起きたら茜ちゃん!   作:丹碧のブルーメ

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長かったこの章も今回で終わりとなります!!
気づけばすごい話数に……まあ一気に三姉妹分終わらせたので、この長さになっても仕方ないでしょう(暴論)次の章はもう少しコンパクトに収まるはず…!


四十話『変化した日常で』

突然だが──わたし、東北きりたんは今の日常にとっても満足している。

 

理由?そんなの単純明快で、毎日が楽しすぎるから。

なんで楽しくなったかってそれは、たった一夜にして激変した環境がわたしを退屈から解放してくれたからに他ならない。

 

マスターという人物の思惑で山に幽閉されていたらしいわたし(とついでに姉さま達)をたった4人で救い出し、わたし達三姉妹を取り巻くありとあらゆる環境をスッポリ変えてしまったその人達。

 

彼女達4人には本当に感謝している。

 

おまけに新しい趣味──ゲームという素晴らしい趣味もできて、毎日何時間も楽しめてるからか前のような退屈とは無縁になった。

 

「やりました!!3回連続の勝利です!」

「……ち、ちょっとは手加減してくれても…」

「え?手加減は“舐めプ”という悪い行為に当たるんですよね??」

「……seyana…」

 

ちなみに今は救い出してくれた恩人の内の1人に当たり、新しい家族でもある茜姉さまを格闘ゲームでボコし中だ。恩人だからこそ、対戦でも真意に向き合って全力で倒すべし。

 

「きりたんー?少しは手加減してあげなよ??」

 

そう言いながらずんだ餅をお菓子にと振る舞ってきたのはずん姉さま。姉さまも、こっちに引っ越してきてからは前より毎日が楽しそうだ。周りの住民がみんなロボットだった時のショックもすっかり癒えた様子で、こちらとしても一安心というもの。

 

しかし、その持ち前のお節介さは変わらない。

今となってはそのお節介さに自分が助けられていることも理解しているので、気怠げにだが一応ちゃんと返事を返しておく。

 

「は〜い。つまり茜姉さまは……

ゲームを始めて1ヶ月にも満たないわたしに、手加減してもらわないと勝てないお姉さま(笑)ってことですね。それも、ずん姉さまお墨付きの!!」

 

ただし、返事と言っても茜姉さまへの煽りを少々含めてだが。

彼女は割と負けず嫌いなので、こうすることで何度もバトってくれる性格だということも一緒に生活する中で理解してきた。

 

「なっ──も、もう1回や!!もぐもぐ…

お餅食べてパワーアップしたからもう負けへん!」

「返り討ちにしてさしあげます!」

 

ほら。これって家族になれてる証拠ですよね。

いい事いい事。

 

「あーもー。いつからこんな、人を煽るような子になったんだろう…??

後できつく言っておくから許してあげてね。」

 

「でもお姉ちゃんをボコるなんて私許せないよ。

可哀想だと思わないの?こんな、こんな……」

 

後ろでずん姉さまと話しながらこちらに怒気を向けてきているのは、同じくわたし達を救い出してくれた恩人の中の1人。お互い姉好きの同志ということで普段の仲はとっても良好なんだけど、今はわたしが茜姉さまをボコしてるのでちょっと険悪なムード……

 

「──こんな、涙目になっちゃってるじゃん…ふふ、いい表情。

「あ、葵っ!ゲーム中やから前に来ちゃあかん!」

 

かと思いきや、どこか嬉しそうな葵姉さまだ。

不思議だ……さっきまであんなに怒っていたのに。

 

茜姉さまの顔を覗き込んでからというもの、なぜか彼女から怒気が消えて満面の笑みに変わった…同じ姉好きの同志とはいえ、こういう所はまだ理解できない。

 

にしてもほんとに嬉しそうな顔をしている。

例えるなら、まるで()()()()()()()()()()()()()()()()()()みたいな。

 

 

──とか周りを見てる余裕があるのに撃破ー!!それも今回はノーダメージ。

わたしったら強すぎませんか?!

