ようこそ絶対★ひより至上主義の教室へ   作:†しんしん†

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先輩との会食

俺達は一度帰って、ケヤキモールに向かった。

ひよりの中華料理が食べたいという意見を採用し、個室のある中華店を予約した。

 

「そういえばよぉ、龍園はなんでCクラスに喧嘩売りたかったんだ?」

 

俺は気になっていたことをひよりに聞いてみる。

 

「おそらくですが」

 

そう前置きを入れてひよりは説明してくれる。

 

「龍園君は、学園が生徒の諍いにどこまで介入するのか?そして、諍いに対してどの程度のペナルティを課すのか。そういった学園の価値基準やルールの線引きを計っているようです。あとは単純に、Cクラスの実力を見たかったこともあると思いますが」

 

なるほどな。

龍園とひよりの会話は二人の頭の中で、ある程度完結してしまうから、聞いてても理解できないことが多いんだよな。

 

・・・

 

堀北君からは時間通りに到着できそうとメールをもらっている。

先輩との約束の時間より早くついた俺たちは、先に店に入り、二人とも本を読みながら待つことにした。

 

・・・

 

時間になると、堀北君と橘先輩がきた。

 

「すみません。お待たせしました。ってお二人とも本を持ち歩いているんですか?見かけによらず、筒井君も本が好きなんですね。」

 

本はひよりが持ち歩いていたのを借りた。

しかし、そんなに俺に読書は似合わないのか?

 

「様になっていると思うぞ。」

 

いや、堀北君は、何も言ってないのに心を読まないでほしい。

 

「そんな露骨なお世辞は初めてだ。今日は相談にのってもらうんで、来てくれて助かるぜ。」

 

俺とひよりは本をかばんにしまった。

 

「後輩からの相談とあっては、応じないわけにはいきません。どんと任せてください。」

 

橘先輩は後輩に頼られるのが好きなようだ。良い人なんだろう。

 

「メールした通り、今日は俺が出すからよぉ。堀北君に貰ったポイントだけどな。」

「ふふ。そうですね。それでは気兼ねなくご馳走になります。」

「ああ、俺もおごってもらうとしよう。」

 

普段は後輩に奢られることをよしとしないであろうが、堀北君にアホみたいなポイントを譲渡されたことは知っているため、素直に奢らせてくれるらしい。

特に興味はないが生徒会の活動内容を聞いているうちにご飯が運ばれてくる。

 

「さっそくBクラスに昇格したらしいな。」

 

さすがに情報は抑えているようだ。

 

「そうなんすよ。でも、クラスは横並びでスタートしてるから、AとかBとか最初はあまり意味がないんじゃないっすか。」

「学園が、Cクラスと評価した実力を覆したんだ。うれしくないのか?」

 

堀北君が探りを入れてくるようだ。ここはひよりに任せよう。

ひよりは猫舌なのか、アツッ、アツッっと肉まんを食べている。

肉まんにふーふーしているひよりは微笑ましいな。

俺はひよりのほうを見て、頼む、と目で訴える。

だいぶ遅れてひよりは気づいてくれた。

 

「クラス分けは、単純に成績順で振っているわけではなさそうです。クラスごとにテーマがあるのか。意図的に集めて、実験をしているようにも感じます。まずクラスメンバーを決め、真面目な順に後付けで記号を付けたんじゃないでしょうか。」

 

やはり龍園と同じクラスだったのは意図的ってことか?

テーマか。今度ひよりに詳しく聞いてみよう。

 

「やはりおまえらは、おもしろいな。」

「1月でここまで考えれるなんて。最初は生意気な子だと思いましたが、会長が気に入った理由が少しわかりました。」

 

やはり、敬語を使わなかったからか。

橘先輩の第一印象は悪かったみたいだ。

 

「俺、敬語が苦手ですみませんでした。」

 

素直に頭を下げる。

 

「いえ。もう慣れてきちゃったのでいいです。普通に話してください。」

 

・・・

 

しばらく雑談しているとメインディッシュが運ばれてきたので、会話はほどほどにご飯を食べることにした。

ご飯を食べている間は、男はほとんど口数が少なく、女子トークがメインとなっていた。

何を考えているかよくわからない天然同士、フィーリングが合うようだった。

 

「正宗君。何か失礼なこと考えていませんか?」

 

普段温和なひよりから絶対零度の殺気が漏れてくる。いや。怖いんだけど。

この窮地を切り抜けるためには、堀北君の力が必要だ。

 

「私も会長から不穏な気配を感じました。」

 

橘先輩は笑顔で暖かい殺気を振りまきながら、堀北君の方を見ている。

おい。堀北君も失礼なこと考えていたのか。

俺は堀北君にすばやく目配せする。堀北君も一瞬で察してメガネを光らせる。

 

「正宗。そろそろ、本題の相談事を話したらどうだ?」

「あー、そうだった。実は堀北君にお願いがあってよぉ」

 

よし。さすが経験豊富な上級生。完璧な流れだ。

ひよりの視線が痛いが我慢だ。

 

