起きたら茜ちゃん!   作:丹碧のブルーメ

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すいません上げ直しました!
極力退屈させないように騒がしい感じにはしましたが、所謂説明回ってやつですね。



二十二話『ゆかりさんの“大事なお話”』

お茶を淹れてきたわたしは、ちゃぶ台を囲って話すように仕向けた三人の会話があっという間に盛り上がってることに気付く。

 

「えっ、ガソリンにも美味しい不味いがあるんですか!?」

「ウチは味調整されてても毎日キツかったんやけどな!」「私は美味しかったけどね??」

 

……会話内容はさておき、もう仲良くなっているようで嬉しい限りだ。思わずニッコリしてしまう。

 

保護者みたいな目線で見ているなとツッコまれるかもしれないが、それは仕方ない。なんせわたしにとってあかりちゃんは、子供のようであり…そして頼れる相棒のような存在だ。

 

この子との出会いは確か6年くらい前で──全部思い出していたら折角淹れたお茶が冷めてしまうのでは無いかと思うほど、濃密な出会い方だった。

なので今思い返すことは、わたしが拾って育てた。これだけでいい。

 

当時からずっと敬語で、まるで後輩のような振る舞い方で……そこだけ聞けばあまり心を開いてくれてないように思えるかもしれないけれど、わたしはあれが彼女の素だと知っている。

 

なんというか、表裏がないのだ。素直とも言えるか。

だからなのだろうか?誰とでも直ぐに仲良くなってしまう、すごい子だ。おまけに超絶可愛いわたしの天使でもある。今回もその手腕を信じてあの姉妹との会話を頼んでいた。結果は見ての通り。さすがとしか言いようがない。

わたしには無い才能だ。

 

すこし羨ましくなりながらも、声を掛ける。

 

「三人共、お茶淹れてきましたよ。おまたせしました。」

 

「お!!さぁさぁ茜ちゃん!葵さんも!!

ガソリンとどっちがおいしいか是非飲んで確かめてみてください!」

 

なんでガソリンとわたしの淹れたお茶が比べられなきゃいけないのかと内心文句を言いながらも、その比較対象を出してあげる。

 

「ほないただきまーす!」「いただきまーす。」

 

話を戻そう。

誰とでも仲良くなってしまうとは言ったものの、同じ年頃の子達と話してるのを見るのは実は今日が初めてだった。

機関には基本的に若くても大学生くらいの子からしかいないから、きっと今まで交友関係に無かったのだろう。そもそも、あそこは基本的にお互い名前を覚えない暗黙のルールもあることだし、仮に居たとしてもそこまで深い仲になれただろうか?

 

「お…おいしい!!」

「美味しいね、味に深みがあるというか……」

 

その点、この姉妹は安心だ。

機関所属では無いし、片方はあかりちゃんの現相方だし……なによりわたし達と深い“共通点”がある。絶対、仲良くなれると信じている。

 

「そうでしょうそうでしょう!!」

 

にしても、こころなしかあかりちゃんが普段より楽しそうだ。茜さんとは既に仲が良いらしいし、その妹とも自然と会話が弾むのだろうか。

こちらとしても嬉しい限りだ。

……さて、あかりちゃんのことを考えるのもいいが、わたしはこれから隣に座っているお客様姉妹──もとい、家族になるかもしれない姉妹を説得しなくちゃいけない。

そう思い隣に意識を向ける。

 

「やっぱりガソリンよりこっちや!ちゃんとした飲み物はええなぁ、心が落ち着くで!」

「あ、熱々だから気をつけてって言おうとしたのに…もう既に飲み終わってる……」

 

茜さん。琴葉茜。

声や姿からして間違いなくわたしと“同類”に違いないのだが……あかりちゃんの話によると出生の影響で身体能力が極めて高く、おまけに最近は炎まで自分自身だけの力で扱うようになったそうだ。

ちなみに性格の方は聞いた話だと元気で少し天然、そしてなにより妹思いらしい。彼女が妹を助けるために機関の任務に命懸けで挑み続けていたという事実が、それが本当であることをはっきりと認識させてくる。

 

──あぁ、“イメージ”にぴったりだ。いますぐ迎え入れたい。けれど懸念点もある。話で聞いた通りの彼女の美少女っぷりに、ただでさえ初対面の時は緊張するタイプなわたし。

相性は最悪で、いつも以上に緊張してとんでもなく小声になってしまいそうだ……ヘリでの会話の二の舞にならないように、気を引き締めなくては。

 

……まあ、美少女という点ではこのわたし(ゆかりさん)も負けていませんがね??

