俺の顔はボロボロに腫れ上がっていた。
まさか、清隆1人に5人でボロ負けするとはなぁ。
さすがにダサすぎるぜ。。。
鏡に映った、不細工になった自分の顔を見ながら1人ででつぶやく。
・・・
ここ数日は口の中が切れていて、御飯を食べるのも一苦労だった。
クリスマスイブから、食後にいつもの勉強会が再開したが、俺の顔をみるなり、ひよりが救急箱を取りに自分の部屋に戻った。
「痛えぇよひよりー。もうちょっと優しくしてくれ。」
「知りません!あれほど無茶はダメだと伝えたのに、どうやったらこんなに怪我ができるんですか!?しかも何も処置せずに放置するなんて。」
とりあえずひよりには怒られながらもすべての顛末を説明した。
「しかし、清隆は規格外だなぁ。ひよりの計画には差しつかえないのかよ?」
「根底から覆ったかもしれませんね。。。私達の動き出しも早くなるかもしれません。」
そのレベルでやばいのか。綾小路くんの実力は、ひよりも想定外だったようだ。
「正宗君は、蠱毒という儀式をご存知ですか?」
なんか聞いたことはある気がする。
「サソリや蛇といった、あらゆる毒を持った生物を、一つのツボに閉じ込めて蓋をし、食い合いをさせて最後に生き残った生物が、最強の毒を持つという儀式です。」
なんか急にグロい話になってきたな。
俺はひよりが何を言いたいかよくわからず、はてなマークを頭に載せていた。
「これは、私がこの学園で、Sシステムの説明を聞いたときに連想した内容です。似ていると思いませんか?閉鎖した学園都市を壺に見立て、私達にAクラスの特典と退学をチラつかせて食い合いをさせるやり方に。」
なるほど。
確かに、最初の頃この学園はクラスで実験しているようだとかなんとか言っていた気もする。
「当初は、『坂柳有栖』という、完成された個を作るための舞台かと思っていました。私達はそのために集められた、生贄ですね。そのため、最初の方は葛城君から徹底してppを奪い、坂柳さんに枷をつけるように動いてきました。」
さすがに、国の運営する教育機関で、こんな実験しないだろうしひよりの妄想だよな?
「そして、坂柳さんに一之瀬さんをぶつけて、我々も支援し坂柳さんを孤立させて、かつ、堀北さんもppと引き換えに強襲させるつもりでした。」
坂柳って足の不自由な女の子だよな?
龍園もひよりも相当警戒してるみたいだな。
「しかし、私は勘違いしていたのかもしれません。正宗君の話を聞いた今では、実態は『綾小路清隆』を完成させるための装置だった可能性のほうが高いと判断しています。」
もしくは、『綾小路清隆』に取って代わられた可能性もありますが。と付け足す。
ひよりも考えがまとまっていないのだろう。
説明してくれているというより、独り言を言いながら自分の頭を整理しているようだ。
でも、清隆が俺たちを食らって、少しずつ感情を手に入れていく。とかだと面白そうではあるな。
感情的な清隆は想像できないが。
「つまり、警戒すべきはAクラスではなく、Dクラスだった可能性が高いってことか。まぁ実際、清隆と六助君が動いたら止めれるやつは、この学園にいないよな。Dクラスに勝てる方法ってあんのかよ?」
「試験の内容にもよりますが、決まれば簡単に勝てそうな方法はありますよ。」
え?そうなの?一つも思いつかなくて悩んでいたんだけど??
「綾小路くんに2000万ppを積んで、私達のクラスに移動してきて貰えば良いのです。」
「・・・」
たしかに簡単だな。
しかも、ちょうどクラスの資金が2000万ppを超えたため、実現可能な策でもある。
「俺としては清隆くんとは敵でありたいな。負けたとしても、キレイに食われてやるぜ。」
どうにも俺には合理的な判断ができないらしい。
「ふふ。私や金田君は『利』で動きますが、正宗君や龍園君は『情』で動きますからね。そんな正宗君に誘われたから、クラス抗争に参加することを決めましたが。」
「悪りぃな。でも勝つことだけが全てじゃないんだよ。」
「綾小路君は勝つことが全てと考えてそうですよ?」
確かにな。
自分のクラスメートを躊躇なく退学にする男だ。こだわりなんて不要な考えを持つかは怪しいな。
「なおさら負けらんねえなぁ。」
「では、私も絵図を書き換えます。まずは一之瀬さんを。そして坂柳さんを倒します。必要があれば南雲先輩も糧としましょう。そして最後に綾小路君です。私達は挑戦者らしく、クラスなんて記号にとらわれず堂々と挑みましょう。」
最高だな。
最初に助けを頼んだのがひよりだったことは、俺の学園最大の功績だったようだ。
「とはいえ、まずは龍園君の復帰ですね。一度見かけましたが、退学を覚悟したかのような姿でした。私達のリーダーは彼以外には務まりません。のんびり成長し、立ち直ることを待つ余裕もありません。」
俺も見かけたがあれは重症だな。綾小路清隆という圧倒的武力に当てられ、自分を見失ってるようだ。
「龍園君が立ち直るきっかけは私が作りましょう。一年近く観察し彼の思考をある程度トレースできます。正宗君は龍園君が動き出したときに、いつも以上に協力してください。」
「わかったぜ。ただ、儀式云々は冗談だよな?」
まるで本気で話しているようなひよりの態度に一応確認を入れる。
「どうでしょうか。外れていても特に損はありません。ただ、私は自分の直感を信じて生きてきました。これからも同様です。」
まぁ、どっちでもいいさ。もう一度、清隆と遣り合う。
その時に備えて、身体を鍛え直してやる。
「まぁ、それなら、清隆に勝って、俺が最強になれば問題ないか。」
「最後に残った一匹は、呪術の道具として使役されるんですよ?私は、このふざけた仕組みを構築した、その黒幕を引っ張り出したいですね。その時は協力してくれますか?」
珍しくひよりがやる気だな。おそらく自分の平和な時間を奪われて怒っているんだろう。
もちろん俺の答えは決まっている。
「ひよりが望むなら、どこにだってついていくぜ。その黒幕に最初の一発を入れるのは俺に任せとけよ。」
そういってボコボコの顔を無理矢理笑った形に変えた。
今後の動きも俺好みのシンプルになってきた。
3年に上がるまでに、綾小路と戦えるように鍛えるぜ。
このあたりで、主人公の師匠的な立ち位置の人がいれば、迷わず入門させるんですが。。。
主人公には、ワンパンマンみたいに、筋トレして強くなってもらうしかないですね!!