3Aとの宴会が終わってからは、お勉強と筋トレの日々が続いていた。
それ以外はひよりのお誕生日を祝ったりもした
そして、2月になった
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A(葛城 ):1357(毎月260万ポイントをひよりに譲渡)
B(一ノ瀬):803
C(龍園 ):775
D(堀北 ):0
ひよりバンク:2872万+1000万+120万+260万≒4252万pp
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最近、一之瀬帆波に対する、誹謗中傷が一年の間で勃発した。
根も葉もない、馬鹿馬鹿しい噂ばかりで、こんなのを相手にする奴はいねえだろうな。っと思っていたが、ひよりの怒りが爆発していた。
「ひよりは噂なんて信じないタイプだと思っていたぜ。」
「もちろん信じていません。コミュニケーションなんて事柄の9割は欠損してしまいます。又聞きとなると1/100程度の情報であり、ほとんど誤差です。」
いや。もうちょっと信憑性あると思うが。
まぁ、ひよりは友達想いだからな。
「こんなつまんねぇやり方は、さすがに龍園ではないだろうな。っとなると、噂を垂れ流している奴を、力ずくで黙らせたところで解決しないだろうし、俺が解決できる問題ではなさそうだな。」
一之瀬さんを助ける案は俺にはなかった。
・・・
その後、噂は激化していき、1年生全体に様々な噂が流れるようになった。
一之瀬さん以外の生徒も、荒唐無稽なとんでもない噂が蔓延してしまい、収拾がつかなくなった。
噂の出どころはAクラスで、何でも坂柳派がクラスを掌握して動き出したとか。
俺も被害者の一人で、
「筒井正宗と伊吹澪はたびたび、隠れて特別棟で逢引している。」
っという噂が流された。
うん。ただの事実だな。
6月ごろ、一度勝負してから、定期的に呼び出されているからな。
・・・
俺は噂何て気にしないから、普段通り勉強と筋トレを頑張ろうと思っていたが、伊吹や石崎は違ったらしい。
「もう許せねぇ!!Aクラスに殴り込みに行ってやる。」
「あたしも付き合うよ。かたっぱしから蹴り飛ばしてやる。」
龍園が既に帰った教室で二人が息巻いている。
「おまえら、ペナルティ食らわない程度にしとけよ。」
そういって、帰ろうとしたら、なぜか伊吹につかまった。
「あんたも一緒に行くに決まってんでしょ。そのあとはあんたをつぶすから、明日特別棟にきなさいっ!」
・・・なんだろう。自分から噂を認めていくスタイルは斬新だな。
伊吹の怒りどころがわかんねえよ。
この場を収めれるのは、ひよりしかいないので、ひよりに目線で助けてくれと伝える。
「Aクラスのやり方は認められません。橋本君に直談判しましょう。」
全然収めてくれなかった。。。
・・・
学校の敷地から離れた場所に人を集めると、なぜかDクラスの清隆や三宅君たちもついてきたようだ。
「よう、石崎。話ってなんだよ?」
「てめえ、一人でこいっつったろうが。何鬼頭をつれてきてるんだよ。」
橋本君は普段と同じような態度だった。
三宅君たちは俺たちが喧嘩を始めたら止めるつもりみたいだ。
あいかわらずお人好しのようだ。
・・・・
ひよりや石崎が噂の件を話しているが、言った言わないの平行線になっていて、どうにもならないようだ。
「今度の生徒会長は喧嘩に寛容らしい-------ぜ」
そう言って、橋本君は石崎に蹴りを入れようとしたが、三宅君が間に入ってガードした。
それをきっかけに、橋本、鬼頭、石崎、伊吹、三宅のよくわからない喧嘩が始まった。
・・・・
「止めなくていいのか?」
清隆が俺に声をかけてくる。
「せっかくだから、鬼頭がどのくらいできるのか見ておこうと思ってな。」
今のところ、アルベルト君の方が強そうだという印象だな。
しばらくするとひよりが、仲裁に動いたので、俺は三宅君と連動して、石崎君と伊吹を抑えて喧嘩は終わった。
