そして10月になった。
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A:1370(毎月260万ポイントをひよりに譲渡)
B:918
C:788
D:156
ひよりバンク:1584万+120万+260万=1864万pp
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いよいよ体育祭が始まった。
途中、龍園が木下さんに堀北を怪我させるといったクズ指示を飛ばしたが、クラスの大半で反対して退けた。
俺やひより以外の生徒も、龍園に意見を言えるようになったのは良い変化だろう。
龍園も不機嫌なフリをしているが、内心喜んでいる。っといいな。
参加表は予定通りCクラスに連携し、神崎君たちはうまく組み替えてくれたらしい。
最初の競技は100メートル走。
俺は1組目だった。
となりでは自信満々の須藤君が準備している。
さすが運動部。速そうだ。
スタートすると自分について来れる奴がいると思っていなかったのであろう。
須藤は、すぐ隣に俺がいることに動揺したようだ。
想定より須藤は運動ができるようだが、俺は須藤を突き放して1位となった。
須藤は悔しそうに息を切らしながら俺を睨んで消えていった。
普段龍園に睨まれ慣れているからな。その程度でビビらないぜ。
っというか、これ以外の競技も阿保みたいに対戦することになるしな。
とりあえず、龍園に嫌味を言われずに済んで良かったと思いながら俺もテントに戻る。
女子の方も、木下さんが堀北さんに勝ったようだ。
参加表の操作なんてしなくても負けるとは思えないが、勝率の高い戦略を選ぶのは当然だからな。
Dクラスには気の毒だが、手加減はしないぜ。
・・・
次のハードルでも須藤君と同じ組になり
「またおまえかよ!」
っと敵意むき出しの須藤君と対戦することになった。
「バスケ強えんだって?学年でも噂になってんよぉ。」
とりあえず、相手の得意分野でほめて、冷静になってもらう。
「はぁ?おめえには関係ねえだろ。」
全然冷静にはならなかった。どうも、棄権している高円寺君と、もめていたようだし機嫌が悪いんだろう。
当然ハードルも俺が勝った。
…
「次は、棒倒しですね。須藤君という方もイライラが募って、全身電撃イライラ棒のようなので怪我には気をつけてくださいね。」
そう言ってひよりは心配してくれる。
「大丈夫さ。むしろ退屈すぎてフラストレーションたまるぜ。」
…
競技が始まると、須藤は殺気をむき出しで、俺に体当たりを仕掛けてきた。
「死ねやああああああ!!」
その掛け声はどうなんだ?
俺はギリギリまで引き付けて、横にずれて須藤君の体当たりも交わしながら、足をかけて転ばした。
「ぐぅうっ!!」
須藤君は派手に転び、砂埃を巻き上げながら、俺たちの棒の方に転がっていく。
起き上がろうとするが、龍園や石崎から蹴ったり踏まれたりして、まともに立つこともできないようだ。
「須藤から棒を守れ!!」
石崎は白々しいことを言ってる。
棒の近くで混戦になっていることと、砂埃の影響で外からは全く見えていないようだ。
完全に嫌がらせだな。。。
この後、須藤君は負傷してしまったようだ。
まぁ、俺に体当たりを仕掛けてきたし、自業自得だろう。
・・・
綱引きも白組の勝利だった。
Aクラスは葛城派と坂柳派が急に仲たがいをはじめ、まともにチームワークを発揮できていないようだった。
しかし、坂柳派はここで仕掛けるのか。しかもAクラスに。
龍園が警戒しているだけのことはある。
Dクラスも須藤君が負傷し、クラスを鼓舞する余裕がなくなっている。
これでは厳しいだろうな。
・・・
その後も堀北さんや須藤君への嫌がらせは続き、思うように成績が伸びず、歯がゆそうだった。
かわいそうだが、これも勝負だ。
