強者に好かれ弱者に嫌われるスキルをもって転生した少年   作:三つ眼の荒木

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励ましの言葉や疑問に思った点、考察などを書いていただけると、こちらのモチベーションにもなります。

また、タグに新たに無双無しを追加させていただきました。今後主人公の無双は予定しておりません。

今回は主人公以外にも二人の視点で話が進みます。
ちょっと長めです。



#5 守護者達の不安

 

 訓練所でビルキさんと模擬戦をしていると、カインさんがこちらにやってくるのが見えた。今日の巡回が終わったようだ。

 

 俺はビルキさんにお礼を言い急いでカインさんの元へと向かう。

 

「カインさんこれ見てください!じゃーん!」

 

 俺はカインさんに冒険者証を見せる。

 

「おお!登録してきたか。ギルドはどうだった?」

「意外と人が少なかったです。あとは受付のお姉さんが美人でした」

「確かにあそこの受付は全員美人だったな。早速何か依頼を受けてきたか?」

「いや、何も。明日また来るように言われました」

 

「ふーん。そうか」

 

 カインさんは顎に手を当てて何か考えているようだった。

 そしてパンと手を叩く。

 

「よし!じゃあ今日は登録祝いだ!買いに行くぞ。ビルキもついてこい」

「はい。姉弟子として私も少しですが出したいと思います」

「そうか!ビルキに後でお礼を言っとけよ」

 

 ビルキさんはすぐに了承し鍛錬用の棒を片付ける。

 

 しかし俺自身が何を買うか分かっていなかった。

 

「買うって何をですか」

「何言ってんだ、武器だよ。木の棒で戦うわけにはいかないだろ?」

 

 なるほど、武器か。

 初めての依頼は採集系にする予定だったので全く考えていなかった。

 

 って武器?!

 

「自分の武器を買ってもらえるんですか!?」

「おう。依頼を受けたら否が応でも街を出る。絶対に武器は必要だからな」

 

「やった!」

 

 自分専用の武器!

 それに武器屋に行くのも初めてだ。

 男ならだれもがテンションが上がるだろう。

 

 片づけを終え訓練所を出る。

 

 武器屋へと歩く途中、俺はカインさんに質問していた。

 

「カインさんは元冒険者なんですよね」

「ああ」

「確かC級でしたよね。すごいです!」

 

 C級ということは2つもランクが上がったことになる。

 

「どうだろうな。C級は中堅って感じだ。

 だからと言って簡単になれるわけじゃなかったが」

 

 俺はカインさんから冒険者ランクの感覚を教えてもらった。

 

「E級は駆け出しって感じだ。

 簡単な依頼しか任せてもらえないし、そのせいでなかなかランクが上がらないが一番楽しい時期だな。

 

 D級になって脱初心者。そして一番人が多いのもD級だ。

 

 C級は中堅だがベテランが多い。長年冒険者をしている人が多いからな。

 意外にもC級のパーティは依頼者からは結構人気でな。B級以上に稼いでいる人もいた。

 そしてC級が凡人の限界だ。

 

 B級からは才能があるやつしかなれない。

 B級に行くような奴は一気に駆け上がっていくから若者が多かったな。

 

 そしてA級は……化け物だ。

 

 まぁ要は俺は凡人だってことだ」

 

 カインさんは肩をすくめ自虐するように言った。

 

 そんなことはない。と俺は思った。

 カインさんは俺にとって一番強い人だ。

 訓練中も勝てる気配が全くない。

 

 しかし口に出して言うことはできなかった。

 冒険者の先輩としての口の重みがそこにあったからだ。

 

「さぁ、そんなこんなで話していたら店に着いたぞ!」 

 

 俺たちは武器屋の前に立っていた。

 店に入る直前、なぜかフードを被るように指示された。

 

 俺は言われた通りフードを被り中に入る。

 

 壁や棚、いたるところに様々な武器が飾られてあった。

 

「かっけー!」

「だよな。俺もいつ来てもそう思うよ。ちょっと自由に見てきていいぞ」

 

 俺は棚に飾られてある剣を見る。

 持ちての部分に綺麗な装飾が施されているもの、刃が他のものと比べて長いもの、刃も装飾もいたってシンプルなものなど様々だ。

 

 しかし、どれも格好良い。

 剣ってなんでこんなに格好良いんだろう。

 

 俺はじっくりと観察した後、本命の槍を見る。

 壁にかけられているものや、樽の中に立てかけられているものもある。

 

 見ているとビルキさんが話しかけてきてどんな槍が良いか解説してくれた。

 

