ツインターボに脳を焼かれたウマ娘は、大逃げで世界一を目指す   作:223系新快速

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最終話 世界のパンサラッサ

~数日後~

南坂「ドバイターフからの招待状が届きました。」

パン「じゃあ、出られるッサ。」

南坂「ええ。では、早速レース場、対戦相手、そして日本から出走するほかのウマ娘の事を分析しましょう。」

 

トレーナーが資料を見せる。

 

南坂「レース場は、芝1800mの左回り、ワンターンです。パンサラッサさんには最適なレース場と言っても過言ではないですね。」

パン「確かに、このレース場なら、思い通りに走れるッサ。日本にもこういうレース場があればいいッサが。」

南坂「土地が狭いから、1800mでもツーターンになってしまうので難しいですね。」

 

レース場については、簡単に終わった。

 

南坂「次は対戦相手です。この中に有力な逃げウマ娘はいませんから、出遅れなければパン君がハナを取れるでしょう。」

パン「それを聞いて安心したッサ。」

南坂「ですが、当然強力な相手はいます。中でも一番警戒すべきが、前年度覇者のバロンノースですね。」

パン「イギリスのウマ娘で、これ以外にも多数のG1レースを走り、勝利あるいは好走…。」

イクノ「当然連覇を狙ってくるでしょう。ですが、ドバイターフはこれまでにも多数の日本のウマ娘が勝利あるいは好走しています。恐れる事はありません。」

南坂「最後に、同じく日本から出走するウマ娘ですね。」

パン「それって、所謂帯同ウマ娘の事ッサ?」

 

ウマ娘は、一人でいると寂しくなって能力が発揮出来ない事がある。そこで、海外に遠征するときには、仲の良いウマ娘が帯同ウマ娘として付き添い、共に練習するなどしてコンディションを保つ。

 

南坂「いえ、同じレースで争うのでそれとは違います。ですが、お互いベストコンディションで臨むためにも、別のチームであっても本番前までは協力する。それが、スピードシンボリ以降、数多くの遠征を経て得た、URAの教訓です。」

パン「そうッサか。それで、そのウマ娘は?」

南坂「ヴァンドギャルドです。」

 

 

~数日後~

パン達がドバイへ向かう日が来た。

 

パン「ヴァンドギャルド、今日からしばらくお願いするッサ。」

ギャルド「よろしく。凄い逃げ足だな。あんな綺麗に逃げを決める奴、そうはいないぞ。」

パン「褒めてくれてありがとうッサ。」

ギャルド「ま、本番では私がそれを華麗に差し切るがな。」

パン「言ったッサね。こっちこそ逃げ切ってやるッサ。」

 

向こうでは、トレーナーさん同士も挨拶をしている。

 

「それでは、レースまでよろしく。」

南坂「こちらこそ。どちらが勝っても恨むのはなしですよ。」

「ええ。」

 

10時間ほど飛行機に乗り続け、サウジアラビアの国際空港に到着した。

 

タンホイザ「つ、疲れた…。」

ネイチャ「アタシ達ウマ娘って、長距離移動が苦手だからね…。」

ターボ「ジェット機の音って五月蠅いもん…。」

南坂「ウマ娘の皆さんが人間よりも苦手な事の一つが、長距離移動ですからね。」

ロイス「ですが、当のパンサラッサさんは元気ですね。」

パン「パンは大丈夫ッサ!小学生の時も遠足は毎回楽しんでいたッサ。」

 

 

翌日、レース場の隣の練習場に行くと、色とりどりのウマ娘が練習をしている。

 

パン「これ全員ドバイワールドカップデーに出場するウマ娘ッサ!?」

南坂「そうですよ。勿論、パン君もです。」

ヴァン「よお、パンサラッサ。本番までよろしく頼むぜ。」

パン「こちらこそ、よろしくッサ。」

 

ヴァンドギャルドと共に練習する。同じ日本のウマ娘がいるというだけで、物凄く安心出来るし、練習もいつも通りに出来る。

 

パン「帯同ウマ娘がいて良かったッサ。」

ヴァン「ああ。これだけウマ娘がいて、全員他人と考えたら、きついよな。スピードシンボリ先輩や、シリウスシンボリ先輩は、こんな状況下で走り続けたと考えると、大した神経の持ち主だと思うぜ。」

 

 

いよいよドバイターフが始まる。

 

