起きたら茜ちゃん!   作:丹碧のブルーメ

32 / 44
読み上げ機能の音声の追加予定?
ふむふむVOICEVOX勢追加ね……え、VOICEROID2から紲星あかり&琴葉茜・葵も追加予定!?ハーメルン運営様一生ついていきます!!!

……となっていて今とっても嬉しい投稿者です。
お待たせしました、どうぞ!!


三十二話『勃発!いきなりの3対3』

「……なんか家の中でゴタついてへん?」

 

「あ、たしかに…」

 

無事きりたんの教えの甲斐もあり井戸から水を汲み上げ終わった茜は、冷たい水を飲み終えるとそう発言した。それを聞いて二人が耳をすましてみると、たしかにとても説得に行っただけとは思えないような激しい音が聞こえてくる。

何か、物が物にぶつかっているような音だ。

 

「ゆかりさんが説得に失敗してずん子さんが怒ったとか??」

 

「いや、ずん姉さまはそんな暴れるような人じゃないですし…ゆかりさんか白い髪の……ほら…そっちの方じゃないですか??」

 

「あかりちゃんのこと言うとる??

でも二人もそんな物音出すような性格じゃあらへんで……?」

 

「「「うーん…???」」」

 

結局音の原因を考えに考えても、三人の頭の中には疑問符しか出てこなかった。そのうち心配になって中に入ろうか相談していると、正面の扉が勢い良く開いた。

 

「大変です皆さん!今すぐ来てください!!」

 

「あっゆかりさん、そんな慌ててどしたん…」

 

扉を開いたのはゆかりだった。後ろを見ればずん子もいる。

初めて入った人の家の扉を勢い良くスパーンと開けるのはどうかと思われるが、生憎そのような細かいことを言っている状況ではないことが扉から出てきた二人の表情で察せる。

 

「敵襲ですよ、敵襲!

今はあかりちゃんが一人で抑えてますけど、厳しそうですからなる早で!!」

 

「その顔は、マジだね?行こうお姉ちゃん。」

 

「せやな、あかりちゃんが心配や!

あえっと……お邪魔させてもらうで〜!」

 

敵襲であることをゆかりから聞いた琴葉姉妹は、そう言うと躊躇無く中へ颯爽と入っていく。ずん子は思わずその姉妹の行動の速さと戦闘慣れした対応にビックリして、ゆかりの方を見ながら確認をとった。

 

「あ、ああーうん!がんばってー!!

──すごいねあの子達、あんまり私と歳変わらないのに……戦闘のプロみたいな剣幕で入っていったよ…??」

 

「まあ…その、家族は皆揃いも揃って戦闘経験があるので……」

 

実際その通りで、ゆかり一行は全員が戦闘できるメンバーだ。茜はあかりと二人で機関の“尖兵コンビ”として何度も戦場に出ているし、葵も過去にあかりと対峙した際にその銃さばきで驚かせた。

そしてゆかりもあかりが機関に入ってすぐの頃は、共に戦っていた時期がある。

 

……まあ自然と話題の中心になったあかりは、今無事かどうかわからないわけだが。

 

「そっか〜……あーあ、私も弓さえあれば今すぐ戦えるのになぁ。」

 

「弓……弓道してるんですね。」

 

「あぁうん、家訓だーって昔からやらされててね?きりたんも背中に背負ってる物で似たようなことが出来るんだけど……あ、そいえばきりたんは??」

 

ふとずん子の中で妹の存在が気にかかったので、辺りを見回してみると……家の正面から見て横の影に、見慣れた出刃包丁が見えた。あれはずん子の妹、きりたんの頭に角みたいについてるものだ。

最も、本人は隠れてるつもりのようだが。

 

「おーい、きりたーん!そこで何してるのー?」

 

ギクゥ!?

