ツインターボに脳を焼かれたウマ娘は、大逃げで世界一を目指す 作:223系新快速
パンはドーベル先輩、デジタル先輩と練習をしている。
南坂「パン君の走り、どんどん良くなっていますね。」
パン「ドーベル先輩とデジタル先輩の漫画のお陰ッサ!」
ネイチャ「と言いますと?」
パン「あの漫画で、自分で自分を育てている感覚になって、客観視することが出来たッサ!」
ネイチャ「漫画を見て自分で自分を育てる感覚ねえ…。」
イクノ「その発想はなかったですね。ですが、これで自分を客観視し、足りない部分を補うという発想が出来るようになったことは事実です。後は、自分でそれを出来るようになれば完璧です。」
パン「ドーベル先輩、デジタル先輩、ありがとうッサ!」
デジタル「いえいえ、こちらこそ、大逃げというのを間近で観察出来て、貴重な経験ですよ。タップダンスシチーさんと同じレースで走ったことはありますけど、やっぱりこれだけ離されるとなると、どうしても焦ってしまいますよね。」
ドーベル「ええ。いくら自分達の強みが最終直線での末脚と分かっていても、こんなに話されて追いつけるのか、という恐怖はあるわ。宝塚記念でスズカと対戦した時は、影すら踏ませてもらえなかったし。」
◇
~別の日~
タップ「パンサラッサ、今日は私と楽しくタップダンスをしようじゃないか。」
パン「それって、つまり、並走ってことッサ?」
タップ「ああそうさ。普通の脚質のウマ娘との並走は問題のようだが、大逃げ同士なら大丈夫だ。さ、やるぞ。」
パン「わ、分かったッサ!」
ダッ
ネイチャ「え、ちょっと、パンサラッサが並走トレーニングしてる!?」
タンホイザ「ト、トレーナー、パンには並走トレーニングは良くないんじゃ…。」
南坂「いえ、少し様子を見ましょう。」
タップ先輩は私よりもスタミナがある。でも、だからって譲る気はない。先頭を譲る大逃げは、大逃げじゃない!
タップ「火が付いたじゃないか、さあ、楽しもうぜ!」
結局その日は何度やってもタップ先輩には勝てなかった。
パン「悔しい、悔しいッサ!次の並走では必ず先着するッサ!」
タップ「ハハハ、楽しみだな。ああ後、私を倒しても、エースやスズカも待ち構えているから、ビビッて逃げ出すなよ?」
パン「そんなの関係ないッサ!」
~その日のミーティング~
ネイチャ「パンさ、並走トレーニングはやらないって決めていたのに、どうしたの?」
パン「そういえば、そんなルールもあったッサ。でも、タップ先輩に勝負を挑まれて、受けて立たないわけにはいかなかったッサ。」
南坂「成程、では、並走してどうでしたか?」
パン「凄く楽しかったッサ。またやりたいッサ。」
南坂「良いでしょう。」
ネイチャ「ちょ、トレーナー!?」
南坂「私がパン君に並走トレーニングを入れなかったのは、走りが確立していない逃げウマ娘が並走トレーニングをやると、トレーニングそのものを嫌がる可能性があったからです。」
パン「それって、パンだけじゃないッサ?」
南坂「はい。逃げウマ娘はバ群を嫌うので、並走トレーニングをやらないトレーナーは少なくありません。」
パン「そうだったッサか…。」
南坂「ですが、並走をやらないということは、競り合いでの勝負根性が鍛えられないということです。逃げウマ娘がマークされたら脆いのは、そういうところもありますね。」
パン「ロマンであると同時に、リスクも高いって事ッサか…。」
南坂「更に言うと、大逃げという戦術は、後がないウマ娘の最終手段でもあります。」
パン「トレーナー、それって本当ッサか!?」
南坂「はい。未勝利戦や条件戦を抜け出せず、このままでは引退や地方移籍が見えているウマ娘が、イチかバチかで取る戦術。それが、大逃げのもう一つの側面なのです。」
パン「パンも、もし勝てていなかったら、そういう形で大逃げをしていた可能性があるッサか…。」
南坂「それはないですね。オープンクラスならば、そこまで追いつめられることはありませんから。」
ネイチャ「まーけど、これからは並走をやれるから大丈夫ってことじゃん。ってことで、明日からビシバシ鍛えるから。」
◇
~翌日~
パン「ネイチャ先輩のトレーニングは鬼ッサ…。」
イクノ「ネイチャさんの持ち味は相手の思考判断を鈍らせ、レース展開をコントロールする事。逃げのパンサラッサさんには一番嫌な相手ですね。」
ネイチャ「はいはい、これくらいでへばっちゃ、コントレイルやデアリングタクトには一生勝てないよ。これだけのことが出来るアタシでも、結局テイオーには勝てていないんだから。」
◇
パン「テイオー先輩、次のパンのレース、期待していて欲しいッサ。」
テイオー「あ、うん、そうだね。練習の合間に時々見ているけど、顔つきが良くなって、練習強度も上がって、GIも取れそうな勢いだよ。」
パン「褒めてくれてありがとうッサ。それはそうと、テイオー先輩、なんかさっきからそわそわしているッサ。」
テイオー「あー、パンには言ってなかったっけ。スピカのメンバーのデアリングタクト、ずっと長期療養中で、交代で見舞いに行っているんだ。」
パン「同室だったけど、全く気にしていなかったッサ。」
テイオー「それはちょっと無神経なんじゃないかな~。」
パン「そ、そうッサね…。けど、
テイオー「じゃ、今から行く?」
パン「行くッサ!ライバル宣言だってするッサ!」
テイオー「フフッ、そういうとこ、師匠に似てきたね。」
◇
タクト「あ、テイオー先輩、そしてパンサラッサ。」
パン「タクト、大丈夫ッサ?病院生活は退屈だと聞いているッサ。」
タクト「大丈夫ですわ。このプリファイシリーズを見ていますもの。」
テイオー「あー、そのプリファイ、中盤の展開が凄い鬱なのに、これが必要だと言って譲らなかったんだよね。」
タクト「カワカミプリンセス先輩のアスリートとしての経歴をベースに作られた作品ですから、ある意味当然ですわ。私がこの逆境を屁とも思わないためには、これくらい必要ですもの。」
パン「タクトは強いッサ。パンは自分を見つめることも出来ていなくて、逃げていたッサから…。」
タクト「そう思うのであれば、自分を磨く事ですわ。私も早く復帰して、レースで競い合いましょう。」
パン「分かったッサ!」
『自分で自分を育てているみたい』の下りは、私がターボ師匠のストーリーを見て、実際に抱いた感想です。