南坂「体調は大丈夫ですか。」

パン「大丈夫ッサ。」

ターボ「パン、いつも通りにいけよ。」

パン「はい、師匠!」

 

パドックでは、前年度覇者バロンノースが仕上がりを見せつけている。確かに凄いが、パンが実力を出し切れば、勝機はある。

 

『ゲートに収まって、』

 

ガコン

ダッ

 

『スタートしました!』

 

よし、スタートは問題ない。いつも通りにハナを取る。でも、周囲がパンについてくるのか、思ったより引き離せていない。

 

『パンサラッサハナを取って先頭を進みます。』

ターボ「あれ、パンの奴、そこまで引き離してないぞ?」

南坂「いえ、1000m通過ペースは58秒台です。」

ネイチャ「1000m58秒台は普通に速いペースなんだけどねえ。」

 

それでもレースは淀みなく進む。結局パンが先頭のままコーナーを曲がる。最後の直線コース、後ろが追い上げを始めるが、パンには関係ない。このペースのまま、最後まで粘って勝つ!

 

『パンサラッサ依然先頭だ!』

 

残り200mの標識を過ぎ、後ろからヴァンドギャルドとバロンノースが追い上げてくる。でも、負けない。最後まで粘って、勝つのはパンだ!

 

『前年度覇者バロンノースが追い込んでくる!更に日本のヴァンドギャルドも来た!』

 

もうゴールは目の前だ。息が苦しくなるが、限界じゃない。限界を超えていないのに諦めるなんて、そんなの自分にも師匠にも他の皆にも申し訳が立たない!

 

パン「うおおおおお!」

ノース「はああああ!」

ヴァン「おりゃああああ!」

『3人並んでゴールイン!これは大接戦です!』

 

全力は出し切った。もうこれ以上は走れないというぐらいに。勝ったかどうかは感触がない。

 

パン「ゼエ、ゼエッ、誰が勝ったッサ?」

ヴァン「ハァ、ハァ、まるでわからないな。」

ノース「フゥー、ですが、リプレイを見れば、分かるはずです。」

 

すぐにリプレイが流れる。ところが、

 

パン「リプレイを見ても、角度によって誰が一位か全然違って見えるッサ。」

ノース「私です。連覇達成の筈です。」

ヴァン「いーや、アタシの苦労が報われたね。」

パン「パンの逃げ切り勝ちッサ。」

 

そして15分の長い判定の後、写真の文字が消え、8,11,15の文字が。

 

ノース「私の連覇達成です!」

パン「あー、逃げ切れなかったッサか。」

 

だが横には同着の文字が。

 

「「同着!?」」

『同着、同着です!パンサラッサ初G1は海外G1となりました!更に3着のヴァンドギャルドはハナ差2cm!大接戦の結果は思いがけないものとなりました!』

ヴァン「珍しいな、同着って。どうせなら3人同着になれば良かったのに。」

ノース「連覇は達成したが、勝ち切れなかったな。まさか私から逃げ切れるウマ娘がいるなんて。」

パン「同着とはいえ、勝ちは勝ちッサ。パンの走りは、世界でも通用するッサ!」

 

観客は歓声とどよめきに満ちている。だが、少数ながら日本のファンが、パンに声援を送っている。

 

「いいぞー、パンサラッサ!」

「この次も逃げ切れー!」

パン「ありがとう、ありがとうッサ!」

 

 

控室に戻ると、チームの皆が待っていた。

 

イクノ「おめでとうございます、パンサラッサさん。」

タンホイザ「チームカノープス初のGI勝利だよ~!」

パン「先輩方、ありがとうッサ!ターボ師匠も!」

ターボ「ああ、これからもターボがビシバシ鍛えてやるぞ!」

ロイス「そうですね。ですが、GIを勝利したことで、パンサラッサさんはもう『第二のツインターボ』ではなくなりました。」

ターボ「第二のターボじゃない?じゃあなんだ?」

ロイス「『世界のパンサラッサ』です!」

パン「『世界のパンサラッサ』。いい響きッサ。」

ロイス「ええ。ですがパンサラッサさんの戦いはこれからです。」

南坂「そうですね。ここドバイで勝ったことで、世界から追われる逃亡者となるでしょう。」

パン「大丈夫ッサ。パンは誰であろうと逃げ切ってみせるッサ!」




このシリーズはここで完結です。理由は活動報告を読んでください。
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