ようこそ絶対★ひより至上主義の教室へ   作:†しんしん†

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東京都のとある施設で月城はホワイトルーム生と極秘ミーティング中です。
4月中に綾小路清隆を退学に!!っと指示を出します。




クラス内投票

3月になった。

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A(坂柳 ):1357(毎月260万ポイントをひよりに譲渡)

B(一ノ瀬):803

C(龍園 ):775

D(堀北 ):0

ひよりバンク:4252万+120万+260万≒4632万pp

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学年末試験も全員無事に乗り切って一安心した時に追加の特別試験を言い渡された。

何でも俺たちの学年は例年に比べて退学者が少なすぎるらしい。

 

Dクラスから2名の退学者をだしただけだからな。

そのため、特例に追加の特別試験を実施することになったようだ。

坂上は納得がいっていないようで、戸惑いながら説明している。

ルールは単純だった。

・クラス内で、批判票を3人に投票する。

・クラス内で、賞賛票を3人に投票する。

・クラス外で、賞賛票を1人に投票する。

・各クラス、もっとも批判が集まったものを退学にする。

・各クラス、もっとも賞賛が集まったものにプロテクトポイントを付与する。

 

要は多数決で、退学者を決めるだけだ。単純がゆえに回避が難しい試験だな。

 

「お前ら聞け。まず、他クラスへの称賛票は取引に使う。よほどの理由がない限り個人で使うな。使う場合はひよりの許可を取れ。次にクラス内投票だ。ひより以外の39人の中から一番クラスに貢献していないやつを、各々の判断で投票するぞ。ここまで何かか言いたいことはあるか?」

 

ルールの説明が終わってすぐに龍園が教壇に立って指示を出した。

いつものニヤけた顔ではなく、珍しく終始真顔であった。

そのため、クラスの皆も龍園が真剣に話していることを感じ取り、退学が不可避であることを自覚した。

 

「俺たちは、2000万ppで退学者を出さない選択もあるんじゃないか?」

 

時任君が発言する。

 

「額がでかすぎる。今後、似たような試験のたびに、使っていたら破産するぞ。それでも使用したいか?」

「いや。それは確かに釣り合わないな。納得した。」

 

時任君はあっさりと引き下がった。

龍園が退学となっても、2000万ppで救済しないことを確かめたかっただけかもな。

 

「各々の判断ってどうやって判断するんですか?」

 

石崎君が戸惑いながら質問をする。

 

「成績、運動、コミュ力、今後のクラス抗争で貢献しなそうなやつ、これらを総合的に考えろ。質問は他にないな?」

「・・・」

 

皆戸惑って、何を質問して良いかもわからない様子だ。

あからさまにひよりだけ優遇されているが、文句があるやつはいないらしい。

 

「全員携帯を机の上に出せ。以降は私語や、目配せ、携帯操作は禁止する。相談なしで自分で考えろ。」

 

全員が携帯を机においたことを確認し、龍園は続けた。

 

「この試験のやり方はシンプルだ。学園の介入なしで、生徒たちだけでも実行可能だ。つまり、リハーサルができる。今からリハをして、クラスのワースト3人を決める。決戦日はその3人に批判票を集め、賞賛票は守りたいやつに各自入れろ。」

 

だんだんと思考が追い付いてきたクラスが、ざわつきだす。

 

「ここまでで質問はあるか?この質問時間が終わったら、一切の私語は禁止だ。それと、この質問中に個人を批判するような言動は慎め。」

「ちょっと待ってよ。いきなりこんなこと言われても準備ができないよ。」

 

西野が結論を急ごうとする龍園に待ったをかける。

 

「期間を開けたら、クラス内のグループ作りが始まることは明らかだ。実力に関係なく退学者を選定する事態は避けるぞ。直感でいい。残りの2年間を、最もクラスに貢献できない3人を自分自身で選べ。」

「でも、いきなり退学者を決めるなんてっ!」

「甘えてんじゃねえ。ここは実力主義の学園だ。1年近く在籍しているんだ。覚悟を決めろ。」

 

龍園の言っていることはもっともだな。

クラスの半数以上は覚悟を決めたようだ。

残りはぐずっているが、自分たちが少数派だと感じ取れたものから順次受け入れたようだ。

 

 

・・・・

 

「今から、10分間、クラスのワースト3人を誰にするか決めろ。別にその3人が退学になるわけじゃねえ。全員下を向け。周りを見るな。」

 

・・・

 

10分って意外と長いんだな。

教室内は誰もしゃべらず、外の喧噪以外の音がなかった。

他クラスは普通に終わったのか廊下から雑音が入る。

さっさと決めた者いれば、決めきれずに悩んでいる者もいるようだ。

周りを見なくても空気でだいたいわかる。

俺達のクラスは、割り切りの良い奴らが多いからな。ほとんど決めているみたいだな。

 

「時間だ。今から1分の間にひよりに3人の名前を送信しろ。2回送信した奴や、送信できなかった奴は無効票だ。」

 

