ようこそ絶対★ひより至上主義の教室へ   作:†しんしん†

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一ノ瀬さんと神崎君

6月になった。

ポイントの変動はほとんどないようだ。

 

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A:940→920

B:820→780

C:650→600

D:0 →0

ひよりバンク:231万pp

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なんか忘れたが、龍園が調査と称してひよりバンクから9万pp減っているらしい。

俺はというと、放課後はすっかり日常になったひよりとの読書を楽しんでいる。

 

「なぁひより。実力主義ってわりに、この学校退屈じゃないか?」

 

この学校に入学して2か月も経過したが、やったことはテスト勉強くらいだ。

入学したときは平和な生活を渇望していたんだが、平和すぎても退屈を覚えてしまうのだから不思議なものだ。

 

「ふふふ。正宗君は子供みたいですね。」

 

仕方がないですね。っと本を読む手を止めてこちらを見る。

 

「私は平和にすごしたいので、今のままの方がありがたいんですが。でも、心配しなくても、7月にバカンスがあると坂上先生がおっしゃっていましたよね?おそらく、そこからが本番だと思いますよ。」

 

そうなのか?なんか気合が入るな。

 

「ガキ扱いすんじゃねぇよ、ひより。とりあえず、たまにはメシ食って帰ろうぜ。」

「はい。ご一緒しましょう。」

 

慈愛に満ちた目でひよりは見てくる。ひよりには叶わないな。

 

・・・

 

俺とひよりはケヤキモールのカフェに行くことにした。

かなり混雑しており、相席でないと座れそうにない。

テーブル席に、1年で見たことがある美男美女が座っているので声をかけることにした。

 

「ここの席つかってもいいか?この時間混んでて大変なんだよ。」

 

あまり歓迎ではなかったようで、男の方はあからさまに嫌そうな感じでこっちを見る。

しかし女生徒の方が笑顔で対応してくれた。

 

「うん。もちろんいいよ。たしか、Bクラスの人たちだよね?よく図書室にいる。」

 

お礼をいいながら俺とひよりはテーブルに座る。

 

「そうだぜ。そっちは確かCクラスだよな?俺は筒井正宗。よろしくな。」

「私は椎名ひよりといいます。この学校は、他クラスと交流することがほとんどありませんのでお話しするだけで少し新鮮ですね。」

 

ひよりは少しうれしそうだ。

 

「ご丁寧にありがとう。私は一ノ瀬帆波だよ。それで、こっちは神崎隆二君。神崎君、椎名さん達を睨んじゃだめだよ。」

 

向こうも自己紹介をしてくれる。

クラス競争を強いる学園であるから、他クラスは敵と考えている人も多い。

神崎君もそのタイプなんだろうか。

 

「あぁ、すまない。最近、Bクラスの人間から因縁をつけられることが多くて警戒してしまったんだ。気を悪くしないでくれ。」

 

ん?なんかすごく気になることを言ってる気が。。。

俺はひよりに聞いてみる。

 

「なんとなく想像がつく気がして怖いんだけどよぉ、Cクラスに喧嘩売ってる馬鹿がいるって知ってる?」

「・・・いえ。しかし、そういうことをする人に心当たりはありますね。。。」

 

少しばつの悪い顔をする俺達をみて一ノ瀬さんが気を利かせてくれる。

「あはは・・・。Bクラスも色々大変だろうねぇ。ごめんね。Cクラスも色々あって、少し険悪な雰囲気になってるんだぁ。」

「いや。うちのクラスメートが迷惑をかけてすまねぇ。やめるように言っておくぜ。俺達は移動した方が良いな。」

 

Bクラスと一緒にいたくないだろうと思って、俺は席を立つ。

あわてて、一ノ瀬さんが手をぶんぶん振ってくる。

 

「え?いいよいいよ。一緒に食べよう。他クラスとの交流は貴重だしね。」

 

神崎君も態度を少し柔らかくしてくれた。

 

「俺の方こそすまない。初対面に対してとる態度ではなかったな。正直、Bクラスにも会話が成り立つ奴がいて驚いている。」

 

二人とも話してみると、とても気の良い奴らのようだ。

この二人をここまで怒らせるなんて龍園はいったいなにしたんだ?

