マジでごめんなさい!!!!
忙しいのとモチベが上がらなかったのとで…ね?
「───アレがあいつらの言ってた騒ぎを起こす浪人達だな。旅人、早く倒してあいつらにオイラ達の実力を証明しようぜ!」
旅人はパイモンの言葉に首肯く。抵抗軍の人は、自分を少し見下してくる
勿論、自分が余所者でありなおかつ尾ひれのついた噂通りの人物像そのものではなく、失望する気持ちは少しわかる。だが、それはそれとして純粋に舐められるのはやはり気持ちの良いものではなかったようだ。
旅人はそのまま浪人達のいる場所までスタスタと歩いていく。パイモンはそんな旅人の様子を見てかなり慌てて静止しようと追いかけるが、
「ん…?何だ貴様ら」
既に浪人の目と鼻の先に来ており、声をかけられてしまった。パイモンとしては同時に相手取るのではなく一人一人各個撃破をするのだと思っていたため、旅人が真正面から堂々と近付くのは全くの予想外だった。
浪人は旅人を怪訝そうに見つめたが、やがて旅人が立ち去らない雰囲気を醸し出しているのを感じ取ったからか、
「命を捨てに来たか!」
そう言って刀を抜き放ち旅人へと踊りかかった。旅人はキッと浪人を睨めつけると、自身も剣を抜き放ちつつ応戦し、浪人と鍔迫り合いをしてから体ごと弾き飛ばした。浪人は旅人の予想外の膂力に驚いている様子だったが、素早く着地すると体制を立て直し、再び斬り掛かった。だが旅人は待ってましたとばかりに横薙ぎの攻撃を低く屈んで躱すと同時に、
「───紫影!!」
自らの持つ剣に雷元素を集めて放ち、ゼロ距離で諸に攻撃を受けた浪人は気絶した。その様子を見ていた他の浪人達もヤバいと感じたのか刀を抜いて旅人を取り囲み始めた。しかし、旅人はあくまで冷静に浪人達のうちの一人に斬り掛かると、敢えて攻撃を受けさせて包囲を抜け出し、そのまま背後から浪人を一突きして気絶させた。
残りの浪人は見える範囲では残り一人だ。だが、浪人はニィと口の端を持ち上げると懐から何かを取り出した。そして、
「ククク…これで俺にも元素が使えるぜ!!」
とそう叫ぶ。旅人が油断せずに浪人の様子を窺っていると、不意に手に備え付けられているボウガンのような飛び道具から雷元素を纏った矢が旅人に向け複数飛来した。それまで元素力を全く感じていなかったのに突然使えるようになっていたことに旅人は驚いていたが、元素が使えた所で元々の技量は他の、既に倒した浪人達と何ら変わらなかった。
旅人は何故か固まっていた浪人に素早く接近して一刀のもと斬り伏せると、先程倒した浪人と合わせてそれぞれ縛り上げた。旅人とパイモンは二人で顔を見合わせてから一息つくと、先程浪人が持っていたであろう何かが落ちているのを見つけ、手に取る。
「これって…前に『公子』が持ってたヤツに似てるよな…確か、『邪眼』って名前の…」
旅人の手の平にすっぽり収まっている大きさのソレを見たパイモンがそう言った。
『公子』とは氷の女皇が治める国スネージナヤの組織『ファデュイ』の中でも実力のある存在であるファデュイ執行官通称『ファトゥス』の第11位に当たる存在のことで、岩の神モラクスが治める璃月にて裏で動いていた人物の内の一人である。しかしその『公子』と旅人達の間には不思議な縁があるようで、実は結構仲が良かったりする。
『公子』は旅人を好敵手として認め、旅人は『公子』を友人としているようだ。
その『公子』が持っていたモノである『邪眼』は、本来ヒトが元素を扱うために必要な外付け機関である『神の目』を介さずに元素の力を扱おうとして誕生した『ファデュイ』の発明品である。
「ってことはこれはファデュイの───しまったッ!?」
それに気が付いて、何故これを一介の浪人が持っていたのかを疑問に思った旅人だったが、不意に周囲に気配を感じて剣を抜いた。だが、相手は既に茂みの中から姿を現していたようで、旅人達は包囲されていた。
少しの間膠着状態が続いていたが、
「手に持っているソレを返してもらおうか」
