スズカになりました。   作:にわとり肉

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あるウマ娘の独白

 わからないやつだ。

 

 いつもぼうっとしていて、授業中もそっぽを向いて、空を眺めているか、本を読んでいるか。最初のうちは、大人びた人なんだなあなんて思っていた。

 他の人とは違う雰囲気が、好奇心あふれる小学生の中にあるなら、当然ちょっかいをかけにいく奴が出る。実を言えば、この私もだ。普段何してるのーとか、何読んでるのーとか。

 意外と人当たりの良いヤツで、質問攻めに嫌な顔一つ見せずに、そつなくこなしていた。

 でも、アイツの周りには、見えない壁があるようで、そういう雰囲気があって、ちょっかいをかけにいく人はどんどん減って…… 小学一年の二学期ぐらいの時には、本質的に孤立していたと思う。

 というのは、アイツは人付き合いができない訳ではないからだ。ただ、誰にも心を許していないし、心から笑わないし、私も、他の人も、アイツに対して心を許せなかったというか。そんな感じだ。

 

 ところで、アイツには一人、2年上に姉がいた。名前は“サイレンススズカ”。

 とても足が速い人で、私もウマ娘の端くれだから、あの頃から今まで憧れの人だ。今は少し違うけども。

 ただ、あの人はかなりエキセントリックな性格をしているようで、家に帰ろうと廊下を歩いていた時、上級生(6年生だったか)と揉めているのを見たことがある。(その後に聞いた話によると、「私の前に立つな」的なことを言い放ったということだ)

 

 アイツは、昼休みとか放課後とかは、大体スズカさんと一緒にいた。その時だけは、アイツは心からの笑顔を見せていた気がする。

 不思議だった。姉妹愛といえばそこまでだが、あそこまで露骨に変わるものなんだろうか。全く同じ姿の別人と言った方が納得ができる。

 そう。姉が絡むと、アイツは変わるのだ。良くも悪くも。

 先に言った通り、スズカさんは結構人付き合いが下手くそなところがある(ように見える)。だから、あの人を嫌う人も一定数出てくるわけだ。そういう奴は、私の近くにもいた。

 そういう奴に、アイツはよく、怖い目を向けていた。

 悪い言い方になるが、アイツは姉の尻拭いのような行動もしていたから、上級生からも目をつけられていた。

 当然、上級生と揉めていたこともあった。

 

 その時も、その目をしていた。

 

 とても、人が人を見るときに向けるような視線じゃない、冷たいだとか熱いだとか、そういう温度のない視線。理解できない目。

 あの時だけは、アイツが、ラスカルスズカというウマ娘ではないように見えた。

 

 まぁ、それ以外は何も変わらない。いつも退屈そうに日々を送っていたし、あの姉あってこの妹ありというべきか、レースの成績も、学校の中じゃ一二を争う強さだったから、トレセン学園に合格したのには何の疑問も抱かなかった。

 

 ただ、最後まで、やっぱりよくわからないやつだったな。別に積極的にわかろうとしたわけでも無かったけど。




 次回からようやくトレセン学園の話。

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スズカさんの同室

  • スペちゃぁぁぁん!!!!!
  • ラスカル
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