起きたら茜ちゃん!   作:丹碧のブルーメ

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琴葉姉妹お誕生日おめでとうございます✧︎
そしてついに10周年……!誠におめでとうございます!!!
記念として初期の頃のように、ここ数日間は毎日投稿させていただきました。私はこの姉妹が本当に大好きなので、まだまだ何十年先になっても推していく所存です。

琴葉姉妹は永久に不滅…!


三十八話『姉妹のおつかい』

東北三姉妹が閉じ込められていた秋田の山での、波乱万丈な夜──あれから数日が経ち…

 

無事目を覚まして正気に戻ったイタコさんからの許可も降りたことで、正式に三姉妹が家族になった。

ちなみに、操られてた間の記憶はぼんやりとしか思い出せないらしい。でも、ぼんやりとでも覚えていることには変わりないらしく「()()()の意識が無かったとはいえ、あの時はご迷惑おかけしましたわ…」と謝られてしまった。イタコさんは悪くないんだから、気にしなくてもいいのに。

 

まぁウチからすれば、クロスケに比べれば可愛らしい物だ。なんせあの戦いは命の危機に直面した事もあって、未だに夢に出てきたりするし。

 

 

話が逸れた。

兎にも角にも、一つだけ言えるのはあれから家族として三姉妹それぞれと仲良くなれたってことだ。初めて会った時の印象とは皆、ちょっと違うように思える。

仲良くなって色々見えてきたからだろうか。

 

きりたんは一見大人しい子に見えるようでも割と子供っぽいところが残っているし、ずん子さんは優しい人──なのだがずんだ餅をやたら推してくる所がある(夕食が全部ずんだ餅になりそうなので一人を除いた家族全員で止めた)。

でも一番印象が変わったのは、やっぱりイタコさんかな。まあ初対面の時は操られていたから当然と言えば当然か……今の彼女には不思議と甘えたくなる、余裕を感じる大人っぽさがある。

きりたんがああなる(姉枕大好き)気持ちもわかってしまう。

 

…同じ姉として成長する為には、イタコさんを見習うのもいいかもしれない。

あ、噂をすれば何とやら。イタコさんがやってきた。

 

「茜さん!今日はあたしが持ってきましたわよ。」

「イタコさんお疲れ様や!はやくお薬、あかりちゃんにお薬飲ませてあげへんとな……」

 

でも、いい事ばかりというわけでもなく…なんとあの後あかりちゃんが風邪らしき症状に見舞われてしまったのだ。風邪を引くなら途中まで寒い格好していたウチの方だと思うのだが、不思議なものだ。

そういえば山での捜索中の時も咳をしていたっけ。今にして思えば、あれは笑いを誤魔化してるわけじゃなかったんやなって。

 

「もしもーし?入るでー?」

「はい!どうぞー。」

 

あかりちゃんの部屋の扉をノックして開き、ベッドに寝込んでいる彼女に声をかける。

 

「あかりちゃん、来たでー!お薬の時間や!!」

「あたしも来ましたわ、体調はどうなんですの?」

 

「あ…どうもです。今日は姉コンビで来たんですね、体調は良くなっていますよ!!」

 

ウチらは日替わりであかりちゃんの看病をしている。

「わたしだけで看病するよりきっと喜ぶし、皆とあかりちゃんが仲良くなれる」というゆかりさんからの提案だ。……まぁ風邪が移ったりしないかちょっと心配でもあるけれど。

 

そしてそんな皆の看病の甲斐もあってか、体調は順調に回復しているらしく…見たところ、このままいけばもう少しの辛抱って所だ。

 

「ところできりたんちゃんって今どこに…?」

「外に居ますわ、今はあの滝ギミックで遊んでいますわね。」

 

あー、その気持ちはわかる。

ウチも初めて入口のあのギミックを見た時は、口をあんぐり開けてそれはもうビックリしたものだ。見てて面白いものだし、何度も見たくなるのも頷ける。

 

「えぇ!?マジですか?あの入口あんまり目立たせる訳には行かな、けほっけほっ!!」

「あかんて!あかりちゃん、まだ治ってへんのやから安静にしてへんと…」

 

「うーん、参りましたわね。たしかさっきので風邪薬が最後だったはずですわ。」

 

……だとすると、買いに行かなくては。

買い出しは基本「自分が一番食べるから」という理由であかりちゃんが行っているのだが、彼女は今体調を崩している。近未来的な店内が見られるだろうし、代わりにウチが行ってみようかな??

