ツインターボに脳を焼かれたウマ娘は、大逃げで世界一を目指す   作:223系新快速

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今回は相当難産でした。4か月かかった…。ここまでかかった理由は、挫折時の心理描写です。勝ち続けられるのは一握りで、大半の人間は一度挫折するということ、ウマ娘をやり、二次創作を読んで痛感しました。不貞腐れていた自分が馬鹿らしく思えると同時に、その心理状態を小説にすることにしました。
今回はタイトルにもありますが、大逃げ放棄でした。アニメ1期のスズカの逆ですね。苦しんだ末に出た結論がこれでした。
11/23追記:内容がチグハグなので、後ろに追加しました。


クラシック級編
第8話 路線変更と…


新年を迎える。

 

ターボ「パン、初詣に行こう!」

パン「はい!」

 

神社に行くと、チームスピカの面々が勢揃いしている。

 

沖野「あ、南坂さん、明けましておめでとう!」

南坂「沖野さん、明けましておめでとうございます。」

テイオー「師匠だ!」

パン「え、師匠?」

ゴルシ「知らねーのか、テイオーはお前が師事しているターボのこと、師匠って呼んでんだよ。」

パン「は、初めて知りました…。」

 

 

南坂「さて、トレーニング開始時にはクラシック挑戦は諦めると言いましたが、心残りをなくすために皐月賞トライアルレースの弥生賞に出走します。勝てばそのまま三冠挑戦、負ければ別ルートです。」

パン「はい!」

 

コントレイルにリベンジするためにも、負けられない!

 

 

『弥生賞1着はサトノフラッグ!逃げたパンサラッサは9着に沈みました。』

 

弥生賞は下位に沈み、クラシック三冠は諦めることになった。その後しばらくして。

 

パン「トレーナーさん、見に行きたいレースがあります。」

南坂「見に行きたいレースですか?」

パン「はい。」

 

 

ネイチャ「見に行きたいレースって、ダービーですか。」

パン「自分たちの世代の代表が誰に決まるのかを見届けたくて。」

ハナ「あら、カノープス。貴方達も見に来たのね。」

南坂「ええ、パンサラッサさんが、コントレイルさんを見たいと希望して。」

ハナ「それはいい心掛けね。今年はコントレイルで三冠全て貰うわよ。沖野はデアリングタクトでティアラ三冠を取ることに絞っているようだし。」

南坂「あっさり桜花賞、オークスを勝利しましたからね。」

 

そしてコントレイルはダービーを勝利する。

 

インタビュアー「素晴らしい走りでしたね。」

コン「ありがとうございます。でも、このレースに出走しているウマ娘はみんな強くて、油断していると足を掬われる。そう思いました。」

インタビュアー「成程。では、今後の目標はやはり三冠ですか?」

コン「はい。ディープインパクト先輩に憧れた時からの夢で、それを叶えるために学園に入学したので。先輩が衝撃の末脚なら、私は大空に描く軌跡です。」

 

コントレイルはストイックだから、本当にそう思っているだろう。だけど、同じことを私が言っても、どうにも説得力に欠ける気がする。それに、今の私では、コントレイルほど輝く事が出来ない。

 

パン「トレーナー、今の私では勝てない。どうにかして勝ちたい。そのためには、路線変えても構わない。」

南坂「そうですか。じゃあ、これまでのような格上挑戦は一旦止めて、条件戦を確実に勝ち上がりましょう。まずは1勝クラスです。」

パン「はい。」

 

 

1勝クラスは勝利して、未勝利戦以来、約8か月ぶりのセンターに立つ。だけど、イマイチ納得感がない。逃げに拘ってきたけど、それ以外の脚質を試すのもありなんじゃないかと思う。ターボ先輩には悪いけど、これも勝つためだ。

 

南坂「次は、ラジオNIKKEI賞です。」

パン「それって、ターボ先輩が勝ったレースですね。」

ターボ「パン、頑張れ!ターボに続け!」

パン「…はい。」

ターボ「パン、どうした?具合でも悪いのか?」

パン「だ、大丈夫ですよ。」

ターボ「そっか、じゃあ観客席で応援しているからな。」

 

ターボ先輩が出て行ったのを見て、トレーナーに向き直る。

 

