ツインターボに脳を焼かれたウマ娘は、大逃げで世界一を目指す   作:223系新快速

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2024/1/14追記:コントレイルの性格を変更。


ジュニア級編
第1話 大逃げの難しさ


それからの私は、必死で勉強し、トレーニングした。まだ小学生なので、過剰な負荷は掛けられないけど、勉強は出来る。だけど、困ったことが起きた。

 

パン「大逃げについての説明がどこにもない…。あの男の人達の言う事ってこういうことだったんだ…。」

 

適性、距離、コース取りなど、どんな脚質でも通じる部分は良いが、大逃げにはそれ用の専門知識がいる。特に、ペース配分の観点からすると、大逃げは一つ間違えば暴走であり、シビアな管理が求められる。一般のレース教室にも体験入部したが、大逃げは対象外であり、上手く行かない。

 

パン「トレセン学園に入るまでは駄目か~。」

 

最初から暗雲が漂うけど、これくらいで音を上げたら話にならない。ゲート練習やコーナーでの脚の動かし方など、今からでも取り組める部分はレース教室で続けることにする。

 

パン「ターボさん、頑張って欲しいな…。」

 

トレセン学園に入学するまでは、レース場、録画問わず、ターボさんのレースを見ないことにしている。いつまでも見入って、トレーニングにならないからだ。だけど、それでも気にしないわけじゃない。

 

 

ターボ「あー、違う違う、それだと大逃げじゃなくて、単なる逃げだよ。」

「えー、こんなのむーりー!」

ターボ「トレーナー、この子も駄目だった。皆ターボの走りに憧れるけど、誰も出来ない…。」

南坂「うーん、ターボさんの走りについていくのは、中々難しいようですね。」

ターボ「うん…。」

 

その様子を見ていたイクノが呟き始める。

 

イクノ「ターボさんも罪なウマ娘ですね。」

タンホイザ「それってどういうこと?」

イクノ「大逃げという特殊な脚質に魅入られるウマ娘は数多くいます。ですが、それを自分のものに出来るウマ娘はごく少数。今年も沢山のウマ娘が、ターボさんの走りに憧れてカノープスに入ってきましたが、誰一人耐えられずに脱落しました。」

ネイチャ「あー、死屍累々って感じだったね~。ロマンはあるけど、実際にそれをやるのは難しいっていうのの典型ですかね~。」

イクノ「確かに逆噴射は一種の様式美ではあるのでしょう。ですが、それは低確率であろうと勝つからこそ様式美となるのです。勝てないのでは意味がありません。」

ネイチャ「てことは、パンサラッサも今頃苦労しているってわけ?」

イクノ「ええ。ですが、それもまたウマ娘の宿命です。厳しいようですが、それで諦めるなら、それまでということです。」

 

 

月日が流れ、トレセン学園入試の日になる。試験内容は、筆記試験と実技試験、そして面接の3つだ。午前中に筆記試験、午後から実技試験、最後に面接になる。

午前中の筆記試験は、出来るだけのことをした。昼食を挟んで次は本命の実技試験。基本的に芝1600mで、希望すればそれ以外のレースとなる。筆記試験が少々悪くても、個々が良ければひっくり返せるというのがもっぱらの噂だ。体操服に着替えて、自分の順番を待つ。だけど、早く走りたくてたまらない。うずうずが止められず、つい歩き回ってしまう。

 

コン「すまないが、止まって貰えませんか。レース前にうろうろされると気が散るんです。」

パン「あ、す、すいません。」

 

でも、じっと待つのは性に合わない。他の人から距離を取って歩き回る。暫く待つと、自分の出番が来る。さっき声を掛けてきた子と同じレースのようだ。ゲートに入って暫く待つ。

 

ガコン

 

ダッ

 

よし、良いスタートを切れた。このまま逃げ切るだけだ。他に逃げはいないようで、私が先頭に立つ。兎に角前へ前へ、その一心で私はゴールを目指す。カーブではやや膨らんだものの、私を追いかけてくるウマ娘はいない。そのままハロン棒を通過し、残り400mとなる。

 

パン「いける、このまま…。」

 

その時だった。それまで後ろで控えていた子が一斉にスパートを掛け、迫ってくる。

 

パン「ま、負けるかあー!」

 

じりじりと差を詰められる。だけど、リードがある分、逃げ切れる。そう思ったときだった。

 

ビュンッ

 

パン「え?」

 

さっき私に声を掛けてきた子が物凄いスパートで私を抜き去り、1着になった。私はそのままゴールを通過し、2着になる。

 

 

実技試験を終え、着替える。だけど、さっき子の末脚がどうしても気になって仕方ない。

 

パン「あ、あの!」

コン「何ですか?」

パン「名前は、なんと言うんですか?憧れの人は?」

コン「そういうのは、自分から言うのが礼儀です。」

パン「あ、すいません。私、パンサラッサって言います。ツインターボ先輩が憧れです!」

 

それを聞いて、周りがクスクスと笑う。

 

パン「何がおかしいんですか。」

「「「い、いえ、別に…。」」」

コン「そう。私はコントレイル。憧れは、ディープインパクト先輩です。先輩の所属する、チームリギルに入って、先輩以上の存在になるのが私の夢です。先輩が衝撃の末脚ならば、私は大空に描く軌跡です。」

「「「!!」」」

 

それを聞いて私は勿論、周りの子も一斉に注目する。ディープインパクト先輩といえば、日本の英雄とまで言われたウマ娘だ。シンボリルドルフ先輩以来の無敗の三冠、そしてGI7勝を挙げた。空を駆けると形容される程の強烈な追い込みが特長で、菊花賞勝利時の、「世界のレースマンよ見てくれ!これが、日本近代ウマ娘の結晶だ!」という名実況は、私の脳内にもこびりついている。

 

パン「本気で目指しているんですね。」

コン「ええ。単なる憧れだけでなく、運命的な何かも感じます。笑う人もいましたが、私の強さを見せつけて黙らせました。」

パン「凄いですね、実力で黙らせるっていうのが、強者の貫禄って感じで。」

コン「そう言って貰えると嬉しいです。」

「コントレイルさん、面接が始まりますので準備お願いします。」

コン「はい。」

 

 

やよい「驚愕!君は、ディープインパクトと肩を並べるつもりかっ!」

コン「並び立つつもりはありません。超えるつもりです。」

やよい「君の走りなら、それも十分あり得るだろう!」

コン「ああ、それともう一ついいですか。」

やよい「何だ?」

コン「逃げのパンサラッサ、面白い存在になりそうですね。」

やよい「それは私もそう思う!」

 

 

面接はどんな人がするのだろうか。

 

パン「が、学園長さん!?」

 

見た目は子供だけど、これで日本のレース業界を仕切っているのだから、人は見た目によらないという。だけど、面接に出てくるのは予想外だった。

 

やよい「どうした?」

パン「学園長さんが直々に面接をするとは思いませんでした。」

やよい「良いウマ娘を見極めるには、自分の目で確かめるのが一番!さて、君の学園に来た目的は?」

パン「ツインターボ先輩の大逃げに憧れて、トレセン学園に来ました!ターボ先輩のように、誰かに感動を与えられるレースがしたいです!」

やよい「注目!君の走りは、確かに人を惹き付けるものがある!」

パン「そう言われると自信になります!」

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