ようこそ絶対★ひより至上主義の教室へ   作:†しんしん†

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4月も最後です。

水泳の授業は原作通りということで端折ります。


束の間の平穏

次の日、教室に入ると、けがをしている奴が数人いた。

考えるまでもなく龍園だろう。

 

「おはよう。アルベルト君」

「・・・・」

 

うーん。真面目に英語勉強しようかな?

挨拶は返してくれたが、アルベルト君は少し機嫌が悪そうだった。

龍園が相手だと、勝っても負けても嫌な思いをすることは容易に想像できるから、触れないでおこう。

俺は自分の席に荷物を置いて隣の女子に話しかける。

 

「おはようひより。この本、意外に面白かった。ノーマークだったりしないか?」

「おはようございます。正宗君。初見ですね。」

 

ひよりは笑顔で答えてくれる。

「読み終わったら返してくれ。」

「ありがとうございます。私もおすすめの本をお貸ししますね。」

 

俺達は挨拶と本を交わして読書に没頭した。

そうこうしていると龍園も教室に入ってきた。

なかなかひどい顔になっている。この様子だと、昨日はアルベルト君が勝ったんだろうな。

根負けするまで龍園に付きまとわれることになるだろう。

そんな、アルベルト君の未来を悲観していたら、龍園が近くまでやってきた。

 

「よお、アルベルト。今日も放課後あけとけよ」

「・・・・・・・・・」

 

やはりか。だが、アルベルトではクラスの指揮をすることは難しい。

順当に龍園が君臨する方がクラスのためになるだろう。

 

「おい正宗。てめぇは調べてきたんだろうな?報告くらい入れてもいいんじゃねぇのか?」

 

言ってることはもっともだが、面倒だったのだからしかたないだろう。

 

「・・・ポイントは減る。クラス戦。Aが優秀で、Dが無能らしい。ご機嫌だぜ。」

 

龍園は、俺のそっけない回答に満足したようだ。

 

「やはりか。ご苦労だったな、正宗。これからも俺のためにせっせと働けよ。」

「・・・いいぜ。放課後は俺もあけておいてやるよ。」

 

2,3度俺に負けたことがあるはずだが、負けを自覚できていないんだろうな。

 

「クックック、冗談だ。てめえとは、他クラスをつぶした後に遊んでやるさ。」

 

そう言って自分の席に戻っていった。面倒臭いやつだ。

 

・・・

 

授業は、中学の復習からか。受験勉強でやったばかりだから、少し退屈だな。

しかし、俺は決して頭が良い方ではないが、このクラスはやばそうなやつが多いな。

私語をしている者や、携帯をいじっている者もちらほらいる。

 

「おい、おまえら。授業はまじめに受けろっ!」

 

龍園が、クラスに活を入れる。

クラスの人間は龍園の物言いに、一瞬イラっとしたようだが、特に反論できる要素もないからか黙って従うようだ。

坂上も驚いたようで、一瞬手が止まったが、何事もなかったかのように授業を再開する。

プロだな。

 

しかし、龍園の行動力はさすがだな。

喧嘩の腕だけが実力ではない。行動力やカリスマ。リーダーシップ等を考慮すると、このクラスは龍園がリーダーに一番向いているのだろう。

暴走しがちなのが玉に瑕だが。

クラス内でも、すでに派閥を形成し始めているようだ。石崎君なんてわかりやすく龍園に心酔しているようだな。単純そうだ。俺は嫌いじゃないよ。

 

もちろん俺はひより派だ。

 

・・・

 

昼休みになった。

ご飯を食べ終わって、ひよりに声をかける。

 

「これから図書室に行こうと思うんだが、一緒にどうよ?」

 

小さい口でかわいらしくパンを食べていたひよりの手が一瞬止まる。

 

「はい。ご一緒させてください!」

 

あわててパンを食べようとするひよりに対して、

 

「いやいや。そんなに急がなくても本は逃げねぇよ。」

「でも、本がいつまでも待っているとは限りません。すぐに行きましょう。」

 

