ツインターボに脳を焼かれたウマ娘は、大逃げで世界一を目指す   作:223系新快速

17 / 26
祝、ウマ娘ゲーム3周年!
今回から、パンサラッサは自分の道を歩み始めます。


第16話 第二のツインターボ

パン「オクトーバーSを勝ったのに、またメンタルトレーニングッサ?」

南坂「ええ。パン君が今後も大逃げを続ける上で、自信を確信に変えるために、必要なことです。ですが、これについては、一度大逃げを自分の意志で選択した上で勝利しない事には、机上の空論ですから。」

パン「は、はい、それで?」

南坂「まず大事なのは、大逃げというのは、不器用な気性難しかいないということです。」

 

いきなり訳の分からない言葉が飛び出す。因みに、南坂トレーナーは最近パンの事をパン君と呼ぶようになった。

 

パン「そ、そんな、ターボ師匠にエース先輩、パーマー先輩と、皆頼りになる先輩ばかりッサ。」

南坂「確かに普段はそうかもしれません。ですが、レース中になると、様子が変わります。皆、大逃げしか出来ない、不器用な性格なんですよ。」

パン「ええーっ!?」

南坂「思考が狭まって、自分の走りしか考えられなくなる。ターボさんも、走っている最中は周りのウマ娘が怖くて、だからあんなに大逃げをしているんですよ。」

 

うーん、でも、パンはそういう感覚はない。

 

南坂「ええ。それが普通なのですが、こと大逃げに関しては、それが逆に勝利への足かせとなるのです。常識とは真逆の走りをするが故に、常識が邪魔して思い切った走りが出来ない。」

パン「うう、そういわれると、これまでの迷走が全部説明出来てしまうッサ…。」

ネイチャ「成程、なまじ精神的に余裕がある分、躊躇いが生じて速度を無意識に落としてしまう訳ですかー。デバフを使って周りを委縮させる私とは逆ですなー。」

南坂「確かに、その通りですね。」

イクノ「ですが、こうして説明するということは、対策の方法があるということですね。」

南坂「ええ。その肝は、レースではなく、タイムトライアルとして捉えることです。」

パン「え、ええっ!?」

南坂「自分以外の全ての出走者の存在を脳内から消し去り、とにかく自分が出せる最速タイムでゴールを駆け抜ける。そういうレースをすれば、パン君は自分の走りが出来ますよ。」

タンホイザ「勝てる、とは言わないんだ。」

南坂「勝つことを意識したら、パン君は自分の走りが崩れますからね。」

ネイチャ「じゃあ、並走トレーニングは不要ってこと?」

南坂「ええ、そうですね。むしろ、変な癖がつくので有害ですらあります。」

 

それを聞いて黙り込む。

 

南坂「パン君?」

パン「トレーナー、トレーナーが今言ったこと、どれも何となく感覚では分かっていた。でも、それを言語化して確立する事は出来ていなかった。だから自分から提案する自信が持てなくて、結果も出なくて、自己嫌悪に陥っていた。もう、こんなことはしたくない。」

南坂「その感覚、忘れないでください。」

パン「え?」

南坂「最高の効率を常に維持するには、環境が良いだけでは十分ではありません。自分の精神状態が原因で、最善を尽くせないもどかしさを実感しているからこそ、そうならないように常に全力を出し、後悔しないようにするのです。」

パン「わ、分かったッサ!」

 

 

パン「い、言うのは簡単だけど、やるのは簡単じゃないッサ…。」

 

漫画やアニメだとサラっと流されるけど、ここがキツイ。

 

イクノ「サラっと流せるのが、努力を厭わない人間です。努力出来るのも才能の内ですよ。」

パン「本当ッサ!?」

イクノ「本当です。努力する際には辛いことが沢山あります。脳構造が苦痛に耐えられるか否か、分泌される物質の多寡などで決まります。」

パン「努力しないのは甘えだっていうのは成功者の詭弁ッサ?」

イクノ「どちらかというと社会構造の問題ですね。成功者は皆努力しています。」

 

 

1か月経ち、福島記念。ここは、ターボ師匠がラジオたんぱ賞と七夕賞を勝った場所。

 

パン「さあ、今日も逃げるッサ!」

「「「「「見せて(貰うわ/くれよな/貰うっしょ)、新時代の大逃げを!」」」」」

パン「え?」

ターボ「皆来てくれたんだな!」

パン「え、嘘!?」

 