「カインさんはどれが良いと思いますか?」

 

 俺は後ろを振り返る。しかし、そこに彼の姿はいなかった。

 するとビルキさんから説明される。

 

「カインさんはお金を取りにいったみたいです。

 武器は高いですから」

 

 なるほど。

 というか、普通に奢ってもらうことになっている。

 

 勿論俺は武器を買うお金は持っていない。手持ちのお金もカインさんからもらったお小遣いなので俺の金ではなかった。

 

 この借りを返すためにも冒険者になって早く稼がないと。

 

 そう思っていると武器屋の扉が開く。

 カインさんが帰ってきたかと思い再び振り返るとそこには意外な人物がいた。

 

 俺は彼女と目が合った。

 

「あら、セカイさんじゃないですか。奇遇ですね」

 

 冒険者ギルドの受付のお姉さんだ。

 じっくり俺の顔を見られたかいもあり、顔を覚えてもらったらしい。

 

 俺は何と言っていいか分からなかったため、黙ってお辞儀をした。

 

 お姉さんもお辞儀をすると俺たちの横を通ってカウンターの方へ――いかなかった。

 

 なぜかビルキさんの目の前で止まる。

 

「こんにちは。私は冒険者ギルド受付嬢のマイ・リアシーと言います。お名前を聞いてもよろしいでしょうか」

 

 へぇ。リアシーさんって言うのか。初めて知った。

 

「私はビルキと申します。セカイ君の姉弟子にあたります」

 

 ビルキさんは簡潔に自己紹介をした。

 顔は無表情だが、それはいつものことだった。

 

「姉弟子でしたか。因みに師は誰ですか」

 

「カインさんです」

「カイン……ああ、あの衛兵長の方ですね。彼の評判は良く聞きますよ」

 

 リアシーさんは俺の方に向き直す。

 

「それでここで何をしているんですか?あ、もしかして武器を選んでいる感じですか。私、長年冒険者ギルドで受付嬢をしているから結構目利きいいんですよ。買うの手伝いましょうか?あっ、長年受付嬢をしていたって言っても――」

 

 なぜか、どんどん話し始めた。

 

 暇なんだろうか。

 

 断る理由もないので了承する。

 

「じゃ、じゃあおすすめなのを教えてほしいです」

 

「私のおすすめはこの槍ですね。初心者は高くて高性能な槍の方が良いと思いがちで、奮発して手持ちで買える最も高い槍を買いがちです。しかし、初心者だからこそシンプルで使いやすいものを選んだ方が良いと私は思います。中途半端に高い槍は木の柄の部分の材質や槍の形状にこだわっているだけで、初心者はあまり実戦では生かせません。むしろ変な癖がついて良くないですね。高い槍を将来的に買いたい場合は魔法が付与されている奴を買うといいですよ」

 

 彼女は饒舌に話し始める。

 さすがは冒険者ギルドの受付嬢だ。武器の知識も豊富だった。

 

 ってあれ?

 

「俺、槍使いって言ってましたっけ?戦士とは言いましたけど」

 

 饒舌だった彼女の口が閉じられる。

 口は閉じているが笑顔のままだった。

 

「……違いましたか?槍を見ている様子だったのでてっきりそうなのかと。

 それに受付嬢をしているとどんな武器を使うかなんとなく分かるんですよ」

 

 なるほど。

 もしかしたらリアシーさんはベテランの受付嬢なのかもしれない。

 俺みたいな新人の顔も忘れず、豊富な武器の知識、使う武器の推測ができる人はきっと少ないだろう。

 

「いや、あってます。わざわざ見ていただきありがとうございました」

 

「いえいえ。これくらい冒険者ギルドの受付嬢として当然のことです。ここまで見ましたし、今度槍の戦い方も教えましょうか?これでも昔――」

 

 と彼女がまた怒涛に話し始めた時、再び武器屋の扉が開いた。

 

 今度こそ入ってきたのはカインさんだ。

 

「どうだ坊主?気になる武器でも――」

 

 カインさんはリアシーさんに気が付くと黙る。

 そして俺とリアシーさんの横に立ち、お辞儀をした。

 

「冒険者ギルドの受付嬢の方ですよね。私は始まりの街の衛兵長を務めさせていただいているカインです」

 

「私は冒険者ギルドの受付嬢をしているマイ・リアシーと申します。セカイさんの冒険者登録をさせていただきました」

 

