忘れ去られたもう一柱の神〜IF雷電眞〜   作:酒蒸

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最初と最後はアガレス視点、他は三人称からの旅人周りと相成ります。因みにこのまえがきにクソ茶番があります。

さぁ行け!!初任務にな!!!

アガレス「…まぁ、兵士に戦わせて指揮官が後ろの安全な場所にいる、みたいなもんか」

大丈夫かその発言…それでバッシングを受けるの私だからな!!

アガレス「本望」

本望って何!?

アガレス「ということで本編をどうぞ」

聞けよ!!


第7話 初任務①

さて、密偵になったは良いのだが最初の任務をまだ聞いていなかったことを思い出したので、俺は心海に任務について問いかけた。心海はああ、そう言えば忘れていました、とばかりに演技のような感じで肩を竦めると、

 

「先程旅人さんにはお伝えしましたが、南西の山岳地帯で待機しているメカジキ二番隊の方へ向かっていただきたいんです。具体的にしていただくことは、旅人さん達の戦闘の観察、ですね。気になったことを私に報告して下さい」

 

そう言った。メカジキ二番隊と言えば先程旅人が隊長に就任したのではなかっただろうか?話からわかることは旅人達がこれから何かと戦闘を行うということくらいだろうか。いや、恐らく心海はまだ俺のことを試そうとしているのだろう。必要最低限の情報で何処まで俺が情報を持って帰ってくるか、という感じで期待しているのなら期待以上のことをしてやりたくなるのは仕方ないだろう。

 

旅人は既に山岳地帯へ歩みを進めているだろうし、俺も早めに向かうべきだろう、とそう考え心海にすぐに発つことを伝えたのだが、最後に一つだけ念押しされたのは『戦闘へ過度な介入をしない』ということだった。まぁそれも当然のことで、俺はあくまで密偵という職業についただけであり、なおかつ戦争のパワーバランスを崩壊させかねない存在だ。最悪稲妻幕府そのものがなくなってしまうことだろう。

 

それは俺自身も本意ではないため心海に肝に銘じておこう、と告げると珊瑚宮を出るのだった。

 

〜〜〜〜

 

珊瑚宮から南西方向へ向かう旅人達は先程出会ったアガレスという存在について少し話していた。

 

「───にしてもびっくりしたよな?ウェンティや鍾離の言ってたアガレスってヤツがあんなところに普通にいるなんてさ」

 

パイモンは歩く旅人の少し前をふわふわと飛びながらそう呟いた。それを聞いた旅人もパイモンに同意しつつ、険しい表情を浮かべる。そんな旅人の様子に気が付いたらしいパイモンが旅人を心配そうに見つめる。

 

「…実はウェンティと鍾離先生以外にもあの人…?を知っていた人がいるんだ」

 

旅人がボソッと呟いたその言葉にパイモンは過剰に反応すると、「なんでそんな大事なことオイラに言ってくれなかったんだよ…」とちょっと拗ねている様子だった。旅人は苦笑しつつごめん、と謝ると理由を説明した。

 

「ほら、俺が雷電将軍に殺されそうになってた時があったでしょ?あの時に将軍が───」

 

───貴方はモンド、璃月を経て旅をしてきたと聞き及びました。時に貴方は…『アガレス』という名前に聞き覚えは?

 

「───そう聞いてきたんだけど…」

 

そう、この旅人は稲妻の隣国璃月、そしてその璃月の隣国モンドを旅して来て3つ目の国にやって来ていたのだ。最初にモンド、そして璃月でそれぞれの国の問題に巻き込まれては友人達の力で解決し…そして鎖国中の稲妻に友人の伝手で密入国したのだが、その際友人が幕府の政策である『目狩り令』の脅威に晒されてしまったのだ。

 

その友人を救うため旅人は単身友人の神の目を取り戻したのだが、雷電将軍との『一心浄土』内での一騎討ちにて敗北し友人の力を借りて逃走。伝手を頼ってなんとか海祇島まで逃げてきたのだが、その先で神三柱に知られている『アガレス』と名乗る存在に出会ったというわけであった。

 

勿論、パイモンはウェンティと鍾離という人物からしか聞き覚えがなかったため、稲妻を治める雷電将軍からも同じ名前が出てきたことを聞いてかなり驚いている様子だった。

 

「…でも思ってたより得体の知れなさはなかったよね。それこそ、鍾離先生とかみたいな長年生きてきた雰囲気みたいなのがまるでないような感じがするよね」

 

旅人は少し笑いながらパイモンにそう言った。パイモンも首を縦に振って同意しつつ、そろそろ着くんじゃないか?と旅人に言った。旅人がその言葉を聞いて首肯いたタイミングで五分ほどかかってメカジキ二番隊が待機している場所までやって来た。

 

すると既に旅人達を待つためにその場で待機していたと思われる、兜を目深に被った長身の兵士が旅人達に敬礼をしつつ話しかけてきた。

 

「───お待ちしておりました、貴方が新たにメカジキ二番隊の隊長に任命された方ですね?お噂は予てより沢山お聞きしています。珊瑚宮様からも直々にお話は聞いております。こちらへ、代理隊長殿がお待ちです」

 

旅人達はその言葉を聞いて返事をしようとしたのだが、返事を聞くこともなくすぐに踵を返して行ってしまった。踵を返す途中紅い瞳が旅人を射抜くように一瞥したが、パイモンはそれに気付いていないようで、うげっと苦虫を噛み潰したような表情を浮かべると、