 

というわけであかりちゃんの部屋を後にし、イタコさんとも別れ、居間へと移動する。

すると目的の人物が──ゆかりさんがすぐに見つかった。どうやら葵も一緒らしい。

 

二人して、なにか小型の機械を弄ってる様子。

なにしてるんだろう?

 

「あっお姉ちゃん。あかりちゃんどうだった?」

「あともう少しで治りそうみたいやで〜」

「そっか、早く治るといいね。」

「風邪って治りかけが怖いですからね、あかりちゃんにはもう少し頑張ってもらいましょう!」

 

何かあれば、まずはゆかりさんに相談。

これは家族皆で決めたことだ。家族を集め始めたのが彼女なのもあって、今ではゆかりさんはお母さん的ポジションに納まっている気がする。

ウチは早速おつかいに行きたいことをゆかりさんに話す。

 

「ってわけでウチ、おつかいに行ってみたいんやけど〜」

「いやー、助かります。あかりちゃんの為に行くなんて茜ちゃんは良い子ですね!!」

 

ほら〜、ゆかりさんの対応お母さんみたいやろ。

 

「えっへへ〜、それほどでもないで!」

「お姉ちゃん一人で?

大丈夫なの??心配だし、私も…」

 

おっと、葵はウチよりしっかり者。

きっと一緒に行けば、スムーズにお買い物を終えることも出来るかも。それに姉妹で買い物なんて以前じゃ考えられなかったことだ……この機会に葵には外の良さを存分に知ってもらうとしよう。

そしてなにより、楽しんでもらおう。

 

「じゃあ葵も一緒に行かへん??」

「そうしようかな、私も欲しいものがあるし。

お姉ちゃんが行く場所にそれが売ってたらラッキーってことで。」

 

なら尚更丁度いい。

どうやら葵も欲しいものがあるようだし、姉妹二人でおつかい──もといお買い物しに出かけるとしよう。

 

……となると、やることは一つ。

 

「決まりやな!!ゆかりさん、お小遣い頂戴♡」

「私も買いたいものあるから、ちょっと多めによろしくね。」

「あー、そう来ると思ってました。

まあいいでしょう!持ってけドロボー!!

 

……っとそうだ、忘れるところでした。

これも持っていってください。便利ですよ?」

「なんやこれ??」

 

さっき二人が弄ってた小型の機械を渡された。

紐付きで。これは一体…???

 

「もうウィッグの時代は終わりを告げました

…ジャン!髪色を自在に変換出来る装置を作ったのですよ!!」

「見ててねお姉ちゃん、わたしの髪色。」

 

そう言って首に小型の装置をかけて、ボタンを押した葵を見つめていると……なんとゆかりさんの言葉通り、瞬く間に葵の髪色が黒くなった。確かにこれならもうウィッグの必要も無さそうだ。

 

「ええなー!!その髪色でもかわええで!」

「ふふ、ありがと。」

「こんなの作れるなんてゆかりさんは凄いなぁ。」

 

「そうでしょうそうでしょう!!

まあわたしは、天才(てんっさい)ですから?

これくらいは当然というか……それでですね。この装置は光の屈折を利用してあたかも別の髪色のように見せかける装置でして、明かりが少しでもある場所ならどこでも使えるのです。そして一度の充電で使用可能な期間はなんと24時間!つまりですよ?例え丸1日遊びに出かけても周囲の目を気にすることなくて良いわけで……それに光の屈折を利用すると言っても、月明かり程度の明るさでも良いのです。つまりですよ??夜にも使える──ってことです。ええ、素晴らしいでしょう!まぁまずこれが世に出回ればわたしは億万長者間違いなしですね。しかもしかも、コスパまでも宜しくてですね、なんとひとつ作るのにかかる費用はたったの…」

 

「お姉ちゃん、行こっか。」

「せやな。」

 

うんうん、よく分からないがこの機械のお陰でおつかいはもっと楽なものに、楽しいものになりそうだ。

ウチら姉妹は、スタスタとその場を後にした。

 

◆❖◇◇❖◆

 

おつかいの為に家の外に出てみれば、東北三姉妹と会った。どうやら今は外で二人して的当てをしていたらしい。

 

「二人ともこんにちは、なにしてるのー??」

「今からおつかいに行くんやでー!」

「なら枝豆かそら豆も買ってきてもらっていい??