 

「ギクゥって…バレバレでしたけどね……ほらきりたんちゃん、出てきてあげたらどうですか??」

 

家の中はドタバタしているというのに、何故だか少しのほほんとした空気を醸し出してる三人であった。

 

◆❖◇◇❖◆

 

一方で家の中では、激しい戦闘が行われようとしている。

 

「あかりちゃん!大丈夫なん!?」

 

「えぇ、まだまだ行けます!!」

 

「こんなでっかい虫初めて見たよ……き、キモイ…」

 

琴葉姉妹が駆けつけて安心したのもつかの間、ついあかりはその安心からか腕の力を緩めてしまい、襖を虫達がこじ開けるチャンスを与えてしまったのだ。

 

「にしても……こりゃまた綺麗に揃っちゃったね。」

 

お互いに数は三対三。

葵は袖から銃を取り出しながら、思わずそう呟いた。

現在は室内から出てきた三匹の虫達に対して、あかりに琴葉姉妹を加えた三人が睨み合い、臨戦態勢を取っている。

 

「あはは、たしかに。」

 

「やつら、ただの虫とは思えへんほど統率が取れとるやん……」

 

「ですね……でも動きを見ていて、一つだけ分かったことがあります、恐らくやつらは電気が大好きみたいで!せいっ!!」

 

そう言うとあかりはビリビリガンを常に電気を発するモードに切り替えて、床に放り投げる。するとその言葉の通り、虫達はまるでエサでも見つけたかのように、揃いも揃ってひとつの物に夢中になり始めた。

ようするに、奴らは敵に背を向けたのだ。

 

「今がチャンスです!」

 

「うん!!畳み掛けるで葵!」

「まっかせてお姉ちゃん。」

 

隙を見せたなと言わんばかりに、葵が銃を発砲する。

狙いは足だ。奴らは甲虫なので、その装甲はもしかするととんでもなく硬いかもしれない。なので先ずは比較的脆そうな足を無くしてやろうと考えたようだ。

 

ダダダダッ!ダダダダッ!と超短いスパンで銃弾の雨を敵に降らせる。不思議なことにリロードする必要が無いようだ。今回は威嚇射撃ではない上に相手が虫なので、なんとも容赦が無い。

三匹の内の1匹は、あっという間にそのか細い足を根元から撃ち抜かれ、ダルマ状態となった。

 

「うわ、味方ながらやることが惨い……」

 

「これはウチも負けてられへんな!」

 

茜も負けじと、仲間が一匹やられた事で焦って襲いかかってきた虫達を、思いっきりキックしてバキィ!といい音を鳴らしながら蹴り飛ばしていく。

如何せん大きさが大きさなので、ボールのように蹴りやすかったらしい。

おまけにそこまで装甲も固くなさそうだ。

 

「片方は今のでダウンしたみたいや、残るはあと一匹!」

 

「わ、わたしだって!!」

 

二人の行動を見て勇気づけられたあかり。

続いて彼女はいつも使っているビリビリガンを床に落としている為に、予備の武器──パーカーからフックショットを取り出すと、弱った虫に狙いを定める。どうやらこれは攻撃にも使えるようだ。

 

しかし虫もやられっぱなしではいられないのか、寸前でヴヴヴヴヴ…とゾクゾクする羽音を鳴らしながら攻撃を避ける。

……だが、あかりの真の狙いは今のでは無い。

 

「残念、ふたつ持ってますよー!!」

 

避けられた方のフックショットをパッと離し、もうひとつのフックショットを射出!こっちは無事ヒットしたようだ。

そもそもフックショットというものは、高い壁を昇る際は刺して登って刺して登って──とする為、二つ所持する必要がある。

つまり、二つで一人分というわけだ。

 

そんでもってこれは、元々壁に突き刺さる威力を持つ。

無論、突き刺された虫の安否は言うまでもなく……

 

「やりました、粉砕です!」

 

三匹ともこれで再起不能だ。

最後の一匹を仕留めたあかりは、フックショット片手に笑顔でピースを琴葉姉妹に向ける。

 

「あかりちゃんやるじゃん。」

 

「さすがやで!……敵はこれで全部なん?」

 

「おそらくは。」

 

とりあえず一段落したようだが、まだ警戒は怠らない。

機関で幾度となく戦闘を重ねた尖兵コンビに、敵には一切の容赦がない葵。三人とも油断は無かった。無かったのだが……

 

「さすがですね三人とも、家族として誇らしいです。」

 

「見てたよ〜、皆とってもかっこよかった!」

 

「すごかったです!ダダダダンバキィガション!って!!」

 

三人は、聞きなれた声と新鮮な声に釣られて後ろに振り返る。一体いつから居たのか、ゆかりとずん子、そしてきりたんも室内に入ってきていた。

戦闘の様子を見ていたようで、その戦いぶりを口々に褒め称えた。特にきりたんは興奮したようで、身振り手振りでさっきの戦闘を体で表現していた。

 

「えっへへ〜、せやろせやろー??」

 