 

「もしかして、心海の言ってた一癖も二癖もあるってこういうことなのか?オイラ、なんだか怖くなってきたぞ…」

 

今度は不安そうな表情に変わりながら胸に手を当てそう言った。全然別の事で不安になっているパイモンを見て少しだけ心を軽くしつつ旅人ははぁ、と溜息をついた。勿論、旅の途中誰かに嫌われることは何度かあったが、歓迎されていないのがすぐにわかるこのような状況はやはりというべきか好ましくは思えない。何より、

 

(…さっきの兵士…只者じゃない)

 

海祇島抵抗軍の特別行動隊というだけあって全員あれ程の練度を誇る兵士達であったのならば自分は隊長になどなれないのではないか、という心配が旅人の中で芽生えていたため、旅人はかなり緊張気味になりつつ兵士の後を追った。

 

だが、その心配も杞憂だったようで、メカジキ二番隊の代理隊長は先の戦で見た海祇島抵抗軍の精鋭達と何ら遜色ない実力を有しているのがわかる。そして、旅人程の実力は有していないようだった。

 

(…あの兵士はもういない…?一体何処へ…?)

 

旅人はすぐに先程の目深に兜を被った長身の兵士を探したもののこの場には見当たらなかった。先程まですぐそこにいたはずなのに姿を消していたのである。ただ、そのことを不思議に思いつつも、代理隊長との話に集中せねばならず深く考えることはできなかった。

 

そして代理隊長の物腰も最初こそ柔らかいものだったが、

 

「───委任状の件も確認が済みました。これで書類上では貴方は我々の上司に当たります。しかし…本当に我々が従うだけの実力があるかどうかは疑問ですね」

 

突然棘のある物言いへと変化したかと思うと、旅人達に疑念の籠もった視線を向けた。当然、旅人達が抵抗軍に入って日も浅く、目立った戦果と言えば先の戦での戦果のみである。

 

だが、パイモンにはそれが理解できなかったらしく、それってどういうことだ…?とばかりに首を傾げている。旅人は代理隊長の言っていることの意味を理解したのか少し遠くにいる浪人達に視線を一瞬向けてから、

 

「認められるにはどうすれば良い?」

 

とそう問い掛けた。代理隊長はそうですね、と一瞬考える素振りを見せると、

 

「普段なら我々が貴方と戦えば済む話なのですが…今回は丁度良く、後方の補給線の安定化の為の任務があります。討伐目標を一人で倒して下さい。勿論、危なければ私達が助けますが、その場合は健闘次第で実力を認めることになります」

 

そう言った。旅人は浪人達から目を離すと問題ない、と告げた。パイモンも旅人の言葉に同意すると、やってやろうぜ!とばかりに握り拳を作る。実際に頑張るのは俺なんだけどな、なんて思いは勿論旅人の中に少しあったが、パイモンが最高の仲間であることには変わりがないので敢えて訂正しなかった。

 

二人のその言葉に代理隊長は少し豪快に笑うと、

 

「良い返事ですね。期待していますよ」

 

二人に対してそう告げるのだった。

 

〜〜〜〜

 

「───良い返事ですね。期待していますよ」

 

山の中腹辺りから会話を拾っていた俺は邪魔だった兜を脱いで浪人達の下に向かう旅人達を見てから三人程いる浪人達を見て目を細める。

 

「…先程接触した感じだとあのくらいはなんとかなりそうだな」

 

まぁその実、相手も軍師のような存在がいるのか伏兵が少しいる。と言っても浪人四人程度の伏兵なので、それを加味しても旅人は問題ないと判断した。勿論、風元素が使えない今では伏兵の全貌を把握するのは難しいのであくまでも指標にはなってしまう。最低でも四人程度、と言った所でまだまだ増える可能性はある。

 

それにしても───気になったことを報告してくれとは言われても俺は最近まで死んでいた身であるため、残念ながら気になったことなどない。強いて言うなら伏兵がいるということは軍師という存在がいるにせよいないにせよこちらの情報が筒抜けであるということ。

 

考えられる可能性としては海祇島警備の兵士達の気が緩んで言ってしまったのか、はたまた海祇島抵抗軍内部に内通者がいるか。そもそも浪人達に手を貸す理由があるのかは不明ではあるが、浪人達があそこにいて騒ぎを起こして得をするような存在って考えるとやっぱり稲妻幕府だろうか。気になるのは心海に協力した存在もだ、そちらも怪しいと見て良いだろう。

 

俺は大きく深呼吸すると、

 

「…数百年もの間人助けをしていなかったのに、またしてもしようとしてしまうのは…お前ならお人好しだと言うだろうか、それとも…褒めてくれるだろうか」

 

若干自嘲気味に笑いながらそう言うのだった。




・メカジキ二番隊の代理隊長は先の戦で見た海祇島抵抗軍の精鋭達(心海さんの連れてきた援軍)と何ら遜色ない実力を有している

これに関してですが、まぁ当然憶測ではあります。話を見るに特別行動隊は抵抗軍のエリート、哲平君の言い草から察するに『メカジキ』の隊はなんか凄いらしい、ということでかなりの実力があるのでしょう。

で、心海さんが直々に伏兵に指名してかつ、劣勢の状況を奇襲というアドバンテージがあるとは言えしっかり覆せるだけの実力があることに加えて戦場に潜んでおくことにも長けている…あれ、こいつら特別行動隊とかなのでは??

と私の中でなったので、勝手にやらしてもらいました。
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