ツインターボに脳を焼かれたウマ娘は、大逃げで世界一を目指す   作:223系新快速

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パンサラッサを語るうえで外せない先輩達の登場です。ここを逃すとタイミングがないので…。


シニア級2年目編
第21話 先輩達


パン「トレーナー、パンは海外に行くッサ!それで、日本より高額な賞金となると、中東が選択肢の一番手ッサ!」

南坂「そうですか。パン君がそう決めたのであれば、トレーナーである私は全力でサポートしますよ。では、G2の中山記念に出走しましょう。」

パン「ここを使う理由はあるッサ?」

南坂「はい。ヴィブロスさんが中山記念からドバイターフに挑み、1着、2着、2着の好成績を残しています。同じ芝1800mということで、ステップレースにするには十分な理由があります。」

パン「じゃあ、そこに出走するッサ!」

南坂「ええ。ですがドバイターフは招待制です。招待されなかった場合は、大阪杯に出走しますよ。」

パン「分かったッサ!」

 

タップ先輩の話を信じるなら、パンは2000mまでなら勝ち負け出来る。これまでは賞金の関係で除外されることもあったけど、福島記念を勝ったことで大幅に積み増しされた。

 

 

パン「さあ、今日も張り切っていくッサ!」

カナロア「お、パンサラッサじゃないか。会いたかったぞ。」

パン「ロードカナロア先輩!?始めまして、パンはパンサラッサッサ!」

カナロア「よろしく、パンサラッサ。君に会えて嬉しいよ。私と初対面で固くならないウマ娘って、あまりいないからね。」

パン「カナロア先輩の偉業を考えたら、仕方ないと思うッサ。」

 

ロードカナロア先輩は、長らくスプリンター最強議論で一強状態だったサクラバクシンオー先輩に並ぶと評されるスプリンターだ。何しろバクシンオー先輩以来のスプリンターズステークス連覇、スプリント路線でGI6勝、更に凱旋門賞を勝つより難しいと言われた香港スプリントG1での勝利だ。バクシンオー先輩が切り開いたスプリンターの道を確固たるものにしたとまで言われている。

 

カナロア「ま、それはそれとして、パンサラッサには運命を感じるんだ。アーモンドアイのようにね。」

パン「アーモンドアイ先輩ッサか。あの人は強いッサねえ。」

カナロア「ああ。生徒会長の壁を超えたのだからな。」

 

アーモンドアイ先輩は、会長の七冠を超える九冠を達成した。それも、少し前まで三冠路線に比べて実力が劣るとされたティアラ路線でだ。

 

 

パン「カナロア先輩と話せて、今日はいい日ッサ。」

 

パサッ

 

前を歩いていた人が、ノートを落とす。

 

パン「あ、これ落としたッサ。」

ドーベル「な、中身、見てないわよね!?」

 

声を掛けると、その人は慌てた様子で私からノートを奪い取る。

 

パン「人の持ち物を覗く趣味はないッサ。」

ドーベル「ほ、本当よね。」

パン「疑り深いッサ。そんなに大事なものなら、もっと大切に扱うべきッサ。」

ドーベル「~!」

ライアン「もう、ドーベル、突っかかっちゃ駄目だよ。」

 

そのウマ娘がパンの指摘に赤面し、傍にいたウマ娘が窘め、パンに近づく。

 

ライアン「ゴメンね、ドーベルが突っかかっちゃって。」

パン「あのノートは、そんなに大事なものッサ?」

ライアン「うん。あのノートにはドーベルの嗜好が書いてあるから、他人にはあまり見られたくないんだ。」

パン「そういうのは、自分の部屋に置いておいて、一人で悦に入るのが普通だと思うッサ。」

ライアン「そうもいかないんだ。彼女の同志に作品を見せて、出来栄えを評価してもらう必要があるから。」

パン「そんなに嗜好が合うウマ娘が、この学園にいるッサか。」

ライアン「うん、アグネスデジタルっていうんだけどね。」

パン「ああ、あの人ッサか…。」

 

アグネスデジタル先輩は、GIを6勝している。これだけ聞けばまごう事なき名ウマ娘だ。だが、その動機は、『推しであるウマ娘ちゃんをもっと間近で見て堪能したい!でもお触りは厳禁!』という変態だ。なのだが、その変態ぶりがレースでも発揮され、芝ダート、国内海外、マイル中距離と条件を問わぬオールラウンダーぶりであり、『変態勇者』の二つ名で呼ばれている。しかも各ウマ娘の強み弱みを全て把握している上、持っている技術が半端ない上にどれも実用性が高いため、『シンボリルドルフの次の生徒会長候補』とまで目されている。

 

