ツインターボに脳を焼かれたウマ娘は、大逃げで世界一を目指す 作:223系新快速
福島記念勝利後、またミーティングをする。
南坂「今日の内容は二つ。一つ目はパン君の次走で、二つ目はパン君が注意すべき点ですね。」
パン「次走はどこッサ?」
南坂「有マ記念ですね。」
パン「師匠も走った、夢のグランプリ…。」
南坂「ですが問題は、有マ記念出走が可能かどうかですね。辞退者を除いたファン投票上位16人が出走可能なレースですから、人気投票で上位に入らなければ出走出来ません。」
パン「出られなかったらどうするッサ?」
南坂「1月の中山金杯への出走でしょうか。ですが、出走が決まってからトレーニングしたのでは間に合わないので、今からやります。」
パン「中山金杯のトレーニングはしないッサ?」
南坂「そちらの場合は福島記念とやる事は変わりません。さて、有マ記念の一番の特徴は、これまでパン君が経験したことのない距離だということです。」
パン「確かに、これまでの最長が2000mだから、それより500mも長いッサ。」
南坂「ですから、当然スタミナトレーニングを中心にしたメニューになりますね。」
パン「うー、スタミナトレーニングッサか…。」
正直スタミナトレーニングは一番きつい。あれだけ坂路トレーニングをこなせるミホノブルボン先輩は素直に尊敬出来る。
南坂「二つ目の注意すべき点は、他の逃げウマ娘の存在です。先頭争いを制しない事には、大逃げは成立しません。」
ネイチャ「それって、ある意味当たり前の事よね。」
南坂「いえ、あの時点ではまだ大逃げが固まっていませんでした。自分のやり方が固まっていないうちに、他の人の事を気にすると、総崩れの恐れがあります。」
ネイチャ「あー、確かに。」
パン「それで、何をするッサ?」
南坂「ゲート練習ですね。」
こんなにもレースで相手のことを意識するのは初めてだ。でも、それをしないと負けるというのなら、やるしかない。
パン「よーし、やるッサ!」
イクノ「ちょっと待ってください。私達もやります。」
パン「ゲートに入って、飛び出すのを練習するだけなら、パンだけでもいいはずッサ。それに、パンはゲートのような狭いところを苦にしないッサ。」
イクノ「いえ、問題はそこではありません。ネイチャさん達も含め、チーム全員が協力する必要があります。」
訳が分からないものの、トレーナーが必要性を認めたので、先輩達もゲートの練習に加わる。パンが最初に入り、先輩達のゲートインを待つ。早くしてほしいが、一番に入ったのがパンだから長くなるのは当然だ。
ガコン
ダッ
パンと師匠が真っ先に飛び出し、先頭争いをする。
パン「これがパンの実力ッサ!」
イクノ「果たしてそうでしょうか。」
間髪を入れず、二回目の練習が始まる。今度はパンは三番目のゲートインだ。
パン「うー、まだッサ~?」
漸く最後にゲートの苦手な師匠が収まる。
ガコン
パン「あっ、し、しまった!」
ゲートが開いた瞬間に飛び出すことが出来ず、出遅れてしまった。
イクノ「やはり、こうなりましたか。」
パン「やはりって、予想していたッサ?」
イクノ「ええ。ゲートを嫌がるわけでもないのにスタートが良い時と悪い時がある。それはタイミングの問題です。ですが、ゲート入りの順番や所要時間は毎回ランダムであり、パンサラッサさんが制御出来るものではありません。」
ネイチャ「でもさ、安定してハナをとる事が出来ないと、序盤で無理に先頭に立とうとして足を使ってしまいやすくなるよね。」
パン「何とかならないッサ?」
南坂「スタートが得意なウマ娘は、他のウマ娘のゲートインの最中、ずっと集中しています。ですが、パンサラッサさんは集中力にムラが出て、その上がり下がり次第ですぐに飛び出せたり出遅れたりします。これの抜本的解決は気性そのものを変えない限り無理ですね。」
パン「ううっ…。」
イクノ「気にすることはありません。誰しも苦手なものの一つや二つはあります。全てが完璧なら、絶対的存在としてターフに君臨するでしょうし、レースをやる意味もなくなります。そうじゃないからこそ、競い合う余地が生じるのです。マックイーンさんですら、得意の長距離レースで負ける事があったのですから。」
パン「それもそうッサね。よーし、頑張るッサ!」
この時のパン達は予想だにしなかった。そんなウマ娘が出てくることに。
ゲートで苦労するのは師匠と同じです。
特定の人物中心に描くという発想がこれまで薄かったので、凄く新鮮です。第三者視点からだと公平さは出せるけど、特定の登場人物に入れ込むのは難しいですね。それが原因で、6年間も停滞してしまいました。
後最後の一文は、とあるウマ娘の登場フラグです。