パン「トレーナー、次は先行策を試してみるつもりです。」

南坂「そうですか。」

パン「え、いいんですか?」

南坂「なぜ怒る必要があるんですか?」

パン「えっと、大逃げ以外嫌だと啖呵切って入ったので…。」

南坂「レースに生きるものとして、勝ちを貪欲に追及する姿勢を咎める者はいませんよ。」

パン「分かりました。後、ターボ先輩へのフォローをお願いします。多分、怒ると思うので…。」

南坂「そうですね。そこは任せて、レースに集中してください。」

パン「はい。あ、もしハナを取れたらそのまま逃げ切るつもりで行きます。」

南坂「そうですね。その辺の判断は、パンサラッサさんが適宜判断してください。」

パン「はい!」

 

 

私は外枠の11番だ。

 

ガコン

 

ゲートが開くと同時に飛び出す。だけど、先頭で逃げるバビットを抜かすことがどうしても出来ない。仕方ないから先行策に切り替える。

 

ターボ「ど、どうして逃げないの!?」

南坂「おそらく、これが今のパンサラッサさんの限界なのでしょう。スピードが足りないから、逃げることが出来ず、先行になってしまうのです。」

ターボ「ヤダヤダヤダー!パンは大逃げしないと!」

イクノ「おそらくですが、パンサラッサさんは勝ちを追求するために大逃げを止めたのでしょう。」

ネイチャ「でしょうねえ。ま、どんな脚質であろうと、カノープスの一員であることには変わりないし、応援しますか。」

 

しかし、ターボは応援せず、ただじっと見ていた。バビットがいい逃げをしていることも相まって、猶更苛立っていた。

 

 

そのままレースは進み、バビットが逃げ切って1着。私は5バ身離れての2着に滑り込んだ。G3であるラジオNIKKEI賞で2位になったので、収得賞金が加算され、オープンクラスに昇格する。

 

マチタン「パンサラッサ、お疲れ様です。」

ネイチャ「いやー、お手本のような好位追走でしたねー。」

イクノ「逃げを捕まえることは出来ませんでしたが、この分だったら重賞は勝てそうですね。」

パン「ありがとうございます!」

 

先輩達が労いの言葉を掛けてくれる。それもそのはず、大半のウマ娘にとっては条件戦を勝ち上がるだけで一筋縄ではいかず、オープンクラスへの昇格はそれだけで周りから頭一つ抜き出たことの証明になる。だが、ターボ先輩だけは声を掛けない。

 

ターボ「…。」

パン「ターボ先輩?」

ターボ「どうして逃げなかったの?あれじゃ逃げじゃなくて先行!」

パン「すみません、どうしても先頭が取れなくて…。それに、思ったより走りやすかったので…。」

ターボ「どういうことだ?」

パン「大逃げしか出来ないターボ先輩と違って、私は先行も出来るんです。実際にレースに出て分かりました。勝つためには、やっぱり王道の先行の方が、勝率は高い。」

ターボ「ヤダヤダヤダー!大逃げを捨てたパンには、何の魅力もない!」

パン「ターボ先輩、私はターボ先輩じゃありません。確かにターボ先輩に憧れてここまでは逃げで走りましたけど、レースというのは現実なんです。大逃げで勝てるならそれは理想ですが、今の私にはそれが出来ない。だったら、面白みがなくても、勝率が高い戦法を取るのは当然です。」

 

それでもターボ先輩は納得がいかないようで、睨み合いになる。

 

南坂「まあまあ、ターボさんも、パンサラッサさんも落ち着いて。2人とも、言っていることは一理ありますよ。取り敢えず、当面の間はパンサラッサさんのいう勝率の高い戦法で走り、トレーニングで基礎能力を底上げして、大逃げが出来るようにしましょう。」

ターボ「その当面って、どれくらいなのだ?」

南坂「それは難しいですね。いずれは…、としか言えませんし、もしかしたら出来ないかもしれません。」

ターボ「それって出来ないことを誤魔化す言い訳なのだ。パンのアンポンタンー!」

パン「タ、ターボ先輩、待ってください!」

 

 

テイオーとマックイーンが歩いている。

 