 

「4回目の勝利はパーフェクトゲーム!」

「い、今のは視界に邪魔が入ったからやし!!」

 

「ああ、ドンマイお姉ちゃん…可哀想に。

こんな手じゃなかったら私が助太刀してあげられたのに。」

「ドンマイって…誰かさんの邪魔のせいもあったんやけどなー??」

 

そうそう、葵姉さまの両腕は現在改造中だ。

というのも『銃無くしたし、あの時他のロボットの変形を見て憧れちゃったのもあって…』とのことで。ゆかり姉さまに依頼して腕に改造を施してもらってるそうな。

 

服の袖部分を着けていないのに加えて、改造中だからか肘から先の肌が剥がされたみたいに無く機部が露出していて、その外見を見ているとほんとにロボットなんだなぁと思い知らされると同時に少しグロい。

いや、慣れましたけどね。

 

「ちょっとー!“こんな手”とはなんという言い草ですか?!!頑張って改造してあげてるというのに…」

「あはは、ゆかりさんがお怒りですよ葵ちゃん。」

 

噂をすればなんとやら。

ゆかり姉さまの登場だ。風邪がすっかり完治したあかり姉さまもついてきた様子。この二人は常に一緒に行動してるイメージ。付け入る隙がないというか、このコンビでセットみたいな所がある。

 

茜姉さまと葵姉さまの2人もそんな感じだし、なんというかわたしにもそんな相方的な存在が欲しいところだ。三姉妹でセットでもいいんですけど、3人だとなんか違うんですよね。

トリオになっちゃうし。

 

はぁ、わたしとコンビを組めるような相手……どこかに居ないものか。

 

「えーっと、ごめんねゆかりさん?」

 

「まったく。あ、そういえば話が!

次の家族候補が幽閉されてる場所なんですけど、イタコさんからの情報と立ち入りを禁止されている島々の情報を照らし合わせた感じ……とある孤島に目星が着きました。貴女の腕の改造も完成間近ですし、明日辺りに出発したいのですが…」

 

「明日?すぐじゃん。たしか“音街ウナちゃん”がそこに居るはずなんだよね??」

 

音街ウナ──それは最近新たに存在が発覚した、家族候補の少女らしい。話によると、タコ姉さまがミミズの集合体みたいなやつ(触手寄生体と呼ぶらしい)に操られた際に、知識としてその子の幽閉場所の記憶が流れ込んできたそうだ。

 

寄生から解き放たれた今、ぼんやりとしか思い出せない触手からの知識の中でもなぜかそこだけはしっかり覚えてるらしい。

やはり同じVOICEROIDモチーフ同士、一度名を聞いたら中々忘れられないものなのでしょうか。現にわたしも今は音街ウナのことで頭がいっぱいだ。

 

「そうなんです……ほんとは今すぐにでも出発したいくらいなんですけどね、さすがに急すぎるのは困るだろうと思いまして。」

「いきなり明日っていうのも、中々急だけどね。」

 

ちなみにゆかり姉さまにモチーフ元がどんな見た目か教えてもらったところ、頭より大きな帽子を被っているそう。

……首、疲れないのでしょうか。

 

 

とにかく、その場所を聞いたゆかり姉さま達は早速次の目的地をそこに決めたそうで……ああ、もう今から行くのが待ちきれません!

 

「なら早速ウチらも準備に取り掛からなあかんな。部屋戻ろか、葵!」

「うん、じゃあまたねーきりたん。」

 

名残惜しいが、ゲームは一旦終わりになりそうだ。

わたしも準備に取り掛からねば!!新たな家族、一体どんな子なんだろうか。期待が膨らむ。

 

「ゲーム楽しかったで!!ほんま強かった!」

「わたしも楽しかったです、またやりましょうね!」

 

「…つ、次のウチは見てる側でええかなぁ……」

「なら次回は私とやろっか、きりたん。」

「お!!葵姉さま相手でも負けませんよ!」

 

おっと、普段クールな葵姉さまが珍しく好戦的だ。

ゲームへの情熱と言うよりは、またどこかわたしへの怒気を感じる……これは激戦の予感だ。

 

◆❖◇◇❖◆

 

自分の部屋へと戻ったわたしは、早速次の外出への準備に取り掛かる。なんせ、次からわたしも救われる側から救う側へと立場が変わる。

気合いも入るというものだ。

 

持っていくものは……まずゲームですね!