パン「うーん、なんか気になるッサ。」

ライアン「やっぱり?実はね、ドーベルの作品は、現役ウマ娘に関する内容が多いんだ。」

パン「それ、大丈夫ッサ?肖像権とかイメージ毀損とか…。」

ドーベル「だ、大丈夫よ、本人の許可がない場合は世に出さないから。その辺り、URAはアマチュアであっても厳しいから。」

パン「そうッサか。それで、誰を描いているッサ?」

ドーベル「あ、貴方よ。」

パン「え、パンの事を書いているッサ!?」

ドーベル「ええ。悪かったかしら。」

パン「いや、むしろ嬉しいッサ。まだG3を勝ったばかりで、他人の作品の主人公に抜擢されるって、そうある事じゃないッサ。」

ドーベル「じゃ、じゃあ、貴方も加わってくれないかしら。本人の監修ありとなれば、内容にも信憑性が増すから。」

パン「勿論ッサ。今日は運よくトレーニングが休みッサ。」

 

 

ドーベル「という訳で、私の新作のモデルである、パンサラッサが加わることになったわ。」

デジタル「ひょええ~、有難き幸せ。不肖デジたん、全力で事に当たらせていただきます!」

パン「デジタル先輩って、いつもこんな調子ッサ?」

ライアン「そうなんだよね。人や物を見る目は確かなんだけど、自分の扱いが軽いというか、大袈裟に反応する癖があるというか…。」

パン「あの、時間も有限だし、早く始めた方が良いと思うッサ。」

デジタル「そ、そうですね。」

 

いざ作業に取り組み始めると、デジタル先輩の作業は早い。

 

デジタル「やはり、物語に深みを持たせるには、覚醒前の部分をどれだけ詳しく描くかですね。」

ドーベル「そうね。でも、それは本人の苦労に触れる部分。ノンフィクション作品で、想像で描くのは失礼というものよ。」

パン「…、あの、先輩方が想像する、パンの苦悩って、どんなものッサ?」

デジタル「そうですねえ。パンサラッサさんの場合、

1. 大逃げをするツインターボさんに憧れて、自分もトレセン学園に入学

2. しかし同期の無敗の三冠ウマ娘コントレイルに手も足も出ず

3. 更に勝てない日々から憧れは呪いへと変わり、自縄自縛の日々

4. 必死の思考も戦術の変更も小手先の技に過ぎず、遂にはやけになってチームを飛び出す

5. だが、行く当てがなく、結局師匠の偉大さを再確認して吹っ切れ、元の鞘に納まる

6. そして自分の走りを確立したところで偉大なる先輩達の応援を受けて有名になり始める

ってところでしょうか。」

ドーベル「今回の要素は6ね。どこまで正解かしら。」

パン「…んぶ…。」

ドーベル「え?」

パン「全部ッサ…。」

ドーベル「相変わらずよく見ているわね。実は、デジタルが他のウマ娘の事を的確に分析するのはこれが初めてじゃないわ。ウオッカとスカーレットの痴話喧嘩を一言一句再現したり、メイショウドトウが本格化前なのにデビューしたことを見定めたり、挙げ出すときりがないわ。」

パン「な、成程…。これは二つ名が『変態勇者』なのも納得ッサ。」

 

トレーナーでも担当ウマ娘の事を完全に理解することは難しいのに、デジタル先輩はそこまで解像度が高いとは。

 

デジタル「ですが、これは猶更本人の承諾がないと世に出せませんね。」

ドーベル「ええ。それに、曇らせが長過ぎて、ファンが買い続ける保証もないわ。今回は赤字確定ね。」

パン「あの、赤字の方は兎も角、出版はいいッサ。」

デジタル「良いんですか!?」

パン「これだけパンの事をきちんと理解してくれるなら、変なことは書いたりしないって信用出来るッサ。その代わり、こちらからも条件を提示させてもらうッサ。」

デジタル「良いですよ。デジたんに出来ることなら何なりと。」

パン「パンと一緒に練習してほしいッサ。」

デジタル「いいですよ。私の都合がつく限り、お相手します。ドーベルさんも良いですよね。」

ドーベル「ええ。貴方には、運命とも違う何かを感じるのよ。」

 

パン「という訳で、デジタルさんが時々トレーニングに加わってくれることになりました。」

 

トレーナーさんと先輩方にデジタルさんの事を紹介する。

 

ネイチャ「いやー、これはネイチャさんもびっくりですわー。」

タンホイザ「普通のウマ娘同士、頑張ろうね、えい、えい、むん!」

デジタル「はい、こちらこそお手柔らかに。」




パンサラッサを書いている小説の中で、パンサラッサの事を書く作品がある。これぞ劇中劇ですね。そして改めて実感させられるデジタルの凄さ。自分の心理と、それに基づく行動を、赤の他人に一言一句正確に推測されるって、実際にされたら結構怖いですよね。デジたんだから認められますけど。
モンジューの登場に関してはもう少しお待ちを。
なお、パンサラッサとコントレイルは同じ厩舎なので、他の人なら幼馴染設定の追加、ルームメイト、コントレイルの苦悩を描く可能性が高いでしょうが、作者はパンサラッサと先輩逃げウマ娘達の群像劇を描くので限界です。
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