ようこそ絶対★ひより至上主義の教室へ   作:†しんしん†

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風が・・・とまった・・・


【2年生編】新しい風

私は幼少のころから本が好きでした。

紙をめくる感触も、物語に引き込まれる感覚も好きで毎日のように、本を読みながら生活していました。

父と母は、本好きな私のために辞書も買ってくれて、小さいころから辞書を見ながら本を読むのが好きな変わった子と言われていました。

小学校に入学してからも、それは変わりませんでした。

しかし、周りの子たちは本を読むよりも外で遊ぶ方が好きらしく、話す内容もテンポもあわず、私はいつも一人で本を読んでいました。

たまに話しかけてくれる子がいましたが、長くは続きませんでした。

中学に入ってからも特に変わらず、私は本の中で生きているようでした。

 

高校生になり、今までと全く異なる環境に身を置くことになりました。

そのため、もしかしたら大好きな本について語り合ったり、一緒に図書室や本屋にデートに行くような読書友達ができるかもしれないと、入学時は期待していました。

しかし、その思いは入学初日に、教室に入った瞬間打ち砕かれました。

 

クラスの皆さんは敵意をむき出しな人や、読書には無縁な野蛮そうな方たちがほとんどであり、私とは仲良くなれないであろうことは一瞬で理解できました。

 

特に廊下側の長髪の男の子は、周りを睨みつけてから、足を組んで座って明らかに周りを威嚇しているようです。

 

しばらくすると、サングラスをかけた、とても大きくて、肌が黒い方と、仲良く話す人懐っこそうな男の子が教室に入ってきました。

また喧嘩が好きそうな人が増えました。

しかし、入学初日で、もう仲良く話せるなんて、私にはとても真似ができそうにありません。

素直にうらやましいと思いました。

どうやら人懐っこそうな男の子は隣の席のようです。

くせっ毛の髪と、可愛い感じの顔つきですが、体は鍛えているようで、あきらかに体育会系だと思います。

間違いなく本とは無縁の方でしょう。

 

クラスのほとんどは席に着き、観察にも飽きてきたので、いつもの通り本の世界に行こうと、カバンから取り出そうとすると、なんと隣の席の方も本を読み始めました。

しかも、見た目からは想像できませんでしたが、漫画ではなく小説です。

私はタイトルをのぞき込み、彼がミステリー小説を読んでいることがわかった時の衝撃は忘れません。

考えるよりも先に、勝手に体が動き、気が付けば彼に話しかけていました。

 

今思い出しても不思議な感覚でした。

何の考えも打算もなく、純粋な気持ちで誰かに声をかけるなんて生まれて初めてでした。

恐らく今後もあのような体験をすることはないでしょう。

あの時、あの一瞬だけの奇跡だったのですから。

 

・・・

 

1年生のすべての試験が終わり、3年生が卒業しました。

私と正宗君は、お世話になった橘先輩に花束を持って挨拶に行きました。

堀北先輩にもご挨拶をしたかったのですが、生徒会長を務めていたこともあり、色々な人に捕まって時間が取れそうにありません。

南雲先輩もいるので、不用意に目立ちたくないので、橘先輩に伝えてもらうことにして私たちはこの場を後にしました。

 

橘先輩は、堀北先輩と橘先輩の電話番号を私と正宗君に教えてくれました。

正宗君は3桁の数字しか覚えることができなかったようなので、

残りの19桁の数字は私が覚えることにしました。

 

・・・

 

4月になりました。

 

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A(坂柳 ):1357 → 1487(毎月260万ポイントをひよりに譲渡)

B(龍園 ):775 → 1025

C(一ノ瀬):803 → 653 (毎月 40万ポイントをひよりに譲渡)

D(堀北 ):0 → -30

ひよりバンク:4632万pp + 234万 + 280万 + 40万 - 500万≒ 4681万pp

------

 

私達のクラスは、毎月3万から6万に徴収額を引き上げることになりました。

1年間、多少贅沢に過ごしてしまいましたが、龍園君の指示で、これからは今まで以上に節約するようです。

 

先月に、真鍋さんが退学となり、クラスの一人一人が退学を身近に感じたこともあり、反対する人はいないようです。

 

私達は2年生になりました。

坂上先生の説明を受けて、OAAというアプリを導入するようです。

 

私はとりあえず、正宗君の成績を試しに見てみます。

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2-B 筒井正宗(ツツイマサムネ)

学力C(56)

身体能力A+(94)

機転思考D+(38)

社会貢献性C+(61)

総合力C+(62)

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「まるで個人戦だな」

「そうですね。南雲前生徒会長の置き土産でしょうか?」

 

以前、『実力がある奴はとことん上へ。実力のない奴はとことん下へ』とおっしゃっていたと記憶しています。

 

「それと、後任の桐山生徒会長は、南雲先輩の傀儡の可能性が高いですね。喧嘩に寛容だったりと南雲先輩の思想が色濃く出ている気がします。」

「なるほどなぁ。あんな派手に南雲落としが決まって生徒会に永久追放となっても、3年は南雲の支配下が続いてるんか。」

「憶測ですが、弱みを握られていたり、契約を結んでいたりして逆らえないのでしょう。3年生の事情的に、個人戦でないとAクラス以外は勝機がないようです。ただ、人気に陰りがでているだけで大きく違います。意志のない操り人形であれば、烏合の衆でしかありませんので。」