・・・

 

「全員送信したな、ひよりは集計しろ。それ以外のやつは喋っていいぞ。ただし、携帯はいじるな。」

 

そう言って龍園は空気を少し和らげた。

不安を紛らわすためか、まわりと話し始める声が聞こえる。

 

成績の悪い者や運動が苦手な者は、周りと会話する余裕もないみたいだな。

成績に問題がない者も、騒ぐ気になれないやつが大半だった。

 

・・・

 

一瞬のような永遠のような時間が流れ、ひよりの集計が終わったようだ。

 

「集計結果だ。諸藤リカ、真鍋志保、山下沙希この3人に批判票は揃えろ。賞賛は自由だ。この3人以外が退学となる場合は2000万ppを使って救済する。以上だ。」

 

選ばれた3人は絶望し泣き崩れた。

しかし、まだ絶望するには早いだろう。

この試験で退場するのも、これから立て直すのも、己の実力次第だ。

 

今日は、図書室に寄るのはやめて、ひよりとまっすぐ寮に帰ることにした。

帰り道に、一之瀬さんからメールが送られてきた。

取引がしたいらしい。

20時に俺の部屋に集合することにし、ひよりと紅茶を買いに行った。

 

・・・

 

「今日は時間を作ってくれてありがとねー。」

 

そう言って、一之瀬さんと神崎君は俺の部屋に上がった。

 

「どうぞ、お座りになってください。」

 

俺の部屋のはずだが、なぜかひよりが勧めて、ちゃぶ台に座ってもらった。

俺は紅茶を入れて差し出した。

 

「いきなりごめんね。お互い試験の内容でナーバスだと思うんだけど、早めに取引をしたかったんだ。」

 

一之瀬さんはそう断りを入れて本題に入る。

 

「私たちBクラスは、今回の試験、退学者をださない方向で考えているんだ。」

「つまり、2000万ppで救済するんですね?」

「そう。だけど、あと500万pp不足しているの。Cクラスから借りれないかな?」

 

なるほど。Cクラスはppをため込んでいると噂になっているからな。

事実、ひよりバンクはそれなりに貯蓄がある。

 

「そういうことですか。ただ、ppは龍園君が管理していて取引は高くつきますよ?500万ppを貸すとなると、『卒業するまで毎月60万ppを譲渡する』契約になると思いますが大丈夫でしょうか?」

「なっ、それはさすがに高すぎるぞ。」

 

あまりの高金利に、神崎君は非難の目をこちらに向けてくる。

一之瀬さんは少し悩んでいるようだ。

 

「私としても、我々のクラスからppを借りることはお勧めしません。あと、龍園君に直談判すれば、毎月80万は取られると思いますよ。試験までまだ日はあります。別の案を考えた方が良いかと。」

「うん。ありがとうひよりちゃん。嫌な役をさせてごめんね。」

「いえ。クラス抗争とプライベートの両立が困難なことは、この学園の宿命なので。」

 

神崎君も、ひよりが意地悪で言っているわけではなく、クラスの立場上言わざる得なかったことに気づいたようだ。

 

「すまない。取引と言いながら、こちらの都合を押し付けてしまったな。」

「かまいません。高いのは事実なので。」

 

紅茶を飲んで今日は解散となった。

 

「ひより。いいのか。取引しなくて?」

「おそらく帆波ちゃんは私たちと契約しますよ。ある程度高値で取引しないと、龍園君から怒られるのも事実です。」

 

そうなのか?

まぁ、Dはかつかつだし、Aも俺達に譲渡しているせいで貯蓄は厳しいだろうからな。あとは上級生か。

 

「今回は、龍園君に大きな負担をかけてしまいましたね。」

「確かにな。誰かを切るのは精神的にきついだろうし、八つ当たりや恨まれたりするだろうな。」

「そうですね。あの決断をできるのは、坂柳さんか龍園君ぐらいでしょう。他クラスの心配をする余裕もありませんが、BとDには特に厳しい試験になるでしょうね。」

 

その後俺たちは恒例の勉強会をした。

 

・・・

 

次の日、クラスは暗かった。

選出された3人の手前、笑顔で盛り上がれるような雰囲気はなかった。

 

真鍋は、3人の中で一番自分が優秀だとアピールし、

山下も負けじとあがいていた。

諸藤はあきらめているのか、性格なのか淡々と生活しているようだった。

 

・・・

 

そして、投票日の前日ひよりの予想通り、一之瀬さんから契約を結びたいと連絡が来た。

 

カフェで4人でご飯を食べながら契約の段取りをすすめた。

 

「毎月60万ppでいいのかな?」

「条件付きで良ければ、毎月40万ppでも問題ないと許可をとりました。」

 

いつの間に許可を取っていたのか、ひよりはもったいぶったことを言う。

 

「その条件を聞いてもいいかな?」

 

一之瀬さんも神崎君も龍園の条件という前提で警戒しているようだ。

 