「なるほど、ありがとうございます。

 セカイは私の最近できた弟子でしてこの度冒険者登録をさせていただきました。

 ご迷惑もお掛けすると思いますが何卒よろしくお願いします」

 

「こちらこそありがとうございます。

 カインさんの弟子ですしセカイさんには注目しております」

 

 お、大人の会話だ。二人共。

 カインさんが珍しく敬語を使っている。

 リアシーさんもさっきの饒舌さはなくなり丁寧な対応だった。

 

「それにしても彼がセカイだとよく気づきましたね」

「ええ。職業柄この街の冒険者の顔と名前は全員覚えるようにしているんですよ」

 

「それもありますがフードを被っていたのによく顔が見えたなと思って」

 

「……ハーフエルフですから。目が良いんです」

 

 俺はそんな二人の会話を聞きながらビルキさんに小声で話しかける。

 

「冒険者ギルドと衛兵部隊って仲はどうなんですか?リアシーさんとは初対面みたいですけど」

「……見ての通りです」

「なるほど。やっぱ互いに協力して街を守ってますし仲は良い感じですか?」

「あなたの眼は節穴ですか?黙っていなさい」

 

 怒られた。

 やはりビルキさんは俺に厳しい。

 

 その後、リアシーさんはカインさんと少し談笑すると、武器屋での用事を終え帰っていった。

 帰り際に俺に対して

 

「明日、冒険者ギルドにて待っています」

 

 と言っていた。

 

 カインさんは彼女が外に出るまでじっと見つめていた。

 熱いまなざし……ではなさそうだ。顔が少し険しい。

 

「セカイ、彼女には気を付けておけよ」

 

「え?はい。失礼のないように心がけます」

 

「それもあるが……いや、彼女はハーフエルフだからな。

 用心するに越したことはない」

 

 そういえばそんなことを言っていた。

 ハーフエルフだったのか。確かにエルフは耳がとんがっているイメージがある。

 

 カインさんは続けて言う。

 

「エルフは傲慢だ。ハーフだろうとその本性は決して変わらない」

 

 傲慢……にはとても思えない。

 むしろ彼女は俺やカインさんに対して丁寧に対応をしているように見えた。

 

 その後、カインさんに槍を選んでもらい買ってもらった。

 

 カインさんが選んだ槍はリアシーさんのおすすめと全く同じものだった。

 

 

 

 

「カインさんこれ見てください!じゃーん!」

 

 セカイが冒険者証を見せる。

 Eランクのため木でできた質素なものだ。

 

 しかしその表情は嬉しさでいっぱいだった。

 

 俺は自分の若いころを見ているようで懐かしさを感じていた。

 

「おお!登録してきたか。ギルドはどうだった?」

「意外と人が少なかったです。あとは受付のお姉さんが美人でした」

 

 特にトラブルには遭わなかったようだ。

 念のため人が少なそうな時間に行かせて良かった。

 

「確かにあそこの受付は全員美人だったな。早速何か依頼を受けてきたか?」

「いや、何も。明日また来るように言われました」

 

 明日?

 普通はその日の内に最初の依頼を決めるものなんだが……

 受付嬢にいじめられているとかか?

 

「ふーん。そうか」

 

 適当に相槌を打ちながら俺が介入すべきかを考える。

 いや、このくらいは大丈夫だろう。

 

 どちらにせよ明日には依頼を受けるだろうし、これからのことを考えるとその程度のいじめには慣れてもらわないと困る。

 

「よし!じゃあ今日は登録祝いだ!買いに行くぞ。ビルキもついてこい」

「はい。姉弟子として私も少しですが出したいと思います」

 

 ビルキもすっかりセカイと仲良くなった。

 最初はあまり良く思っていなかったようだが、今では俺がいないときはかなり世話を焼いているようだ。

 

「そうか!ビルキに後でお礼を言っとけよ」

「買うって何をですか」

 

 セカイはまだピンときていないようだ

 

「何言ってんだ、武器だよ。木の棒で戦うわけにはいかないだろ?」

「自分の武器を買ってもらえるんですか!?」

「おう。依頼を受けたら否が応でも街を出る。絶対に武器は必要だからな」

「やった!」

 

 セカイは嬉しそうに飛び跳ねた。

 

 セカイと冒険者について話しながら武器屋へと歩く。

 

 そして武器屋に入り興奮する彼を自由に見てくるよう指示し、俺はビルキに小声で話しかけた。

 

「気づいてるか?」

「はい。つけられています」

 

 俺はため息をつく。

 つけられるのは別にいい。いや、良くないが、ビルキに気づかれる程度だ。

 実力はたかが知れているだろう。問題は……

 