まぁ、たしかに待っちゃくれないな。

図書室に行きたい欲が強すぎたのか、ひよりは残りのパンを慌てて頬張り、勢いよく立ち上がった。

普段はのんびり屋なんだが、本が絡むと急に元気になる娘だ。

 

「そうだな。堀北君に勧められたし、少し楽しみだな」

 

ハムスターのように口の中がいっぱいになって、もぐもぐしているひよりはかわいかった。

俺の視線に気づいて、ひよりは少し恥ずかしそうにしている。

 

「あの、正宗君。女の子が食べている姿をじろじろと見てはいけません。」

 

喋りづらそうに、そんなことを言ってくるひよりを見て笑いながら、図書室に歩いて行った。

 

・・・

 

図書室は広かった。

想像の4倍くらい広かった。

 

「こんなでけえ図書室ははじめてだ。。。美術館みたいだな。」

「すごいですね。卒業までの楽しみができました!」

 

本に囲まれて、ひよりも上機嫌のようで何よりだ。

ひよりにおすすめの本をいくつか見繕ってもらい、二人で本を読みながら昼休みをすごした。

束の間の平穏ってはこういう状況なんだろうな。

 

・・・

 

放課後になると、龍園が再び教壇に立った。

 

「おまえら、少し教室に残れ。石崎、伊吹、おまえらは教室のドアを閉めて、他クラスが来ないように見張ってろ。」

 

伊吹と呼ばれた女子は不満だったらしい。

 

「はぁ?なんで私が!?」

「うるせぇ。お前は昨日俺との勝負に負けただろう。おとなしく言うことを聞け」

 

伊吹は、チッと舌打ちをしながらしぶしぶ龍園に従う。

石崎君は龍園に文句も言わず従っているようだ。

 

「この学校はそこら中に仕込まれた監視カメラを使って、俺たちの態度を評価し、来月からのポイント査定を行っている。よって、授業中の私語や携帯をいじるような行動、それから遅刻欠勤は禁止だ。文句がある奴はいるか?」

 

文句を言うと、暴力が待っているであろう。そのため、特に反論する者はいないようだ。

まぁ、授業を真面目に聞くこと自体、別に普通のことだが。

 

「この学校の実力はクラス対抗戦の可能性が高い。他クラスに情報を流すようなやつがいれば、制裁は免れないと思え。以上だ。」

 

「ああ、あとアルベルト。てめぇはこの後付き合えよ」そういって、龍園は教室を出ていき、後から石崎がついていく。

俺は特にお呼びじゃないようだ。

帰宅しようとしていたら、めずらしくひよりが本を読む手を止めて声をかける。

 

「あの・・・正宗君。部活動紹介は誰かと行くのでしょうか?」

 

俺は少しばつの悪い顔になった。

 

「いやー。うすうす気づいていると思うけどよぉ、クラスに友達がひよりしかいねぇんだよ。」

 

それを聞いてひよりの顔が輝いた。

 

「奇遇ですね。実は私も正宗君しか友達がいません。よければ一緒に部活動紹介に行きませんか?」

「ひよりが迷惑じゃないなら一緒にいこうぜ。」

 

答えを聞いて安心したのか、ひよりは微笑みながら読書に戻る。

俺達は少し本を読んで時間をつぶした後、一緒に体育館に向かった。

 

・・・

 

体育館では、部活動の紹介があったり、生徒会の紹介もあった。

この前助けてくれた堀北君は、ただものではないと思っていたが、生徒会長だったらしい。

 

・・・・

 

それから日がたち、ひよりは茶道部に入部した。

俺は、特に部活動は入らず、かわりにケヤキモールのトレーニングジムに入会した。

 

・・・・

 

そして、この学校にも慣れ始めたころに、4月が終わった。

 




4月なんて一瞬で終わって、すぐに5月の感覚でいたのですが、
いざ書き始めると、4月も結構ボリュームありますね。

次は5月に突入です。
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