 

「そうだ。連絡先交換しないか?Bクラスに言いにくいこととかあれば、俺やひよりを頼ってくれていいぜ?クラス戦では確約できないが、場外でくだらない争いくらいは注意してやるぜ。」

 

神崎君も最初とは違って普通に接してくれるようになった。

 

「是非頼む。正直、Cクラスは気の弱い生徒も多くて、窮屈な思いをしていたんだ。だが、筒井達にもクラスの立場があるだろう。無理はしないでくれ。」

 

こちらの立場も心配してくれるか。Cクラスだったら平和な学園生活をおくれそうだな。

 

「ああ、こういうやり方は俺達もうんざりだかんよぉ。せっかく神崎君とダチになれたんだ。仲良くしようぜ。」

「ええ。みなさん仲良くすることが一番良いと思います。私も帆波さんとお友達になれてうれしいですし。」

 

そう言ってひよりはにっこりとほほ笑む。

守りたい!この笑顔!!

 

「にゃ!私もひよりちゃんと仲良くなれてうれしいよ!」

 

女の子同士はすでに名前呼びになっていた。

 

・・・

 

「どうするんですか?正宗君?」

 

ご飯を食べ終え、神崎君たちと別れたあと、帰りの道中でひよりが聞いてくる。

 

「まぁ、間違いなく龍園の仕業だよな。」

 

以前、俺に「片っ端らから喧嘩売ってこい」とか何とか言ってきたしな。

 

「そうですね。お友達のためとはいえ喧嘩はだめですよ?」

 

ひよりは心配そうに見てくる。

 

「心配すんなよぉ、ひより。ちょっと話すだけだぜ。」

 

俺はひよりを安心させるように明るく返事をするが、ひよりは不安は消えていないようだ。

 

・・・

 

翌日、ホームルームが終わった後、俺は龍園の席に行った。

 

「おい、龍園。てめぇ、Cクラスにちょっかいかけてるらしいな?くだらねぇことやってんじゃねぇよ。」

 

龍園はニヤニヤしながら、立ち上がり頭をぶつけてくる。

 

「あぁ?俺に意見してんじゃねぇよ。同じクラスになったからって調子に乗ってんのか?」

「知るかよ。クラスのリーダーを名乗るんならよぉ、ダセェことさせてんじゃねぇぞ。」

 

ぶつけられた頭が痛いが、せっかくひよりに、他クラスの友達ができそうなんだ。こっちも引けねえ。

 

「おい。てめぇ、龍園さんに生意気言ってんじゃねぇぞ!」

 

そう言って、石崎が殴り掛かってきた。だが遅せぇよ。

石崎のこぶしが届く前に、俺のストレートが石崎の顔面をとらえる。

石崎は派手に吹き飛び、山脇君の机を巻き込んだ。周りの生徒からは悲鳴があがった。

 

「うるせぇ、黙ってろ!」

 

龍園は石崎では俺に勝てないことはわかっているから、特に慌てた様子もなくクラスを黙らせる。

 

「クックック、腕は落ちてねぇみたいだな。正宗。」

「あぁ?んなこたぁどうでもいい。まだやんのか?」

 

俺は殺気を龍園に向ける。

 

「いいさ。ある程度学校の動きも見えたことだ。Cクラスとの遊びはここまでだ。」

 

その言葉に満足して、俺は倒れた机を起こすことにする。

 

「山脇ぃ。巻き込んじまってわりぃな。」

 

倒れてしまった山崎君の机を起こして、怯えている山脇君に声をかける。

 

「石崎君も悪かったなぁ。今度メシ奢ってやっからよぉ。」

 

そう言いながら倒れている石崎君に手を貸す。

石崎は一瞬迷ったが、俺の手を取り立ち上がる。

 

「あ、ああ。正宗。おまえ強かったんだなぁ。舐めてたぜ。」

「ははは、そうだろ?おめえもいいパンチだったぜ。でももうちょっと、腰おとしてよぉ・・・・」

 

そう言いながら、石崎君と話す。

殴りあっても、すぐ仲良く話せるのは石崎君の良いところだな。

喧嘩が終わったことにほっとしたのか、クラス内もいつもの雰囲気に少しずつ戻っていく。

 

・・・

 

そうこうしているうちに予鈴がなり、俺は自席に戻った。

すると隣の席に、ふくれっ面になっていかにも「私怒ってます!」という雰囲気のひよりが睨んでいた。

 

「正宗君。私は言いましたよね?」

「えーっと。。。なんだったっけ?」

 

すごく怖い。見た目はすごくかわいいのに!

