ツインターボに脳を焼かれたウマ娘は、大逃げで世界一を目指す   作:223系新快速

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第20話 有マ記念

記者会見から数日後、いよいよ有マ記念本番になる。

 

パン「なんだか、ワクワクしてきたッサ。これまで、未知の事には恐怖しか抱かなかったのに、今は好奇心が抑えられないッサ。」

南坂「気合十分で、かつ気負いもしていないですね。これならいけますよ。」

ネイチャ「アタシやターボが取れなかったグランプリ、取ってきちゃっていいからね。」

 

その言葉に頷き、私はパドックに出る。流石に年末の大一番だけあって、ファンの入り方も声援も凄まじい。

 

『1枠2番、パンサラッサ、8番人気。』

 

1枠2番という、逃げるのに絶好の枠を引き当てた。タイトルホルダーは8枠16番と大外だから、スタートをミスしなければまずハナを取れる。

 

「頑張れー、パンサラッサ!」

「気持ちのいい大逃げを見せてくれー!」

「頑張るッサ!」

 

ファンからの声援に手を振って返し、次のウマ娘に譲る。

 

全員のパドックが終わり、いよいよゲートインだ。1枠2番だから中ほどの順番で、8枠16番のタイトルホルダーは最後に収まる。そのタイトルホルダーと先頭争いをするから、モチベーションは非常に高まる。

 

『さあ、最後に16番タイトルホルダーがゲートに収まり、』

 

ガコン

 

『スタートしました!』

 

良い感じでスタートを切れた。大外からタイトルホルダーがハナを取ろうとダッシュするが、内枠の有利には敵わない。パンがスタートダッシュでハナを取ると、諦めて番手追走に切り替えた。でも、ちらりと後ろを見ると、如何にもやりにくそうな顔をしている。逃げウマ娘はバ群を嫌う子が多く、タイトルホルダーもそれに該当するのだろう。

 

パン「さあ、飛ばすッサ!」

 

パンが飛ばす。風がどんどん流れてくる。第四コーナーを過ぎ、正面スタンド前を通過すると、観客席からファンの大声援が聞こえてくる。それが心地良い。レースの先頭に立って、風を切り裂き、注目を一身に浴びる。どれだけ強くても、逃げ以外の戦術では絶対に味わえない醍醐味だ。また一つ、大逃げをする理由が出来た。

 

南坂「パン君、気持ちよさそうに逃げていますね。」

ターボ「うんうん、先頭で風を切りながら走る心地良さは、何物にも代えがたいぞー!」

ネイチャ「そうですね~。後は結果がついてくれば、言う事なしだけど。」

 

二周目に入り、第二コーナーを通過して向こう正面に入っても、まだパンの先頭は続く。

 

みなみ「もしかすると、このまま逃げ切ってしまうかもしれないな。」

ますお「どうした急に。」

みなみ「有馬記念の逃げ切り勝ちはグレード制導入以降で4人、マヤノトップガン、メジロパーマー、ダイワスカーレット、キタサンブラックだ。そのうち大逃げはメジロパーマーだけ。しかも宝塚記念を勝っていたにもかかわらず15番人気から、あれよあれよと逃げ切ってしまった。そして今回のパンサラッサも8番人気。スタミナが持てば大番狂わせが起きてもおかしくない。」

 

第三コーナーに入る。流石に後ろが仕掛け始めた。でも、パンには関係ない。勝ち負け関係なしに、最後まで自分の走りをするだけ。

 

パン「とはいえ、流石にきついッサ。」

 

2500mに備えてスタミナトレーニングは積んできたものの、それでも足が鈍ってくる。とうと、残り400mの標識付近で先頭を譲り、一人、また一人と抜かされてゆく。そしてそのまま、パンはゴールインした。

 

 

パン「結局勝ったのはエフフォーリアッサか。」

 

パンは師匠と同じ13着だった。このような順位だと、誰が勝ったのかは掲示板を見ないと分からない。10番の数字から、エフフォーリアだと分かった。

 

南坂「パン君、お疲れさまでした。」

パン「ありがとうッサ。」

ネイチャ「どうだった、初めてのグランプリは。」

パン「観客の皆さんに応援して貰った気がして、凄く気持ちよかったッサ。勝てれば最高だったッサけど…。」

パーマー「アハハ、まーもしここで勝っていたら、私みたいにURA賞を受賞していたかもね。」

パン「パーマー先輩…。」

ネイチャ「確かにGI1勝だけど、今年国内GIを複数勝ったのはエフフォーリアのみ。そのエフフォーリアに勝ったから、十分可能性はあったわね。」

パン「実際にはエフフォーリアが勝ったから、年度代表ウマ娘はエフフォーリアッサか?」

ネイチャ「まあ、まず堅いでしょ。」

 

ウイニングライブ前は、レースの疲れを取るために、雑談などをして寛ぐウマ娘が多い。そこへ、

 

タップ「ちょっといいか?」

パン「タップダンスシチー先輩。」

タップ「それだと長いからタップでいい。それで、パンサラッサ、お前の目標ってなんだ?」

パン「最初から最後まで全力で走るレースを、皆に見せることッサ!」

タップ「成程。だったらその夢、もっとデカくしないか?」

パン「ど、どうやってッサ?」

タップ「私の見たところ、パンサラッサの適性距離は1800mで、1600mのマイルはやや短く、2000mのミドルディスタンスはやや長い。だからって日本には1800mの芝G1レースはないし、1800m のG2やG3ではまず敵なしだろう。となれば目指すのは一つ、海外だ。」

パン「海外…。」

タップ「ああ。私はカツラギエース先輩のジャパンカップでの走りに憧れ、金と名声を得る為に海を渡って日本に来た。そして先輩と同じようにジャパンカップで勝利し、レース賞金で10億円を稼いだってわけさ。」

パン「そんなの、考えたこともなかったッサ。自分の走りを固めて、勝ち上がるのに懸命で…。」

タップ「まあ、誰もが最初から大志を抱くわけじゃないからな。けど、有マ記念に出場するレベルのウマ娘には、その権利と責任があると思うぜ。夢を見る権利と、夢を見せる責任ってね。」

 

確かに、そうかもしれない。

 

タップ「それともう一つ、最近の日本のウマ娘界隈は、サンデーサイレンスに運命を感じる奴ばかりだ。それじゃ面白くない。パンサラッサ、お前はサンデーじゃない。サンデー以外でもやれるってこと、見せてやれ。」

パン「???」

南坂「タップダンスシチーさん、そのくらいでいいですか。」

タップ「おう、邪魔したな。じゃ、また来るぜ。」

 

タップ先輩は嵐のように去っていった。後半のサンデーがどうたらっていうのは良く分からない。でも、海外を目指すというのは次の目標にしていいと思う。




パンサラッサを海外志向にするために、タップダンスシチーに動いてもらう話でした。
この話を作るためにタップダンスシチーのストーリー見ましたが、もう最高でした。これまでスマホゲームは基本無課金でしたが、課金してでも入手します。
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