ツインターボに脳を焼かれたウマ娘は、大逃げで世界一を目指す   作:223系新快速

16 / 26
今回は、パンサラッサの心理描写が多いです。
リステッド競走がここまで転機になるウマ娘の小説って、他にあるのかな?知っていたら紹介してほしいです。


第15話 心境変化

パン「トレーナー、もうそろそろいけると思うッサ。」

南坂「そうだね。去年2着に惜敗したオクトーバーSを目指しましょう。」

パン「今度こそ勝つッサ!」

ターボ「パン、思い切り逃げるんだぞ。」

パン「師匠、勿論ッサ!もう中途半端な真似はしないッサ。メンタルトレーニングの成果を生かすッサ!」

 

半年間メンタルトレーニングに努めた結果、タイムは見違えるように速くなった。なんでメンタルトレーニングばかりやっていて、タイムが速くなるのかと突っ込まれる方がいると思うので、その理由を説明する。

 

口調を変えてからパンが意識したことは、『結果に関わらず、自分のやり方を、走りを貫く事』だった。もっといいやり方があるんじゃないかと疑心暗鬼になり、自分の強みを捨ててしまう。だが、それでは勝てるレースも勝てない。自分の強みに磨きをかけることで勝率を上げる。それが、パンに一番必要な事だった。

 

でも、これを実践する上での前提条件の存在を、パンは理解していなかった。鍛えるにしても、パンはそのやり方に疑いを持ちやすく、そして一旦疑問を持つと効率が著しく下がってしまう。言われた通りにトレーニングをこなすだけのウマ娘の方が、頭を使っていないのにレースで勝てたりすることがあるのはこのためだ。だから、パンに必要なのは、最後まで自分を、仲間を信じ切るための、メンタルトレーニングだった。

 

勿論、こんなにもメンタルトレーニングばかりして大丈夫なのか、不安にはなった。でも、それをトレーナーさんに打ち明けたところ、納得いく説明をしてもらえた。『レースだけなら時間効率は悪い、でも今後の人生も考えると、ここで思考の改善を図ることは、絶対に必要になる。』と。確かに、自分に自信を持てるようになってから、周りとの関係は改善している。口調を変えたときは驚いた周囲も、パンの変化を受け入れてくれたし、先輩にも伝手が出来た。確実に改善しているからこそ、信じて続けることが出来た。

 

また、根性が元々備わっていたのも大きい。大逃げは、最後にガス欠になることが多い。だからガス欠になった際にどうやって後続の猛追を凌ぐかが課題になる。そこでキーになったのが、パンの根性。先行に手を出すなど、迷走していた時はイマイチ生かせていなかった根性が、最後の粘りを生むようになって作戦にマッチしだした。これで、ガス欠を気にせずに、最初から全力で大逃げが出来る。もし根性も尽きたら、もう仕方がない。その時は実力不足だということで諦めもつく。

 

 

~東京レース場~

リステッドは条件戦からオープンクラスに上がろうとするウマ娘が多くいる。また、収得賞金の関係でオープンクラスにいるものの、格上である重賞では勝てないウマ娘も走る。

さてと、パドックでは、パンは思い切り動き回る。基本的にウマ娘は、パドックでは落ち着いている方が好走すると言われているけどパンは逆。無理に落ち着けと言われると、やる気をなくしてしまう。

 

実況『2番パンサラッサ、やや落ち着きがない様子です。』

解説『これは入れ込みすぎでしょうか。』

 

それはパンの事を知らないから言うこと。これでパンが勝ったら、認識を改めるだろう。

 

実況『東京レース場第4レース、リステッドのオクトーバーステークス。18人がゲートに収まって、』

 

ガコン

 

実況『スタートしました!』

 

ダッ

 

ゲートが開くなり、パンは前へ出て逃げ始める。

 

実況『2番のパンサラッサ、早くも2バ身リード。これは掛かってしまったか?』

 

掛かったんじゃない、これがパンのペースだ。どんどんペースを上げ、後ろを突き放していく。

 

実況『1000m通過は59秒3。』

解説『先頭と二番手以下に大きな差がありますが、思ったよりも飛ばしていませんね。』

 

後ろをちらりと振り返る。ざっと10バ身はついている。このまま最後まで逃げ切る。最終直線に入り、残り200mを切った時点でもまだ5バ身差がある。行けると思った矢先、

 

ブルー「行かせない!」

実況『プライスレスブルー追い込んでくる!これは届くか!?』

 

抜かせない。最後まで逃げ切ってやる!もうスタミナは尽きかけているけど、根性で粘る!

 

実況『パンサラッサ、プライスレスブルー並んでゴールイン!』

 

ゴール板を通過し、速度を緩める。掲示板には、写真の文字が。これは審議だ。

 

パン「どっち?」

ブルー「分からない。写真判定みたいだし。」

 

暫くして、審議ランプが消える。1位の欄に灯ったのは、2という文字。

 

実況『2番パンサラッサ、アタマ差で逃げ切り勝ち!』

解説『いやー、驚きました。途中まではガス欠を起こして下位に沈むと思ったんですが、逃げ切ってしまいましたね。』

 

観客は、重賞に比べれば少ないながらも、パンに声援を送ってくれる。手を振ってファンに応え、控室に戻る。チームメイトが勢揃いして待っていた。

 

パン「やった、勝った!」

ターボ「いいぞパン、見ていて気持ちのいい逃げ切り勝ちだったぞ!」

パン「はい、次も逃げて勝つッサ!」

ネイチャ「いやー、久々の勝利ですなー。」

南坂「そうですね。去年の6月以来、1年4か月ぶりの勝利ですから。」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。