ツインターボに脳を焼かれたウマ娘は、大逃げで世界一を目指す 作:223系新快速
数日後、合格通知が来た。これで私もトレセン学園の生徒だ。
さて、入学式では、新入生が集い、学園長や生徒会長からの挨拶がある。学園長の挨拶は問題なかった。相変わらずハイテンションだったけど。
その後のシンボリルドルフ生徒会長の挨拶が問題だった。途中までは問題なく進んでいたのだが…。
ルドルフ「調子は
ダジャレを披露した途端、皆微妙な面持ちになり、エアグルーヴ副会長に到っては頭を抱えている。
コン「周囲の反応を見て察することが出来ないんでしょうか。」
タクト「会長はこれさえなければ完璧超人なのに…。」
グルーヴ「コホン。では、新入生を代表して、コントレイルさん、お願いします。」
コン「はい。」
コントレイルさんが壇上に上がる。
コン「ここにいる私達は、全員夢を叶えるためにこの学園に来ました。ですが忘れてはなりません。夢を叶える者がいるという事は、誰かの夢は破れるという事を。そして夢を叶えた者は、叶わなかった者の分まで背負っていく必要があることを。その事を忘れずに、お互い切磋琢磨し、日々励んでいくことを、新入生代表として宣誓します。」
パチパチパチ
やっぱり、冷静に見えて結構熱いところがある。この場面で宣誓するなんて。
コン「それともう一つ、私はリギルのディープインパクト先輩に運命を感じたので、リギルに入る予定です。」
ザワザワ
「えー、コントレイルがリギルに入るの!?」
「こんなんノーチャンスじゃん。」
グルーヴ「静かに。コントレイル、そのような発言はこのような場では慎むように。」
コン「失礼しました。ですが、外野の雑音に対処するには、これが一番効きますので。」
グルーヴ「そう言われると反論がし辛いな。ならば、事前に話を通しておくように。」
コン「はい。」
◇
入学式が終わると、勧誘が始まる。
パン「いい宣誓だったよ。」
コン「当然。そうでなければ、ここにはいられない。」
パン「それもそうか。じゃあ、私はカノープスへ行くから。」
コン「うん。」
タッタッタ
暫く歩くと、カノープスの部室が見えてくる。
パン「ここか。」
コンコンコン
ネイチャ「はーい、どうぞ~。」
ガチャ
パン「パンサラッサです。」
ターボ「おお、待っていたぞパンサラッサ!」
パン「ターボ先輩、約束通り来ましたよ!」
ターボ「ああ、今日からターボ達がびしばし鍛えてやるからな。」
南坂「それはちょっと待ってください。」
ターボ「トレーナー、どういうこと?」
南坂「パンサラッサさん、選抜レースに出てください。入部するかどうかを決めるのはそれからです。」
パン「ど、どうしてですか?」
南坂「大逃げの難しさですよ。ターボさんの走りに憧れるのは、何もパンサラッサさんだけではありません。ですが、練習の辛さに音を上げたり、自分の走りとしてものに出来ずに自分を見失ったりして、学園を去ったりチームを変えたりした人が多数いるのです。」
パン「どれくらいですか?」
南坂「学園を去ったのが10人以上、チームを変えたのがそれ以上といえば、どれだけか分かりますか?」
パン「は、はい…。」
南坂「まあ、今日は見学してください。それで自信が続くようなら、選抜レース後に改めて話をしましょう。」
パン「はい…。」
その後、練習の様子を見学した。確かに密度の濃い練習で、生半可な気持ちでは脱落する。逆に、これでGIを勝てないのが不思議なくらいだ。
タンホイザ「どうだった?一日見学して。」
パン「凄く高密度な練習だと思いました。逆に何故GIを勝てないのか不思議なくらいです。」
ネイチャ「いやー、ここまで来ると後は素質の問題ですなー。」
イクノ「走っていても、自分との実力差に嫌気が差すことはあるのですよ。」
パン「それって、トウカイテイオーさんのことですか?」
ネイチャ「アハハ、そうねー。あたしは同期、イクノは1つ上で、同じレースで走ったことあるけど、まるで相手にならなかったんだよね~。」
⏰
日が暮れたので、寮に戻るために部室を後にする。
パン「あーあ、選抜レースまではお預けか…。折角スタートダッシュを決めようと思ったのに。」
ザザッ
突然グラサンとマスクをつけた不審なウマ娘達が現れる。
パン「え、何この不審者達?」
ゴルシ「スペ、スカーレット、ウオッカ、やっておしまい!」
「「「はい!」」」
パン「え、何がなんだか、ってええーっ!?」
ずた袋に入れられ、そのまま連れ去られ、どこかの部屋に着く。
ゴルシ「トレーナー、生きの良い新入生を捕まえてきたぜ!」
沖野「おお、ってパンサラッサじゃないか。お手柄だぞ!」
パン「まさかと思いましたけど、やっぱりチームスピカですか。」
沖野「ほほう、そんなに有名か。」
パン「いえ、トレーナーがウマ娘のトモを触りたがる変態だとか、今みたいにずた袋で誘拐するとか、癖ウマ娘揃いだとか…。」
ウオッカ「癖ウマ娘は余計だろ。」
沖野「まあまあ。それより、率直に聞く。パンサラッサ、チームスピカに入らないか。」
パン「お断りします。」
沖野「即答!?」
ダスカ「無茶苦茶な勧誘の仕方をしたから、愛想が尽きたとかじゃないの?」
パン「違います。繊細なウマ娘だったら、トラウマになって断る可能性もあるでしょうけど。」
沖野「じゃあ何だ?」
パン「この学園に入ると決めた時から、カノープス一択だからです。」
ゴルシ「フーン、つまり、お前もA案件って事だな。」
芦毛の先輩が訳知り顔で頷く。
パン「A案件?何ですかそれ?」
ゴルシ「『憧れと理解は別物であることを実感させる必要がある案件』の略だ。」
パン「長い正式名称ですね。何を意味するのかは分かりますが。」
沖野「最近誰かの憧れで入学してくるウマ娘が多い。勿論実力が伴っている者もいるが、現実との差にショックを受ける者もいる。そこで、憧れのいるチームにいきなり所属させず、別のチームに借所属させて実情を体験させ、改めて所属チームを決めることが決まった。」
パン「南坂トレーナーが言ったのはこういうことですか。もっとはっきり言ってくれれば良かったのに。」
沖野「まあ、いきなり言われると反発するウマ娘も多いからな。ましてや自分が所属したいチームのトレーナーに言われるのは本意じゃないだろう。」
パン「それはそうですが…。」
沖野「それでだ、パンサラッサ、お前はツインターボに憧れたのか?それとも、ツインターボの走りに憧れたのか?」
パン「走りに憧れました。誰かに感動を与えられる、そんな走りをしたいって。」
沖野「それだったら、別にカノープスである必要性はなくなるな。」
パン「確かにそうかも知れません。ですが、トレーナーさんは大逃げについての指導も出来るんですよね?」
ゴルシ「そりゃそうだぜ、なにせスズカはこのスピカ所属だからな。今はアメリカで走っているけど。」
パン「あ、そうでしたね…。」
一応他の大逃げウマ娘のことも調べていたが、サイレンススズカ先輩がスピカ所属であることを今の今まで忘れていた。チームとしてのキャラが濃すぎて、相対的に目立たなくなることがある。
パン「となると、トレーナーさんの腕を見たいです。」
沖野「よし、明日のトレーニングを見てから判断だな。」
パン「はい。」