 

「喧嘩はだめです。すごく心配したんですよっ!!」

「わ、悪りぃ。だって龍園がよぉ。」

 

龍園と対峙した時以上の恐怖を感じながら俺は言い訳を並べようとする。

 

「知りません。」

 

ひよりはぷいっと顔をそむき、俺の方を見てはくれなかった。

その後、1日かけてひよりに声をかけ続けたが、なかなかひよりの機嫌は直らず、放課後まで許してもらえなかった。。。

 

・・・

 

放課後になった。

 

「ねぇ。あんた、私と勝負してよ。」

 

ひよりは茶道部に行ったため、今日は何をしようか考えていたら、ほとんど話したことがない女子に声をかけられた。たしか伊吹と呼ばれていた子だ。

 

「よぉ。唐突だなぁ。勝負ってなにすんだよぉ?」

「来ればわかるわ。特別棟にいい場所があるらしいからついてきて。」

 

そういってさっさと歩きだす。

何するんだろう?麻雀とかか?俺はあんまりゲームとか得意じゃねぇんだけどよぉ。

 

・・・

 

特別棟につくと、伊吹と向かい合った。

 

「っで、何するんだよ?」

 

なんか嫌な予感しかしないんだけど。

伊吹はどうみても喧嘩をやる気みたいだった。

 

「言わなくてもわかるでしょっ」

 

そういって、きれいな回し蹴りを放ってくる。

 

「うぉ、はえぇ」

 

ギリギリで距離を取って蹴りを交わす。向こうも当てる気はなかったんだろう。

 

「ここは監視カメラがないらしいわ。思いっきりやれる。」

 

そういって、次々と攻撃を繰り出してくる。

 

「ちょっ、危ねぇじゃねえか。待てよ」

 

なんとか攻撃をさばいていたが、伊吹の前蹴りが腹にヒットする。

結構痛えぇ。石崎君より強いんじゃないか?

そして、さがった頭にハイキックがもろに入った。

 

「こんなもん?」

 

伊吹は勝ち誇った顔で気を抜いた。

 

「痛ぇじゃねぇかよぉ!」

 

蹴りを食らったまま俺は伊吹の頭をつかんで、おもいっきり壁にぶつけに行く。

 

「っ!!」

 

ハイキックで決まったと思っていた伊吹は硬直して動くことができなかった。

壁にぶつける直前に、勢いを弱めて、反対の手で伊吹の頭を守った。

伊吹はまったく反応することができず、呆然としている。

 

・・・

 

「おまえ、強ぇな。なんかやってたんかよぉ?」

 

まだ放心状態の伊吹に声をかけ手を差し伸べる。

伊吹はこちらを睨みながらも、手を取って立ち上がり、服に着いたほこりを払った。

 

「あんたとぼけた顔して本当に強いじゃない。今回は負けたけど、また勝負しなさいよ。」

「正宗でいいぜ。できれば喧嘩はやめてほしいがよぉ。」

 

割とマジで痛いから勘弁してほしい。

 

「伊吹よ。次は私が勝つから。」

 

そういって、伊吹はスタスタと歩いて行ってしまった。

 

・・・

 

一人、置いて行かれた俺は少し呆然として。

 

「俺も帰るか。」

 

入学して2か月以上経過してから自己紹介するクラスメートってどうよ?

どうにもこのクラスは社交性の低い奴が多すぎるきがするんだが。

ひよりが言っていた、クラスのテーマってのはこういうことか?

そんなことを考えながら帰っていたら、いつの間にかメールを受信していた。

 

「また4人で、ごはんでもどうだ?今日は奢らせてほしい。」

 

送信者は神崎君だった。

 

「ダチなんだからよぉ。割り勘ならいいぜ。」

 

どうやら龍園は約束通り嫌がらせはやめたようだな。

ひよりと待ち合わせしようかな。

 

・・・・

 

あのあと数回メールのやり取りをし、ケヤキモールのカフェで集合することになった。

俺とひよりが入るとすでに、一ノ瀬さんと神崎君が座っていた。

 

「あ、ひよりちゃん、筒井君。こっちだよー。」

 