そして、俺も自分の目的に集中する。
堀北つぶしや須藤つぶしなんて正直興味がないんだが、今回は取引だったから徹底的に相手してやった。
俺はテントに歩いて行き、一人の男に声をかける。
「よぉ。俺と200m走勝負してくれよぉ。負けたら10万ppだすぜ?」
こいつが相手なら、俺も全力を出せる気がする。
「んーーー?私と勝負したいのであれば、その3倍はだしてもらわないとねーー。」
男は、椅子にふんぞり返って座りながら、そう言って、高らかに笑いながら髪をセットする。
「いいぜ。お前が勝ったら、30万ppだす。逃げてもいいけどよ?」
「おっと。これは1本取られたね。」
どうやら少しは興味を持ってくれたらしい。
「参加料もだしたほうが良いかよ?」
高円寺君は不敵な笑みを浮かべながら立ち上がった。
「いいや。結構だ。」
野生の獣を前にしたような、圧倒的な存在感に体が震える。
ゾクゾクするぜ。実力主義なんて大層な思想を掲げたこの学校に最初は正直失望した。
俺とまともに張りえる奴が全然いないからだ。
勝つことがわかりきった勝負なんてつまらねぇ。
勝てるか負けるかわかないギリギリの戦いだから本気になれるんだ。
俺の目をみて、高円寺君も同類の気配を察知したかのように笑う。
・・・
俺達は準備についていた。
さすが高円寺君だ。存在感が、他の生徒と全然違う。
一部の生徒は今まで欠場していた高円寺君が参加していることに気づいて驚いているようだ。それ以外は、特に誰かに注目されるわけでもなく、なんてこともない200m走の風景である。
合図と同時に、俺と高円寺君は最高の立ち上がりを見せ、全力で走った。
他の走者とあきらかに異なる速さに、見ていた生徒は度肝を抜かれたようだ。
・・・
走り切った後、俺は高円寺に問いかける。
「おい。最後どういうことだよ?」
どちらが勝ってもおかしくない、きわどい勝負だった。
最後の最後に高円寺が手を抜くまでは。
「ふふ。この程度の競技で君との決着をつけるのは惜しいと思ってね。私達の勝負はもっと華やかな舞台がふさわしいとは思わないかい?私は高円寺六助という。君の名前を教えたまえ。」
答えを聞いて俺は納得する。
「俺は筒井正宗だ。確かにこんなもんじゃ物足りねぇな、六助君よぉ。次はもっと大きな舞台で遣り合おうぜ。」
俺達は固く握手を交わす。
「正宗、良い名だねぇ。覚えておこうじゃないか。」
お互い自分が負けることなんて一切考えていない。
のちにこの学校に旋風を巻き起こす二人の前哨戦はこうして注目されることもなく幕を閉じた。
…
それからも競技は続いたが、六助との闘いに比べればつまらなかった。
途中、須藤くんは心が折れてしまったのか、出場放棄していた。
しかし、最後の競技には戻ってきたようだ。
…
そして最後の1200mリレーが始まった。
この競技は六助との闘い並みに楽しみがあった。
3年の堀北君と競い合えるかもしれないからだ。
2-Aと3-Aが1位争いをしている。
1-Bもアルベルト君の頑張りで、4着に上がっているが、ちょっと厳しそうだな。
しかし、3-Aがバトンを落としてしまったようで、大きく順位を落としてしまった。
堀北君は金髪のチャラ付いた先輩と話しているようだ。
おそらくこの男が次期生徒会長と言われている南雲だろう。
いけ好かない顔してやがる。
龍園か南雲どちらが良いか問われたら、断腸の思いで龍園を選ぶかもしれない。。。
金髪がバトンを受け取って走り出す。
都合がいいことに、3-Aと1-Bは4着争いをしており、俺と堀北君は僅差でスタートできそうだった。
「200m走は、良い勝負だったな。最後まで高円寺が本気だったらどちらが勝ってもおかしくなかっただろう。」
隣通しのレーンになったことをもあり堀北君が話しかけてくる。
「みてたんかよ、堀北君よぉ。楽しい試合だったぜ。そういえば、この前言っていた1年の気になる生徒って、そこにいる綾小路君のことだろ?」