引っ越してきてから一度も食べてなくて、豆の味が恋しいんだよね〜。」

 

「ん、了解や!」

 

どうやらずん子さんの好みは筋金入りのものらしい。

ずんだ餅が無理なら豆と来た。

 

「にしても滝が開くのはやっぱすごいですね!こう、ザブァーッって!!同じ山でもわたし達が住んでた山とは楽しさが大違いですよ、わたしもまたやりた…むぐっ!」

「言っておきましたわ、あまりやらないようにって。目立つのがよろしくないんですわね??」

 

「あー……そうみたいやな、ウチも詳しいことは分からへんけど。」

「一応私達以外には秘密の家だからね、ここ。」

 

確かにいい感じな入口の隠し方ではあるんだろうけど、遊ばれて滝を開閉されまくってたら本末転倒な気がする。

まあこれからは遊ばれる頻度が減るみたいだしいっか。

 

「ほな行ってくるー!」

「またね、皆。」

「「「行ってらっしゃい(ですわ)!」」」

 

っと、これを忘れちゃいけない。

ウチは早速、髪色変化を試みる。……すごい、ほんとに黒くなった!!他の誰かがしているのを見ていても、やっぱり対象が自分だと再度ビックリしてしまうものだ。

 

「おおおー…これほんま凄いなぁ!」

「黒も似合うねお姉ちゃん。」

 

ウチらの髪色は外では目立つから、ウィッグに代わってこれからはこの装置を使う頻度が高くなることだろう。全く便利な物を作ってくれたものだ。

 

「で、どこに行くの??」

「ゆかりさんによると……

うん、ウチらの山から降りてちょっと行ったところのドラッグストアみたいや。」

 

同じく髪色を変化させながら話しかけてくる葵に答える。うん、スマホのマップ通りなら大して離れて無さそうだ。

 

「ようするに薬局ってこと??じゃあ私の欲しいものは無いかな、お薬以外なさそうだし。」

「葵、甘いで。」

「え?」

「ドラッグストアを舐めたらあかん!」

 

ドラッグストアと言っても、何も商品はお薬だけではない。誰でも立ち入りやすいように日本のドラッグストアは食品が色々置いてあるものだ。と言ってもそれは《前の知識》の話だが、きっと今でも変わらないはず。

 

「食品なら色々並んどるんや!もしかしたら枝豆すらも売っとるかもしれへん!!」

「そ、そうなんだ……ふふ、名前だけ聞いたらお薬しか売ってなさそうなのに不思議だね。」

「外の世界は意外な事で溢れてるもんやでー?」

 

 

このような調子で話していたら、あっという間にドラッグストアについてしまった。早速お店に入り風邪薬を探──こ、これまたなんて近未来的な店内なんだろうか。

天井にホログラムでオススメ商品が映し出されている。それを見て驚きながらもショッピングカートを使おうとしてみると違和感に気づく。

あれ…このショッピングカート、タイヤがない。

 

「なんやこれ……って、浮いた!?」

「わーお。

これで重さを気にせず運べそう、すごいね。」

「せやなー!!ほんますごい!沢山見て回…」

 

……いや、あかりちゃんに散々怒られたんだった。頑張って自分を抑制しよう。そう思って平常心を意識しながら歩いていると、目的のものは案外アッサリ見つかった。

 

「っと!あかりちゃんの風邪薬はこれやな。

葵は欲しいもの見つかった??」

「うーん、私のはやっぱり無さそう。

でもいいの、お姉ちゃんとお買い物できるだけで私今幸せだよ。」

 

たしかに、ウチらはつい最近まであの二人だけの部屋に軟禁されていたし。こうしてお買い物なんてできるようになったのは、幸せなことだ。

 

「葵……ウチもやで。今までは基本家やったし、外でお買い物するのは初めてやもんな。」

「今まではお買い物するとしても、それはゲームの中だったもんね。」

「あれはあれで楽しいんやけどな!」

 

そのままのんびりと買い物を続けていると、不意に声を掛けられた。

 

「ちょっといいかい?」

「な、なんや??」

 

声を掛けてきた相手は…し、知らない人達だ……!