「Bクラスの賞賛票40票を我々にいただけるのであれば、卒業まで毎月40万ppと引き換えに、500万ppをお貸しします。」

 

なるほど。40票を操作すれば、好きな奴にプロテクトポイントを付与できるわけか。

 

「それでお願いするよ。Bクラスの全員の賞賛票は私が責任もって投票させるね。それで誰に入れればいいのかな?」

「それは、・・・・」

 

こうして、Bクラスと取引が無事に終わった。

月40万ppも大概高いと思うが、月80万にくらべたら安上がりに感じるな。

 

後から聞いた話であるが、ひよりは龍園に相談など一切していないらしい。

龍園の悪名のせいで俺たちのクラスは警戒されすぎているので動きにくいが、こういう使い方をすればメリットにもなるわけか。

龍園を知っているが故に、相対的にひよりや俺と取引する方がマシと思わせる。

龍園の名前を勝手に使うのは、ひよりくらいしかいないだろうが。

今回の手腕からも、ひよりに2000万pp以上の価値があることは明白だ。

 

・・・

 

試験が終了し、1Fの掲示板に全クラスの結果が張られた。

 

---退学者------

A:戸塚 弥彦

B:なし

C:真鍋 志保

D:須藤 健

-----------------

 

---賞賛者--------

A:葛城  康平 (50票)

B:一之瀬 帆波 (61票)

C:椎名  ひより(34票)

D:綾小路 清隆 (42票)

-----------------

 

葛城に結構批判票が集まっていたみたいだな。優秀なんだがな。

ひよりの取引によって、BとCの賞賛票80票が葛城に流れた。

龍園が言うには、葛城にはまだまだ利用価値があるらしい。

 

葛城は右腕を失い、自身はプロテクトポイントを得たが精神的な負荷はでかそうだ。

一之瀬さんは、退学者こそは出ていないが、ppが枯渇してしまっている。

堀北さんのクラスは須藤君か。貴重な戦力だと思うんだが一学期の生活態度のせいだろうか?

一番この試験で被害を出しているな。

 

俺たちは真鍋を失ったが、俺は四日前からある程度覚悟は出来ていた。

本人は阿鼻叫喚であり自分を救済するように叫んでいたが、龍園が一蹴した。

客観的に見ても実力不足だ。少なくとも2000万の価値はないだろう。

 

「正宗君は、こういう時は意外とドライですね。私はクラスメイトが減るのは悲しいです。」

 

俺は何も言っていないが、ひよりには俺の考えが透けて見えるようだ。

悲しいか。クラスの大半もひよりと同じように悲しんでいるようだった。

 

俺は真鍋と少しは話したことがあるが、親しかったわけではない。

悲しいという気持ちは全く沸かなかった。

4か月前に山内君が退学した時もなんとも思わなかった。

1か月後には堀北君も卒業していなくなるだろうが、それを悲しく思うことはない。

 

自分のクラスだろうと、他人のクラスだろうと、いなくなったやつは、いなくなっただけだ。

別の場所で元気に生きるだろう。それ以上の感想は出てこない。

別にこの学園に入学する前から、俺はもともとそんな感じだった。

つまり、最初から壊れていたんだろう。

 

「いつか、気持ちの整理がつくんでしょうか?」

 

気持ちってなんだ?

整理なんてできるのか?

 

「正宗君はいなくならないでくださいね。」

 

ひよりがいなくなったら、俺は悲しむことができるだろうか?

それはできそうな気がする。

その日は断食しよう。

だが数日経てばいつもどおりに戻るだろう。

 

そういう意味では、ひよりは俺にとってこの学園唯一の弱点だな。

だが、別に構わないさ。弱点だって、前に進むための必要なピースだ。

 

「俺はいなくならねえよ。少なくとも清隆君にリベンジを果たすまではな。」

 

ひよりは俺の回答に満足したようだ。

 

「私たちはまだまだ強くなれます。前に進むためには、同じだけのベクトルを後ろに放つ必要がある。しっかりとしゃがまなければ、高く跳ぶことはできない。そして、絶望したことがなければ、希望は掴めません。」

 

絶望か・・・。

年末の清隆君とのいざこざは、俺や龍園にとって、ある種の絶望だったんだろうな。

じゃあ、清隆君の希望って何だろうか?

 

「負けたことがある。これが綾小路君にはない私たちのアドバンテージです。次はいよいよ1年最後の戦いです。がんばりましょうね。」

 

そういえば、もう1年も終わるんだったな。

 

「何度も負けてらんねえしな。頑張ろうぜ。」

 

前を歩いていたひよりは立ち止まって振り返った。

そして優しく微笑んだ。

 

それはとても綺麗な笑顔だった。

俺は気持ちが軽くなったようだった。

何かの答えを得たような気がする。

どんな問題だったか?

答えが見つかったときには、問題も綺麗に消えてしまう。

消えた後に優しい気持ちだけが残った。

 




退学者が0人でも、退学者が2人でもイベントは発生します。
そこには強い意志があり、理由は後からついてくるからです。
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