「どっちが狙いかだよなぁ」

「さすがに衛兵長でしょう。セカイ君をつける理由がありません。

 ……あるとしても人質にするためです」

 

 ビルキはセカイが皆から嫌われていることを知らない。

 ただ俺が過保護だと思っているみたいだ。

 

「しょうがない、ちょっと聞いてくる。任せたぞ」

「はい」

 

 念のため武器を持ってきておいて良かった。

 と言っても使うかは分からないが。

 

 俺は武器屋から出る。

 

 肩を回しながら周囲を見渡した。

 ぱっと見は3人。まずは正面のやつからだ。

 

 

 俺は足に気を集め正面の建物の屋上へ跳ぶ。

 そして空中で覗き見野郎の顔を横につかみ、着地と同時に床にたたきつけた。

 

「よぉ、なんかようか?」

 

 床に顔を押さえつけながら格好を確認する。

 そこそこいい装備。ただの下っ端じゃない。

 

 盗賊ギルドの残党か。

 

 野郎は呻きながら俺を睨みつけてくる。

 

「今更狙いは何だ?」

 

 すると懐から短剣を取り出し俺の腹に突き出してきた。

 俺は全身に気を纏う。

 

 短剣は金属に当たったような音と共にはじかれた。

 

「お前如きの短剣が刺さるわけねぇだろ。もういい。後で聞く」

 

 俺は左手だけで奴を押さえつけ右手の拳に気を集中させる。

 そして全力で振り下ろす――直前に横から気配を感じその場から跳び退いた。

 

 俺がいた場所でナイフが空を切る。

 形状的に毒の魔法が付与されているだろう。

 

 俺は周囲を確認する。

 

 続々とお仲間が集まってきたようだ。

 

 周囲に4人。

 反対側の建物の屋上に2人。

 300メートル先の塔の上に1人だ。

 

 面倒になった。

 こいつら全員倒したら確実に夜中まで残業コースだ。

 

 俺は気を解放し拡散させる。

 

「その程度の人数で本気で殺せると思ってるのか」

 

 

 俺を中心に床に亀裂が走った。

 

 

 奴らは顔を見合わせると屋上から跳び下りる。

 そして街の奥へと消えていった。

 

 脅しは効いたようだ。

 

 折角のめでたい日に残業なんてたまったものじゃない。

 

 それにしても奴らの目的は何だったのか。

 少なくとも俺の暗殺じゃなかった。弱すぎる。

 

 監視にしてもビルキに気づかれる程度のやつらだ。

 

 やはり目的はセカイだろうか?

 しかしセカイを監視するには過剰すぎる実力と人数だが。

 まさか俺たちが護衛しているとは思っていなかったのだろう。

 

 一体セカイは何者なんだろうか。

 これも呪いの影響か?

 それとも盗賊ギルドの残党が狙うような何かが彼にあるのだろうか。

 

 ……考えるのは後にしよう。

 今は、セカイの武器選びだ。セカイのことだしどうせ見た目の格好良さとかで決めているだろう。

 冒険者の先輩として助言してやろう。

 

 俺は地面に跳びおり武器屋に戻る。

 

「どうだ坊主?気になる武器でも――」

 

 気持ちを切り替え扉を開けると、そこにはエルフの女がセカイに話しかけていた。

 

 ぞっとした。

 なぜエルフが?なにか怒りを買ったのか?

 

 とにかく彼を守らなければ――

 

 と思ったところで、彼女の恰好に気が付く。

 冒険者ギルドの制服だ。

 

 点と点がつながる。確か冒険者ギルドの受付嬢にハーフエルフがいたはずだ。

 すると、彼とは冒険者ギルドで会ったのだろう。

 

 俺は急いで彼と彼女の近くに行き挨拶をする。

 

「冒険者ギルドの受付嬢の方ですよね。私は始まりの街の衛兵長を務めさせていただいているカインです」

 

 ハーフエルフの女は笑顔で答えた。

 

「私は冒険者ギルドの受付嬢をしているマイ・リアシーと申します。セカイさんの冒険者登録をさせていただきました」

 

 最悪だ。

 セカイが美人の受付嬢だったと言っていたが、一番のはずれをひきやがった。

 

「なるほど、ありがとうございます。

 セカイは私の最近できた弟子でしてこの度冒険者登録をさせていただきました。

 ご迷惑もお掛けすると思いますが何卒よろしくお願いします」

「こちらこそありがとうございます。

 カインさんの弟子ですしセカイさんには注目しております」

 