「お姉ちゃん凄い強くなったもんね、ビックリ。」

 

この三人は残念なことに全員ちょっとチョロい部類の人間だ。褒められたらそりゃ嬉しいし、喜んで反応を返してしまう。よって警戒心が解かれ、ちょっと油断してしまったのだ。

ドンドン意識が向こうに向いていき……

 

「わたしだって倒し──て、ずん子さん後ろっ!」

 

 

「っえ…」

 

何とか気づけた、気づくことしか出来なかった。

どうやら四匹目が隠れていたようで……。

油断大敵とはこの事だ。ずん子の後ろから、隠れながらこっそり壁を這って好機を伺っていた四匹目の虫が今にも飛び掛ろうとしていた。

 

皆が皆油断してるタイミングだった上に、不意打ちで襲いかかってきたので、反応できる者でも咄嗟に存在を教えることが精一杯。遠距離攻撃できる葵も、話しかけられた時に袖に武器をしまっていたせいで、すぐに助けることが出来ない。

五人が諦めかけたその時…

 

 

 

 

 

「っきりたん砲発射!!」

 

「っひぃ!?」

 

ドーンというでかい砲撃音。

羽を広げて今にもずん子に襲いかかろうとしていた虫に、砲撃がクリーンヒットした。

 

この中で唯一、常に武器を背負っていた頼もしい妹が、姉の危機を救ったのだ。

まあ目の前をすごい速度で砲弾が通過していったので、ずん子は救われたとはいえ心底ビビっていたみたいだが……。

 

「……ずん姉さま、」

 

「あ、ありがとうきりたん!助かったよ!!」

 

「ナイスやきりたん!」

「これで今度こそ敵は全滅でしょうか…」

「そうみたいだね、お疲れ様。」

 

そしてこれで姉に対する蟠りの感情が溶けたのか、きりたんはこのタイミングで家を出ていった時の事を謝る決心をした様子。

 

「はい……あのその、行きの時は怒鳴ってすみませんでした。自分でも言い過ぎたって思ってます…」

 

「うぅん、それにはまったく私怒ってないよ?」

 

「──え、そうなんですか?」

 

てっきりきりたんは少しは怒っているものと思っていたが、向こうはそこまで気にしてなかったようだ。その様子を見て一安心……したのは少し早かったかもしれない。

 

「うん、それには全然怒ってないんだけどね?──壁見て???」

 

「あ、ああっ!!」

 

ずん子に言われて壁を見てみると、そこには大きく穴が空いた壁が!!!

これは障子に穴が〜とか、そういうレベルを遥かに超えた被害だった。助ける為に仕方なかったとはいえ室内で砲撃したので、こうなることは必然だ。

 

「え、えとあの、じゅびばぜ…」

 

外がよく見える、壁の大きな風穴を見て……涙目で本気で謝り始めるきりたん。そんなきりたんを見てずん子はニコニコしながら、こう呟いた。

 

 

 

「──なーんて冗談!

壁が壊れても命を助けてくれたんだから、怒るわけないでしょ??砲撃にビックリしたから、ちょっとお返し♪」

 

「こ、こんのぉぉ…!!!!

ずん姉さまのバカ!アホ!マイペース!おせっかい!えっと、ツヤツヤ髪!ぱっちり二重!モチモチ太もも!」

 

逆に怒ったきりたんが思いつく限りの姉の悪口を言うが、後半はただの褒め言葉になっていた。

 

「きりたんったら〜可愛いんだから〜♪♪」

「うっうるさいですね!ベタベタしないでください!!」

 

そんなきりたんの様子を見て堪らずずん子はきりたんをハグして、きりたんはそれに顔を真っ赤にして抵抗する。

そして、遠巻きにそれを眺めていた葵が一言呟く。

 

「あれ、きりたんってもしかして妹バカじゃない?」

 

「「……貴女が言いますそれ!?」」

 

葵の一言は、そのあまりのブーメランさでゆかりとあかりをツッコミに駆り立てた。




・東北家の家の現状
もうボロボロ。ライフはゼロ。
障子は破られるし、土足で踏み入られるわ、壁に風穴を空けられるわで酷い有様。倒壊寸前。造りが昔の家なので頑丈というわけでもないし、本当にギリギリ耐えているといった様子。

※貴方→貴女に修正。
どっちでも通用するみたいですけど、なーんか気になっちゃうんですよね…。
※ずん子の一人称を統一しました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。