テイオー「今日の練習終わりー!はちみー買って帰ろっと。」

マック「そんなに飲んでいると太りますわよ。」

テイオー「そんなこと言って、マックイーンの方こそダイエットで糖質制限中じゃなかった?」

マック「し、仕方ありませんわ、そういう体質なのですから。あら?誰かが走ってきますわ。」

テイオー「ほんとだ。あ、ターボ師匠じゃん。おーい師匠!」

ターボ「テイオー!うわああああーん!」

 

ターボは泣きながらボクの胸に飛び込んできた。

 

テイオー「ターボ、どうしたの?」

ターボ「パンが、パンが大逃げを止めたー!」

テイオー「え、えええええーっ!?」

 

辺り一帯にボクの声が響き渡った。

 

 

マック「つまり、逃げでどうしても勝てないから、今後は先行策でやっていくつもりだと。」

ターボ「そう…。やっとターボを慕う後輩が出来たと思ったのに~。」

テイオー「うーん、でもそれって運命じゃないんだよね?だとしたら、難しいかも。」

マック「そもそも脚質というのは状況に応じて切り替えるのがセオリーですわ。先行策であれば、逃げくらいなら出来るはずでは?私も、他に前へ行くウマ娘がいなければ、先頭に立つことを厭いませんし。」

ターボ「そうじゃないもん。大逃げは大逃げという脚質だもん。」

マック「そう言われると反論がし辛いですわね。」

テイオー「うーん、この手のすれ違いは、どうしたらいいのかな。」

マック「トレーナーさんが把握している以上、そう悪いことにはならないと思いますわ。どちらも間違っていない以上、このまま様子を見るしかありません。」

テイオー「そうだよね…。」

 

 

ターボ先輩とのぎくしゃくした状態のまま、神戸新聞杯の日になる。コントレイルは依然無敗のまま、菊花賞のトライアルレースとして出走してきた。

 

パン「無敗三冠に王手をかけた状態での1番人気、か…。それに比べて私は、路線変更を検討中で軸がない。」

ネイチャ「そうがっかりしなさんなって。もしここで勝ったら、大金星だよ。」

イクノ「そうですね。もっとも、ライスシャワーの菊花賞のような可能性もあり得ますが。」

パン「嫌なこと言わないでください。それじゃ、行ってきます。」

「「「行ってらっしゃい。」」」

 

バタン

 

ネイチャ「あーあ、あれからぎくしゃくしたまま。お互いに間違ったことを言っていないから、無理に変えることも出来ないし。」

タンホイザ「ねえイクノ、このままだとパンサラッサはそこそこの成績で終わっちゃうんじゃないの?」

イクノ「その可能性は十分にあります。ですが、これはどうしようもないことです。これも勝負事の定め。それに如何に抗うかも、選手としての強さですから。」

ネイチャ「普通の事を普通にやって勝てれば、一番いいんですけどねー。」

イクノ「それはマックイーンさんのように、全ての基礎能力が高いウマ娘だけに許された特権です。そうでない我々は、奇手奇策を使って相手を翻弄しない限り、勝ち目はありません。」

 

 

道中、ずっと先頭で走ったものの、最後にはコントレイルに抜かれ、結局12着。

 

パン「どうして、どうして…。これが私の限界?いや、そんな筈は…。」

南坂「パンサラッサさんは、『普通の逃げ』しか出来ませんね。」

パン「普通の逃げ?それってどういうことですか?」

南坂「セイウンスカイさんの溜め逃げ、ミホノブルボンさんの体内時計を生かした正確なラップを刻む逃げ、ああいう特徴ある逃げが出来ない、ということです。」

パン「それに加えて、ターボ先輩の大逃げも厳しい。となると、『普通の逃げ』しか出来ない、と。」

南坂「そうです。」

パン「それじゃあ、私はこのままありふれた逃げウマ娘でレース生活を終えるのですか。」

南坂「厳しいですが、そういうことです。」

パン「そんな…。」

ナイスネイチャ「まあ、いいじゃん。オープンウマ娘の時点で、上位10%には入っているんだし、逃げが主軸というのは分かっているんだから。」

イクノ「ええ。自分の脚質を見極められず、あるいは自信を持てずに走り続けるウマ娘も多いですからね。」

パン「はい…。」

 

どれだけ辛くても、現実を見失うわけにはいかない。

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