ツインターボに脳を焼かれたウマ娘は、大逃げで世界一を目指す   作:223系新快速

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第19話 有マ記念へ向けて

有マ記念の投票結果が出た。パンは33位だったものの、優先順位は15位となり、出走が可能となった。

 

パン「出られる、出られるッサ!夢のグランプリ、有マ記念に!」

南坂「そうですね。」

パン「それで、今回の有マ記念は、誰が有力な逃げウマ娘ッサ?」

南坂「パン君の一つ下の世代の菊花賞ウマ娘、タイトルホルダーですね。まずはビデオを見ましょう。」

 

パン達はタイトルホルダーの菊花賞を見る。

 

パン「最初の1000mを60秒0のハイペース、次の1000mを65秒4のローペース、最後の1000mはまたハイペースで59秒2…。」

イクノ「これは、セイウンスカイさんが勝った時と同じレース展開ですね。」

パン「パンみたく弟子入りして学んだッサ?」

イクノ「それは分かりません。ですが、このような巧妙な逃げが出来る相手に先頭を譲ればどうなるのかは自明の理。何が何でもハナを取り、取ったらそれを絶対に譲らないスピードと精神力が必要になります。」

ロイス「他にはシンボリクリスエス以来のクラシック級天皇賞(秋)制覇のエフフォーリア、史上初のグランプリ四連覇を狙うクロノジェネシス、パンサラッサの同期のステイヤー、ディープボンド辺りが要注意ですね。」

パン「凄いウマ娘が勢揃いしているッサ。」

ネイチャ「まあ、グランプリだしね。アタシの時だって、テイオーやマックイーン、ライアン、パーマー、ヘリオス、ハヤヒデといった錚々たる面々だったし。」

 

ネイチャ先輩が懐かしそうにしている。三年連続三着は珍記録だけど、五年連続出走はあのスピードシンボリ先輩と並ぶタイ記録だ。

 

南坂「有マ記念ほどのレースになると、事前の記者会見での受け答えも重要になります。」

パン「え、記者会見?」

南坂「はい。出走前の記者会見でレースへの意気込みを語ることになります。ファンへのアピールにもなるので大事ですよ。」

パン「なんか、大勢の前で話すことを想像したら、緊張するッサ…。」

ネイチャ「そういうウマ娘は、事前に準備することが何より大事。ネイチャさん達が手伝ってあげるから。」

パン「あ、ありがとうございます!」

 

 

司会「それでは、有マ記念の記者会見を始めます。各々の意気込みを語ってもらいます。まず初めに、クロノジェネシスさん。」

グラン「はい。私はこの有馬記念に勝つことで、史上初のグランプリ四連覇の達成を目指しています。最強マイラーに肩を並べたグランアレグリア、海外3勝うち1勝はブリーダーズカップのラヴズオンリーユーに負けていられません。」

 

クロノジェネシス先輩は物凄く強気な発言をする。クロノジェネシス先輩の世代は、桜花賞を勝利したグランアレグリア先輩がマイルを中心にGI6勝、オークスを勝利したラヴズオンリーユー先輩が海外GI3勝で、うち1勝は、これまで日本のウマ娘はこれまで誰も勝てなかったアメリカのブリーダーズカップを勝利。秋華賞を勝利したクロノジェネシス先輩は、ティアラ路線では初となるグランプリ三連覇を達成した。

 

司会「次に、ディープボンドさん、お願いします。」

プボ「私は~、自分のペースで勝利を目指すよ~。」

 

同期のプボ君はのんびりとした性格のステイヤー。似た者同士気が合うのか、メジロブライト先輩と仲が良い。

 

司会「次に、パンサラッサさん、お願いします。」

 

先輩や同期が意気込みを語り、いよいよパンの番になる。堂々と演壇に上がる。

 

パン「パンの戦法は、大逃げ一択ッサ!パンは大逃げで皆に夢と希望を見せるために、レースに挑むッサ!」

 

パンの大逃げ宣言を受けて場内がざわつく。逃げウマ娘はハナを取るための盤外戦術として、こうして逃げ宣言を行う場合がある。今回は位置取り争いをするタイトルホルダーへの牽制として、こうして大逃げ宣言をすることになった。

 

司会「次に、エフフォーリアさん、お願いします。」

エフ「撃墜王の名に懸けて、全員撃ち落とす。」

 

エフフォーリアは、戦闘機F4と名前が似ていることや、無表情で勝利をもぎ取る様から、ファンから「撃墜王」の二つ名で呼ばれている。そして、同期のクラシック組であるシャフリヤール、タイトルホルダーとは、顔を合わせればライバル意識を剥き出しにしている。周囲は三人纏めてESTと呼んでいて、そのライバル関係はBNWを想起させるとか。もっとも、BNWはレース以外では仲がいいので、そこは違うけれども。

 

司会「次に、タイトルホルダーさん、お願いします。」

タイホ「先頭は譲りません。それが例え大逃げであろうともね。それに、エフフォーリアに負けっぱなしというのも癪ですし、スカイ先輩にも申し訳が立たないです。」

 

タイトルホルダーは、パンに対して強烈に意識を向けてくる。これまで、こんなに相手から意識されたことはなかった。同じ逃げ馬同士、ハナを取れるかの有利不利は良く分かっているから、当然だけど。




有マ記念の記者会見ですが、この手の「それぞれの負けられない理由」という描写がこれまで全く出来ていませんでした。そりゃ表現が浅くなって続かないはずです。それもこれも、自分がどうしたいかというのが、全然定まっておらず、中途半端に内容を盛り込んだ結果、手を広げ過ぎて収拾がつかなくなって破綻する、というのを繰り返していたからです。2022年頃、ウマ娘に熱中しながらも少しも筆が載らなかったのは、そういう理由でした。
ですが、パンサラッサの話に集中するようになって、漸く自分の描きたい内容が固まり、それに伴って他人の心境もより高い解像度で描写出来るようになりました。何よりも、第三者視点から主人公視点へ変えたのが大きかったですね。これまで停滞していた分を一気に取り戻します。
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