 

「熱さには慣れとるし…あ、もう一杯ええかな??」

「はいはーい、構いませんよ。」

 

「お姉ちゃん、ガソリンの時と食い付きが全然違うね…?」

 

次に、葵さん。琴葉葵。

姉をジト目で見つめている彼女も、茜さんと同じくモチーフは“同類”だと思われるが……話によると出生は少々異なる。

曰く、こっちはロボット──正確にはアンドロイドだそうだ。あとあかりちゃんに銃を発砲したことも聞いている。なので少し警戒させてもらっていたが、会ってからの態度を見るに杞憂に終わりそうだ。……多分。

 

あれは、おそらく当時は姉が危害を加えられたからそうなっただけなのだろうと推測できる。

ちなみにこのことからわかる通り、とっても姉思いらしい。あかりちゃんもあまり彼女と話をしていないから、それ以外の性格はまだ見えてこない様子。これから仲良くなって知っていきたいところだ。

 

そしておまけに姉と同じく超可愛い。美少女タイプのアンドロイドなら今の世の中ある程度生産されてたりするが、ここまでのは見たことない。

──ああ、意識してたら緊張してきた。

 

とはいえ、いつまでも見てる訳には行かない。この可愛さもあかりちゃん同様しばらく接していたらきっと慣れるはず。

早速今後の予定通りこの姉妹二人を迎え入れるために、あの件を話して説得しなくては。

 

「さて、飲みながらでいいので聞いてください。姉妹のお二人に大事なお話です。」

「ん、今話すんですね。」「「??」」

 

飲んでるところ申し訳ないが、これから共に暮らすなら必要なことだから。これは今話さなきゃならない。

 

「単刀直入に言います。一緒に家族になって、家族を増やしませんか?」

 

瞬間……さっきまで賑わっていたお茶の間に訪れた。突然の沈黙。あれ、あれ。なにかやってしまったかも。

その沈黙を破って、何故だか引き気味に質問してきたのは茜さん。

 

「あの…な、何を言うとるの??」

「……その、大胆だね…。」

 

「ゆっゆかりさん!!言い方!言い方ァ!!!」

 

どうやら語弊を招いてしまっていた様子。

顔を赤くしたあかりちゃんに注意されてしまった、急いで訂正しなくては。

 

「正確には家族を増やす……もとい、家族になる人を探し出していただきたいのです。──ひとつの、大切な目的のために。」

 

改めて、さっき伝えたかったことを言葉にする。

 

「それでも不思議やな…それはなんでなん??」

「お姉ちゃん、この人愛に飢えてたりするのかな?」

 

「ゆかりさん!説明!説明ィ!!」

 

今度は顔を青くしたあかりちゃんに、説明を求められてしまった。忙しいなこの子。

 

「はいはい……えっとですね、まず最初にこの話は“マスター”の存在が大きく関わってきます。」

 

わかりやすく説明する上で、あの姉妹が確実に食いついてきそうなワードも出す。すると想定通り…

 

「マスター──気になるで。

こっちの認識としては、“VOICEROID”の所有主として動いてたこと。絶対に姿を見せないこと。そして、やたらウチらに配信させたがること。この三つしかわからへん謎な人やからな…」

 

なるほど、やはり同一人物で間違いなさそうだ。

わたしのマスターへの印象と概ね一致する。そしてヘリの時や玄関前の通路の会話の時点で何となく読み取れていたが、茜さんもやはりこの話題からわたし達の共通点に気づいている様子。

VOICEROID……その単語を出してきたということは、そういうことだろう。

 

そう、わたし達には共通のモチーフがあるということに。

 

「──ま、待ってください!ぼいすろいど?ってなんですか??」

 

そういえばこの子にはマスターについてこそは教えていたが、VOICEROIDについては話していなかった。あかりちゃんにも初めて話すことだ。

 

「ふむふむ。ならマスターのことの前に、その“VOICEROID”という概念について話しましょうか。」

 

あかりちゃんも話についてこられるように、まずは今ここにいる四人にとって重要なことについて教えることにしよう。

 

◆❖◇◇❖◆

 

珍しく沢山喋って説明を一通り終わらせたわたしは、自分で作ったお茶で一息つく。うん、さすがのおいしさ。さすがわたし。

 

「し、正直まだ呑み込めてませんけど…

つまり、“VOICEROID”っていうのはずっと昔に流行っていた合成音声ソフトで……?」

 

「はいはい、あってますよ。」

 

「 それのキャラクターをモチーフに、ゆかりさんとかウチみたいなデザイナーベイビーが作られた──ってわけやな??」

「……」

 

その言葉通りの、まさに現実に現れたVOICEROID!と言わんばかりの二次元から飛び出してきたかのような美少女っぷりをしてる容姿の彼女の言葉を推定する。

 

「ですです。流石機関で活躍してたナイスコンビといいますか。息ピッタリですね……」

 

想像してたよりも早く理解してくれたようで何よりだ。

そうして一段落したところで、一人だけリアクションが違った人物に声を掛ける。

 

「──にしても、葵さんは全部知っていたみたいですね?」

「えっ、そうなん?」

 

そう、彼女だけは他の二人とは違ってリアクションに驚きが無かったのだ。




・結月ゆかり
あかりと同じくとても温厚ではあるが、少し人見知りらしい。
茜達と同じ“VOICEROID”の架空のキャラをモチーフとして現実に作られた存在であり、自分と同じような境遇の人物を探し出すために機関に入って情報を集めていた。

今集まっている四人の中では群を抜いて頭が良く、ついでにお茶を淹れるのも上手なようだ。


※ゆかりさんとあかりちゃんの出会いはまた別の話で掘り下げ予定です。現時点で書くとどうしてもネタバレ要素が含まれてしまうので……というわけで、ご理解よろしくお願いします!

※少し文章を削りました&誤字修正しました。誤字報告ありがとうございます!!
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