 

あんな出来事があったのに、南雲先輩に心酔している人はさすがにいないと思っていましたが、そんなに簡単な話ではないようです。

 

・・・

 

OAAの説明が終わると、特別試験の説明が始まりました。

 

ルールを正宗君でもわかるように簡単に説明すると、

・1年生と2年生がペアを組む

・ペアの合計点が500点以下の場合、2年生は退学。1年生は3か月ppなし

・意図的に点数を下げたものは退学

 

ということでした。説明が終わると龍園君が質問するようです。

 

「おい坂上。去年の南雲のように、パートナーが0点の自爆が可能だが、学園は許容するのか?いい加減学べよ。」

 

言ってる内容は正しいですが、1年たっても先生に対する態度を矯正できない人に言われたくないでしょうね。。。

坂上先生は顔をしかめながら回答しました。

 

「入学していきなり退学するような生徒がいるかわかりませんが、今後の試験も考慮して学園側に上申しましょう。他に質問はありますか?」

 

ペアの試験となると、どうしても混合合宿の手を抜いた3年生の作戦を連想してしまいますね。1年生だから安心というわけにもいかないでしょう。

信頼できるパートナーを探すことと、試験の成績の両方が必要だと思います。

何とか正宗君に良いパートナーが見つかるといいのですが。。。

 

・・・

 

一之瀬さんは体育館で1、2年生の交流会をするらしいです。

しかし、龍園君は「交流会にはボンクラしか集まらない」っとおっしゃって、クラス全体で交流会に参加しない方針となりました。

そして、代わりに1年生の交流会に参加しない、優秀な生徒の偵察を実施するそうです。

私は茶道部の部活動紹介の準備があるため、今日は部室に向かうことにしました。

 

・・・

 

翌日のホームルームで坂上先生から連絡がありました。

龍園君が指摘した、ペアの片方が0点でもパートナーも退学となるのはおかしいという指摘は、却下されたようです。なんでも新しく来た理事長代行の方の鶴の一声で、今回はお見送りとなったとのことでした。

先生もサラリーマンですからね。上司のおっしゃることには絶対なのでしょう。

嫌な大人の社会をのぞいてしまいました。

 

・・・

 

お昼休みにパンを食べていたら、見たことのない可愛いショートボブの女の子が教室にきてキョロキョロしていました。

 

「誰かお探しですか?」

「あ、はい。こちらのクラスに筒井正宗君っていらっしゃいますでしょうか?」

 

私はびっくりしました。

正宗君にこんな可愛いらしい後輩が訪ねてくるなんて予想外でした

 

「正宗君ですか。今はお昼ご飯を食べに食堂に行ったみたいです。少ししたら戻ってくると思います。よければ座って待ちますか?」

「あ、そうでしたかー。大丈夫です。また出直してきます。」

 

礼儀正しい子のようで、丁寧にお辞儀をして教室を出ていこうとしました。

 

「私は椎名ひよりと言います。お名前を聞いてもよろしいですか?」

「は、はい。私は城里生加奈と言います。椎名先輩ってとても可愛らしいですねっ!っていうか他にも正宗君のクラスって全体的に美人さんが多くてビックリします!」

 

とても元気な子のようです。

(正宗君とどういうご関係でしょうか?)

思わず口から出かかった言葉を何とか飲み込み、どうすればソフトに伝わるか考えてしまいました。

 

「私友達を待たせているので行きますね。椎名先輩、ありがとうございました。」

 

そういって城里生さんは教室から出て行ってしまいました。

私はしばらくドアを見て立っていましたが、もやもやした気持ちを抱えながら、椅子に座って残りのパンを食べることにしました。

 

・・・

 

ご飯を食べて本を読んでいたら、正宗君が教室に戻ってきました。

 

「よぉひより。なんかあったんか?」

「いえ。先ほど、城里生加奈さんって1年生の方が正宗君をさがして訪ねてきました。」

「げっ、加奈が?。なんか言ってたか?」

「少しお話ししました。また今度来るそうです。すいぶんと仲が良いのですね。」

「いや。俺が最も苦手な女だ。。。」

 

正宗君は城里生さんのことを名前で呼び捨てにしているようで、とても親しそうです。

礼儀正しい子に見えましたが苦手なのでしょうか?

 

そんなことを考えていると、廊下が騒がしくなりました。

1年生が2年生の廊下で騒ぎを起こしているらしいです。

「喧嘩だっ!」っといった声が聞こえてきます。

 

「おもしろそうじゃねえか。ちょっと見てくるぜ。」

 

そう言って、正宗君は野次馬に混ざってくるようです。

私は見に行く気分ではなかったので、一人で本を読むことにしました。

 




見切り発車上等!!(学習しない)
新学年がスタートです。

今、2年生編の原作をがんばって読み直していますが、退学者増えないですね。。。
龍園さんの出番もいまいち少ないです。。。

2年生編で一番好きなのは文化祭です。
綾小路くんのとんでもない策略。南雲も龍園もびっくりなとんでも展開。

そして、何より、
ひよりちゃんの上目遣いが、めちゃくちゃ可愛い!!

綾小路君の、あの策略を目のあたりにしたら、桐山先輩の策略なんか霞んじゃって、
南雲先輩が退屈そうに『相手に恵まれなかった』と嘆いてしまうのも無理はないですね。。。
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