異世界少年~ロリエルフにTS♀して日本に転生! 言葉は分からないけど、過保護で美人なお姉さんに拾われて何とか生きています!   作:二宮まーや

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86話 西園寺モモネサイン入りカード

 

 

 

 

 ◆(あおい)視点

 

 

 

 

「あおいねーたん、ころっけありゅの!」

「エルちゃん、今からあれこれ食べちゃうとたい焼き食べれなくなっちゃうよ?」

「ぐぬぬっ……またこんどにするの……」

「よしよし♪」

 

 エルちゃんと手を繋ぎながら商店街を歩いていると色々な人から声を掛けられます。地元なので、私や楓お姉ちゃんを小さい頃から知っている人達が多いのです。

 

「いらっしゃい! いらっしゃい! お、葵ちゃん今日も別嬪さんやね〜! エルちゃんも天使の様だ!」

「あ、高橋さんこんにちは♪」

 

 この方は魚屋の高橋さん。私が小学生の頃からの顔馴染みのおじさんです。

 

「おいたん! こんちはなの!」

「おお! エルちゃんも元気やなぁ! 良かったらぺろぺろキャンディー食べるかい?」

「んみゅ! 食べゆ!」

「おう、ちょっと待っててな!」

 

 エルちゃんはすっかり商店街のアイドルです♪ 特にお惣菜屋さんの店長さん、肉屋のおばさん、香水専門店のお姉さん、洋服屋のお兄さんにエルちゃんは物凄く可愛がられています。商店街を歩くだけで、何かしら頂く事が多いので少し申し訳無い気持ちにもなってしまいます。

 

「おいたん! あいあと!」

「どう致しまして♪ ちゃんとお姉ちゃんの言う事を聞いて良い子にするんだぞ」

「はいなの!」

 

 魚屋の高橋さんは見た目スキンヘッドで、人を殺してそうな顔をしていますが、高橋さんもエルちゃんの前では、破顔する程にもうデレデレです。まるで孫と戯れるおじいさんの様です。

 

「あおいねーたん、はやくはやく!」

「ちょっと……!? エルちゃん走ったら危ないよ!」

「――――――!?」

「あぁ……ほら、言わんこっちゃない……」

「あうぅっ……ぐすんっ」

「怪我は無い? よしよし〜」

 

 エルちゃんには怪我は無かったので良かったけど、ぺろぺろキャンディーを地面に落としてしまい、エルちゃんは既に半泣き状態です。

 

「ぐずんっ……おとしちゃったの……」

「お姉ちゃんが後でスーパーで買ってあげるから♪ 元気出して♪ ほら、甘えん坊さんはお姉ちゃんの所においで〜抱っこしてあげるよ♡」

「んみゅ」

「はい、甘えん坊さん捕まえた♡」

 

 スーパーに着くまでは、私がエルちゃんを抱いて行こう。しばらくエルちゃんを抱っこしてあやしながら、商店街のアーケードを歩いていると一件のカードショップが視界に入りました。そうえば、3日前に発売されたばかりのトレーディングカードゲームで、VTuberのコラボイラストの新弾が発売されたんだっけ。マネージャーさんや企業さんから話しは聞いてるけど、まだイラスト見てないんだよね。西園寺モモネちゃんのサインカードやレアカードはいくらするのか少し気になります。

 

「エルちゃん、少し寄り道しても良いかな?」

「んみゅ!」

「入るお店はあそこのカードショップだよ♪」

 

 カードショップ、【道子のトレカショップ♡】と看板に書かれています。個人的なのかな? 最近は空前のトレカブームで、カード界隈の方がかなり賑わっているとネットで見ました。それと同時に転売ヤーと普段カードをやらない人が沢山買い込んでしまう為に手に入れるのも大変だそうです。

 

「いらっしゃいませ〜」

 

 店に入ると沢山のカードがショーケースに展示してあります。こういう店に今まで一度も入った事が無いので、少し新鮮味を感じますね♪ さてと、お目当てのカードは……

 

「あ、この辺かな?」

「んぅ? あおいねーたん、これなぁに?」

「これはカードと言って、お友達や色々な人とデッキを組んで対戦するゲームなの」

「かーど! んぅ……かーど?」

 

 それにしても、カードと言うのはこんなにも値段がするものなのね……下から上まで値段はピンキリですが、お高いカードは1枚で数万から数十万とお値段が表示されています。私は人生で一度もトレーディングカードゲームはした事がありません。まさに未知の領域ですね。

 

「あ! あおいねーたん、マッマいりゅの!」

「あ、本当だね。まさか二宮マッマもカード化されていたとは……世も末だね」

 

 しかも、カードの名前が【純潔の女神・ナイスバディな二宮まーや】と記載されてる……不純の間違いじゃないの? マッマが純潔とか全然想像がつかない。まあ、喋らなければ美人、喋ると残念な変態、動けば刑務所行き、それが二宮マッマだ。今頃、行きつけの幼稚園でショタやロリを漁っては、警察官に職務質問をされて刑務所に連行されてるに違いない。

 

「ふむふむ……二宮マッマのレアカード税込1枚2980円で売られてるね」

「あ! あおいねーたんのすきなモモネたんありゅ!」

「え、どれどれ?」

 

 確かにモモネちゃんの事は大好きだけど、中の人が私なので少し複雑な気分ですね。エルちゃんは中身が私だとまだ分かってはいません。もう少しエルちゃんが大きくなったら教えてあげようかな♪

 

「ふぁ……!? 嘘……値段おかしくない!?」

 

 カード名は、【妹系VTuber・西園寺モモネ】サイン入りカードのお値段…………何と18万9千円!? 桁おかしくない!?