なんかド派手な格好をした男二人組。商品の場所が分からなくて声を掛けた、とかだろうか??もしそうだったら力にはなれなそうだ。ウチも葵もここ来るのは初めてだし。っていうか店員に話しかけるべきだと思…

 

「君達可愛いね、よければ俺達とお茶でも…」

 

あー、これがナンパってやつなんだろう。

チャラい格好してこのように声を掛けて、ノリと勢いですごいところまで持って行ってしまうというアレだ。ウチはこんなのに力で負けるつもりは無いし、きっと葵もこんなやつら簡単にねじ伏せられるだろう。

でも、騒ぎは起こしたくない。目立ってしまったら、折角髪色を変えた意味も無くなるから。

 

「私達急いでるので……行こ、お姉ちゃん。」

「せ、せやな……」

 

葵が先導してくれた。急いで背中を向けて、そそくさと逃げることにする。

こういう輩は関わるとろくな事がないのだ。しかしチラッと後ろを見ると、まだ着いてきている……し、しつこい…

 

「少しの時間だからちょっと待っ…いってぇ!?」

「お、おい大丈夫か!」

 

どうやら手をウチの肩に置こうとしてたナンパが、勝手に痛がっているようだった。よく分からないけどラッキーだ。今のうちに行ってしまおう。

 

「なんかで叩かれただけだ、でも痛ぇ……」

「お嬢ちゃん達ならずっと後ろ向いてるし、なんだろうな…?」

「さぁ……ナンパなんかするもんじゃねぇな、帰ろうぜ……」

 

なんか勝手に反省したみたいだし、これでのんびり買い物が出来そうだ。

 

「あ。お姉ちゃん、アレって枝豆じゃない?」

「ほんまや!!買っとこ買っとこ!」

 

「あっ。私が欲しい物もあった。」

「どれどれ……ってチョコミントアイスやないか…」

 

◆❖◇◇❖◆

 

無事お会計も終え、後は家に帰るだけ。

そんな帰り道。ナンパを追い払ったから、それか買い物を終えたから?とにかくちょっと油断していたウチ。

 

「うわっと!?うわっととと…」

「あっお姉ちゃ…」

 

だからだろうか、歩道のちょっとした段差につまずいて、バランスを崩しそうになってしまった。急いで持ち直そうとしたけど、ビニール袋の商品の重さもあって今度は後ろにバランスが──ようするに後ろに転ぶと、そう思ったのだが。

 

なぜだか無事だった。なんともない。

葵はウチより前を歩いていたから、途端に支えるなんてこと出来るわけないし……はて?ウチの身体能力って、ここまで応用が効くものでもないと思うのだが。

まるで“第三の手”で自分を支えたかのような、不思議な感覚。

 

「あれ、ウチ……なんで転んでへんのやろ?」

「…そっか、お姉ちゃん“それ”を使えるように…」

 

一瞬頭にイタコさんにくっついていた触手が頭をよぎって、急いで自分の背中やおしり辺りを確認してみたが……やはりウチにあんなしっぽみたいなのは無い。

ほんとに何だったんだろうか。

 

「…葵、なんか言うた??」

「あぁ、うん。無事で良かったーって。早く帰ろ?」

「あー、そやな。遅くなってまうと悪いしな!」

「アイス溶けちゃったら嫌だし。」

 

最初は風邪薬と枝豆だけ買う予定だったのだけれど、他にも色々気になる物を買ったせいでなんだかんだ結構な時間になってしまった。

葵の言う通りできるだけ早め帰ろう。

 

「あ、お姉ちゃん。

勿論今日も私に髪の毛洗わせてね??他の人にやらせちゃ()()()()だから。」

「別にええけど……葵はほんまウチの髪を洗うのが好きやな…」

 

謎のこだわりで今日も今日とてウチの髪を洗うと言い出す葵、これはまたお返しに洗い返してあげないと。

 

 

お、ウチらの山──もとい家がだんだん見えてきた。初めてのおつかいだったが、葵と一緒なら案外なんとかなるものだ。

 

「葵、お買い物楽しかったなぁ。」

「うん、楽しかった。また来ようね?」

「せやなぁ、今度は家族皆で…」

 

今日はほんまに楽しかった。

これからもずっとこんな幸せな日々が続けばいいなと、そう心から感じられるような……そんな一日だった。

 

 




・ドラッグストア
未来のドラッグストアと言っても、扱っているものの豊富さは未来も昔も変わらない。
ただし使われている技術はすごいもので、ホログラムによるオススメ商品の紹介、浮くショッピングカート。なんというか買い手に優しくなっている。お会計だって勿論、無人レジだ。

……と言っても、上記の技術の数々は未来のお店ならどこも大体標準装備のようだ。
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