強者に好かれ弱者に嫌われるスキルをもって転生した少年   作:三つ眼の荒木

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3000件もお気に入りしていただきありがとうございます。

一瞬ですが日間1位にもなりました。
多くの人に読んでいただき感無量です。

今回は受付嬢視点のみで短めです。
そのため0時に次話を更新したいと思います。


#6 受付嬢の盲目

 

 艶のある黒髪。

 ぱっちりと開いた可愛らしい眼。

 混じりけの無い黒い瞳孔は美しくも感じる。

 

 顔立ちはここら辺では見ない顔立ちだが、どことなく幼さがあった。

 

 セカイ君は冒険者証を携えてギルドから出ていく。

 

 そして私はというと完全に放心状態となっていた。

 このままではまともに仕事ができないと思いなんとか彼を帰らせた。

 

 分かった(・・・・)

 

 この人だ。私の運命の人は。

 エルフセンサー風にいうなら血の相性が良い人。

 

「マイ。どうしたの?さっきから黙っちゃって」

「ごめん。休憩に入るわね」

 

 私は同僚に休憩を入れることを言い席を立った。

 

「え、うん。別にいいけど」

 

 恋愛をしよう。と私は決心する。

 

 良く考えれば10代、20代という恋愛の黄金期を私は修行と冒険者生活に捧げてきた。

 失われた青春を取り戻す時がきた!

 

 40代だが四捨五入すれば0歳だ。

 ギリセーフだろう。 

 

 私はクソ親父とは違う。

 ヒューマンらしく真っ当なアプローチをして結婚してみせる!

 

 

 そのためにもまず私が向かった場所は元盗賊ギルドだった。

 

 

 幼馴染が言っていた。

 恋愛では相手を知り仲良くなることが大切だと。

 

 冒険者生活でも情報は重要だった。恋愛と冒険は似ている所があるかもしれない。

 

 それに盗賊ギルドと言えば聞こえは悪いが要は情報屋である。

 かつて盗賊ギルドは冒険者ギルドの傘下だった。

 

 しかし、構成員が暴走を起こし始めたため、警備隊に情報を売り叩き潰したのだ。

 

 だから今の盗賊ギルドはその時の残党。

 冒険者ギルドに従順な雑魚の寄せ集めである。

 

 そのため今では冒険者の身辺調査などの安全な任務を行わせていた。

 

「姐さんが来るとは珍しいですね。どうしましたか?」

「身辺調査と動向調査を行ってほしい子がいます。名前はセカイ・アライ。今日登録したE級です」

「分かりました。E級ですが新人ですか?」

 

「ええ。彼は認識阻害が付与されたローブを着ています。報酬は弾むから惜しみなく人数を使いなさい。

 あと、このことはギルドマスターには秘密にしておくこと」

「承知しました」

 

 盗賊ギルドに指示をした3時間後、早速一つ目の報告書が上がってきた。

 

 私は事務のふりをしながらその書類を読む。

 

 名前はセカイ・アライ。15歳。2週間前にこの街に来たらしい。

 精霊の森から歩いてきたところを衛兵長であるカインが保護したとも書かれてあり私は納得する。

 精霊とは森で出会ったのだろう。

 

 他にも、カインとは親しく彼の家で寝泊まりをしていること、2日に1回警備隊の訓練所にて棒術の訓練をしていることなどが書かれていた。

 

 ずるい。

 

 もし彼を見つけたのが私だったら、今頃彼と私の家で同棲生活をおくっていたはずだ。

 それこそまさに私が求めていたスローライフそのものだろう。

 

 その機会をカインとかいう男に奪われたといっても過言ではない。

 

 同僚が私の前に一枚の手紙を置き話しかけてきた。

 

「マイ、あの男があんたにラブレターって。モテモテね」

 

 私は同僚が指をさす方を見る。そこには情報屋の一人が立っていた。

 つまり、これはラブレターなんかじゃなくセカイ君の報告書だ。

 

 私は急いで中を見る。

 そこには彼がたった今武器を買いに行っていることが書かれてあった。

 

 これは彼と仲良くなるチャンスだ。

 私は証拠隠滅のため報告書をびりびりに破き席を立つ。

 

「確かそろそろ訓練部屋の武器を取りに行く時期よね。今から行ってくる」

 

「え、ああ、うん。それはいいけど、わざわざ本人の前で破かなくてもいいんじゃない?」

 

 同僚の声は聞こえていなかった。

 

 

 その後、私は武器屋でセカイ君と出会いおすすめの武器を教えてあげた。

 これで好感度は結構上がっただろう。

 

 思い返してみてもこれ以上ない完璧な会話だった。

 

 