 

「たっか……え、まじか……」

「モモネたん、かあいいね!」

「うふふ……そうだね♡ でも、こんなするのか」

 

 モモネちゃんも可愛いけど、エルちゃんもめちゃくちゃ可愛いよ♡ 先程から、エルちゃんが私の胸に顔を埋めて来たり、スリスリとさり気なく甘えて来るので私の心拍数がだいぶ跳ね上がってる。あぁ……鎮まれ……私の欲望。私がしっかりしないと一ノ瀬家は終わる。落ち着くのよ葵!

 

「あおいねーたん?」

「あぁ、何でもないよ♡」

 

 お、こっちのカードは夢見アスカこと真由美お姉さんだね。サイン入りカードのお値段は8万円……サインカードって、そんなにするものなの?

 

「マッマのサイン入りカードはいくらするのかな?」

 

 あれ、二宮マッマのカードだけ値段が少し安いぞ? サイン入りのお値段は、税込1万2800円。まあ、それでも高いけどね。他のメンバーのサイン入りカードを見てみると、おおよそ4〜8万円が多いです。

 

「しかし、モモネちゃんのサイン入りカードをこんな値段で買う人居るのかな?」

 

 私とエルちゃんでショーケースを見て居ると、後ろから店員さんと小太りな男性の方がショーケースの目の前までやって来ました。

 

「ぶひひ♡……店員さん、西園寺モモネちゃんのサイン入りカードを下さい!」

「はい、こちらですね〜カードの状態の確認をお願いします」

「ふむふむ……ぶひひ。あぁ……モモネたぁあああんんん♡ 僕の家宝にするからね! あ、状態に問題はありません」

「はい、ではあちらのレジへどうぞ♪」

 

 ええぇ、まじかぁ……西園寺モモネちゃんのサイン入りカード売れちゃったよ……あの男性の方は、余程のモモネちゃんファンなのかな?

 

「お客様も今回の新弾がお目当てですか?」

「へ? あ、違いますよ。少し気になって寄ってみただけです♪」

 

 びっくりした……いきなり店員の女の子から声を掛けられてしまい驚いちゃったよ。多分、ここでアルバイトをしている学生さんかな?

 

「そうでしたか、カードは素晴らしいですよ♪ 特に今回のコラボ新弾は、あのVTuber達がカードにて参戦ですからね〜特に一番人気のトップ枠が、西園寺モモネちゃん! 全国各地でVコレ争奪戦ですよ〜私は初期からのモモネちゃんの大ファンで、モモネちゃんグッズも頑張って集めてるのですよ!」

「うふふ……そうなんですか♪ 私もモモネちゃん好きですよ♪」

「おお! 同士です! これは運命感じちゃいますね! 私は朝倉 美波(あさくらみなみ)です! お姉さんとお嬢ちゃんのお名前は?」

「私の名前は一ノ瀬 葵と申します♪ こちらは妹のエルちゃんです♪」

 

 あらあら、エルちゃんが恥ずかしいのか私の胸に顔を埋めてしまいました。その光景を見た朝倉さんは、頬を染めて目をハートにしています。でも、気持ちは分かるよ……こんな光景見たら、そら誰だって同じ反応をしてしまいますよ。

 

「はぅ……♡ 可愛い……私もこんなに可愛い妹が欲しかった……」

「妹は素晴らしいですよ♪ 特に私の妹のエルちゃんは、寂しがり屋で甘えん坊さんで、夜は私とお姉ちゃんと一緒に川の字でぴったんこしながら寝ています♪ たまに夜トイレに一人で行くのが怖いのか私の手を握って……」

「はわわっ……しょ、しょんなことないもん!」

 

 あらあら♡ 恥ずかしいのかな? エルちゃんが顔をリンゴのように真っ赤にして慌てふためいています。

 

「くすくす……それは尊いですね♪ ごほんっ……少し話が逸れてしまうのですが、葵さんの声……気のせいかモモネちゃんに似ているような……瓜二つ?」

「え、あぁ……良く言われます♪」

 

 しまった……つい油断してしまった。外に出る時は、声を少し変えて人と話すように意識しているのですが、少し気を抜くと素の声で喋ってしまう。私の素の声が西園寺モモネちゃんの声なので、バレる可能性が非常に高い。

 