大逃げをする先輩がずらりと揃っている。ターボ師匠はもちろんのこと、エース先輩、パーマー先輩、ヘリオス先輩、スズカ先輩、タップダンスシチー先輩。

 

パン「パンの事を応援に!?」

エース「勿論だ、チーム『大逃げの会』にとっては久々の新規加入メンバーだ、逃すわけがない。」

スズカ「ターボの弟子が、ターボばりの大逃げを見せてくれるなら、見るしかないわ。」

ヘリオス「ウェーイ、バイブスかましてこー!」

パン「先輩…、じゃあ、行ってくるッサ!」

パーマー「いやー、気合入っているねえ。こりゃ期待出来るね。」

 

『おおっと、今日出走のパンサラッサの周りに、G1級ウマ娘が揃っています。カツラギエース、メジロパーマー、ダイタクヘリオス、サイレンススズカ、タップダンスシチー。いずれも大逃げで名を馳せたウマ娘です。』

『誰か応援したいウマ娘がいるのかもしれませんね。それはそうとしてゲート入りです。』

 

先輩がいるとか、そういうのは関係ない。ただ、自分の走りをするだけ。そういう理由で走り方がブレるのなら、それはパンの走りじゃない。

 

『スタートしました!』

 

スタートする。後ろの足音も影も気配も、一切気にしない。ただ、自分のペースの維持だけを考える。

 

『8番パンサラッサが先頭に立ちます。3バ身後ろにはステイフーリッシュ。』

 

1ハロン12秒を切るペースで走る。

 

『1000m通過タイムは57秒3!』

 

よし、ターボ師匠とほぼ同じペースだ。このままのペースを維持して、最後まで逃げ切る。

 

「ちょ、ちょっと、まだ逃げるの!?」

「む~りぃ~!」

 

パンについてきた先行勢は皆アップアップだ。

 

『第四コーナーから直線へ、さあ先頭は8番パンサラッサ、リードは8バ身、後ろから追い込んでくるが、これはパンサラッサだ、鮮やかに逃げ切って4バ身差でゴールイン!鮮やかに、迷いなく、逃げ切ったー!』

 

やった、大逃げで勝てた。その事実に、感無量になる。入学してから3年、ずっと自分のスタイルに迷い藻掻き続け、漸く確立した自身のスタイル。

 

 

ターボ「パン、やったな、やったな!」

パン「師匠と同じく、大逃げで勝てたッサ!」

 

師匠と抱き合って喜ぶ。そこに先輩達が駆けつけてくる。

 

パーマー「パンサラッサ最高!見ててバイブスぶち上った!」

パン「はい、パーマー先輩!」

スズカ「私とはちょっと違うけど、でもいい逃げだったわ。今度並走しない?」

パン「はい、スズカ先輩!」

ヘリオス「パン、これ見て!」

パン「ヘリオス先輩?」

ヘリオス「SNSでパンの事を呟いたらバズって、『第二のツインターボ』がトレンド入りしてる!」

パン「じゃあ、パンの走りは皆に認められたってことッサ!?」

ヘリオス「そういう事!有マ記念出走も夢じゃない!」

パン「ターボ師匠も出走した、夢のグランプリに、パンも…!」

 

有マ記念は、一年を締めくくるお祭りレースだ。それに出られると考えただけでワクワクする。

 

ネイチャ「はいはい、夢を見るのはいいけど、まずはウイニングライブをしっかりやること。センターを務められるのなんてめったにないんだから。」

パン「わ、分かったッサ!」

 

前回のオクトーバーステークスに続くセンターだけど、重賞は観客の数も気合の入り方も全然違う。気合が入り過ぎて、Make debut! を歌い切り、控室に戻ってきたときにはもうヘロヘロだった。

 

パン「つ、疲れたッサ。勝った者は負けた者の分の思いを背負う必要があるというけれど、ここまでとは思わなかったッサ。」

ネイチャ「ま、それが出来るのがキラキラのウマ娘ってこと。例え自分がそうじゃなくても、勝者の責任は皆等しく受ける。これまでも、これからもね。」

 




漸くパンサラッサのアイデンティティである大逃げ確立です。ところで、ウマ娘の小説では掲示板方式が流行っていますが、必要でしょうか?必要であれば、他の作品をベースに作成します。
後、タップダンスシチーだけ台詞がありませんが、彼女には彼女にしか出来ない役回りがあるのでご安心を。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。