本来男女混合リレーに出場予定ではなかったはずだが、アンカーで登場してきた。
「気づいていたか?綾小路は目立たないようにしていたようだがな。」
そう言って堀北君は笑った。
綾小路君はあいかわらず無表情だった。
「綾小路君の実力はある意味、この学校で一番興味あるぜ。」
そういいながら、俺と堀北君は助走をつける準備をした。
「もし望むなら、駆けっこくらいは勝負してやってもいいぞ。」
返ってことないと思っていた相手からまさかの返事が来て、俺たちは動きを止めた。
「・・・面白いことをいう男だな。目立つことを嫌い表立って行動することはないと思っていたがな。」
そう言って、堀北君は俺の方を見る。
「俺も乗ったぜ。」
俺と堀北君は、もう歩き出そうとはしなかった。
4番手争いを必死にしてきた3-Aの先輩と、木下がほぼ同時バトンを渡しに来たが、俺と堀北君は立ち尽くしたままバトンを受け取る。
「サンキューな。」
「え?筒井君?」
平然とバトンを受け取った俺と、同じく隣に立っている堀北君を見て木下さんは理解できなかっただろう。
「ご苦労だった。」
「あ、ああ・・・」
3年の名も知れない先輩も似たような反応になっている。
4位争いをしていた俺たちのクラスはどんどん他のクラスに抜かれていき、異常事態に気づいたギャラリーたちがざわつきだした。
そうこうしているうちに櫛田さんが全速力で駆けつける。
「勝負の前に一つあんたらに言っておく。」
綾小路君って結構しゃべれるんだな。
助走に入るタイミングで一言放った。
「全力で走れよ」
俺と堀北君はおそらく笑っていただろう。
やはり、俺の両隣は速かった。
今日はなんて日だ。
まさか、俺の全力と張り合える奴が周りに3人もいたなんて。
俺達は風を切るように駆け抜ける。
「嘘だろっ!」
前を走っていた走者は、抜かれ際に度肝を抜かれた声を上げていたが、置き去っていく。
それからも、一人、二人と抜き去り、俺たちは駆け抜けていく。
綾小路君は相変わらず無表情ではあるが、横目でこちらを見てくる。
まだ、最後まで走り切るスタミナを残していることはあきらかだ。
だが、それは俺と堀北君も同じ。
そして、最後のカーブに差し掛かる。
ほら--もっと加速するぞ
隣を見る余裕もなく、上半身や腕の振りも活用してラストスパートを全力で走り抜けた。
怒号のような大歓声がグランドに響き渡った。
・・・
「正宗君。お疲れ様です。」
競技が終わるとひよりが話しかけに来てくれた。
「お疲れひより。いやー今日は楽しかったぜ。機会があればリベンジ決めたいぜ。」
「ふふ。すごかったですね。前の方が転ばなければ誰が勝っていたかわかりませんでしたね。」
俺達の驚異的な追い上げに、前を走っていた人がこけてしまい、俺と綾小路君は進路をふさがれてしまった。綾小路君は、俺のことを気遣って、速めに大きく横に避けてはくれたが、俺は左右を囲まれていたこともあり、大きくジャンプをしてかわした。しかし、ロスが大きくバランスも崩してしまい、結果は堀北君、綾小路君、俺の順番となった。
「綾小路君か。頭も切れるし足も速いみたいでよ、これからの学園生活が楽しみになってきたぜ。」
俺は興奮気味にひよりに声をかける。
「まずは、次の中間テストに向けてお勉強をがんばりましょう。」
久しぶりにひよりの頑張るポーズを見て少し冷静になる。
「・・・・」
夢から醒める気分だな。
・・・・
結果が発表され、赤組の勝利だった。1年だけで見ると白組が圧勝だったが、2、3年は赤組が圧勝していたようだ。
体育祭の結果は、全クラス痛み分けとなった。
A:-50
B:-50
C:-100
D:-100
綾小路君が少しずつ目立ち始めた回ですね。
アニメはあまり見ていないですが、この回だけは3回くらい見ました(笑)