「凄いですよ! 声真似グランプリに出たら、間違い無く優勝出来ますよ! 美人で声が可愛いの羨ましいです♪ しかも、モモネちゃんボイス!」

「いえいえ、朝倉さんもとても愛らしいですよ♪」

「えへへ……ありがとうございます♪ あ、店長に呼ばれたので行きますね♪ 失礼しました! ではごゆっくり〜♪」

 

 危なかった……エルちゃんの話しをするとやけに饒舌に喋ってしまう。次回からもっと気を引き締めて注意しよ……声真似グランプリかぁ。私が出場したら優勝出来るのかな? と言うより西園寺モモネの声優は私なんだけどね。

 

 葵ちゃんとエルちゃんが店から出ようとしたその時に店内のアナウンスが鳴り響いた。

 

 

【13時からブースター拡張パック、【Vコレクション】を販売致します! おひとり様1BOXまでとなります! 慌てずにゆっくりとお並び下さいませ! 列はこちらからお願い致します〜!】

 

 

 え、Vこれって今回の最新弾だったけ……店内のアナウンスが流れてから、レジ付近がかなり混み合って来ています。せっかくの機会だし、運試しに一つ買ってみようかな。

 

「あおいねーたん、へんなちといりゅよ!」

「え、変な人?」

 

 あ、あれはまさか!? 一昔前に居たであろう、頭にバンダナ、チェック柄の服にジーパン。ポスターが刺さっているリュック! 近年に稀に見ない基本を忠実に守ったような、Theオタクファッションだ! 

 

「イヒ……イヒヒ……首尾は順調でござるなぁ! エメラルダ氏はVコレ何箱確保出来たでござるか?」

「ぐへへ……あっしはほかの店も巡って、予約分を合わせて12箱確保したでござるよ。必ずやモモネちゃんのサイン入りカードを引き当てて見せるでござる! 皆の衆は?」

「吾輩はまだ2BOXですよ〜ここの店で1BOX獲得したい所」

「小生はまだ0でござる……もしモモネちゃんのカードを確保出来なければ、今月の給料を犠牲にしてモモネちゃんのサイン入りカードを手に入れるでござる!」

 

 ええぇ……あの集団の後ろに並ばないと行けないのか……何か私だけ他の方達と周囲の温度が違う。でも、モモネちゃんのサイン入りカード私も欲しいな。自分が担当しているキャラの関連する物とか欲しいもん。

 

(最終手段でコネを使って、サイン入りカードを手に入れると言う方法も無くは無いけど……それだと流石に卑怯だよね。私も正々堂々と皆と同じ舞台に立ってこそだよね!)

 

 よし、1BOX買ってみよう! エルちゃんには申し訳無いけど、私の我儘に少し付き合って貰うとしましょう。

 

 

 

 

 

 ―――◆30分後◆――――

 

 

 

 

 

「良し、1BOX手に入れた!」

 

 Vコレクションは販売から1時間もしないうちに売り切れてしまいました。運良く購入出来てラッキーでした♪ お家に帰ったら、夜に楓お姉ちゃんとエルちゃんの3人で開封しよう! 何が出るのか楽しみだなぁ♪

 

 私とエルちゃんがカードショップを出ようとしたその時でした。入口付近に小学生の女の子が涙目になりながらお母さんにあやされて居る所を偶然目撃してしまいました。

 

「ぐすんっ……お母さん……Vコレ売り切れだよ」

「また売り切れなのね……これは困ったわね」

「Vコレ欲しいよ! モモネちゃんのカード欲しいよ!」

「あーちゃんごめんね、モモネちゃんのカードは、お値段高くて到底買える代物じゃないの」

 

 確かにモモネちゃんのカードは、お値段が異常に高くてサイン入りじゃなくても結構な値段がします。転売ヤーとかお金目的で買う人の元へ渡るより、本当に欲しい子に物が行き渡って欲しいものですね。ふむ……良し、決めた!

 

「あの……すみません。良かったら、このVコレお譲り致しますよ?」

「え!? お姉ちゃん良いの!?」

「うん♪ お姉ちゃんね、お家にもう1つあるから大丈夫。だからこれはプレゼント♪」

「わーい! お姉ちゃんありがとう!」

「あの……本当に良いのでしょうか?」

「はい、良いですよ♪ 勿論、お金も不要です。モモネちゃんのカード出ると良いですね♪」

「何と言う……本当にありがとうございます!」

 

 その子のお母さんは申し訳なさそうにお礼を言って頭を下げてから、小学生の女の子も後に続いて頭を下げました。

 

「頭を上げて下さい!」

 

 ここまで丁寧に対応されると私まで困ってしまいます。女の子は両手で大切そうにVコレを持ってお母さんと行ってしまいました。女の子の嬉しそうな笑顔が見れただけで、30分並んで買った甲斐があったというものです!

 

「んぅ?」

「うふふ……あれで良いんだよ♪」

 

 あの女の子にモモネちゃんが当たりますように……

 

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