 夜、私は追加の報告書を読む。

 

 彼のものではない。

 カインやビルキといった彼の周りにいる人物のものだ。

 

 特にビルキとかいう女は要注意だ。

 あの無駄にでかい胸でセカイ君を誘惑しているかもしれない。

 

 と、思ったが報告書を読む限り特別な関係ではなさそうだ。

 姉弟子としてはむしろ厳しめに接しているらしい。

 

 実力はDDD級~C級といったところだろう。

 

 次にカインの情報を見る。

 

 顔を見て思い出した。

 確か5年前の盗賊ギルドの壊滅に最も貢献したのが彼だったはずだ。

 

 元C級冒険者。

 しかし実力はCC級ほどあるだろう。

 

 盗賊ギルドの残党が彼に見つかったのは最悪だ。

 まさかセカイ君がこの街の実力者に入る2人に守られているとは思っていなかった。

 

 街の住民からの評判は良く親切な人物。

 

 しかし、私に対しては警戒しているようだった。

 盗賊ギルドの残党と戦闘した後だったのも理由だろうが、あれはそれ以上に敵意が感じられた。

 

 私の態度も良いものではなかったが、何か恨まれるようなことをしたのだろうか?

 

 セカイ君との関係を考えると今後は彼とは仲良くした方がいいだろう。

 

 

 翌日からも私は情報屋に彼の動向を逐一報告させた。

 

 彼はE級であるため、最初の内は安全な薬草採取の依頼しかできない。

 しかし、薬草採取の途中で魔獣とばったり出くわすことがあるかもしれない。

 そのため念のため彼らに監視してもらっているのだ。

 

 決して彼の行く場所を知るためではない。

 

 まぁ、偶然彼が行く先々で冒険者ギルドの仕事があるため、ついでに出会って談笑しているが。

 

 そんな日々が1週間ほど続き彼もEE級への昇格が見えてきた。

 

 今日、私は彼をデートに誘ってみようと思う。

 デートと言っても一緒にご飯を食べるだけだ。

 

 偶然、酒場で出会って何度かご飯を一緒にしたこともあったし断られはしないだろう。

 

 私は脳内でシミュレーションをする。

 

 ……うん、完璧だ。

 彼が間違ってお酒を飲んでしまい、酔って私に寄りかかるところまで見えた。

 

 そうすると、彼が冒険者ギルドに帰ってきた。

 

 絶対成功すると分かっていても緊張する。

 

「薬草採取してきました。お願いします」

 

「ありがとうございます。今、鑑定しますね……はい。今回もすべて状態が良かったです!セカイさんは冒険者の才能がありますよ!こちらが代金になります」

 

 私はセカイ君に手渡しで渡す。

 数少ない触れる機会だ。

 

 彼は代金を受け取りお辞儀をした。

 

「ありがとうございます、じゃあこれで――「ところで、セカイさんはシチューは好きですか?」

 

 彼がすぐに去っていきそうだったので、何とか話をねじ込んだ。

 

「シチューですか。まぁ好きですね」

 

「この前、いったレストランで食べたシチューがおいしかったんです。値段は高かったんですけどその価値以上のおいしさでした。また食べに行きたいなと思ったんですけど、一人で行くのは寂しくて……この後一緒に行きませんか?あ、勿論私が奢りますよ」

 

 よし!噛むことなく言えた。

 彼は黙っていた。

 

 多分、彼は了承するだろうから次にいう言葉は――

 

「今日はカインさんとご飯を食べるので遠慮しておきます……」

 

 彼はお辞儀をして去っていった。

 

 

 あれ?

 

 




【始まりの街の出来事】


10年以上前

盗賊ギルドが街の実権を握る
カインが別の街からやってきて警備隊に就く

10年前

元A級冒険者が冒険者ギルドのギルドマスターになる
手っ取り早く冒険者ギルドの権威を上げるため、盗賊ギルドを襲撃
傘下に入れ秘密裏に活動させる
盗賊ギルドに魔獣を密輸させ冒険者ギルドが討伐
街での冒険者ギルドの権威が強まる

5年前

盗賊ギルドの構成員がギルドマスターの暗殺を計画していることが発覚
冒険者ギルドは盗賊ギルドを切り捨て警備隊に情報を流す

警備隊が盗賊ギルドを襲撃
カインが衛兵長に昇格
ビルキがカインに弟子入りする

盗賊ギルドの残党を再び冒険者ギルドの傘下に
情報屋として活動させる

3年前

冒険者ギルドがダンジョンを低ランク用に改造

2年前

新人冒険者育成制度を導入

1年前

良質な冒険者を輩出することが冒険者ギルド王都本部に評価される

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