があるッサ!」
コン「これで別人のような成績になったら、責任感じますね。」
パン「コントレイルのせいじゃないッサ。他人の言葉一つで行動を変えるくらい、自分に自信がなかったことッサ。それに、迷走している中でも、技術力は確実に進歩していることは、映像を見返して確認済みッサ!」
質問に受け答えしていくうちに、バビットが詰め寄ってくる。
バビット「つまり、やっと逃げウマ娘として本領発揮するってことか。おもしれえ、私とひりつく勝負をしたいね。」
タクト「バビットさんが逃げている理由は何ですの?」
バビット「私が逃げやる理由?ひりつくからさ。自分の出せるスピードの限界を出し続け、抜かれるか逃げ切るか。これほど単純で、それでいてひりつくものはねえさ。」
コン「なんか学園一の勝負師、ナカヤマフェスタ先輩みたいな言動ですね。」
バビット「まあな。フェスタの姉貴には運命感じているし。それより、パンサラッサが逃げをやる理由ってなんだ?」
パン「え、そ、それはまだ良く分からないッサ。一応ターボ師匠に憧れてなんだけど...。」
バビット「ならそれをきちんと考えることだな。単なる憧れじゃ、理由としては浅いぜ。折角良い先輩に師事しているんだからよ。」
パン「わ、分かったッサ!」
◇
パン「ということがあったッサ。とはいえ、なんで大逃げにそこまで拘るのかと言われると、ちょっと分からないッサ。」
南坂「うーん、そうですね。暫く休養しつつ、学園の外の景色を見るのもいいかもしれませんね。」
そんな訳で、練習を休んで、街中を歩いていた。ネイチャ先輩の商店街を通り過ぎ、しばらく行くと、何やらレースをしていた。
パン「これは…、フリーレース?」
見ると、メジロパーマー先輩が走っている。
パン「え、パーマー先輩!?」
パーマー「あれ、パンサラッサじゃん。どうしたの?」
◇
少し場所を移動して、河川敷に座る。
パン「どうしてパーマー先輩がここにいるッサ?」
パーマー「私はこのフリーレースの常連だよ。ここなら順位や周囲の目を気にせず、思いっきり走れるからね。」
パン「春秋グランプリを制したほどの人でも、こうして自由に走りたくなる時はあるッサか…。」
パーマー「あー、それは逆。ここで自由に走れたからこそ、春秋グランプリを制することが出来たんだ。私はメジロ家の一員だけど、正直言って期待されていなかった。障害レースを走ったりするくらいにね。けど、ここで走って、自分らしさを見つけて、それで自信を持てた。たまには逃げるのも良いってこと。」
パン「パーマー先輩、パンも走っていいッサ?」
パーマー「勿論。」
◇
フリースタイルだから、形には拘らなくていい。だったら、思い切り逃げるだけ!
ダッ
風が体を切り裂く。でも、その勢いが今は心地いい。そう、まるで小学生の頃のかけっこのように…。ん、かけっこのように?
パン「分かったッサ!」
パンは大逃げに憧れたんじゃない、駆けっこの如く、後先考えない全力疾走だからこそ、ターボ先輩、いや師匠に憧れたんだ。ならば、
パン「もっと強く、もっと速く!」
大地を力強く踏みしめ、どんどんスピードを上げる。パンはぶっちぎりの1位でゴールした。
ゴールしたら、周りからもう一回、もう一回と再戦をせがまれる。
パン「皆もパンの走りに魅せられたッサ?」
「うん。」
「いいなー、あたしもあんな風に学年一の足を誇っていた時期もあったなー。」
「幾らフリースタイルだからって、あんな風に走るのは難しいんだよねー。」
「そうそう、完走しなきゃって思うと、どうしても足溜めないといけなくて。」
「最後に纏めてごぼう抜きも、それはそれで爽快だし。」
皆もそうなんだ。最初から最後まで全力で飛ばすのは理想論で、でも出来る人が少ないから、憧れるんだ。
パーマー「うわー、あたしが初参加した時みたいだ~。こりゃ同じ大逃げをするウマ娘として、うかうかしてられないね。」
◇
パン「戻ったッサ!」
ネイチャ「もう戻ってきたの?」
パン「パンは、パンと皆の理想を体現する走りをするッサ!そのために大逃げをするッサ!」
南坂「これはもう大丈夫そうですね。」
パン「ターボ師匠に謝らないといけないッサ。早くスマホで呼び出すッサ!」
ネイチャ「スマホで呼び出すことを忘れるくらい、倒錯していたってことか。」
暫くすると、師匠が来ました。
ターボ「パン、どうしたのだ?」
パン「師匠、すまなかったッサ!」
全力で土下座する。
ターボ「これ、前にも見たことある…。」
パン「師匠の、大逃げにかける思いの強さ、全然理解していなかったッサ!これからは死に物狂いで努力して、理想を現実のものに出来るようにするッサ!」
ターボ「よーし、ならターボについてこーい!今から並走だー!」
南坂「ちょっと、今からですか?」
イクノ「まあいいじゃないですか。折角やる気が上がったんですし。」
え、そういう理由で覚醒するの?と思う人もいるでしょうが、これほぼ作者の実話です。
先輩から師匠へ呼び方が変わる経緯はじっくりやりたかったので、これが描けて満足です。
ここから先、ターボ師匠のシナリオよろしく、大逃げをするウマ娘がどんどん絡んできますよ。