 俺は再度ハーフエルフの女を観察する。

 

 この女強い。

 

 重心が全くぶれていない。

 気の流れに一切の淀みがない。

 

 高ランクの近接戦闘職。ハーフエルフであることを考えると魔法戦士だろうか。

 

 ギルドマスターのパーティメンバーだと聞いていたが間違いないようだ。

 

 つまり化け物の類。敵う相手ではない。

 

「それにしても彼がセカイだとよく気づきましたね」

「ええ。職業柄この街の冒険者の顔と名前は全員覚えるようにしているんですよ」

 

「それもありますがフードを被っていたのによく顔が見えたなと思って」

 

 何より問題なのはこのハーフエルフがセカイをいじめている可能性が高いということだ。

 いじめられていなくても先ほどの言葉から目をつけられているのは間違いない。

 

 それにこのフードは認識阻害が付与されている。見ようとしなければ見えないはずだ。

 

「……ハーフエルフですから。目が良いんです」

 

 彼女は都合の良い言葉を言った。

 

 その後の会話からなんとなくだが彼女の人となりが分かった。

 彼女は自分の立場を理解し話している。

 

 常に物腰柔らかで丁寧に対応をしていた。

 立場的にはギルドの受付嬢と衛兵長だ。

 

 顔を立てたのだろう。

 

 セカイのことも憎くは思ってなさそうだ。

 どちらかというと好印象寄りだろう。

 

 しかし決して忘れてはならない。

 

 彼女がエルフの血を引くことを。

 

 盗賊ギルドの残党にハーフエルフ。

 問題は山積みだ。

 

 冒険者としての門出は不安しかなかった。

 

 

 

 森を飛び回って2週間。

 ようやく見つけた。 

 

 ボクは木の枝に座り空を眺める彼女に話しかける。

 

『探したよ。こんなところにいたんだね』

「久しぶり。ウィンから話しかけてくるなんて珍しいわね。ついに私と契約する気になった?」

 

 彼女は思ってもないことをあっけらかんと言った。

 

『そっちが契約する気もない癖に良く言うよ』

「あはは。ばれた?だってウィンって弱いんだもん」

 

 彼女は純血のエルフ。しかも天才だ。

 精霊の声を聞くことができ、精霊を使役する者。

 

 ボクは彼女が苦手だった。

 しかし、今は彼女に頼るほかない。

 

 彼は水の精霊と癒しの精霊が守っているため、命に別状はないだろうけど苦しい生活をしているに違いない。

 

『今日は頼みがあってきたんだ』

「なに?」

『子供を保護してほしい。近くにある街を知ってるだろう?あそこでか弱い子供がヒューマンに殴られたんだ』

「嫌よ」

 

 彼女は即座に拒絶した。

 

「子供であろうとヒューマンごときに殴られるエルフが悪いわ。

 どうせその子ハーフとかでしょ?混血は嫌いなのよね。エルフの癖に弱いから」

『違う。ヒューマンの子だよ。ヒューマンの子供がヒューマンの大人に殴られたんだ』

 

「は?」

 

 彼女の言葉に怒気が含まれる。

 

「ウィン。貴方はあたしにヒューマンの餓鬼を保護しろって言ったの?論外よ。不快だわ」

 

 彼女は木から跳び下りる。

 そしてボクを無視し森の奥へと歩いて行く。

 

 ボクは追いかけて彼女を必死に説得した。

 

 彼との出会いから道中何があったのか。

 彼がいかにか弱くボクたちの保護が必要か。

 

 彼女はずっと無視し続けたけど次第に僕の話に耳を傾けてくれた。

 

「ウィン、分かったわ。貴方が本気でそのヒューマンの子を心配しているのがあたしにも伝わった。

 エルフは精霊の良き友人よ。貴方を信じるわ」

 

『うん。じゃあ!』

 

「だからとりあえず明日保護するかどうかを考えてあげる。今日はもう眠いから寝るね。おやすみ」

 

 そういって彼女は家へと帰りベッドに潜って本当に寝た。

 

 彼女が時間にルーズなのを忘れていた。

 これはまだまだ説得に時間がかかりそうだ。

 

 ボクは彼女を説得できるか不安になった。

 

 




【ステータス】

名前:ビルキ
種族:ヒューマン
レベル:71

印象:中立

体力:394
攻撃:171
防御:226
俊敏:63
魔力:21
聖力:15
気力:337

備考:始まりの街の衛兵。衛兵長カインの部下であり弟子。基本無表情。Fカップ。
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