「1年の中間テストの過去問を売ってほしいんだけど。」

「ええええええ!!今日Sシステムの説明と小テストの結果が返ってきてすぐ過去問にいきついちゃったんですか!?」

 

橘先輩はリアクションが大きくておもしろいな。

堀北君はある程度予想していたようだ。

 

「気づいたのはひよりだぜ?」

 

事実であるので断っておく。

 

「たしかに、中間テストの過去問は持っている。売ってもいいがそれなりにポイントは払ってもらうぞ。」

 

よし。この言葉を待っていた。

 

「10万ポイントでどうですか?」

「えええええ!!10万ポイントですか!」

 

橘先輩が期待通りの反応をしてくれる。

ひよりは俺の意図にすぐに気づいたようで、暖かい目でこっちを見ている。

 

「・・・9万ポイントにまけてやろう。今日中に過去問は送るからポイントは振り込んでおけ。」

 

堀北君も気づいているようで、やはり食事をおごらせてはくれないようだ。

遅れて橘先輩も気づいたみたいだ。

今日の食事で、お互いそれなりに信頼ができ、利用価値があることが認識できたはずだ。

堀北君は以前『先行投資』といっていた。

俺達を見定め、何か依頼をしようとしているんだろうか。

俺は内容に納得がいけば、ポイントのやり取りをしなくても手伝ってもいいと思っている。

つまり、気味の悪い10万ポイントを、食事代と過去問題で全部返して開放してもよいということだ。

 

「筒井。椎名。今は説明できないが、夏休み頃にお前たちに頼みたいことがある。今度はこちらから食事をセッティングさせてもらってもいいか?」

 

今は説明できない、か。

 

「わかったよ。堀北君との食事楽しみにしてるぜ。あと、俺のことは正宗ってよんでくれよ。」

 

そんな感じでお食事会は終了し、お開きとなった。

 

寮に帰ると、メールが届き、過去問が送られてきた。

ご丁寧に2年分の過去問とセットで小テストも含めてくれたようだ。

内容は全く同じか。ひよりの想定通りのようだ。

データをひよりと龍園に送付し、シャワーを浴びることにした。

 

・・・・

 

シャワーを浴びると、グループチャットができていた。

 

「22時に正宗の部屋に集合だ。ひよりも来い」

「わかりました。正宗君の部屋にお邪魔しますね。」

「正宗。部屋は片づけておけよ」

 

は?何勝手に俺の部屋指定してんだ?

 

「片付けは間に合わねぇよ。鍵はあいてっから勝手に入ってくれ」

 

とりあえず、服を着替えて、ギリギリまで片付けすっか。

 

・・・

 

時間になり、俺の部屋には龍園とひよりがちゃぶ台を囲っていた。

このメンツでできることってあるか?UNOか?

今度ポイントで買うことを検討しよう

 

「男の子の部屋に入るのは初めてです。間取りは変わらないんですね」

 

そう言って、ひよりは、きょろきょろ部屋を見渡している。

 

「おい。正宗。客に飲み物くらいださねぇのか?」

 

ニヤニヤしながら龍園が催促してくる。

しかたがないので俺は台所にコップを取りに行く。

しかし、この部屋にお茶はないし、それどころか飲み物は買ってない。

どうしようか迷った末に、水道水をコップに入れることにした。

 

「ほら。どうぞ。」

「いつまでふざけるんだ?さっさと始めるぞ。まずは過去問の入手ご苦労だった。」

 

おい。てめぇが言いだしたんだろ。水道水に触れろよ。

 

「ひより。おまえだったら、過去問はどう使う?」

「そうですね。過去問があるとわかれば、勉強に身が入らない方もいると思います。今は温存しておいて、テスト3日前頃にみなさんに配布すればよいのではないでしょうか?」

 

なるほど。過去問があると、石崎のような奴らは勉強しないだろうな。

まずは、勉強する習慣をつけさせるわけか。赤点が即退学につながる以上、今後を見据えると勉強は必須だもんな。

 

「逆に考えると、他クラスの成績不審者に、過去問を送り付けたら、勉強する習慣が身につかないんじゃないか?」

 

俺はつい口をはさんでしまった。

 

「親切を装って、実は攻撃していくなんて、正宗君は意地悪ですね。。。」

 

ひよりはちょっと引き気味みたいだ。

 

「正宗の性格の悪さが如実に表れる作戦だな。」

 

龍園もひよりに倣って、エイリアンを見るような目でこっちを見てくる。

いやいや。性格の悪い作戦は龍園の方が得意だろ。その目むかつくからやめろよ。

 

「悪かったよ。没案でいいからよぉ。」

 

ひよりに引かれてしまったのはちょっとショックだった。

 

「クックック、たしか、小宮と同じバスケ部に馬鹿がいたなぁ。」

 

さんざんいじっておいて、採用するんかよ!

夜も遅いのでその辺で二人とも退室していった。

さっさと寝ようかな。

 

とりあえず龍園が一切、手を付けなかった水道水をどうしようか考えていた。




水道水は正宗君がおいしくいただきました。

橘先輩っていいキャラしていますね。
堀北君だけだと事務的な会話になってしまいがちですが、橘先輩がいるだけで会話が無限に広がりそうです。
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