不意に浪人の内の一人がそんなことを言った。その視線の先には旅人が手に持っている『邪眼』がある。そしてそう言った浪人の腰にも同じモノが存在している。何故かは不明だが浪人達は『邪眼』を持っており、そしてそれを必要としているようだった。
「た、旅人…さっきは三人だったけど、今回は四人…しかも全員『邪眼』を持ってるぞ…!」
パイモンが怯えつつそう言った。無論旅人とて少し分が悪いことくらいわかっている。だが、これくらいはこなして見せないとメカジキ二番隊には認められないだろう、とそう考えている旅人に戦わないという選択肢は存在し得なかった。
「大丈夫、これくらいなら…天鼓雷音!!」
旅人は温めておいた元素爆発を撃ち戦うことを示すと、一番前に出ていた浪人に素早く肉薄し、横を通り過ぎながら横腹を斬り裂く。直後、斬られた浪人に雷が降り注ぎ浪人は気絶した。旅人の周囲には雷元素で出来ている3つの勾玉のようなものが浮かんでいる。
浪人達は一瞬狼狽したが、すぐに旅人を敵と認識して一斉に斬り掛かった。だが、旅人は姿勢をかなり低くするとそのまま前に転がって一瞬姿を消したように見せかけた。現に浪人達には旅人が消えたように見えたようで動揺を顕にしている。
そこに旅人が背後から斬り掛かり、先程と同じ手法で浪人全員を気絶させた。そのまま警戒態勢を崩さずに周囲を見渡したが、不意にふぅぅ、と長い溜息を吐くと、
「もう流石に伏兵はいないみたいだね」
とそう呟いて剣を仕舞った。やがて旅人の後ろからニュッと顔を出したパイモンも安堵したようにふぃ〜と息を吐き、
「旅人、お疲れ様だぞ!取り敢えず全員倒したってあいつらに言ってオイラ達のことを認めさせようぜ!」
少し疲れた様子の旅人を見て笑いながらそう言った。旅人もパイモンに微笑みで以て返すと同意するのだった。
「───中々やりますね…噂程のものではありませんでしたが、七人の浪人を相手取って尚傷一つないとは…感服致しました」
先程の代理隊長が旅人達にそう言いつつ先程の非礼を詫びた。お詫びを受けて旅人は気にしていないことを告げたが、パイモンは「ふんっ、オイラ達の凄さがわかったなら許してやるぜ!」と偉そうに言っていた。旅人も代理隊長もそんなパイモンの言葉に苦笑するだけだった。
こほんっ、と代理隊長は咳払いをして空気を変えると自己紹介を始めた。
「自己紹介しましょう。私は幸得、メカジキ二番隊の代理隊長を務めています。そして───」
言いつつ隣にいたもう一人の兵士を見ると、
「───こちらは嘉久、隊に居るベテラン兵です」
そう紹介した。丁寧に自己紹介をされたため旅人達も改めて簡単にではあるが肩書と名前を言った。そして代理隊長改め幸得は旅人に対して敬礼をすると、
「今より正式にメカジキ二番隊隊長の座をお渡し致します。メカジキ二番隊、いつでも指示に従う準備は出来ております」
そう言うのだった。
〜〜〜〜
旅人が戦い終わり、浪人達が別の海祇島の兵士達に回収された後で主戦場になっていた場所に俺はやって来ていた。
「…やはり強いな」
思わずそう呟いてしまうくらいには旅人の実力は高く、洗練されている。まだ底を見せていないし成長途中とはいえかなりの実力を持っていることが窺えた。
所々に見える戦闘術にはモンドや璃月にてかつて見た武術形態を垣間見ることができる。良い師を持ったのだろうか、それとも友人だろうか。なんにせよ彼は人からよく慕われているのだろう。
「…それにしても」
主戦場になっていた場所の片隅に転がり落ちていた謎のモノ…これを旅人達は『邪眼』と呼んでいた。そしてこの『邪眼』からは僅かに元素力を感じる。だがこのようなモノが存在していた記憶は俺にはない。何より、邪悪な気配をひしひしと感じる。
そもこれを使っていたのは『神の目』を持たぬ一般人。『神の目』を持たない人間を無理矢理元素に触れさせることのできる代物、と考えるべきだろうか。それで言うなら旅人も『神の目』を持っていないのに雷元素を扱っていたが…彼も疑うべきだろうか。
俺は一先ず心海に報告すべく、『邪眼』を持って珊瑚宮へと帰るのだった。