起きたら茜ちゃん!   作:丹碧のブルーメ

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この小説、基本一話3000文字くらいを意識しているんですけど、最近長いのが続いてましたので調整します。
……というわけで今回は少し短いです!


十一話『これからのこと』

わたしの予想通り、茜ちゃんは葵さんを助ける選択を取った。答えるのに全然時間差なんか全くなくて、一切迷うことなく選んでいるように見える。

やっぱりこの子、葵さんに強く依存しすぎている。環境を考えればそうなってしまうのも必然かもしれないが、このままでは“もしもの事”があった時少し心配だ。勿論そうならないように、わたしも努力するつもりではいるが。

 

「……茜ちゃんにとって葵さんはすっごく大切な存在なんですね。」

 

「ずっと一緒の妹やもん、当然や。」

 

強い覚悟が伝わってくる。

なら、その覚悟に答えてあげなければならない。

こうなると思って、わざわざこんな重いリュックサックに沢山物を詰め込んで来たのだから。

 

「わかりました、じゃあまずは早速これを着てもらって……」

 

「なんやこれ……あ、もしかして潜入してた時のあかりちゃんと同じ隊員服?」

 

「正解です。茜ちゃんには葵さんを救う為にまず、ここの“機関の人間”の一人になってもらいます。そして──」

 

普通、機関の人間以外は葵さんが保管されている部屋……もとい、ミッションの中で回収したロボットが各々保管される部屋『ロボット格納庫』に入ることは出来ない。

 

なのでまずは、茜ちゃんにここの人間の一人になってもらい、ミッションをこなしてもらう。ミッションはわたしの手伝いとか言って、適当に同伴させればいいだろう。

そうしたら周りから信用を得られるはず。

そこまで行けたらロボット格納庫に茜ちゃんが入る口実なんて、幾らでも思いつく。

 

「──というわけです少し長期的な作戦となりますね。」

 

「入ったところでウチは、どうすればええの?」

 

「入れた時点でわたし達の勝ちです。

入ったタイミングに合わせてわたしが監視カメラの担当に移るので、その隙に茜ちゃんには葵さんに脱出を促してもらいます。」

 

わたしは“相方”の意向もあって葵さんをこの施設から逃しても良いと思っている。茜ちゃんもそれを望んでいるから、尚更だ。

 

「ここ、あかりちゃんがずっと働いてたとこなんやろ?なのにこんなことしてええの?それに葵がいなくなった後疑いの目を向けられるのは……」

 

「今は自分達のことだけを考えてください、わたしはわたしで何とかしますから。」

 

機関への忠誠心は勿論あるが、それでも相方の方が優先順位が上だ。機関の皆は困るだろうが、相方の意向ならそっちを優先するまでだ。

それにわたしには考えがある。

 

「わかったで、ほな着替え…」

「あ!じゃあわたし向こうで待ってますね!!では!!!」

 

「え?あ、はい……」

 

あの子の可愛さは危険すぎる。

あれは同性をも魅了する悪魔的な可愛さだ。実際、健康診断の時に女性の係員も凄い目で見ていた。

わたしも、目の前で着替えなんてされたら……

 

◆❖◇◇❖◆

 

扉の向こう側で茜ちゃんが着替えている間、わたしは考えに耽る。ちなみにこの行動原理には、欲を誤魔化す為……とかそういう理由も入っていたり。

 

 

あの子と話してて妙に思ったことが複数。

まず一つ目に、想定していたよりずっと茜ちゃんに“知識”があったこと。

ずっと軟禁状態にあったはずなのに、話しててそれを感じさせなかった。配信していたらしいので、それのおかげで知識を取り入れられてたのかもしれない。というかこの事はさして重要では無い。

 

重要なのは二つ目、彼女達の“マスター”のこと。

葵さんに聞いた時はまるで隠しているかのようにあまり教えてくれなかったし……茜ちゃんに聞いた時はあまりよく知らないような、まるで関係の無い他人のような口ぶりだった。

人の暖かさも初めて知ったようだし、やはり会ったこともなければ話したこともないのだろう。

これではマスターとやらの人物像がまるで分からない。……一応、もう亡くなったらしいあそこを作った者の関係者なのは確定しているが、それだけだ。

今度また情報を集めるために、もう少し深入りして話してみようか?

 

そして三つ目は…

 

「あかりちゃんもう入って来て大丈夫やで!!」

 

呼ばれてしまった。考えるのはまた今度にしておこう。

 

「今行きますねー。」

 

扉を開けるとそこには、しっかり隊員服に身を包んでそれっぽくなってる茜ちゃんの姿が。

 

「完璧ですね、目立つ髪色もヘルメットで殆ど隠れています!よほど目を凝らさなければあなただとはバレないと思います。」

 

「せやろか?なら安心やな。」

 

これならおそらく大丈夫だ。それにいつも忙しいこの機関は、他人のことを気にする人等あまりいない。

 

「はい、これが偽装パスでこっちは携帯端末です!」

 

「よ、用意周到やな……」

 

「あなたなら救う判断をとるだろうなと思って、用意しておいたんですよ。」

 

ちなみに余談だが、この偽造品はわたしの相方が作ってくれた物だ。あの人は元々そういう部門に長けていたから、この程度は容易なんだそう。

さすがわたしの相方だ。

 

「よしよし、この格好なら何処を歩いていても不思議に思われないはずです。とりあえず施設を案内しましょうか??」

 

「初めて見る物ばっかりやからな、楽しみやで!」

 

今から遊園地に行く子供のようなテンションになっている茜ちゃんを見て、わたしは自然と笑顔になっていた。

同い年なのに、まるで年下の子供の面倒を見ているような気持ちになって微笑ましく思う。

 

さて──何処から案内しようか。




・隊員服
全体的に黒で統一されていて、隠密行動に最適。
ヘルメット等もあり、あまり個人の特徴が出ない服装になっている。

場合によっては人を殺めることもあるこの職業柄、恨みを買いやすい。
そんな職業に就いている隊員達の正体が悟られたら個人のプライベートにまで被害が及ぶ危険性がある為、このような個人を特定しにくい外見となった。

※文脈修正入りました、物語の展開に変更はありません。
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