四月 -入学式-
俺もいよいよ高校生か。
思えば、中学の時は、先輩に絡まれたり、後輩に絡まれたりするうちに、すっかり喧嘩三昧の日常になってしまい、おまけに他校のヤンキーにも絡まれて散々の学校生活だったな。
まぁ、相棒に恵まれ、ダチと遊び倒したのは悪くない日々だったけどな。
しかし、喧嘩はもう十分だ。
高校からは、平和な学園生活をすごそう。
そんなことを考えているうちに、俺は学校に向かうバスに乗った。
バスの中は、同じ制服を着たやつがすでにいて、席はほとんど埋まり、立っているものがちらほらいる状況だった。
しかし、一番後ろの席が不自然に空席があったので俺は座ることにした。
「ラッキー、ここだけがら空きじゃねぇか。隣座らせてもらうぜ。」
先に座っていた、巨漢の男。恵まれた体格にサングラス。ハーフか?黒色の肌を持つ男に一言断りを入れながら座った。
「・・・・」
返事を期待していなかったが、どうやら律儀な男のようだ。表情はサングラスで分かりにくいし、なんて言っているかはよくわからなかったが「いいよ!」的な感じなんだろう。
まわりの生徒がチラチラこちらをのぞいているが、だれも近寄ってはこないようだ。
特にやることもないので、本でも読みながらバスの出発をまっていると、一人の男が乗り込んできた。
長髪の髪に人相の悪い目つき。
他校に似た顔のヤンキーがいた気がするが、こんなところで再会するわけないし、まぁ気のせいだろう。
再び本に意識を戻そうとしたら、ロンゲは一番後ろの席に近づいてきた。
「クックッ、久しぶりだなぁ、銀の腰ぎんちゃくじゃねぇか。まさか、てめえもこの学校か?」
どうやら、他人の空似の線は、あえなく崩れたようだった。
俺は本を置き、ため息をついて立ち上がった。
「てめぇ、喧嘩売ってんのか?たしか、龍園とかつったっけか?」
俺たちは至近距離で互いを睨みつけあった。
一色即発の空気に、バスは冷え切り、ほとんどの奴が、こちらと目が合わないように顔を背けている。
・・・
数秒にらみ合ったのち、龍園は緊張を解いて、
「楽しみは後にとっておいてやるよ。くらすめーとになるかもしれないからな。窓側はゆずってもらうぜ。」
そう言って、ケラケラ笑いながら、窓側に座った。
・・・
時間になり、バスが出発してからも、バスの重苦しい空気はやわらぐことがなく、殺伐とした状態が続いていた。
あまりの空気の重さに、立っているお婆さんなんかは、今にも発作で倒れそうだ。
かわいそうだな。。。
席をゆずろうか迷ったが、海外マフィアのようなサングラスの男と、龍園に挟まれる席をゆずることが親切か迷惑か一瞬考え、本に集中することにした。
・・・
目的地に到着すると、バスに乗り合わせた生徒たちは、我先にとバスから出て行ってしまった。
数人は、特に気にせずマイペースを貫いているようだな。
数人の顔を記憶しながら、俺もバスを降り、学校のゲートをくぐる。
なかなかに、立派な学校だな。
さすが国が運営している施設だ。
俺の中学は、ほとんど窓ガラスは割れていたし、落書きだらけで見れたもんじゃなかったからな。
そんなことを考えながら、クラス割り当ての自分の名前を探す。
どうやら俺はCクラスのようだ。
龍園と違うクラスであればどこだっていいさ。
「てめぇもCクラスか。マジで、くらすめーとになるらしいなぁ。仲良くしようぜ?正宗?」
俺の願いを、即否定するかのように龍園が声をかけてくる。
今日から、平和な学園生活を送るはずだったんだけどな。。。
「おいおい無視かよ?正宗?」
このまま無視しようか少し迷ったが、クラスメートとあっては、しかたがない。
「ああ、今日から親友だなぁ?よろしくな、龍園。」
俺は今日一の笑顔で返答する。
「ケッ、笑えねぇ冗談だ」
龍園は不愉快そうに、校舎に歩いて行った。
よかった。
一緒に並んで歩いても、会話が弾まないことは確定だし、周りに仲良しと思われたくない。
俺も距離を開けて、校舎に向かうことにする。
すると、別の男に声をかけられた。
「・・・・・・・・・・・・・?」
・・・何言っているか理解できないが、おそらく、Cクラスか?と聞かれているのであろう。
「ああ、Cクラスだぜ。おまえもCクラスかよ?だったら一緒に教室にいこうぜ。」
先ほどバスで隣になった黒人だ。彼が日本語がわかるのか、よくわからないが、少なくと俺は英語はわからないぞ。
「・・・・・・・・・アルベルト山田。」
「おれは、正宗。筒井正宗だ。仲良くしようぜ?アルベルト君よぉ。」
会話が成立しているのかどうかわからないが、なんとなく通じている気がする。
俺たちは、軽く会話?をしながら、教室まで歩いていった。
アルベルト君の活躍や絡みは一番むずかしいですね。