・・・・
帰り道、ひよりは喧嘩の仲裁で、あとから力が抜けてしまったらしく、俺がおんぶして帰ることになった。
「すみません。ご迷惑をおかけして。重くないでしょうか?」
女性の体重には触れるなと、小さいころから妹に口酸っぱく言われていたので、別の話題を振ることにする。
「結局、噂の出どころはAクラスだったんかよ?」
「・・・そうですね。一之瀬さんへの噂はAクラスが出どころだと思います。しかし、それ以外の噂はAクラスは関係ない可能性が高いですね。」
さすがひよりの観察眼だ。橋本をみたのか鬼頭からなのか俺には判断できなかった。
「そもそも、学年全体への誹謗中傷はAクラスにメリットはありません。むしろ、全クラスを敵に回すデメリットが大きいです。今回の件は、どちらかというと、学校を訴えない一之瀬さんを守ろうとする意図を感じます。そういう意味では、Bクラスが流している方がしっくりきますね。」
なるほど。ある程度、あたりはつけていたのか。
確かにこの調子だと、誰かが訴えるだろうな。
「ところで正宗君は、たびたび伊吹さんと逢引なさっているんですか?」
「・・・」
このタイミングで聞かれたか。
俺はひよりを置いて逃げ出したい衝動にかられたが踏みとどまる。
今日に限って寮が遠く感じるぜ。
「又聞きは、1/100程度の事柄らしいぜ。」
「しかし、火のない所に煙は立たぬと言います。明日も特別棟で会う約束をされていました。」
そうだよな。伊吹の奴余計なこと言いやがって。
「たびたびって程でもないけどよ。月に1,2回呼び出されて、試合をしているだけだぜ。別にやましいことも後ろ暗いことも、ましてや色めかしいことも皆無だ。」
自分で言っていて、言い訳がましく感じてしまうのはなぜだろう?
背中からひよりの圧力を感じる。
『何があっても振り返ってはいけない道』の話があったな。
俺は今、その道を歩いているに違いない。
俺は気を紛らわすために、電柱の数でも数えながら歩くことにした。
「正宗君、私と付き合ってください。」
「いつ?」
俺は立ち止まって、笑いながら返した。
こういう脈絡のない会話が、ひよりには珍しくないから最近慣れてきた。
「今からです。」
「今は無理だな。」
俺はまた歩き出した。
ひよりは今まで、まともに友人を作ってこなかったようだからな。
俺に恋をしているわけではなく、恋に恋するお年頃なんだろう。
たまたま俺が隣にいただけだ。
「やはり伊吹さんが良いでしょうか?」
「違えよ。伊吹は友人以上にはなりえない。今は歩けないひよりを送っていかなきゃならねえからな。」
「では、明日でいいです。」
「さっき言っただろ?明日は伊吹と喧嘩すんだよ。」
ひよりは笑い出した。
寮が近づいてくる。
ひよりは笑いながら言った。
「私は、明後日まで待てません。」
・・・
しばらくたったが、喧嘩のおとがめはなかった。
新しい生徒会長になった桐山先輩は、本当に喧嘩に寛容らしい。
2年生はいったいどうなってるんだろうな。
しかし、噂については、訴える生徒が後を絶たなくなり、学園からの介入によって、以降に誹謗中傷を流した奴と今までの噂に触れたものは、重い処分をすると御触れがでて終息した。
一之瀬さんも、しばらく休んでいたが、坂柳に堂々と立ち向かって退けたらしい。
チラッと見たが、一之瀬さんは前以上に堂々とした態度であり、何かが吹っ切れたみたいだ。
俺は見聞きした顛末をひよりに伝えた。
「こういうの諺で何て言うんだっけ?」
「『雨降って地固まる』でしょうか?」
なんか間違っているような気がするけど、意外とあってるのかもしれないな。
こういう世間とずれた感性がひよりの持ち味だ。
櫛田さんがいないため、信憑性のない噂が蔓延しました。
そして葛城派はがんばったけど、ついに崩壊しました。
「明後日までまてない。」の破壊力がやばい。
このフレーズの良さがわかる人は、森ミステリーがすごくお勧め。
名言紹介みたいになってしまいました。