元気よく一ノ瀬さんが手を振ってくれる。神崎君もこの前より表情が明るい。

 

「改めて礼を言わせてくれ。正宗。ありがとう。」

「いやいや。気にすんなよ、神崎君。そもそもうちのクラスの不手際だからよぉ。」

 

軽くしゃべりながら、俺たちは注文をすます。

 

「筒井君たちは大丈夫なのかな?噂だと、Bクラスは朝から騒ぎが起きて、教室がめちゃくちゃになったとか聞いたんだけど。。。」

「ははは、なんだよそれ?ちょっとジャレあって、机が1個倒れただけだぜ?大げさだぜ。」

 

やばい。噂になっているとか聞いてねぇよ。

 

「ジャレ合うなんてレベルではありませんでした。」

 

せっかく許してもらったのだが、ひよりが怒りを思い出してしまったようだ。

ひよりは、「次やったら怒りますからね?」と表情で伝えてくれる。

 

「さっき、伊吹の頭つかんで壁に叩きつけてきたぜっ!」

 

なんてことは、俺はもちろん表情にも出さない。墓場まで持っていこう。

 

「筒井君はすごいんだねぇ。クラスでの立場は大丈夫なのかな?」

 

心配そうに一ノ瀬さんは声をかける。

 

「あー、実は俺とひよりはクラスの中でも浮いている方でよぉ。。。いまだに、友達と呼べる人がほとんどいねえんだよ。」

「・・・そうですね。クラス内で正宗君以外の友達を作ることは正直あきらめています。」

 

クラスのメンツを思い出し、俺とひよりはため息をつく。

 

「あはは、大変そうなクラスだもんねぇ・・・。」

 

なんとなく察してくれているんだろう。一ノ瀬さんから同情のまなざしが胸に刺さる。

 

「もし困ったことがあれば遠慮なくいってくれ。できる限り力になろう。」

 

神崎君はかなり義理堅い男のようだ。

 

「クラスに友達はできそうにねぇけどよぉ。神崎君たちとダチになれたんだ。悪いことばかりじゃねぇよ。」

 

その後も雑談しながらご飯を食べた。

なんか、普通の学園生活を送ってる気がするな。

ひよりも楽しそうで何よりだ。

 

・・・・

 

あれから、伊吹や石崎に何度か勝負をさせられたが、それ以外は平和な日々であった。

 

龍園も表向きは大人しくしているようだ。

少なくともCクラスにちょっかいをかけるのはやめたらしい。

 

しかし、一筋縄ではいかないのが龍園だ。裏では大人しくなかった。

次はDクラスにちょっかいをかけようとしていたのだ。

石崎君がぽろっと俺に漏らしたため、未遂に終わった。

俺は特別棟にいた須藤君の目の前で、小宮と近藤を沈めて謝罪した。

二人の痛がる姿を見て、須藤君も溜飲が下がったようでブツブツいいながらも帰ってくれた。

 

・・・・

 

7月1日

今日は楽しい給料日。俺たちのポイントも増えているようだ。

 

「みなさんおはようございます。さっそく今月のポイントを発表します。」

 

そう言って、坂上先生は手に持っていた紙を黒板に張る。

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A:920→1004

B:780→855

C:610→701

D:0 →87

ひよりバンク:337万pp

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全クラスのcpが増えているみたいだ。

特段何もなかったが、全クラスに100cpが支給されたらしい。

テストを無事に突破したご褒美のようだ。

 

ひよりいわく、今月のバカンスからが本番だ。

龍園もそこに照準を合わせているのだろう。

 

俺はというと相変わらずひよりと図書室通いが続いていた。

このころになると、俺たちは学年公認のカップルとして認定されているらしい。

本当はただのボッチ仲間なんだが、いちいち否定して回るのも面倒なので放置することにしている。

 

変わったことといえば、Cクラスで友達になった神崎君や一ノ瀬さんと顔を合わせると挨拶したり雑談する程度には仲良くなれた。

入学前に夢見ていた楽しい学園生活はこんな感じだったんだよなぁ。

そんなことを思いながら日々を過ごしていた。

 




神崎君が登場しました!!
私が原作で一番好きな男子生徒です。
彼の挫折からのサクセスストーリーが一番気になっています。

原作の2巻のお話は、主人公がつぶしてしまいました。
残念ながら龍園君は特別棟の検証はあきらめます。
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