これは外せません。初めて会った時、隙間時間に茜姉さまにやらせてもらったみたいに、今度はわたしが新たな家族候補にゲームをやらせてあげる側なんです。

こうやって広がるのですね、ゲームの輪は!!

 

他に持っていくものは、水筒と護身用のきりたん砲に──っと、準備をしているとノック音が扉から聞こえてきた。

 

扉を開けると待っていたのは、ずん姉さまにタコ姉さま。元から家族だった2人の姉さま方だ。

 

「あぁ〜やっぱりやってたね。」

「こうなると思ってましたわ……。」

 

「え、な……なんですか??」

 

わたしの部屋──正確には置いてある持ち物たちを見て、やや呆れ気味な表情で顔を向かい合わせる姉さま方。「やっぱりやってた」という発言から、何か予測していたことはわかるけど……そこは「準備しててえらい!!」って褒めてくれるところじゃないんですかね。

 

「え、わたしなにか悪いことしてます??」

 

「悪いことって訳じゃないですわ。ただ……」

「きりたん、私達はお留守番だよー?」

 

??????

 

「──へっ??」

「だからきりちゃん、あたし達お留守番ですわ。

音街ウナさんを救いに行くメンバーはあの4人……だから、準備とかもあたし達はしなくていいということですの。」

 

お留守番??

わたし達、三姉妹はお留守番で……行くメンバーは葵姉さま、茜姉さま、ゆかり姉さま、あかり姉さまの4人だけ?

 

──嘘、ですよね???

 

「ず、ずん姉さま、否定してください!

違うって!今すぐ!!お願いですから!!!」

 

一生懸命ずん姉さまの体を揺さぶってお願いしてみる。頼むからそんな悲しい事実は否定してくださいと。

でも、そんなわたしの思いはやっぱり届かず。

 

「いやー、そんな必死に訴えられても否定できないよ……仕方の無いことなんだよ、あんまり大人数で行っても目立っちゃうしね。」

 

「ここは逆に考えるんですわ。

ゆかりさん的にも今まではお留守番する人が居なくて、外出してる間不安だったはず。ここはあたし達も頼りにされている、と…」

 

「いやですいやです!そんなー!?」

 

結局、この後も数時間ゴネて夕飯の時も意見したが、それが通ることはなかった。納得出来ずゆかり姉さまに問い詰めたところ「子供を危険なところに連れてくのは極力控えたい」とのことらしい。

そして留守番1人は可哀想だと言うことで、ずん姉さま達も一緒にお留守番することになったと。

 

ってこれじゃあ、面子が前と変わりないし。

 

 

 

嗚呼、やっぱりクソ退屈かもしれない。

……まあゲームあるから前よりマシですけどね。




・東北きりたん②
ちなみにこの後もしつこくゴネた。
あまりのしつこさにキレたイタコによって霊で拘束、ゾクッとさせられ鎮圧。
仕方なく諦めるに至った。

今まで使われることのなかった持ち前のゲームセンスが爆発した結果、その探究心も合わさって誰よりもゲームが上手くなる。そのプレイングスキルは琴葉姉妹やゆかりあかりをも凌ぐほど。
新しい家族を救出しに向かうというのに、肝心の自分は「子供だ」という理由で連れて行って貰えないことに腹を立てている。

また反抗期に突入するかもしれない。

・琴葉葵④
ゲームで姉がボコられるのは許せないが、それはそれとして可哀想な涙目状態が見られて眼福だと思っている。今の自分は腕の事情で助太刀できない上に、対戦相手はきりたんなので思い切って見て楽しむことにした。

きりたんとの関係はそれぞれの姉好きの同志なのだが、愛し方のベクトルは少し異なる様子。


また、愛用の銃を無くした為ゆかりに依頼、腕をブラスターにいつでも変形できるような機構に改造してもらっている。

「私銃無くしちゃったじゃん?
だから折角だしこの際変形して武器を展開するタイプのロボットになりたいんだよね。」
「それは構いませんけど……
どこに変形機構を入れたいんです?さすがに頭を変形させるのは葵さんには似合わないと…」
「な、なんでそうなるの?腕だよ腕。」
「であればこのゆかりさんにお任せください!!」
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